第77号 2016.3.1 ◆月やあらぬ 春や昔の 春ならぬ わが身ひとつは もとの身にして◆ 昔と同じ月の光であり、梅の咲き誇る春景色であるはずなのに・・・、 これほど違って見えるということは、私自身がすっかり昔とは 違ってしまったということなのかしら、なぜ・・・? 『古今集』・恋五 二月下旬から三月初め頃の水蒸気を含みはじめた大気を通してぼんやりと光る おぼろ月であろうか。梅は青白い月光の下、その色や形よりもむしろ高雅な香 りで存在感を現していたことでしょう。 The moon and spring come round as in old days, But I alone am changed in earthly ways. 課題発見力を身につけよう! ◆問いの立て方で学びの8割が決まる◆ ◆疑問から問いへ◆ 自発的な学びを生み出すには、「問い」 の設定がとても大切だといわれています。 また、「問い」にも、よい問い、よくない 問いがあるそうです。 〔よい問いの例〕 ・当たり前だと思っていることを揺さぶる 問い ・答えがひとつに定まらず、ジレンマがあ る問い ・背伸びや試行錯誤をしないとクリアでき ない問い 等 〔よくない問いの例〕 ・正解がわかりきっている問い ・「なぜやらないの?」などと怠惰や失敗 を攻めるためだけの問い ・YES/NOで完結する問いや、ただのオウム 返しの問い 等 こういった問いは、発展的な思考を促進 することはなく、思考を凝り固まらせてし まいます。それに対して、よい問いは、私 たちに新しい世界を指し示し、より高い次 元へと導いてくれます。 疑問と問いとの決定的な違いは、疑問が 感じるだけで終わる場合が多いのに対し て、問いの場合には、自分でその答えを探 し出そうという行動につながっていくとい う点にあります。 授業を通じて、疑問を問いにする手法を 体験し、ぜひ身に付けてください。 ◆自分で問いを考えよう!◆ 「問い」は教師から与えられるだけのも のではありません。 学びは本来、 「なんで○○なんだろう?」 という疑問や好奇心からスタートします。 ゼミナール活動や探求活動のスタート で、この「なんで?」を自分でたくさん考 え、生徒同士で話し合い、どの問いが面白 そうか、どの問いが本質的か、ぜひ議論し 合って、よい問いをたくさん出し合ってく ださい。 その先には、仮説と検証が皆さんを待っ てくれています。 ◆疑問力を鍛える◆ 振り返ってみてください。今まで、勉強 といえば、ひたすら覚え、試験でそれを必 死に再生することばかりやってきませんで したか。 確かに、考えるためには、その素材・材 料が必要でしょう。しかし、何でもかんで も、鵜呑みするだけでいいのでしょうか。 教科書に書いてあることでも、一度は、 「なんで?」「本当に?」といったクリテ ィカル・シンキングのフィルターを通すよ うにしましょう。 そうすることで、疑問力が鍛えられ、自 分で問いを考えられるように、さらに授業 に対する主体性が生まれてくるはずです。 ◆問題と課題そして課題発見力◆ 〝問題〟は「あるべき姿」と「現状」との 負のギャップを指し、〝課題〟はその〝問 題〟の真の理由であり、かつそれをを解決 するために何をすべきかを見えるようにし たものです。つまり、疑問と問いの関係を 一般化したものと捉えることができます。 全ての授業を通じて、疑問から問いを導 く力を高め、世の中が求めるところの課題 発見力(考え抜く力)を身につけましょう。 Don't walk behind me; I may not lead. Don't walk in front of me; I may not follow. Just walk beside me. holly_tree@ kenko
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