名古屋大学自動運転車両の公道走行実験に係る事故検証委員会 検証

平成28年3月4日
名古屋大学
自動運転車両の公道走行実験に係る事故検証委員会
検
証
結
果
報
告
1.設置年月日:平成 27 年 11 月 5 日
2.委員会構成:
委員長:市橋克哉 理事(法務・人権・リスク管理・内部統制担当)・副総長
委
員:財満鎭明 副総長(学術研究・産学官担当)
山田陽滋 工学研究科教授
中東正文 法学研究科教授
村瀬
洋 情報科学研究科教授
加藤
晋 産業技術総合研究所知能システム研究部門グループ長(外部有識者)
3.設置目的
平成 27 年 10 月 22 日に名古屋市守山区内で発生した名古屋大学情報科学研究科所属
の准教授が実施した自動運転車両の公道走行実験中の事故に関する事故状況の把握、発
生原因の究明、今後の安全確保、再発防止策としての当該実験に関するガイドライン要
綱の提言
4.検証経過
(1) 委員会開催
・平成 27 年 11 月 18 日~平成 28 年 2 月 8 日:全7回
(2) 関係者へのヒアリング
・平成 27 年 11 月 18 日~平成 28 年 1 月 6 日:全5回
5.今回の事故の問題点
(1) 准教授は、取材のためのデモンストレーションであるからという理由で、事前の動
作確認の調整、運転事前指導などを十分に行わず、しかも、実験としてのデータも取
らなかった。このように実験とデモンストレーションとを分けて考えて公道走行を行
うことは適切でなかった。この結果、事後の検証が容易ではなくなるという課題も残
した。また、准教授は、公道上で事故等が起きる恐れがある実験を行うものであると
いう意識ないし自覚が欠如していた。このことに起因して、事故後の報告等も適切に
なされなかった。
(2) 情報科学研究科は、所属する教員の実験内容に相応しい手続を整備して周知してお
らず、事故後においてもリスク管理規程で期待される対応を行わなかった。また、名
古屋大学も、規程の整備を含めリスク管理の適正な実施を徹底してこなかった。
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6.再発防止に関する提言
(1) ガイドラインの策定
公道走行実験を行う研究者が遵守すべきガイドラインを策定することが有効であ
る。そこで、当委員会においては、
「自動運転車両の公道走行実験に関するガイドライ
ン要綱」(別添)を提言する。
これに加えて、車両実験一般に関するガイドラインを策定することが望ましい。
(2) ファカルティ・デベロップメント等
ガイドライン及びリスク管理規程を実効的に機能させるために、該当する実験に関
わる可能性のある者に対して情報科学研究科がファカルティ・デベロップメント等を
実施するべきである。
これを受講しなければ、「自動運転車両の公道走行実験に関するガイドライン要綱」
でいう「実験管理責任者」は、実験を承認しないという運用が期待される。
(3) 准教授に対する教育的指導
准教授に対しては、情報科学研究科長が適任であるとして指名した研究者によって
個別の教育的指導を行うことが相当である。
以上
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