安全の手引き - 在サンフランシスコ日本国総領事館

平成28年3月1日
在サンフランシスコ日本国総領事館
安全の手引き
Ⅰ
序言
当館の管轄であるカリフォルニア州中北部49カウンティ及びネバタ州には,
サンフランシスコやラスベガスをはじめとする世界有数の観光都市があり,周
辺には,世界遺産となっているヨセミテ国立公園やレッドウッド国立・州立公
園,有名なワイン産地であるナパ・バレーやソノマ,風光明媚な港町モントレ
ーやカーメル等々,多くの観光スポットを有しています。また,カリフォルニ
ア州は日本経済と結びつきが強く,特にサンフランシスコ・ベイエリア(サン
フランシスコ,オークランド,サンノゼ等,サンフランシスコ湾の周辺地域)
には多くの日系企業が進出しています。一方,教育分野でも充実した環境下に
あり,世界的に有名なスタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校
等,多数の大学が存在し,多くの日本人留学生の姿が見られます。このように
魅力的な当地管轄へは,毎年多くの邦人の方々が,様々な目的で訪れています
が,残念ながら滞在中に事件・事故に巻き込まれる方も少なくありません。
この「安全の手引き」は,当地に滞在中の方のみならず,これから当地への
渡航を考えている方々へ,安全対策を考える上で一つの目安としていただくた
めに作成いたしました。本書を通じて,
「海外における安全」について再考して
頂き,皆様お一人お一人がそれぞれの生活環境に合った安全対策を構築され,
当地での滞在を安全かつ安心なものとされることを願っています。
【当館管轄地域】
○
カリフォルニア州(中北部・49カウンティ)
○
ネバタ州(全域)
Ⅱ
防犯の手引き
1
防犯の基本的な心構え
(1)高い防犯意識の保持
日本は世界でも有数の治安の良い国ですので,日本の治安環境に慣れ
親しんだ日本人にとって,海外における滞在では「事件・事故に巻き込
まれやすい環境下」に身を置くことになります。海外で安全に滞在する
ためには,何よりも「自分の身は自分で守る」という高い自己防衛意識
を持つことが大切です。
(2)最新の治安情報の入手と防犯対策の構築
テレビや新聞,ラジオ,インターネット,当館ホームページ等を通じ
て,常に最新の治安情報の入手に努めてください。収集した情報を基に,
危険とされるエリアや時間帯を避けたり,その地域に住む人々が反感を
抱くような言動を止める等,適切な安全対策を構築することが重要です。
2
当地における最近の犯罪発生状況
(1)当地の特色
カリフォルニア州サンフランシスコは,1960年代に発生したヒッ
ピー文化の中心地と言われ,オークランド,バークレー,サンノゼなど,
サンフランシスコ湾を囲む「サンフランシスコ・ベイエリア」では,今
でも,自由な気風が尊重される地域となっています。人種も多様性に満
ち,様々な団体や個人が,様々な主義・主張を訴える活動をしています
ので,国際テロの標的となり得る社会的土壌を有していると言えます。
また近年は,車上ねらいが多発しており,多くの邦人の方々が被害に遭
っていますので,特にレンタカー利用時には注意が必要です。
一方,ネバダ州ラスベガスは,カジノやショーで知られる世界有数の
ナイトスポットであり,年間4,000万人の観光客が訪れていますの
で,サンフランシスコ同様にテロの潜在的脅威が存在しています。ラス
ベガス市警が治安維持に力を入れていますが,空港やホテルのロビー等
におけるすりや置引き,ホテル客室における侵入強盗,路上で無料を装
ってCD等を手渡した後で現金を要求する恐喝、レンタカー対象の車上
ねらい、ひったくり等といった観光客対象の一般犯罪も多く発生してい
ますので,観光客にとって特に注意を要する地域となっています。
(2)統計から見た治安情勢
FBIが発表した2014年統計によれば,人口20万人以上の都市
の中で,10万人当たりの凶悪犯罪(殺人,強姦,強盗及び加重暴行)
の発生率を比較した場合,オークランドが,ミシガン州デトロイト,テ
ネシー州メンフィスに次いで全米3位となっています。2014年のオ
ークランドの凶悪犯罪発生数は,前年比で-1,084件の減少となっ
ていますが,中心地では,けん銃使用の殺人や強盗事件等,凶悪な事件
が多数報告されていますので,滞在には極めて注意を要する地域となっ
ています。(資料1参照)
一方,財産犯罪(侵入窃盗,窃盗及び車両盗)では,オークランドは
全米9位と,依然として危険な水準にありますが,対岸のサンフランシ
スコも10万人当たりの発生率は5,303件,全米17位と,高水準
にありますので,注意が必要です。(資料2参照)
【資料1】2014 年
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
凶悪犯罪・多発都市(人口 20 万以上)~2014 年 FBI 統計ベース
州
USA
MICHIGAN
TENNESSEE
CALIFORNIA
MISSOURI
ALABAMA
WISCONSIN
MARYLAND
OHIO
CALIFORNIA
INDIANA
MISSOURI
NEW YORK
GEORGIA
DISTRICT OF COLUMBIA
TENNESSEE
OHIO
NEW JERSEY
FLORIDA
PENNSYLVANIA
MINNESOTA
CALIFORNIA
TEXAS
LOUISIANA
LOUISIANA
OHIO
FLORIDA
ILLINOIS
NEW MEXICO
FLORIDA
ALASKA
CALIFORNIA
TEXAS
NEVADA
NEW YORK
OKLAHOMA
PENNSYLVANIA
CALIFORNIA
WASHINGTON
NEVADA
OKLAHOMA
NORTH CAROLINA
MASSACHUSETTS
LOUISIANA
NORTH CAROLINA
FLORIDA
TEXAS
MINNESOTA
TEXAS
CALIFORNIA
WASHINGTON
都市
Detroit
Memphis
Oakland
St. Louis
Birmingham
Milwaukee
Baltimore
Cleveland
Stockton
Indianapolis
Kansas City
Buffalo
Atlanta
Washington
Nashville
Toledo
Newark
Miami
Philadelphia
Minneapolis
San Bernardino
Houston
New Orleans
Baton Rouge
Cincinnati
Orlando
Chicago
Albuquerque
St. Petersburg
Anchorage
Modesto
Lubbock
Las Vegas*
Rochester
Tulsa
Pittsburgh
San Francisco
Tacoma
North Las Vegas
Oklahoma City
Durham
Boston
Shreveport
Winston-Salem
Jacksonville
Dallas
St. Paul
Corpus Christi
Sacramento
Seattle
人口
318,857,056
684,694
654,922
409,994
318,574
212,115
600,374
623,513
388,655
299,519
858,238
468,417
258,419
454,363
658,893
647,689
281,150
279,110
421,996
1,559,062
404,461
214,588
2,219,933
387,113
229,387
297,671
259,675
2,724,121
558,874
250,772
301,306
205,820
241,826
1,530,899
210,347
399,556
307,613
850,294
204,722
229,436
617,975
249,738
654,413
200,184
238,082
856,021
1,272,396
297,984
319,211
482,767
663,410
凶悪犯罪
発生率
凶悪犯罪
365 1,165,383
1,989
13,616
1,741
11,399
1,685
6,910
1,679
5,348
1,588
3,369
1,476
8,864
1,339
8,346
1,334
5,186
1,331
3,988
1,255
10,768
1,251
5,862
1,228
3,174
1,227
5,577
1,185
7,810
1,122
7,270
1,091
3,068
1,078
3,008
1,060
4,473
1,021
15,925
1,012
4,093
992
2,128
991
22,008
974
3,770
924
2,120
905
2,695
901
2,340
884
24,089
883
4,934
865
2,169
865
2,605
864
1,778
862
2,084
841
12,876
839
1,765
805
3,217
798
2,455
795
6,761
794
1,625
777
1,782
774
4,782
734
1,834
726
4,749
721
1,444
712
1,696
684
5,853
665
8,457
662
1,974
656
2,094
615
2,968
603
4,001
殺人
14,249
298
140
80
159
52
90
211
63
49
136
78
60
93
105
41
24
93
81
248
31
43
242
150
53
60
15
411
30
19
12
11
12
122
27
46
69
45
12
12
45
21
53
20
13
96
116
11
27
28
26
強姦
( 新統計)
116,649
557
501
( 旧統計)
84,041
209
279
182
395
245
482
134
573
390
174
151
470
487
231
49
110
1,207
389
104
812
244
73
228
167
1,343
402
154
392
81
128
780
190
313
91
355
134
82
434
73
280
121
77
479
781
181
280
78
154
強盗
325,802
3,570
3,285
3,481
1,562
1,051
3,520
3,677
2,990
1,098
3,808
1,625
1,277
2,329
3,231
1,523
944
1,922
1,790
6,970
1,871
811
10,186
1,470
852
1,356
620
9,804
1,381
619
496
385
333
4,885
698
920
986
3,224
510
458
1,126
654
1,680
400
428
1,419
3,856
654
377
1,000
1,567
加重暴行
741,291
9,191
7,473
3,140
3,348
2,084
4,859
4,213
1,651
2,707
6,251
3,769
1,663
3,004
4,004
5,219
1,869
944
2,492
7,500
1,802
1,170
10,768
1,906
1,142
1,051
1,538
12,531
3,121
1,377
1,705
1,301
1,611
7,089
850
1,938
1,309
3,137
969
1,230
3,177
1,086
2,736
903
1,178
3,859
3,704
1,128
1,410
1,862
2,254
【資料2】2014 年
順位
財産犯罪・多発都市(人口 20 万以上)~2014 年 FBI 統計ベース
州
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
36
37
38
39
40
41
42
43
44
45
46
47
48
49
50
USA
WASHINGTON
ALABAMA
GEORGIA
FLORIDA
MISSOURI
WASHINGTON
WASHINGTON
TENNESSEE
CALIFORNIA
GEORGIA
FLORIDA
OHIO
NEW MEXICO
OHIO
TEXAS
NORTH CAROLINA
CALIFORNIA
OREGON
NORTH CAROLINA
OKLAHOMA
DISTRICT OF COLUMBIA
MISSOURI
FLORIDA
INDIANA
NEW YORK
MICHIGAN
MINNESOTA
MARYLAND
TEXAS
ALABAMA
LOUISIANA
WISCONSIN
ALABAMA
LOUISIANA
NORTH CAROLINA
CALIFORNIA
TEXAS
OKLAHOMA
TEXAS
CALIFORNIA
NEBRASKA
CALIFORNIA
OHIO
IOWA
LOUISIANA
NEW YORK
KENTUCKY
TEXAS
CALIFORNIA
CALIFORNIA
都市
Spokane
Birmingham
Columbus
Orlando
St. Louis
Tacoma
Seattle
Memphis
Oakland
Atlanta
St. Petersburg
Cincinnati
Albuquerque
Cleveland
San Antonio
Winston-Salem
San Francisco
Portland
Fayetteville
Tulsa
Washington
Kansas City
Miami
Indianapolis
Buffalo
Detroit
Minneapolis
Baltimore
Houston
Mobile
Shreveport
Milwaukee
Montgomery
Baton Rouge
Durham
Modesto
Corpus Christi
Oklahoma City
Lubbock
Stockton
Omaha
San Bernardino
Columbus
Des Moines
New Orleans
Rochester
Louisville Metro
Austin
Fresno
Bakersfield
犯罪
発生率
人口
財産犯罪
2,596 318,857,056 8,277,829
8,559
211,025
18,062
6,567
212,115
13,929
6,472
206,714
13,378
6,360
259,675
16,515
6,253
318,574
19,919
6,214
204,722
12,721
6,127
663,410
40,649
5,988
654,922
39,217
5,943
409,994
24,367
5,747
454,363
26,114
5,643
250,772
14,150
5,562
297,671
16,557
5,446
558,874
30,437
5,434
388,655
21,121
5,418
1,428,465
77,392
5,417
238,082
12,896
5,303
850,294
45,093
5,235
615,672
32,229
5,126
205,306
10,524
5,082
399,556
20,304
5,012
658,893
33,027
4,835
468,417
22,648
4,833
421,996
20,394
4,823
858,238
41,394
4,817
258,419
12,449
4,817
684,694
32,983
4,728
404,461
19,123
4,718
623,513
29,420
4,694
2,219,933
104,197
4,629
250,655
11,603
4,598
200,184
9,204
4,580
600,374
27,499
4,508
200,194
9,025
4,477
229,387
10,270
4,439
249,738
11,085
4,428
205,820
9,113
4,420
319,211
14,110
4,411
617,975
27,258
4,390
241,826
10,617
4,390
299,519
13,148
4,345
438,465
19,053
4,305
214,588
9,239
4,253
830,811
35,334
4,245
208,250
8,841
4,232
387,113
16,382
4,210
210,347
8,856
4,185
677,710
28,364
4,142
903,924
37,444
4,112
513,187
21,101
3,972
367,406
14,595
侵入盗
窃盗
1,729,806 5,858,496
3,365
12,455
3,750
8,743
3,711
8,495
3,342
12,182
4,209
12,463
3,127
7,521
7,099
28,036
11,451
24,791
4,006
13,842
5,470
16,498
2,612
10,139
4,820
10,639
6,123
20,756
6,948
10,335
12,344
57,908
3,724
8,467
5,237
33,730
4,146
24,707
2,510
7,427
5,500
12,494
3,463
25,881
5,659
13,037
3,659
14,514
12,125
24,090
3,119
8,362
9,177
13,723
4,112
13,480
6,926
18,008
21,629
68,125
2,847
8,225
2,087
6,623
5,929
14,917
2,548
5,817
2,772
6,986
3,652
6,853
1,754
6,164
2,316
11,233
6,638
17,111
2,288
7,563
3,124
8,082
2,997
12,910
2,370
4,405
9,066
23,328
1,888
6,083
3,458
10,309
2,125
6,058
6,417
19,669
5,733
29,423
4,721
13,277
4,065
8,247
車両盗
689,527
2,242
1,436
1,172
991
3,247
2,073
5,514
2,975
6,519
4,146
1,399
1,098
3,558
3,838
7,140
705
6,126
3,376
587
2,310
3,683
3,952
2,221
5,179
968
10,083
1,531
4,486
14,443
531
494
6,653
660
512
580
1,195
561
3,509
766
1,942
3,146
2,464
2,940
870
2,615
673
2,278
2,288
3,103
2,283
放火
56
145
47
55
190
67
79
350
176
75
44
353
86
304
298
77
241
166
48
138
217
66
271
490
117
213
716
62
276
153
25
59
50
96
46
76
37
120
17
135
95
259
372
※1 犯罪犯罪率とは,人口10万人当たりの犯罪発生数を表し,2014年FBI発表の統計デ
ータを基に算出したものである。
※2 ラスベガスの統計数値は、ラスベガス市警察(Las Vegas Metropolitan Police Department)
の管轄地(ラスベガス市及びクラーク郡の一部を含む。
)の数値となっている。
3
防犯のための具体的注意事項
(1)住居の選定方法
前項の犯罪率による危険都市の順位は,あくまでも目安であり,犯罪
の発生には様々な要因がありますので,犯罪率が低いからといって,け
して,その地域の安全が保障されている訳ではありません。住居地を選
定する際には,全て不動産会社まかせにすることなく,自分の生活環境
に照らして,物件のセキュリティ設備をはじめ,その周辺や地域の治安
状況,歴史や文化,街の雰囲気に至るまで情報を集約した上で決めるこ
とが大切です。
また,不動産物件を探す手段の一つに,インターネットの地域情報コ
ミュニティサイトを利用する方も多くみえますが,中には,実在する物
件と偽の連絡先を掲示して,連絡してきた入居希望者から言葉巧みにお
金を詐取する手口も存在します。契約内容等に,少しでも不審に感じた
ら徹底的に究明するように努めてください。
(2)犯行形態別の防犯対策
ア
車上ねらい
サンフランシスコ市内の観光ポイントで,「PREVENT A THEFT」「REMOVE
VALUABLES/LOCK YOUR CAR」等の標識をよく目にしますが,このような
場所は「車上ねらい」が多発しており,警察が重点的に警戒していると
ころです。近年,サンフランシスコ・ベイエリアでは,車上ねらいが多
発し,多くの邦人の方々も被害に遭っています。
被害に遭わないためには,第一に「車内に物を置かないこと」です。
犯行は数秒で敢行されますので,短時間でも車両を離れる場合には,け
して貴重品を車内に放置しないようにしてください。特に「レンタカー」
は,観光や短期出張の方が利用していることから,車内(トランクを含
む)には旅行中の荷物が保管されている可能性が高く,ターゲットとな
っています。また,駐車の際には必ずドアロックを掛け,たとえ時間が
掛かったとしても,出来る限り人目につく場所に駐車することを心掛け
て下さい。
イ
すり,置き引き
サンフランシスコ市内のダウンタウンでは,情緒あるケーブルカーや
路面電車が走っていますが,車内において,すりや置き引きの被害が報
告されています。特に週末には多くの観光客が乗車し,車内が混雑して
いますので,荷物を身体の前で抱えるなどして,貴重品はしっかりと身
につけるようにして下さい。大きなバッグ等,どうしても床に置かなけ
ればならない状況では,絶対に目を離さないようにして下さい。
また,ファストフード店だけでなく,高級なレストランの店内であっ
ても被害は発生しています。店の雰囲気にとらわれることなく,常に荷
物に対する警戒心を持って下さい。グルーブで食事中にイスの背もたれ
に掛けたバッグが盗まれるケースも報告されていますので,荷物が友人
の視界に入っているからと言って油断は禁物です。すりや置き引きは,
年間を通じて発生していますが,サマーシーズンである7月から9月に
は被害件数が増えていますので,特にご注意下さい。
ウ
けん銃等の持凶器使用犯罪
不運にも,けん銃やナイフ等の凶器を用いた犯罪に遭遇した場合には,
犯人に抵抗することなく,まずはご自身の生命の安全を第一に考えてく
ださい。サンフランシスコ市内では,ひったくりの被害に遭った観光客
が犯人を追いかけたところ,逃げる犯人にけん銃で撃たれて負傷する事
案も発生しています。
エ
宿泊施設滞在時
有名なホテルの室内であっても油断は禁物です。ドアの施錠とチェー
ンロックを確実に行い,ドアをノックされた場合には,必ずドアスコー
プで相手を確認してからドアを開けるようにしましょう。深夜時間帯の
訪問等,不審な場合には,まずフロントに電話をして訪問者の要件を確
認する等の用心深さが必要です。特にラスベガスでは,不用心にドアを
開けたために被害に遭ったとの報告もありますので,ご注意下さい。
(3)注意を要する観光スポット
ア
サンフランシスコ
サンフランシスコ市内では,いわゆるナイトクラブ周辺でギャング間
の抗争に起因する発砲事件や銃器使用の強盗等凶悪犯罪が多発していま
す。こうした犯罪は,裏通り等の人気の無い場所に限らず,バスや路面
電車等の公共交通機関内でも発生しています。観光スポットの中でも凶
悪犯罪の発生が多い地区としては,ユニオン・スクエア南西に位置する
テンダーロイン(Tenderloin)地区,マーケット・ストリートの南部に
位置し,美術館やAT&Tパーク(野球場)が所在するサウス・オブ・
マーケット(South of Market,通称ソーマ:SOMA)地区,及びジャパン
タウン南部のウエスタン・アディシ
テンダーロイン
ョン(Western Additon)地区等が
挙げられます。これらの地区では,
これまでも多くの邦人の方が被害に
ウエスタン・アディション
総 領 事
館
遭っていますので,夜間の一人歩き
は絶対にしないで下さい。
サウス・オブ・マーケット
イ
ラスベガス
ラ ス ベ ガ ス の 中 心 部 , い わ ゆ る ス ト リ ッ プ 大 通 り ( Las Vegas
Boulevard)は昼夜をおかず多くの観光客で賑わっていますが,日中でも
ひったくりや路上恐喝,ホテル内でもカジノやレストランにおけるすり
や置き引き,客室の侵入強盗等,観光客を狙った犯罪が多発しています。
また,多くのカジノや店が24時間営業となっており,大通りには深
夜時間帯でも人が途絶えることはありませんが,路上強盗や売春や違法
ドラッグを持ちかける犯罪者が出没しますので,トラブルに巻き込まれ
ないよう十分な警戒心を持って行動することが必要です。
(4)生活習慣の違い等に関する注意事項
ア
家庭内暴力(DV:ドメスティック・バイオレンス)
米国では,DVに関する法律が,日本以上に厳しく規定されています。
DV事案に出向した警察官は,現場の状況を判断して,どちらか一方を
拘束すると言われています。これまでにも,夫に対して物を投げたり,
手を出してしまった妻が拘束された事例もありますので,いかなる理由
や状況であっても,相手に暴力をふるう行為は許されないことを認識す
る必要があります。
イ
子供との接し方
米国では,子供(18歳未満)に対する犯罪が社会的問題となってお
り,子供は保護すべき対象として,法律等で手厚く保護されています。
例えば,多少の暴力を伴う子供への躾,父親が娘と入浴する行為,車内
に子供を残したまま車両を離れる行為は「児童虐待」
「性的虐待」等と見
なされ,当事者は逮捕され,刑事事件として訴追される可能性がありま
す。日本の文化においては全く問題がないと考えられていることが,当
地では犯罪とみなされる場合があることから,特段の注意が必要です。
ウ
警察官の対応
米国では,警察官から何らかの犯罪に関与していると疑われた場合に
は,はっきりと理由を告げられることなく,後ろ手錠を掛けられて拘束
されることがあります。日本では考えられませんが,当地では,被疑者
の身柄を確保し,相手からの攻撃を防ぐために,通常行われている職務
執行の形態となっています。例えば,交通違反を犯したことを認識して
いない運転手が,警察官の指示に従わず,自ら車両から降車した場合,
警察官によっては,逃走の虞があると判断して拘束するかもしれません。
現場の状況によっては,けん銃を向けられ,地面に伏せる体制をとらさ
れた上で手錠を掛けられる場合もあります。
誤って拘束されたとしても,当然,容疑が晴れれば解放されます。こ
の時,警察官から「RELEASE/DETENSION
CERTIFICATE」と称する書類を
交付されることがありますが,これは,本件の取扱いが逮捕・勾留措置
ではないことを証明するためのものです。関係する警察署等には書類が
記録として残りますが,犯罪歴とはなりません。今後の出入国で問題に
なることは一切ありませんのでご安心ください。
エ
高額な医療費
米国における医療費は極めて高額であり,日本では基本的に無料とさ
れている救急車の利用でさえも,想像以上の額を請求されることがあり
ます。緊急措置を受けた場合,医師に対する費用とは別に,病院から施
設使用費等の請求もされます。病院等を利用し,医療機関から請求書が
届いた場合には,内容を良く確認し,不明な点があれば当該医療機関に
直接問い合わせるようにして下さい。
海外へ渡航される方は,滞在地における交通事故や病気等,あらゆる
事態を想定し,十分な補償を受けられる保険に事前に加入しておくこと
をお勧めいたします。
5
交通事情と事故対策
(1)警察官による停止指示
車両運転中に警察官に停止を求められた場合,両手をハンドルの上に置
き,そのまま乗車した状態で,警察官の指示に従って下さい。慌ててポケッ
トやバッグから免許証を取り出そうとすると,けん銃を取り出そうとしてい
ると勘違いされる場合もあり,大変危険です。また,勝手に車両から降りた
りすると,逃走や抵抗しようとしていると判断され,身柄を拘束されること
がありますので,警察官への対応には十分に注意して下さい。
(2)飲酒運転
飲酒運転は,日本と同じく,当地でも厳しく処分されます。血中アルコ
ール0.08%(商業車を運転する場合0.04%)以上で運転した場合,
警察に逮捕・拘留され,罰金・奉仕活動が課せられ,更には飲酒に関するカ
ウンセリングを受講しなければなりません。
飲酒に関連した交通事故は,損害賠償額も極めて高く,事故を起こした
本人のみならず,本人の家族,そして被害者や被害者の家族にも深刻な影響
を及ぼすことになることを改めて認識して下さい。
(3)交通事故
当地において不運にも交通事故を起こしてしまった場合,事故の程度に
よっては,警察官が臨場せず,自動車保険会社への通報のみによって手続き
が終了することがあります。しかしながら,事故後における事故当事者との
交渉において色々な問題が発生する可能性がありますので,可能な限り,物
件事故発生時の状況(相手の人定事項,車種,発生時間,破損箇所,破損程
度,進行方向,通行車線,通行区分,停止線位置,衝突認識位置,衝突後車
両停止位置,信号設置場所,信号サイクル,道路標識設置位置,車両相互の
視認状況,各種動作確認,天候等)を記録しておくことが重要です。
6
テロ対策
当地治安機関は,現時点,当館管轄区域内(カリフォルニア州北中部及び
ネバタ州)において,テロが発生する可能性のある具体的な情報は把握して
いないとの見解を示していますが,昨年12月2日,カリフォルニア州サン
バーナディーノ市で発生した地域福祉施設における銃撃テロ事件に見られる
ように,不安定な世界情勢の中,米国内といえどもISILからの帰還戦闘
員やホームグローン・テロリスト等によるテロの脅威は常に存在しています。
これまでも世界中の国々が様々なテロ対策を打ち出し,各国治安機関が不断
の努力を重ねていますが,続発するテロ事件は,テロ対策の難しさを物語っ
ています。
テロを回避できるという完全な対策はありません。しかし,日頃からテロ
に対する意識を高め,高い警戒心を持ち,テロ関連の情報に注意を払い,テ
ロ発生の危険地域には近づかない等,自分で出来うる努力を積み重ねていく
ことが何より重要であると言えます。
7
緊急時の連絡方法
(1)当地の緊急連絡先
◆
警察・消防・救急:911
◆
在サンフランシスコ日本国総領事館:415-780-6000
※
緊急事態における総領事館内設置の緊急対策本部:
415-780-6018
◆
~
6023
ベイエリア医療関係等リスト
http://www.sf.us.emb-japan.go.jp/jp/m10_03.htm
◆
オンライン安否照会システム(海外の大規模緊急事態発生時に利用可)
http://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/online.html
(2)総領事館への通報
各種犯罪被害等のご相談は,当館領事班邦人援護担当へご連絡下さい。
執務時間外や休祭日における緊急時の対応として,上記の代表電話から,
日本語によるオペレーターが24時間対応しています。
(2)弁護士の紹介
当地治安機関に身柄拘束された方及び事件の被害に遭われた方等に対応
するため,当館管轄区域内で活動されている弁護士事務所に関する情報を提
供しておりますので,当館領事班邦人援護担当に問い合わせて下さい。
(3)収監先からの連絡
身柄拘束後,勾留手続きが開始されて施設に収容された場合には,領事
館に対して通報を要請する旨を,事件担当の治安機関若しくはご家族に伝え
て下さい。
(4)在留届
皆様が海外旅行される際,基本的には現地の在外公館に皆様の渡航情報
は入ってきません。在留届は,各種領事手続きに利用されるだけでなく,緊
急時には安否確認を行うための基礎データとして在外公館では活用してい
ます。旅券法では,海外に 3 ヵ月以上滞在する場合は大使館・総領事館へ「在
留届」を提出することが義務付けられていますので,ご家族のためにも外務
省ホームページ「ORRネット(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/)」若
しくは直接在外公館にお越しいただき,在留届を提出して下さい。
また,帰国,転居,家族構成の変更が発生した際には,内容の変更につ
いても忘れずに在外公館へご連絡下さい。
(5)たびレジ
「たびレジ」とは,海外旅行や海外出張される方が,旅行日程,滞在先,
連絡先などを登録すると,滞在先の最新の海外安全情報や緊急事態発生時の
連絡メール,緊急時の電話連絡などが受け取れるシステムです。短期滞在に
は,是非ご登録ください。(https://www.ezairyu.mofa.go.jp/tabireg/)
また,具体的な旅行予定はなくても,海外の安全情報を入手したいとい
う方や,出張者や駐在員のために常に情報を把握したいという企業・団体向
けに,メールアドレスと国・地域を登録するだけで,最新の海外安全情報や
緊急一斉通報を受け取ることができる「たびレジ簡易登録」もあります。た
だし,緊急時の電話連絡やお役立ち情報の提供はできませんので,具体的な
旅行予定がある場合には,たびレジにご登録ください。
(6)海外安全アプリ(スマートフォン向けの安全情報配信サービス)
海外安全アプリとは,スマートフォン向けの安全情報配信サービスです。
スマートフォンのGPS機能を利用して,現在地及び周辺国・地域の海外安
全情報を表示したり,任意の国・地域を「My旅行情報」機能から選択する
ことで,その国・地域に対する海外安全情報が発出された場合にプッシュ通
知(自動的)で受信することが可能となります。また,各国・地域の緊急連
絡先を確認することができますので,海外にお住まいの方や海外旅行・出張
中の方は,是非ご活用ください。
【ダウンロード先の URL】
http://www.anzen.mofa.go.jp/c_info/oshirase_kaian_app.html
Ⅲ
在留邦人用緊急事態対処マニュアル
1
平素の準備と心構え(緊急事態に備えてのチェックリスト)
(1)旅券等
旅券の有効期間を常時確認しておいてください(有効期間が1年以内
になれば切替が可能です)。旅券の最終ページの「所持人記載欄」は漏
れなく記載し,下段に血液型を記入しておいてください。なお,米国で
はグリーンカード(永住許可証)所持者以外の方は,原則として旅券の
携帯が義務づけられています。
(2)現金等の保管
現金,貴金属,貯金通帳等の有価証券,クレジットカード類旅券同様
に直ぐ持ち出せるように保管しておいて下さい。
(3)自動車の整備等
自動車をお持ちの方は,常時整備しておくよう心がけて,燃料は十分
入れておくようにしてください。車内には,懐中電灯,地図等を備えて
おくと良いでしょう。自動車を保有していない方は,近くに住む自動車
を持っている人と平素から連絡を取り,必要な場合には同乗できるよう
相談しておいてください。
(4)携行品の準備
避難場所への移動を必要とする事態に備え,上記に加え,次の携行品
を備えておき,直ぐに持ち出せるようにしておいてください。
ア
衣類,着替え(長袖,長ズボン,麻,綿等吸湿性に富む素材を)
イ
履物(行動に便利で靴底の厚い頑丈なものを)
ウ
洗面用具(タオル,歯磨きセット,石けん等)
エ
非常用食料
暫くの間,自宅待機する場合を想定して,米,調味料,缶詰類,イ
ンスタント食品,粉ミルク等の保存食及びミネラルウオーターを家
族全員が3日間程度生活できる量を準備しておいてください。これ
らの非常用食料を保管している自宅から他の場所へ避難する際に
は,この中からインスタント食品,缶詰類,粉ミルク,ミネラルウ
オーターを入れた水筒を携行するようにしてください。
オ
医薬品等
常備薬,常用薬,外傷薬,消毒用石鹸,衛生綿,包帯,絆創膏等
カ
ラジオ
当地において有事の際における公共の放送局を受信できる電池仕様
のもの(KCBS740AM及び106.9FM等)
キ
その他
懐中電灯,ライター,ロウソク,ナイフ,缶切り,栓抜き,紙製の
食器,割り箸,固形燃料,簡単な炊事用具,ヘルメット