光の色と発芽率 生物2班 奥田紗凪 吉野可奈子 中田圭介 結城将虎 ●動機 生物の授業で習った「植物は色素によって吸収する光の波長が違う」という性質から 当てる光の色を変えることによって発芽に違いは生じるのか疑問に思った。 ●実験方法 シャーレにコットンをひいてそこに種子を60粒まく。 この上から異なる色のセロハンをかぶせる。 セロハンの色は赤、黄、緑、青、紫で、白色光と光が当たらないものも用意した。 24 時間照明を当て 5 日間決まった時間に発芽の様子を記録する。 種子を 60 粒まいた理由はデータが多いほうがより正確な結果を得ることができるからで、 セロハンの色をこの 5 色にしたのは光の波長を分かりやすく 5 つに分けると赤、黄、緑、 青、紫だったからである。白色光と光なしは対象実験である。 ●光発芽種子とは 光の照射を発芽の条件とする植物のことである。暗所で発芽すると光合成ができないから 種子に蓄えられた栄養が尽きて、芽生えが枯れてしまうのを未然に防ぎ、地表面がある程 度明るい場合にのみ発芽することで、芽生えが生き残れる可能性を高める効果があると考 えられている。 この実験ではレタス、シソの種子を使用した。 また、対象実験のため光発芽種子ではないキャベツの種子でも実験を行った。 レタス、シソの種子を用いた理由は、光発芽種子の代表的な植物だからである。 また、対象実験としてキャベツの種子を用いた理由は、簡単に手に入り、誰にでも馴染み のある植物だからだ。 ●予想 赤、黄、透明のセロハンをかぶせた種子は発芽率が高く 緑、青、紫のセロハンをかぶせた種子は発芽率が低い 光なしでは発芽しない 赤、黄、透明のような明るい色のほうが光は吸収しやすくなり、 緑、青、紫のような暗い色は光が十分に届かず吸収されにくいと考えた。 また、発芽するのに日光は必要条件なので光なしでは発芽しないと考えた。 -15- ●結果 発芽の経過をグラフにまとめた。(別紙参照) ●レタスの種子で行った実験結果のグラフ 青色の光は発芽がほとんどなく、逆に青色以外の光の色はほぼ三日目で発芽している。 ●シソの種子で行った実験結果のグラフ 色ごとにデータのばらつきがある。また、赤色の光は三日目までは発芽の本数が最も少な かったが、最終的には最も多くなっている。 ●キャベツの種子で行った実験結果のグラフ 光を当てていない種子がほとんど発芽していない。その他の色はほぼ結果が変わらなかっ た。 ●結果の原因 この実験結果にはフィトクロムが関係している。これは光発芽種子に含まれる色素タンパ ク質である。 発芽に有効な光は波長 580~700nm の赤色光で、反対に波長 730nm の遠赤色光が、発芽を 抑制する。 フィトクロムは赤色光を吸収すると遠赤色光を吸収する型(Pfr 型)に変化し、遠赤色光を -16- 吸収すると赤色光を吸収する型(Pr 型)に何度でも変化します。そして、赤色光を吸収し た結果生じる遠赤色光を吸収する型(Pfr 型)が発芽を進行させる信号を発するので、最後 にどちらの光が当たったかによって、Pfr 型が存在するか否かが決まり、それによって発芽 するかしないかが決まります。いわばフィトクロムは発芽をするかしないかを決めるスイ ッチの役割を果たしている。 「赤」や「黄」の発芽率が高かったのは、波長が 580~700nm の赤色光に近かったからで、 「青」や「紫」の発芽率が低かったのは波長が 400~480nm と赤色光から遠かったからでは ないかと考えられる。 レタスの種子で行った実験の結果と文献が一致しなかった理由として、種子の品種改良が あげられる。市販の種子には光が充分に当たらなくても発芽するよう品種改良されている ものがある。栽培品種の植物は人が時間をかけて、扱い易いように改良したものなので元々 の野生の性質が残っていない事が多い。 私たちが用いた種子は品種改良されているものだったためこのような結果になったと思わ れる。 ●まとめ 実験の結果から発芽に最適な光の色は「赤」 「黄」の波長 580~700nm の光で、影響が少な い光の色は「青」 「紫」の波長 480nm 以下の光だとわかった。 ●感想 私たちはテーマの決定が遅かったことや準備に時間がかかったことから十分に実験を行う ことができなかった。しかし、実験の結果は多少誤差がありましたが、ほぼ予想通りにな った。また誤差が生じた原因を追究し、さらなる実験が必要だと思った。また、教授から 指摘があった太陽光の波長とセロハンの違いについてだが、予算がなく LED を購入できな かったためこのような実験方法をとった。調べたところ、セロハンはその光の波長に近い 色も透過しているようだ。太陽光とセロハンを通した光の波長の違いを検証すべきであっ た。 -17- シソ キャベツ レタス -18-
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