足背~前脛骨動脈完全閉塞病変に対する SuperCross FT を用いた治療

JAPAN LIFELINE PERIPHERAL MARKETING REPORT
全 完
Vol.12
先生 (近江八幡市立総合医療センター 循環器内科)
足背~前脛骨動脈完全閉塞病変に対する
SuperCross FT を用いた治療戦略
年齢:87 歳 性別:女性 Fig. 1
主訴:左第 4 指難治性潰瘍(Rutherford 5)
診断名:重症虚血肢
ターゲット病変(下腿動脈病変)情報
足背~前脛骨動脈(ATA)の完全閉塞病変および脛骨腓骨幹 75% 狭窄病変(Fig. 1)。
注)体位の関係で左下腿が回内肢位となっている。足背~前脛骨動脈全域と後脛骨動脈の
長区域完全閉塞を認め、腓骨動脈(PeA)より足背および後脛骨末梢~足底動脈への側副
血行路を認める。
手技手順 • 方法
Fig. 2
左鼠径部より 6Fr の Destination 45cm ガイディ
ングシースを挿入し、SuperCross FT をサポー
ト下に Cruise で ATA 閉塞断端までワイヤリング
し Wizard PV 3g で閉塞近位端を穿通した。ATA
遠位までワイヤリング可能であったが以後は難し
く(Fig. 2)、逆行性アプローチを併用することと
した。ATA のマイクロカテーテルを Prominent
Raptor 90cm に 変 更 し、PeA へ SuperCross
Fig. 3
FT を Cruise とともに進めて末梢で tip injection
を行い、足背動脈との交通路を確認した(Fig.
3)。冠動脈用ガイドワイヤーを用いて PeA か
ら側副血行路を介して足背動脈、ATA へワイヤ
リ ン グ に 成 功 し SuperCross FT を ATA ま で 進
めることに成功した(Fig. 4)。ガイドワイヤー
を Wizard PV 3g へ変更し閉塞部を逆行性にワ
イヤリングし最終的には順行性に留置していた
Prominent Raptor の先端へランデブーすること
に成功した(Fig. 5)。ガイドワイヤーを Cruise
300cm に変更し、足背~ ATA および脛骨腓骨幹
を Amphirion Deep 2-2.5mm/210mm で POBA
を 行 い(Fig. 6,7) 良 好 な 病 変 拡 張 が 得 ら れ、
Fig. 4
Fig. 5
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足背動脈への one straight line の確立に成
Fig. 6
Fig. 7
功した(Fig. 8)
。その後の潰瘍治癒も確認さ
れている。
考察
CLI 症例の下腿動脈における長区域閉塞病変
ではガイドワイヤー通過に難渋することが多
く、逆行性アプローチの併用が時に必要とな
る。側副血行路を用いる場合はその血管径、
Fig. 8
屈曲の程度、血管硬度等によりワイヤリングのみならず、マイクロカテーテルのデリ
バリーが困難な場合が多くその手技成功に影響を及ぼす。本症例では足関節以遠での
側副血行路を用いた手技であり、マイクロカテーテルやバルーンの通過困難が予想さ
れる状況であったが SuperCross FT を用いることで閉塞病変部以遠の足背動脈へ逆行
性にマイクロカテーテルを誘導できた。その後にガイドワイヤーを Wizard PV 3g へ
変更することが可能となり、閉塞部の逆行性ワイヤリングが成功するポイントとなっ
た。逆行性アプローチにはマイクロカテーテルか Corsair PV が用いられることになる
が、足関節以遠での側副血行路は周囲組織の硬度が高く、血管のコンプライアンスが
低下するためプロファイルの大きいディバイス、特に Corsair PV は不利である。マイ
クロカテーテルを用いる場合でも低プロファイルなだけではなく、親水性コーティン
グやプッシャビリティーと追従性を高いレベルで備えている必要がある。SuperCross
FT は、他社マイクロカテーテルに比べ先端柔軟部が長く flexibility に優れていると同
時に、Fig.4 で分かる様に高いレベルの trackability も兼ね備えた、末梢血管内治療分
野に新たな可能性をもたらす治療デバイスである。
術者紹介
1997 年
京都府立医科大学卒業 旧第二内科入局
近江八幡市立総合
医療センター 循環器内科
1999 年
朝日大学歯学部附属村上記念病院 循環器科 助手
2001 年
京都府立医科大学大学院 循環器病態制御学講座入学
2005 年
博士号取得
全 完 先生
2005 年 4 月 近江八幡市立総合医療センター(旧 市民病院) 循環器科 医長→現在部長
日本内科学会認定医,日本循環器学会専門医,
2010 年 4 月 京都府立医科大学臨床講師
CVIT 指導医
2014-07-08-01