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平成 27 年度統計入門 I
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第 8 回「条件付確率・離散確率変数」
原 尚幸
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新潟大・経済
http://www.econ.niigata-u.ac.jp/˜hara/stat1/
[email protected]
H. Hara (Niigata U.)
条件付確率と離散確率変数
Jun 9, 2015
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条件付確率
5 本中 2 本が「あたり」3 本が「はずれ」という
くじを A と B の二人がくじを一回引く.
2
どちらも当たりを引く確率は .
5
B が先に「あたり」を引いたとしよう.
そのとき A が
1
4
3
「はずれ」を引く確率は
4
「あたり」を引く確率は
B が「あたり」を引いたという条件の下での
条件付確率という.
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条件付確率と離散確率変数
Jun 9, 2015
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条件付確率
条件付確率
事象 B が起きたという条件の下で事象 A が起こる
確率のことを, 事象 B が与えられたときの事象 A の
条件付確率といい P (A | B) と書き
P (A | B) =
P (A ∩ B)
P (B)
.
と定義する (P (B) 6= 0).
Ω
B
標本空間を B に制限したときの
A の確率
H. Hara (Niigata U.)
条件付確率と離散確率変数
A
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条件付確率
条件付確率
事象 B が起きたという条件の下で事象 A が起こる
確率のことを, 事象 B が与えられたときの事象 A の
条件付確率といい P (A | B) と書き
P (A | B) =
P (A ∩ B)
P (B)
.
と定義する (P (B) 6= 0).
Ω
B
標本空間を B に制限したときの
A の確率
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条件付確率と離散確率変数
A∩B
A
Jun 9, 2015
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条件付確率
5 本中 2 本が「あたり」3 本が「はずれ」のくじ
A : A が「あたり」, B : B が「あたり」
2
P (B) =
5
5 本から 2 本選ぶ選び方は 5 C2 = 10 なので
P (A ∩ B) =
1
10
B が「あたり」を引いたという条件の下で
A も「あたり」を引く条件付確率は
P (A ∩ B)
P (A | B) =
=
P (B)
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条件付確率と離散確率変数
1
10
2
5
=
1
4
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条件付確率
さいころを 2 回振る.
Ω = {(1, 1), . . . , (6, 6)} : 36 個の要素
A : 少なくとも 1 回は 4 以上
B : 2 回の出た目の和が 6
B = {(1, 5), (2, 4), (3, 3), (4, 2), (5, 1)}
P (B) = 5/36
P (A ∩ B) = 4/36
P (A | B) は
P (A | B) =
H. Hara (Niigata U.)
P (A ∩ B) 4
=
P (B)
5
条件付確率と離散確率変数
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乗法公式
乗法公式
条件付確率の定義
P (A | B) =
P (A ∩ B)
P (B)
より
P (A ∩ B) = P (A | B)P (B).
これを乗法公式という.
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条件付確率と離散確率変数
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複数の事象の独立性
コインを 2 回投げる.
A = {1 回目に表が出る }
B = {2 回目に表が出る }
1 回目に表が出たからと言って,
2 回目に表が出やすくなるわけではない .
A と B の起こり方は無関係.
このようなとき, 事象 A と B は独立であると
いう.
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条件付確率と離散確率変数
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複数の事象の独立性
事象の独立性
P (A ∩ B) = P (A)P (B)
.
が成り立つとき, 事象 A, B は独立であるという.
2 回のコイント スで 2 回とも表が出る確率
.
1 1 1
P (A ∩ B) = P (A)P (B) = · = .
2 2 4
乗法公式から
P (A ∩ B) = P (A | B)P (B) = P (A)P (B).
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条件付確率と離散確率変数
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複数の事象の独立性
乗法公式から
P (A ∩ B) = P (A | B)P (B)
= P (A)P (B).
これは P (A | B) = P (A) と等価.
条件付確率が条件によらない .
⇒ A と B の起こり方が無関係.
⇒ A と B が独立.
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条件付確率と離散確率変数
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演習 1
演習 1
サイコロを 2 回振るという試行を考える
1
B = { 少なくとも 1 回は 6 が出る } という条件の
下で , A = { 目の和が 10 である } が起こる確率を
求めよ.
2
C = { 1 回目に 6 が出る } という条件の下で ,
A = { 目の和が 10 である } が起こる確率を求
めよ.
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条件付確率と離散確率変数
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解答例
1
B = {{1, 6}, . . . , {6, 6}, {6, 1}, {6, 2}, . . . , {6, 5}}
B は 11 個の要素からなる
Ω は 36 個の要素からなるので
P (B) = 11/36.
一方, A ∩ B = {(4, 6), (6, 4)} なので ,
P (A ∩ B) = 2/36.
以上より条件付確率 P (A | B) は
P (A ∩ B)
P (A | B) =
=
P (B)
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条件付確率と離散確率変数
2
36
11
36
=
2
.
11
Jun 9, 2015
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解答例
2
B = {{6, 1}, . . . , {6, 6}} より
P (B) = 6/36.
一方, A ∩ B = {(6, 4)} なので ,
P (A ∩ B) = 1/36.
以上より条件付確率 P (A | B) は
P (A ∩ B)
P (A | B) =
=
P (B)
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条件付確率と離散確率変数
1
36
6
36
1
= .
6
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確率変数 : 例
コイン投げ
X : 出た目
表が出る事象 : {X = 1}
裏が出る事象 : {X = 0}
X の取りうる値の全体は Ω = {0, 1}
1
P (X = 1) = P (X = 0) =
2
X のように, 確率的に変動する変数を確率変数と
いう.
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条件付確率と離散確率変数
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確率変数
確率変数
確率的に変動する X があって,
1
2
X のとりうる値の全体 Ω がわかっている,
Ω の各標本点に確率が与えられている,
をみたすとき, X を確率変数という.
実際に観測された値を確率変数 X の実現値と
.いう .
Ω を X の 値域 とも言う.
.
.
.
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条件付確率と離散確率変数
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確率変数と実現値
コイン投げ
X : 出た目 (確率変数)
投げたら表が出た : X = 1
「確率変数 X の実現値は 1 である」という.
{X = 1} : 「確率変数 X の実現値が 1 」
という事象
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離散・連続確率変数
確率変数には大きく二つのタイプがある.
X の標本空間が離散的である (とびとびの値をと
る) とき, X を離散確率変数という.
コイン投げ:Ω = {0, 1}
サイコロ投げ:Ω = {1, . . . , 6}
就労の有無:Ω = { 就労している, 就労していない }
X が連続の値を取るとき, X を連続確率変数と
いう.
GDP
為替レート
電力消費量
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離散確率変数
離散確率変数
X の標本空間が離散的である (とびとびの値をとる) と
き, すなわち,
Ω = {x1 , x2 , . . . , xK }
.
となるとき, X を離散確率変数という.
Ω はとびとびの無限集合のこともある.
Ω = {x1 , x2 , . . .}
非負の整数 Ω = {0, 1, . . .}
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条件付確率と離散確率変数
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離散確率分布
離散確率変数 X :確率的に変動する変数
Ω = {x1 , x2 , . . . , xK }
Xは
P (X = x1 ), . . . , P (X = xK )
という確率法則にしたがって実現値が定まる.
この確率法則のことを離散確率分布という.
pk = P (X = xk ), k = 1, . . . , K を確率関数という.
離散確率分布をひとつ定める
⇔ 確率関数をひとつ定める
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離散確率分布:例
サイコロ投げ
X : 出た目
Ω = {1, 2, . . . , 6}
確率関数
1
1
P (X = 1) = , . . . , P (X = 6) =
6
6
この確率法則がサイコロ投げの確率分布.
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条件付確率と離散確率変数
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演習 2
演習 2
コイント スをして
表が出たら 1 点
裏が出たら 0 点
というゲームをする.
X をコインを 4 回投げたときの合計得点をあらわす.
.
確率変数としたとき, X の確率関数を求めよ.
標本空間 : Ω = {0, 1, 2, 3, 4}
確率関数 : p(a) = P (X = a), a = 0, 1, 2, 3, 4
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条件付確率と離散確率変数
Jun 9, 2015
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解答例
p(0) = P (X
p(1) = P (X
p(2) = P (X
p(3) = P (X
p(4) = P (X
= 0) = 1/16
= 1) = 1/4
= 2) = 3/8
= 3) = 1/4
= 4) = 1/16
0.3
0.2
0.1
0
0
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1
2
3
条件付確率と離散確率変数
4
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確率関数の性質
定理
X を離散確率変数として, Ω = {x1 , . . . , xK } とする.
1
P (X = xk ) ≥ 0, k = 1, 2 . . . , K.
K
∑
2
P (X = xk ) = 1.
.
k=1
1
2
確率の非負性より明らか .
演習 3
ヒント :事象 {X = x1 }, . . . , {X = xK } は
互いに排反.
.
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条件付確率と離散確率変数
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解答例
X は x1 , . . . , xK のいずれかをとるので
P ({X = x1 } ∪ · · · ∪ {X = xK }) = 1.
{X = x1 }, . . . , {X = xK } は互いに排反なので ,
P ({X = x1 } ∪ · · · ∪ {X = xK })
=
K
∑
P (X = xk ) = 1.
k=1
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まとめ
登場した用語・概念
1
2
3
条件付確率・乗法公式・事象の独立性
確率変数・実現値・確率分布
離散確率変数・離散確率分布・確率関数
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H. Hara (Niigata U.)
条件付確率と離散確率変数
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