<三重県津地域の農業の現状>

<三重県津地域の農業の現状>
三重県津地域の農業の現状は、社会経済情勢の変化により、農業
者の高齢化や他産業への移行による担い手不足が深刻化している。
農業は低迷し、地域の活力が低下、生活の場としての機能は減少し
続けている。生産者の高齢化・資金不足・後継者難など課題は認識
しているものの、具体的な対応策が立てられない状況が続き、農業
従事者である白山地区の総区長は、
「今後、農業の規模を拡大してい
くと言うような人は一人もいない。農業では採算が合わなくなって
きている。」と述べている。また、同じ三重県津地域においても場
所による格差が厳しさを増している。山間地である旧白山町では廃
業が多く、勤め先が減少し、旧津市への人口移動が活発化している。
本連携事業は、ブルーベリーを原材料にしたスキンケア商品を事業
化することにより、こうした白山地区の住民が置かれている現状の打
破を目指すものである。ブルーベリーの地域特産物としての認知度を
高め、今後増えるであろうと予測されている休耕田・耕作放棄地を活
用し、生産を徐々に拡大して行く。ブルーベリーの溶液栽培はマニュ
アル化されており、かつポット栽培であるため、容易で生産性も高い。
新規雇用を生み出すとともに、地区の農業者に夢と希望を与え、地域
農業の活用や農地の有効利用に繋げていきたい。
<ブルーベリーの現状>
ブルーベリーは、ツツジ科のスノキ属の小果樹で、その果実が濃
い青紫色に熟すことからブルーベリー(Blueberry)と呼ばれている。
この仲間の植物は、北半球の各地に自生する種類があり、日本には
クロマメノキ、ナツハゼ、シャシャンボなどが知られている。欧米
では昔から、野生のブルーベリー果実を摘んで食用にしていた。20
世紀の初めより、アメリカ、カナダ原産の種類から品種改良が始め
られ、今日では世界の温帯圏で広く栽培される果樹になっている。
日本にブルーベリーが持ち込まれたのは 1951 年のことである。現
在、国内で栽培されている品種は、ハイブッシュ及びラビットアイ
ブルーベリー共に数十種類以上ある(詳細は P9 参照)
。ブルーベリ
ーの栽培面積は、1980 年代初めから 10 年間に急激に拡大し、1990
年には約 180ha にまで達した。生産量は、1984 年の約 20t から 1994
年には、420t(20 倍)に増加、2007 年には 1,800t に達した。ブル
ーベリー栽培は、北海道から九州まで爆発的な勢いで広がったが、
その理由は、1980 年代から果実が生果として店頭に並び、クッキー、
ケーキーやジャム類の仲間に加わって新しい果実として消費者に認
識されるようになったからである。
しかし、日本国内でのブルーベリー消費量(冷凍含む)は、約 20,000t
と言われ(農業生産法人株式会社プランツ調べ)、単純に国内生産量
を差し引くと、約 18,000t、90%以上を輸入に頼っている現状である。
国内の産地としては、1 位 長野県、2 位 群馬県、3 位 茨城県(日本
ブルーベリー協会
ブルーベリー県別栽培実績より)であるが、多く
は平均 30a(3000 ㎡)程度の小規模生産に留まっている。ブルーベリー
は他の果物と比較して、高価(約 1,700 円/kg)と言えるが、単収(kg
/10a)が著しく低く効率が悪い。リンゴは約 2,000kg/10a、巨峰は
約 1,400kg/10a に対し、ブルーベリーは約 450kg/10a しか収穫でき
ない。また、ブルーベリーの土壌栽培は非常に難しく、収量を安定化
させることは容易ではなく、効率の悪さに拍車をかけている。そのた
め、ブルーベリーだけで収益を上げて行くのは困難であり、ブルーベ
リー栽培を専門で行う農家は少なく、他の果物栽培の端境期に小規模
で行うか、観光農園として栽培し、ジャム等の加工品として販売する
かのどちらかの形態になっている。