公開授業② 音楽科学習指導案 場所 第1音楽室 4年1組 藤本 佳子 1.単元「たいこのリズムとの重なりを感じて はやしうたをうたおう」 2.研究主題との関連 郷土の伝統音楽を通して学びを創り続ける授業づくり — 教師の役割に着目して― 〜郷土の伝統音楽のリズムと旋律の重なりに対する知覚・感受を深める授業〜 単元について 教材 《ふとん太鼓囃し唄》 (百舌鳥八幡宮 月見祭/堺市) 指導内容 リズムと旋律の重なり 指導事項 A 表現(2)イ 曲想を生かした表現を工夫し,思いや意図をもって演奏すること。 単元の目標 ・リズムと旋律の重なりに関心をもって、意欲的に演奏をする。 (音楽への関心・意欲・態度) ・リズムと旋律の重なりを知覚・感受し、その特質を生かした音楽表現の工夫をする。(音楽表現の創意工夫) ・リズムと旋律の重なりの特質を意識して、表現することができる。 (音楽表現の技能) 本校の子どもたちにとって、祭囃子は身近な郷土の音楽である。平野には、だんじり祭りがあり、祭りの時期に なるとお囃子が耳に入ってくる。3年生のときには、平野だんじり祭りのお囃子をもとに、リズムパターンを組み 合わせて祭囃子をつくる活動を行った。本単元では、囃し唄がしりとりうただという特徴をもつ、堺に伝わる「ふ とん太鼓」を取り上げる。平野にもふとん太鼓があり、ふとん太鼓は子どもたちにとって身近である。同じふとん 太鼓でも地域によって違いがあるということも文化的背景の1つとしてふまえ、囃し唄をつくり、うたと太鼓のリ ズムの重なりを知覚・感受したうえで、言葉とうたと動きを統合した表現の工夫ができるような授業展開をしたい。 〔人と地域と音楽〕地域の行事と音楽とのかかわり(地元の囃子) 《ふとん太鼓囃し唄》は、堺市にある百舌鳥八幡宮の月見祭でふとん太鼓が奉納される際にうたわれるうたであ る 1)。月見祭とは、300 年以上も前から豊作祈願・生命を慈しむ放生祭と満月を祝う風習を併せて毎年行われてき た祭りである。この囃し唄の特徴は、江戸〜明治時代初期に流行った子どものしりとりうたがもとになり「…秋の 月 月に群雲…」 「…竹に虎 虎追うて…」のようにしりとりになっていたり、 「…五両十両 ゴロゴロ鳴るのは…」 のように語呂つなぎになっていたりすることである。そこで本単元では、そのような特徴を生かして囃し唄をつく る活動を展開する。 〔音楽の仕組みと技能〕テクスチュア(リズムと旋律の重なり) この《ふとん太鼓囃し唄》には、しりとり・語呂つなぎなどのうたの仕組みやうたの節回し、太鼓のリズム、う たと太鼓の重なり方 2)といった音楽の構成要素がある。太鼓の「スッテンドン スッテンドン スッテンドン ドン ドン」というリズム はふとん太鼓のパフォーマンス全体を支えているので、うたの旋律が太鼓のリズムと重なることでどのようなイメ ージを生み出されるのかを捉えさせたい。 〔音楽と他媒体〕言葉と動きと音楽のかかわり 「ふとん太鼓」とは神輿のように担ぐもので、いちばん上の部分に赤いふとんを重ねてある。中には太鼓が置か れ、そこには太鼓の叩き手4人と柱持ち4人(いずれも子ども)が乗り、太鼓を叩きながら《ふとん太鼓囃し唄》 をうたう。担ぎ手(大人)は、うたと太鼓の速さに足運びを合わせて練り歩き、叩き手と一緒にうたったりかけ声 で合いの手を入れたりする。太鼓台と太鼓台についている大房をうたと太鼓に同調するように揺らすのが、担ぎ手 の腕の見せ所だといわれている。太鼓のリズムとそれに支えられた《ふとん太鼓囃し唄》が、太鼓台や太鼓台の大 房の動きと同調することや、うたの合間に入れられるかけ声(合いの手)3)によって盛り上がり、祭りに参加して いる人々の一体感を生み出す。そこで本単元においては、うたに言葉(かけ声)や動きをかかわらせながら学習を 進めていきたい。 3.学びを創り続ける授業づくりの具体的な視点 【視点1】音楽的感受力を豊かに育む学びを創り続ける過程 【視点2】学びを創り続ける授業における「教師の役割」 郷土の音楽は、その地域に土着しているものなので、実際に祭りに関わっている熟練した方からうたの旋律や太 鼓のリズムを学ぶことが有効である。そこで、 〔経験〕でうたや太鼓を地元の方に教わる場を設定する。また、ふ とん太鼓の特性から、太鼓台の動きを意識したり体感したりできる場の設定が重要であると考えた。そのため、映 像資料や太鼓台を模したものを用意し、子どもたちが本物に近い経験ができるような場を設定し、興味・関心をも って意欲的に取り組めるようにしたい。また〔再経験〕では、単に「しりとりうた」をつくってうたうだけでなく、 うたを太鼓のリズムや動きとかかわらせることで自分たちの思いがどう変化したか、どのような表現の工夫をした かをワークシートに書き込めるようにし、子どもたちの表現の変容を教師・子どもが共に捉えられるようにする。 【視点3】郷土の伝統音楽の教材化 〔経験〕において本物に近い経験ができるような場の設定をし、子どもたちが《ふとん太鼓囃し唄》を文化的背 景や動きや言葉(かけ声・口唱歌)などの他媒体も含めて総体として経験できるようにすることを大切にした。こ れは、今回指導内容としている「リズムと旋律の重なり」の特質を〔分析〕において知覚・感受し、それをもとに 〔再経験〕で表現の工夫をするためのひとつの重要な手立てとなると考えている。 4.他単元との関連 主たる指導内容【リズム】 3年【リズムパターンを感じて祭囃子をつくろう】 (リズムパターン) ・口唱歌のリズムパターンを組み合わせて祭囃子をつくる。 3年【リズムの重なりを感じて祭囃子をつくろう】 (リズムの重なり) ・太鼓のリズムの重なりを感じて、祭囃子をつくる。 4年【たいこのリズムとの重なりを感じて はやしうたをうたおう】 (リズムと旋律との重なり) ・太鼓のリズムとの重なりを感じて、つくった《囃し唄》をうたう。 5.指導計画(全4時間 本時第2時) ステップ 経験 学習活動 評価 音楽への関心・意欲・態度 音楽表現の創意工夫 音楽表現の技能 ふとん太鼓について知り、 《ふとん太鼓囃し唄》をうたう。 1. 《ふとん太鼓囃し唄》について知る。 《ふとん太鼓囃し唄》に関 第1時 2. 《ふとん太鼓囃し唄》をうたったり太鼓を演奏 心をもち、意欲的に活動し したりする。ふとん太鼓を担ぐ動きを経験する。 分析 時 ている。【観察・発言】 《ふとん太鼓囃し唄》と太鼓のリズムとの重なりの特質を知覚・感受する。 1. 《ふとん太鼓囃し唄》を太鼓のリズムに重ね リズムと旋律の重なりの特 第2時 てうたったものと、重ねずにうたったものを聴 質を知覚・感受している。 【観 (本時) き比べ、リズムと旋律の重なりの特質を捉える。 察・発言・ワークシート】 再経験 グループでオリジナルの《囃し唄》をつくる。 太鼓のリズムとの重なりの特質を生かして、オリジナルの《囃し唄》のうたい方を工夫する。 1.グループで《囃し唄》をつくる。 リズムと旋律の重なりの特 リズムと旋律の重なりの特 2.リズムと旋律の重なりの特質を意識して、 質を意識して、表現の工夫を 質を感じて演奏することが つくった《囃し唄》をうたう。 している。【観察・発言・ワークシート】 できる。【観察】 評価 第3時 オリジナルの《囃し唄》を交流し、リズムと旋律の重なりの特質についてまとめる。 1.グループごとの《囃し唄》を聴き合い、リ ズムと旋律の重なりの特質についてまとめる。 第4時
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