平成27年度 分科会名 体育 第2回 会 場 助言者 科 提案者 平成27年8月20日(木) 司会者 記録者 世話人 出席者数 川崎小学校教育課程研究会 川崎市多摩市民館 川崎市立南加瀬小学校 川崎市総合教育センター 川崎市立上作延小学校 川崎市立西生田小学校 川崎市立南生田小学校 川崎市立中野島小学校 川崎市立古川小学校 159名 報告書 冨岡 中野 佐藤 中西 村尾 深田 工藤 寛 校長先生 正明指導主事 大樹 教諭 幸太 教諭 徹 教諭 淳一 教諭 梨沙 教諭 1 提案の概要 1年生 かかわる楽しさ、できた喜びのある体育学習 ~今できることから、もう少しでできそうなことへ 挑戦できる子どもをめざして~ ゲーム「鬼遊び」の実践を通して 提案者 川崎市立上作延小学校 佐藤大樹 教諭 【研究の視点】 1.違った感覚や動きのある鬼遊びの提示 2.思いや願いをもち実現させるための学習計画 視点1 鬼遊びは、「鬼から逃げられるか、捕まえることができるかどうかがおもしろく、それを友達と 競い合うことが楽しい運動遊び」と考え、楽しさを十分に味わうことができるシンプルな規則や場 や、相手がいろいろな方向から迫ってくる「逃げる・追う鬼遊び」と「マークを取る鬼遊び」を設 定した。子どもにとってなじみのある「逃げる・追う鬼遊び」は、行い方をすぐに理解し、スムー ズに楽しむことができた。また、タイプの違う鬼遊びを提示したことで、より多様な動きや楽しさ を味わうことができた。めざす子どもの姿を意識し、正しい行い方をしっかり理解できるようきめ 細やかな指導が大切である。 視点2 子どもたちの思いや願いを実現させるために、①鬼遊びのおもしろさ楽しさに触れる②思いや願 いをもつ③自己実現に向けて思考する④再チャレンジ、というプロセスがあると考えた。このプロ セスを反映させ、単元前半では、1時間の最後に学習のふり返りをするのではなく、鬼遊びを行っ た後すぐにふり返りをし、ふり返りを生かして再度鬼遊びを行い、単元後半では、対戦型の鬼遊び を中心に行う、という道すじで学習を進めた。鬼遊びごとにふり返りをしたことで、遊んだ直後の 思いや願いを聞くことができたり、規則の確認や工夫を話し合ったりでき、視点に迫ることができ た。おもしろさや楽しさに触れることから体育学習をスタートすることで、子どもたちがより思い や願いをもち、チャレンジする姿が見られた。 2 研究協議の概要 教師の言葉かけについて おもしろさや楽しさに触れるために、子どもの気づきを大切にした。子どもたちの思いや願いを 引き出すことを大切にし、よい動きをしている子は大きな声でほめるようにした。 提示した鬼遊びについて 「鬼遊びをする→ふり返る→ふり返りを生かして鬼遊びをする」という活動を展開することで子 どもたちの思考の流れが深まると考えた。しかし、1年生ということもあり、行い方の説明に時間 がかかることが考えられたため、提示する鬼遊びの数を絞った。また、系統が似ている鬼遊びを選 んで提示した。 コート・用具について コートの大きさは、小さいとぶつかり、大きいと動きが直線的になるので、今回の10mとした。 またコートの形は円形や四角形などにした。四角形のコートでは、角に追い込まれたときに動きが 広がるのではと考えた。「マークをねらえ」では、はじめはマークにビブスを使い、ゲーム後のふ りかえりをもとに、フラッグフットボールで使うフラッグに変えたが、着けるのに時間がかかった ので、用具についてはさらなる検討が必要だと感じた。 3 提案の概要 4年生 鉄棒運動の楽しさを実感できる学習指導について 器械運動「鉄棒運動」の実践を通して 提案者 川崎市立西生田小学校 【研究の視点】 中西幸太 教諭 1.川崎モデルプランをもとに子どもの実態に合わせた学習の道すじ(学習課程) 2.支持回転技(かかえ込み回り)の指導方法 3.教師のかかわりや友達とのかかわりによる子どもの学びの変容 視点1 事前アンケートの結果をもとに、「鉄棒上でクルクル回る(支持回転技)ことができるようにし て楽しむ」ことを学習の中心とした道すじを立てた。実践を通して、かかえ込み回りを中心に据え た学習を3年生で行い、自分に合った技を選択して行う学習を4年生で行うとよいと感じた。 視点2 鉄棒運動は「できる」「できない」がはっきりとしている運動だからこそ、易しい条件を取り入 れながら、段階的に少しずつ子どもの「できる」ことを増やし、「できるようになりたい」という 意欲をもって取り組めるようにした。段階的に取り組むことで回転感覚がつかめてくる子どもが多 く、かかえ込み回りを習得するには効果的な指導方法だった。 視点3 子どもの意欲を持続させるために、「あとちょっとだね」「つばめは完璧だよ」といった次につ ながる言葉かけを行った。また、友達からのアドバイスによってできるようになった子どももいて、 ともに喜ぶ姿が見られた。事後のアンケートでは、教師や友達の励ましの言葉が印象に残っている 子が多かった。動きのポイントとともに、次への意欲につながる言葉かけで子どもの学習に対する 取り組み方が変わってくることが分かった。 4 研究協議の概要 子どもの思考面について かかえ込み回りをできるようにしたかったので、教師の言葉かけ中心に学習を進めていったが、 練習の取り組みや見合い教え合いの活動の中で、子どもたちの気づきがあった。他の技では、子ど もの気づきを引き出すことから学習を進めていった。 見合いについて 数を絞って教師が伝えたポイントや、子どもたち同士の中で伝わるような言葉を使って、見合い や教え合いをしていた。 5 今後の課題 指導講評 南加瀬小学校 冨岡 寛 校長先生 ○子どもにとってわかりやすく学習を進めていくことが、生涯にわたって運動に親しむ資質や能力につなが る。 ○日常的な動きをただ行うだけでは学習とは言えない。子どもの状況を見て何が必要なのか考えて積み上げ ていく、子どもとともに創り上げていく学習は、特に低学年では必要である。 ○教師の補助なしでも、段階的に場の工夫で身に付けていくことが大切である。 ○全員が共通の技に取り組むことは、めあてを立てやすく成果も上がるが、子どもの思考面や時間数など バランスを考えて学習計画を立てていく。 指導講評 川崎市総合教育センター 中野 正明 指導主事 ○子どもに身に付けさせたい力、目標がしっかりとしていてよかった。教師が自信をもって指導することは 子どもの安心感につながる。 ○動いた直後にふり返りを行うことは、思考面の高まりがありよかった。相手を傷つけない前向きな言葉を 使うようにすると、道徳教育にもつながる。 ○行い方を紙芝居で可視化したことは、低学年に有効な手立てだった。 ○子どもの実態をしっかりととらえて学習計画が立てられていてよかった。 ○技ができるようにするために、技術指導をはじめに行い、そこから場や用具の工夫でできるようにしてい くという流れもある。教師が技のポイントを理解していなければ、場の工夫も意味がなくなってしまう。 ○教師の技能の向上がよりよい指導につながる。 ○支持回転技は、体の小さな低学年の内に取り組むとよい。 ○子どもの思考はとても大切だが、1時間の授業や単元のどこで考えさせるのかを意識する。
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