有限要素解析による皮膚裂傷の発生クライテリアの検討

Investigation of Skin Laceration Criteria Using Finite Element Analysis
有限要素解析による皮膚裂傷の発生クライテリアの検討
Jonas Aditya Pramudita (Niigata University)
Masato Ito (Analysis Center, Panasonic Corporation)
プラムディタ ジョナス アディティヤ (新潟大学)
伊藤 雅人 (パナソニック株式会社解析センター)
Abstract / アブストラクト
皮膚裂傷は日常生活の事故において最も発生頻度の高い傷害である.しかし,研究対
象とされることが少なく,裂傷の発生メカニズムと発生条件が明らかになっていないため,
皮膚裂傷を防止する対策は不十分であると考えられる.そこで,有限要素解析を用いて
皮膚裂傷の発生クライテリアの検討を行うこととした.
本研究では,ドアや机等の鈍なエッジ(先端曲率半径 R0.2 以上)を対象とし,ヒト皮膚と
同等の力学的特性を有するブタ皮膚による裂傷再現を行った.ブタ皮膚の有限要素モデ
ルを構築するために,ブタ皮膚の単純引張試験および一様二軸引張試験を行い,応力と
ひずみの関係を明らかにした.この実験結果をもとに超弾性 Ogden rubber model によりブ
タ皮膚の力学的特性をモデル化した.また,ブタ皮膚に対する鈍なブレードの押し込み試
験も実施し,裂傷の発生荷重を明らかにした.そして,この押し込み試験を有限要素解析
で再現することにより,裂傷発生時の各種ひずみを求め,皮膚裂傷の発生閾値を新たに
提案した.