ハンドボール競技における右バックコートプレーヤーのシュートプレーの特徴

ハンドボール競技における右バックコートプレーヤーのシュートプレーの特徴 ~2009 年女子世界選手権を対象に~ 氏 名 山野 由美子(200712100、ハンドボール方法論) 指導教員:河村 レイ子、會田 宏 キーワード: 右バックコートプレーヤー、ロングシュート、 【目的】 世界のバックコートプレーヤーは日本のプレーヤ
フェイク、ステップシュートフェイント、ランニン
ーに比べて長身であり、ジャンプ力があり、投力に
グシュートフェイント、パスフェイク、回旋、ジャ
優れている。また、パスやフェイントの技術にも優
ンプシュートフェイントに比べて多かった。シュー
れている。このような世界の右バックコートプレー
トの種類は、ロングシュートがミドルシュート、カ
ヤーが「どのようなシュートを打つか」を明らかに
ットインシュートに比べて多く用いられていた。ス
することによって、小中学生の段階からトップレベ
テップパターンは、ジャンプがランニング、ステッ
ルまでの日本の右バックコートプレーヤーの目指す
プ、スタンディングに比べて多く用いられていた。
べき技術を示すことができる。本研究では、国際レ
シュートスイングは、オーバーハンドがサイドハン
ベルの女子ハンドボールにおける左利きの右バック
ド、アンダーに比べて多く用いられていた。シュー
コートプレーヤーを対象に、そのシュートプレーの
トエリアは真ん中エリアでのプレーが左側、右側に
特徴・傾向を明らかにし、自身のこれからの競技生
比べて多かった(図 1)
。
活に生かしていきたい。
【方法】 対象者は 2009 年女子世界選手権に出場した左利
きの右バックコートプレーヤー10 名である。
ゲーム中のシュートプレーを観察し、
「ボールをも
らう前の動き」
「ボールをもらう前のエリア」
「ボー
ルキャッチ時の間合い」
「ボールキャッチ時のエリ
ア」
「助走の歩数」
「フェイントの種類」
「シュートの
種類」
「ステップパターン」
「シュートスイング」
「シ
カイ二乗値=50.96,p<0.05
ュートエリア」「シュート結果」の 11 項目を調査した。
図 1 シュートエリア 観察項目ごとに生起数を集計し、その割合を求め
た。その後、左利きの右バックコートプレーヤーの
シュートプレーの特徴・傾向を明らかにするために
4.シュートプレーとシュート結果
カイ二乗検定と残差分析を行った。
いずれの観察項目においてもシュート結果(ゴー
【結果と考察】 ルイン、ノーゴール)とシュートプレーとの間に有
1.ボールをキャッチする前のプレー 意な関係は認められなかった。
インの動きと直線の動きが、アウト、アウトから
【結論】 イン、インからアウト、静止に比べて多く用いられ
世界のトップレベルの右バックコートプレーヤー
ていた。また、左側エリアでのプレーが真ん中、右
は、ボールをキャッチする前は自分のホームポジシ
側に比べて多かった。
ョンからインへ走りこむ動きが多く、3 歩使ってジ
2.ボールキャッチ時のプレー
ャンプし、オーバーハンドで、最終的にはインに大
接触なしのプレーが接触ありのプレーに比べて多
きく動き、コート中央のエリアでシュートしている
かった。また、真ん中エリアでのプレーが左側、右
ことが分かった。これは非常に単純な動きである。
側に比べて多かった。
また、シュート結果とシュート達成までの過程に関
3.ボールキャッチ後のプレー
係性がないこと、つまり、シュートが入る動きがあ
3 歩が 0 歩、1 歩、2 歩に比べて多く用いられてい
るわけではないことが分かった。
た。フェイントの種類は、フェイントなしがボディ