おりおりの山 第71回 2015 年 9 月 1 日 作者プロフィール 柚木 文夫氏 千葉県隊友会会員 習志野支部長 桧町陸幕 平成 2 年退官 1958 年防衛大学卒 元防大山岳部監督 現自衛隊山岳連盟会長 北アルプス 燕岳-奇岩のオブジェ林立- 燕 岳 本 峰 (イ ル カ 岩 付 近 か ら ) イルカ岩 メガネ岩 9 月 上 旬 、北 ア ル プ ス ・ 燕 岳 ( 2 7 6 3 ㍍ )に 出 か け た 。第 1 日 目 は 中 房 温 泉 か ら 燕 岳 に 登 り 燕 山 荘 泊 、2 日 目 は 大 天 井 岳 を 越 え て 常 念 小 屋 泊 、3 日 目 に 常 念 岳 、蝶 ヶ 岳に登って横尾山荘に下りる日程である。 深夜バスを利用して早朝、穂高駅到着。 穂 高 駅 前 か ら 燕 岳 の 登 山 口・中 房 温 泉 へ は 乗 合 タ ク シ ー が 出 て い る 。し っ か り 5 人 詰 め合わせて乗ったおかげで1人1500 円 余 で 済 ん だ 。朝 食 の 間 、次 か ら 次 と タ ク シ ー が 客 を 運 ん で 来 る 。さ す が 燕 岳 は 北 ア ルプス屈指の人気の山である。 午 前 6 時 出 発 。こ こ か ら 始 ま る 合 戦 尾 根 は 北 ア ル プ ス の 三 大 急 登 の 一 つ と か で 、確 か に ツ ガ 、シ ラ ビ ソ な ど の 樹 林 の 中 を 、最 初 か ら 急 登 が 延 々 と 続 く 。6 時 半 第 一 ベ ン チ。7時第二ベンチ。7時半第三ベンチ。 8 時 富 士 見 ベ ン チ 。8 時 4 0 分 よ う や く 合 戦 小 屋 に 到 着 し 一 息 つ い た 。多 く の 登 山 客 が 、小 屋 前 の ベ ン チ で 西 瓜 に か ぶ り つ い て い る 。一 切 れ 5 0 0 円 の ぜ い た く な 西 瓜 で ある。 小屋から最後の急登を頑張ると間もな く 、合 戦 ノ 頭 に 飛 び 出 た 。樹 林 帯 が 終 わ り 視 界 が 開 け て 、目 指 す 燕 山 荘 と 燕 岳 山 頂 が 燕岳山頂から望む槍ヶ岳 目と鼻 の先に 見える。 傾斜も 緩くな り 、足 元 に は ハ ク サ ン イ チ ゲ な ど の 花 々 が 出迎えてくれた。 1 0 時 燕 山 荘 到 着 。今 夜 の 宿 泊 を 申 し 込 み 一 休 み し た 後 、軽 装 で 燕 岳 山 頂 に 向 か っ た 。山 頂 に 続 く 白 砂 を 敷 い た よ う な 道 の 両 側 に は 、緑 の ハ イ マ ツ の 間 を 縫 っ て 白 い 花 崗岩が 白砂青松と奇岩林立の路 造る 色々な 形のオ ブジェ が林立 し、あ たかも シュー ルレアリズムの美術館にでも迷い込んだ か の よ う な 、よ そ の 山 に は 見 ら れ な い 不 思 議な光景が展開する。 3~4人がやっと立てる程度の狭い山 頂 か ら の 眺 め は 抜 群 。槍・ 穂 高 、裏 銀 座 の 山 々 、遠 く 後 立 山 連 峰 ま で が 一 望 出 来 た 。 山頂往復約1時間。 夕 方 、暮 れ な ず む 北 ア ル プ ス の 山 々 を 眺 め な が ら 、ビ ー ル 片 手 に 燕 山 荘 の 語 ら い は 尽 き な い 。そ ん な 折 り 、 山 荘 主 人 ・ 赤沼氏によるアルペンホルン演奏を聞 く幸運にも巡り合えた。
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