2014~2015 年度 県施策に関する 連合栃木「政策・制度要求と提言

2014年7月29日
2014~2015 年度 県施策に関する
連合栃木「政策・制度要求と提言」
日本労働組合総連合会栃木県連合会
目
次
Ⅰ.持続可能で健全な経済の発展
◎経済政策
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◎税財政改革
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◎産業政策
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◎資源・エネルギー政策
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Ⅱ.雇用の安定と公正労働条件の確保
◎雇用・労働政策
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Ⅲ.安心できる社会保障制度の確立
◎福祉・社会保障政策
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Ⅳ.社会インフラの整備・促進
◎県土・住宅政策
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◎交通政策
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◎情報通信政策
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Ⅴ.くらしの安心・安全の構築
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◎環境政策
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◎食料・農林水産政策
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◎消費者政策
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Ⅵ.民主主義の基盤強化と県民の権利保障
◎政治改革
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◎行政改革
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◎公務員制度改革
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◎男女平等政策
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◎教育政策
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Ⅶ.公正なグローバル社会の実現
◎国際政策
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2014~2015 年度政策・制度要求内訳
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はじめに
わが国経済は、景気が緩やかに回復していると言われていますが、多くの働く者・生活者がそれを実
感するまでには至っていません。
働く者を取り巻く現状を見ると、雇用者に占める非正規労働者の比率は過去最高の 38.2%に達してい
ます。正社員と同じ業務に従事する非正規労働者が拡大する一方で、均等・均衡処遇は進展せず、年収
200 万円以下のワーキングプアと言われる層は 1,100 万人近くに及ぶなど極めて厳しい状況に置かれて
います。また、生活保護受給者は 216 万人を超える高い水準で推移するなど、格差・貧困問題の拡大や
不安定雇用の増大による社会の不安定化は許容範囲を大きく超えています。
また、少子高齢化・人口減少が進行する中で、安心できる社会保障制度の構築に向けた道筋が不透明
であることなどから、多くの国民が将来への大きな不安を抱えています。
このような状況において、わが国が東日本大震災からの復興・再生とともに、デフレを脱却し持続可
能で自律的な経済成長を成し遂げるためには、「堅い内需」に支えられた経済と安定した社会の実現が
不可欠です。そのためには、経済成長や雇用創出効果の高い分野に優先的・重点的に予算・税制措置、
規制の見直しなどの施策を集中し、産業政策と雇用政策を一体的に推進する必要があります。
また、暮らしと雇用の安定・向上に真につながる政策を実行し、国民所得の向上、雇用不安、社会保
障を含めた将来不安の払拭および格差是正と貧困の解消をはかることで国民の消費マインドを改善し、
経済の好循環を実現させることが必要です。
そうした様々な問題が山積している中、連合栃木において、今年度「2014 暮らしのアンケート」を実
施致しました。
この結果、栃木県民の方々は「雇用の不安」、
「安定した収入」、
「少子化対策」、
「子育て環境」につい
て、比較的多くの方が心配していることがわかりました。
また、県政に望むものは、
「雇用の創出と安定」、「少子化対策・子育て環境整備」、「医療・保健衛生
対策」、「高齢者保健福祉対策」などが高位を占め、基本的な傾向としては、6年前の状況から未だに
改善されず、特に雇用対策が第 1 位となるなど、現在の生活に対する様々な不安が増加しているという
ことであると思われます。
連合栃木は結成以来、
「ゆとり・豊かな生活の向上」、「バランスのとれた地域社会づくり」、「かけが
えのない緑・県土(地球環境)の保全」の実現をめざして、産業優先から生活者重視「人と自然の共生」
の立場からさまざまな要求や提言を行ってきました。
連合栃木は、以上の考え方に立ち、昨年度までの「要求と提言」の経過と結果を踏まえ、連合の対政
府要求と併せて、以下の「要求と提言」が、栃木県においても 2014~2015 年度施策に十分反映され、
実施に移されるよう栃木県に対し要請したものです。
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Ⅰ.持続可能で健全な経済の発展
(経済政策)
1.地域全体の東日本大震災からの復興と地域経済を担う中小企業への支援
中小企業の活動支援を強化し、県民の雇用の確保・生活の安定と県内全体の経済産業力の向上
を図ること。さらには、栃木県重点戦略の「新とちぎ元気プラン」を着実に推進し、東日本大震
災からの復興を目指し、成果を上げること。
(税財政改革)
2.県財政の健全化と県民サービスの確保
平成 25 年 3 月に策定された「財政健全化取組方針」に基づき、県政の持続的発展を可能にす
る強固な財政基盤の確立に取り組み、成果を上げること。また、県民が将来にわたり安全で安心
して暮らせる施策に重点配分し、その財源確保を図ること。
(産業政策)
3.産業・雇用政策の一体的推進
新規産業・雇用の創出に向けて、潜在的需要が高く、また将来にわたり特に発展が求められる
医療・介護、子育て、環境・エネルギー、観光、農林漁業の6次産業化などの分野において、人
材育成、技術開発、予算・税制措置等官民の資源を集中投資し、産業政策と雇用創出を一体的・
総合的政策として推進するための「栃木再生戦略(仮称)」を早期に策定し、実績を検証・フォロ
ーアップする仕組みをつくること。
4.中小企業・地場産業などの育成・支援等を通じた地域の活性化
栃木県内の中小企業の現状は、本年 4 月から改正された、消費税 8%の影響で販売先に対する
価格転嫁ができない現状や原油価格の高騰による経費負担の増加、慢性的な人手不足など深刻な
状況が続いている。特に食料品製造、繊維製造関係においては他の業種から比べると大幅に売上
が低下している。
(平成 26 年 2 月現在)また、大雪などによる自然災害による影響や消費税増税後の
反動減の懸念もある。
以上の状況の中、日本における起業活動の水準は、世界最低レベルであり、欧米での開業率 10%
程度に対し、日本は 5%程度で低迷し廃業率を下回っている。さらに、栃木県においては、開業
率 2.6%程度(廃業率 4.1%)となっているのが現状である。
ついては、
「とちぎ産業振興ネットワーク」及び「県産業振興センター」の機能を十分に発揮
し、市町と連携しながら取り組み、成果を上げること。
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(資源・エネルギー政策)
5.安定的な資源・エネルギー供給の推進
(1)
熱利用を含めたエネルギーの地産地消などによる、環境負荷の小さいまちづくりを推進す
るため、エネルギー政策のグランドデザインである「とちぎエネルギー戦略」に掲げた、再生
可能エネルギーの技術的な導入可能性や費用対効果、短・中・長期の時間軸の観点を踏まえた
実効性など、その実情を踏まえた対策を積極的に推進すること。
(2) 県内の電力使用量の多くは県外の大規模電源に依存している状況から、再生可能エネルギ
ー(太陽光、風力、バイオマス(堆肥・木質)、小水力、地熱、温泉熱など)や分散型エネル
ギーの導入拡大による電力自給率の向上を図り、エネルギーの安定供給、分散化などによる災
害に強い地域づくりを市町と連携し、推進すること。
Ⅱ.雇用の安定と公正労働条件の確保
(雇用・労働政策)
1.雇用の安定・創出
(1)
新とちぎ産業プランに基づき、研究開発や企業立地などの支援や企業ニーズに沿った人材
育成の取り組みを進め、より直接的に雇用に結びつくよう総合的に改善を図ること。さらには、
若者の職業訓練などを目的とした「緊急雇用創出事業臨時特例基金」を活用し、雇用創出を図
り、成果を上げること。
(2)
少子高齢化により、労働力人口が減少している中で、育児や介護など様々な事情を抱える
方が退職せずに働き続けることができる労働環境を整備し、成果を上げること。
2.労働者保護ルールの堅持・強化と派遣労働者の処遇改善の強化
政府は解雇規制の緩和やホワイトカラー・イグゼンプションの導入、派遣労働の期間制限の大
幅緩和、有期契約労働者の無期転換ルールの一部見直しなどについて議論されており、労働者保
護のための制度が後退することは、雇用不安、将来不安を増大させることにつながり、景気回復
の流れに水を差すことが懸念される。ついては、県として、労働者の声を国へ届けるとともに、
企業に対する労働関係法令の順守を指導強化すること。
3.公正な取引関係の実現
公契約条例(公共調達条例)の制定については、現在8市区で施行され、また条例制定に向け
協議会を設置する自治体もあるなど、条例制定に向けた機運は高まっている。一方で、国が公契
約基本法を制定することが、公契約条例(公共調達条例)の制定の前提であると考える自治体も
多く、公契約基本法の制定が急がれる。
3
公契約条例(公共調達条例)制定の効果については、労働者の賃金の適正化が図られ労働者自
身のモチベーションの上昇につながり、作業内容の精度が向上するなど、良質な公共サービスの
提供につながることや、そこで働く労働者はもちろんのこと、事業者にとってもメリットがあり、
優良な地場の企業を守ることにもつながる。
さらには、公契約の問題は公正取引の問題でもあり、適正な競争は地域経済の活性化につなが
ることから、公契約条例(公共調達条例)制定に向けた協議会等を設置し、早急に制定すること。
4.職業能力開発施策の強化
日本の技術の継承・向上・発展を目指すため、若年労働者のものづくり現場への就業意識を高
めるため、ものづくり教育の内容拡充を図り、職場体験学習の機会やセミナーの開催を増やし成
果を上げること。
さらには、「ふれあい技能体験学習」、「こども技能塾」や「とちぎマイスター技能セミナー」
の取り組みの推進と人材の育成を図り、成果を上げること。
5.中小企業勤労者の福祉向上
中小企業勤労者の福祉の充実に向け、中小企業勤労者福祉サービスセンターの未設置地域への
設立も併せ、自立と再生に向けて、広域化および改革を推進し、県の支援・指導を強化するとと
もに、裏付けとなる財源確保と財政支援をはかり、魅力あるサービス内容への抜本改革を進める
こと。
Ⅲ.安心できる社会保障制度の確立
(福祉・社会保障政策)
1.地域医療と介護サービスの充実
(1)
病院勤務医の不足・偏在を解消するため、医療対策協議会と地域医療支援センターが連携
した取り組みを着実に実行すること。また、離職した女性医師を対象とする復職研修の機会を
拡充するとともに、研修中に利用できる保育の確保等、円滑な受講を促進するための条件整備
を行うこと。さらに、病院勤務医、中山間地域の医師不足等については、財政措置を含めた実
効ある対策を講じること。
(2) 平成 27 年度以降の県高齢者福祉計画の策定においては、団塊の世代が 75 歳以上となる 2025
年も見据えて、在宅サービスや施設サービスのニーズを把握し、バランスを図りながら、必要
な施設整備(ユニットケア化や低所得者対策など)の支援措置を盛り込むこと。
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2.「地域包括ケアシステム」の実現
住みなれた場所で必要な医療、福祉・介護サービスが提供され、地域で尊厳ある暮らしが送れ
るよう「地域包括ケアシステム」を構築するため、「地域医療構想」の策定に向けた「病床機能
報告制度」を着実に運用し、病床の機能分化と、医療機関同士および医療と介護の連携を強化す
ること。特に、財政状況の影響で各自治体の介護サービス提供に格差が発生している課題につい
て必要な対策を講じること。さらには、栃木県医療審議会あるいは「地域医療構想」の策定およ
び達成に向けた協議を行う場に、保険者・被保険者の代表を参画させること。
3.看護、介護の労働環境改善
(1)
ひっ迫している医療現場での安全確保を図るために、看護職などの夜勤交代制労働におけ
る勤務間の十分な時間の確保、労働法令の遵守、院内保育所の整備などワーク・ライフ・バラ
ンスを尊重した職場環境の改善、潜在看護師の活用に向けた研修制度の充実、労働環境の改善
のための医療機関に対する財政上の措置などをすすめること。
(2)
社会福祉法人・施設等の事業者に対して、離職防止の対策を講じるよう介護労働者の処遇
改善について厳正な指導監査を講じること。さらに、労働法の遵守を周知・徹底し、介護サー
ビスの質的向上に努め、成果を上げること。
4.障がい者自立支援への体制拡充
(1)
次期「新とちぎ障害者プラン 21」の策定に向けて実施される実態調査によって、障がい者
の置かれている事情や環境を正確に把握し、地域における障がい福祉サービス基盤として計画
を策定すること。特に障がいの程度や地域によって、サービス提供に格差が生じることのない
ようにすること。
また、障がい者自身の経済的、社会的自立を支援するため、行政、労働者団体、社会福祉団
体、経済団体などと連携して、企業とのマッチングや授産品の販路開拓などの有効な施策を講
じること。
(2)
市町の地域生活支援事業の実施において、障がい者が自立した生活を営める必要なサービ
スが確保されるように、県は十分な財政措置を講じること。
5.次世代育成支援
(1)
次世代育成支援対策法の延長を受けて、一般事業主行動計画および特定事業主行動計画の
策定を推進するとともに、
「子育てサポート企業認定(くるみんマーク認定)制度」の普及・拡
大をはかるため、国の優遇制度に合わせて、県として企業に積極的インセンティブを与え、男
女ともに仕事と子育ての両立支援を促進すること。
5
(2)
社会的養護が必要な子どもを家庭的な環境で養育・保護することができるよう、里親制度
の推進、小規模グループ化の推進を進めること。
(3) こども医療費助成について、近年各市町では単独による対象年齢引き上げの制度改正が進
み、多くの市町が市町間だけでなく県の制度とも対象年齢に差が生まれている。
償還払い、現物支給について各市町の現状を考慮し、県の子ども医療費助成制度の対象年齢
(小学校 6 年生まで)及び現物支給対象年齢を現行の 3 歳未満から未就学児まで早急に拡大し、
市町の負担を一律的に軽減すること。
(4) 子どもや子育てをめぐる環境は厳しく、様々な課題解決のためにも、社会全体で子ども・
子育てを支援する仕組みを構築するために、①親の働く状況の違いにかかわらず、質の高い幼
児期の学校教育・保育の環境整備を図ること。②学校・保育所・幼稚園等、さらには、ボラン
ティアの募集・受け入れを積極的に行い、地域の関係組織等とも連携を図り、待機・保留保育
児童の解消を図ること。③核家族化、高齢化、地域での人間関係の希薄化等により、家庭や地
域での子育て力が低下している問題の改善を図ることや、放課後児童クラブの支援について市
町はもとより、地域の関係団体及び地域住民との連携、指導員の資質向上を図り認定制度を等
についてそれぞれ取り組み、成果を上げること。
(5)
とちぎ未来クラブ事業の「とちぎ笑顔つぎつぎカード」は、子育てを県民総ぐるみで支援
する観点から、利用者の利便性向上をはかり、協賛店舗・施設の拡充に取り組むため、特に「子
ども科学館」のような県有施設等での利用拡大に向けて、県としても自発的な協力をすすめる
こと。
Ⅳ.社会インフラの整備・促進
(県土・住宅政策)
1.公共性・社会性を重視したひとに優しいまちづくりの推進
(1)
「国土強靭化基本法」に基づき、地震や津波などの防災対策、インフラの老朽化対策が実
施されることから、防災・生活・安全・交通・観光に関連した社会資本を労働環境や自然環境
に与える影響に配慮し、人口減少および高齢社会に対する観点から優先順位をつけた上で効率
的に推進すること。また、社会資本整備に携わる労働者の労働環境を整備すること。
(2)
「交通政策基本法」に基づき策定される「交通政策基本計画」には、高齢者や障がい者は
もとより、すべての県民が利用しやすい公共交通ネットワークの確立と、徒歩、自転車、自動
車、バス、鉄道等の交通手段の最適な組み合わせ(ベストミックス)の再構築などが進むよう、
交通・運輸産業に従事する労働者代表や利用者、地域住民の意見を反映すること。
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2.自然災害に強い県土づくりの推進
これまでの過去の災害の教訓を踏まえ、災害から尊い命や財産を守り県民が安全に安心して暮
らすことのできる社会を構築するため「災害に強いとちぎづくり条例」を周知強化するとともに、
市町とも連携して取り組むこと。
ついては、今後起こりえる想定外の自然災害等から県民の生命・財産等を守るために、防災拠
点、緊急輸送道路、避難路などの基盤整備、治山・治水・砂防対策の推進、安全に避難できる防
災情報収集伝達システムの充実、防災・危機管理体制等の強化、予防・応急・復旧対策を、総合
的かつ計画的に推進すること。また、例えば雪害により道路が寸断された場合、県は県道、市は
市道のみを除雪するといった縦割りではなく、地域住民の生活道路を優先して除雪できるように、
国、県、市町が連携して代替手段を講じられるようにすること。
さらに、関係機関と連携し防災体制の充実を図り、県民の防災意識の高揚を図り、水害、土砂
災害、地震などの自然災害に強い防災基盤の整備を推進すること。
3.安心な住宅政策の推進
(1)
居住の安定と居住用資産の有効活用をはかるため、自己所有の住宅等を担保として高齢者
に融資を行うリバースモーゲージ制度の拡大・普及にむけた検討を進めること。
(2)
住宅は県民一人一人が健康で豊かな生活をおくれることが極めて重要な空間であることか
ら、低所得者、被災者、高齢者、子育て世帯など特に配慮を必要とする者の居住の安定の確保
を図り、成果を上げること。
(交通政策)
4.環境負荷の少ない円滑な交通・運輸体系の構築
LRT導入の是非を問うための住民投票条例案について、宇都宮市臨時議会本会議において
審議・採決され賛成少数で否決され、「民意なきLRT導入を阻止する会」が約1カ月の間取
り組んだ3万512筆の直接請求署名は住民投票につながらない結果となった。
宇都宮市はLRTの計画について市民に対して様々な場面でLRT導入計画について説明を
してきたと言っているが、有権者約41万人の3%程度(1月時点)に過ぎない状況である。
さらには、宇都宮市が行った「企業アンケート」によると、回収した1,830人の内、62.7%の
1,148人が「LRTを利用しない」と回答していることから、市民や関係企業の理解を得ている
とは言えない内容である。
また、労働組合アンケートを実施した結果によると、約4割が「LRT導入計画を知らない」
と答え、5割が導入すべきではないと回答している。
ついては、LRTはあくまでも移動交通の一手段であり、本県や宇都宮市の具体的交通基本
計画が不明確、都市構造に不適合、街づくりの視点が不十分などの諸問題があることから、宇
都宮市のLRT導入計画に対する、県としての姿勢と関わり方を明確にすること。
7
5.交通事故防止・交通施設整備の促進
県内における交通死亡事故は、栃木県警交通統計では、平成 25 年末までで 101 人(前年比+7
人)と全国でもワースト 15 位となっており、そのうち、高齢死者(65 歳以上)は、全死者に占
める構成率は 53.5%と依然として高く 54 人(前年比-3 人)
、歩行中・自転車乗用中の死者(46
人)の 76.1%を高齢者(35 人)が占めている。さらには、平成 26 年 2 月までの状況は前年と同
じ推移で交通死亡事故が発生している。
その要因は、速度超過や交差点安全進行義務違反、脇見・漫然運転に起因する死亡事故が多く、
被害を最小限にとどめるとともに被害者をなくす取り組みが必要と考える。
労働組合アンケートでは、
「歩行者・自転車が安心して歩行・走行できるように歩道及び道路
を整備してほしい」、
「交通マナーを守らない悪質な自動車運転の取り締まりを強化してほいし」、
「現状まだまだ歩行者専用レーンがない通学路、道路がたくさんあり、一般道、市道でも車一台分し
か走れない道幅狭い道路がたくさんあります。今後、それらの対策、実現に向け積極的に、早急に取
り組んで欲しい」等の意見があった。県においては、第9次栃木県交通安全計画の基本理念に沿
って交通事故のない安全で安心な栃木県の実現に向け以下の項目について取り組み、成果を上げ
ること。
(1)
歩道と車道、自転車道の分離整備、電線の地中埋設などを早期に整備し改善を図ること。
特に、スクールゾーンにおけるガードレール設置を拡充すること。
(2)
子ども、高齢者を交通事故から守る取り組みをさらに強化し、子ども、高齢者はもとより、
ドライバーも含めた、交通安全に対する教育・啓発活動を更に強化すること。
(3)
交通ルールを無視する悪質なドライバーに対する取り締まりを一層強化し交通事故のない
まちづくりを実現させること。
(情報通信政策)
6.情報発信機能強化
(1)
地域ブランド力や情報発信力の強化に向け、民間アイデアの活用にあたっては、NPOや
労働組合なども含めた県内の様々なネットワーク資源を活用した「オール栃木体制」とするこ
と。
(2)
県民が安心して行政情報に容易にアクセスできる「電子県庁」を構築するため、コミュニ
ケーション手段、公共交通システム、医療・医療事務分野のシステム化、教育関連のICT
化など、様々なICT化に対するニーズを掘り起こし、県民生活の充実と経済の活性化につ
なげること。また、他県の先進事例などの研究や、事業者も含めた情報交換などの連携を強
化しながら、電子申請などのオンライン化の目標を設定し、達成状況を明確にすること。
8
7.災害発生後における情報通信手段の確保や情報提供
大規模災害に備え、情報通信などのライフラインの基幹設備を耐震化するとともに、非常用発
電機の燃料備蓄、非常用通信手段の確保、ICTの活用による誰にでも確実に防災情報が届く「防
災伝達システム」を整備し、多様な防災手段を備えたまちづくりを推進すること。
Ⅴ.くらしの安心・安全の構築
(環境政策)
1.環境対策の促進
省エネの推進、温室効果ガス削減に向け、部門(産業、運輸、業務その他、家庭)ごとに、取
り組みの内容や実績を精査し、不十分な場合には内容の充実を求めるとともに、地域における「環
境教育」を推進すること。
2.環境保護と経済発展の両立
「環境保護」と「経済発展」を両立させ、自然と共生できる「グリーン経済」への転換をはか
ること。なお、経済・社会の変化が、雇用へ悪影響を及ぼさないよう必要な対策(公正な移行)
を講ずること。
3.廃棄物対策等の強化
国による指定廃棄物の最終処分場の県内候補地が選出された際は、県としても候補地周辺住民
の理解が得られるよう、選定基準や施設の安全性等について検証するとともに、環境省と候補地
との意見交換の機会の設定に積極的に関わっていくよう努めること。
4.水に関わる安全保障の確立
(1) 「水環境基本法」に基づく「水環境基本計画」の策定にあたっては、本県を含めた水源地
保有地域や、利用者、労働者をはじめとするステークホルダーが参画した検討の場の設置を国
へ求めること。また、本県における湧水、水源地保全のために、地域住民の意見が反映された
施策を講じるとともに、
「水源地保全条例(仮称)」制定に向けた課題の研究についても成果を
明示すること。
(2) 外国資本による水源林買収の実態を把握できる仕組みを構築するため、水の利用等に対す
る監視体制の強化を盛り込んだ「水源地保全条例(仮称)」を制定すること。
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(食料・農林水産政策)
5.食料自給力向上と地域振興対策の強化
国の「FOOD ACTION NIPPON」やフードマイレージの普及等を通じた地産地
消、県産農産物の消費拡大に県民総ぐるみで取り組むとともに、地域における食料自給力の向上
を戦略的に推進すること。
6.安心・安全の食料政策
(1) 保健所等における食品衛生業務の拡充や、食品に関する苦情相談、製造・流通等への監視
を強化することにより、食品の安全性の向上をはかること。
(2) 放射性物質の影響が懸念される地域・産地で生産された食品について、検査体制の強化と
消費者に対して積極的な情報提供を通じ、風評被害防止並びに消費拡大を図り安全性の向上を
はかること。
7.持続可能な農林水産業の確立
(1)
農業を起点としたフードバレーとちぎの実現に向け、本県農業に高付加価値を創造し、市
場の拡大・活性化を通じて食料自給の向上をはかるとともに、雇用の確保・事業者の所得増大
などに取り組むこと。
(2)
将来にわたり、農林水産業の維持・発展を推進していくために、次世代を担う児童・生徒
をはじめとする若者に対し、本県における農林水産業の重要性・魅力などに関する理解促進を
はかること。
8.持続可能な林業の確立と森林整備・保全対策の推進
栃木県は豊富な森林を保有し、良質な木材の産出地であり、環境の立地も良く、林業に適した地
である。その森林の有する多面的な機能を発揮するために必要な森林の整備等を担うのは、主に山
村において林業従事者となる。
国勢調査によると、全国の林業従事者の数は長期的に減少傾向で推移しており、平成 22 年(2010
年)には 51,200 人となっている。さらに、新規就業者数は、「緑の雇用事業」(平成 15 年度から実施)
を実施する以前は年間平均約 2,000 人であったものが、事業実施以降には約 3,400 人にまで増加し、
平成 24 年度(2013 年度)は 3,190 人となっている。しかし、栃木県においては、平成 24 年度は
313 人で、平成 15 年の 370 人から減少傾向にある。
以上の状況を踏まえると、本県は林業従事者の担い手確保・育成などについて様々な課題があり、
国の「緑の雇用事業」と連携した取り組みが急務であるため、以下の項目について取り組み、成果
を上げること。
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(1)
林業従事者の担い手確保・育成については、栃木のブランドとして自信と誇りを持った担
い手を育成するために、小学・中学・高校及び様々な場面で産業としての林業の魅力を伝える
など、職業教育を充実させること。さらには、国の「緑の雇用事業」と連携して、①就労希望
者向け相談会や現場体験会の開催、②給与体系の見直し等による待遇改善や労働災害防止等の
対策、③森林施業プランナー、現場技能者、フォレスターなど、新たな森林・林業を展開する
ための、人づくりや体制づくりなどに積極的に取り組むこと。
(2)
国の「森林・林業再生プラン」における平成 33 年までに木材自給率 50%に対する県内の現
状や、「とちぎ森林・林業・木材産業未来ビジョン 2011」の状況を検証し、目標達成に向けた
課題を明確にするとともに、民間と行政が一体となって、スピード感のある施策に取り組こと。
(3)
本年初めの大雪による被害を受けた農業者等に対し、営農再開に向けて迅速な対応がとら
れたが、今後も風水雪害による被災は想定されるため、支援策について利用者の声を十分に反
映し、申請受付期間や返済期間について、十分な期間を設定するなど、必要な改善策を講じる
こと。
(4)
野生鳥獣による農作物等への被害がますます深刻化していることから、被害を食い止める
ために適正な水準の個体調整が必要である。市町および農林業関係者と協議し、管理捕獲など
の計画的、継続的な対策強化を図ること。また、個体数調整後に地域振興食材として活用する
などの取り組みも推進すること。
(消費者政策)
9.消費者の視点に立った消費者政策の推進
(1) 県警に新設された特殊詐欺防止対策専任組織と連携して、消費者への情報提供と注意を喚
起し、詐欺被害の未然防止・拡大防止をはかること。
(2) 消費生活センターの自立かつ持続的な運営に向けた財政基盤の強化を図り、相談員の雇用
形態・処遇の改善、能力開発の充実を推進すること。
(3)
生活者のライフステージに応じた消費者の自立につながる幅広い消費者教育についても、
事業者や福祉関係者など多様な主体の参画をもって計画的かつ着実に実施すること。
特にインターネット利用によるトラブルが増加していることから、子供も対象としたメデ
ィアリテラシー教育を様々な場面で実施すること。
11
Ⅵ.民主主義の基盤強化と県民の権利保障
(政治改革)
1.地方議会改革
(1) 県議会は、議会の基本理念、議員間討議による合意形成、政策機能の強化、住民参加、情
報公開徹底などを明記した議会基本条例を制定すること。
(2) 県議会は、勤労者の議員兼務や住民の傍聴を促進するため、多様な開催形態を検討するこ
と。
(行政改革)
2.新しい公共の推進
NPOなど多様な担い手と行政が協働で地域の課題について協議する「とちぎ地域力創造プラ
ットフォーム」に引き続き取り組むとともに、提案型モデル事業へ支援を拡充することで「新し
い公共」の推進をはかり、成果を上げること。
3.行政における情報公開
(1)
県財政状況に対する県民の不安を払しょくするため、財政情報や運営情報を開示し、議会
審議や監査の充実、オンブズマンによるチェック等、地方自治体財政の健全性確保に向けた仕
組みを構築すること。
(2)
県政の政策の企画立案に県民や働く者の意見を反映させるため、審議会等に産業界、専門
家、学識経験者等に加え、消費者や労働組合代表を必ず参加させること。特に、県民生活や雇
用労働に重要な影響を及ぼす政策分野の審議会等については、労働者、生活者の意見を重視し、
労働組合代表を含めること。
(公務員制度改革)
4.公正・公平な公務労働の実現
(1) 地方公務員給与費に係る地方交付税を削減することは、地方経済にマイナスの影響を与え
ることや、地方自治の本旨を尊重すべきであることからも、県は、国に対し今後削減を行わな
いよう求めること。
(2) 県の基本理念と諸政策の基本原則を定めた「県自治基本条例」を早急に策定すること。そ
して、この条例に基づき、県の基本政策は、可能な限り条例化すること。基本条例には県民自
治を本物とするため、①住民投票制度による県民の自己決定権の保障、②県民参画の拡充、③
行政の説明責任の明確化と県民との情報の共有、④議会の権限強化、⑤県職員採用や地方参政
権における国籍条項の撤廃、⑥自治立法権の最大保障などを盛り込むこと。
12
(男女平等政策)
5.男女平等参画社会の実現と女性の活躍促進
(1) 第 3 次男女共同プランの着実な実行と達成状況を検証すること。また、平成 27 年度以降の
次期計画策定では、公務分野・民間分野において「2020 年までに指導的地位に女性が占める割
合を 30%にする」目標(2010 年 12 月閣議決定)を明確に掲げ、県内総ぐるみでポジティブ・ア
クションを促進すること。
(2)
「日本再興戦略」において女性の活躍促進が主要課題となったことを踏まえ、県・市町、
関係機関等と連携し、学校や家庭、地域等において、男女共同参画の視点に立った教育・学習
を積極的に実施し、男女共に理解を深め、男女平等の意識を更に浸透させること。
さらには、具体的な数値目標を掲げ、行政・雇用分野における女性の採用・登用の拡大を推
進させ、成果を上げること。
(3)
妊娠・出産や育児などを経ながら、男女がともに就業継続できる環境の整備に向けて、関
係機関と連携し、男女雇用機会均等法、育児・介護休業法などの周知や、企業によるワーク・
ライフ・バランスの取り組みを支援すること。
(教育政策)
6.教育の機会均等の保障
(1) 生活困窮世帯の「貧困の連鎖」を防ぐため、教育予算を拡充し、すべての子どもたちに学
ぶ機会を保障すること。また、保護者の就労や経済状況などによって異なることのない保育・
教育環境を確保すること。
(2) 就学援助金制度を維持・拡充し、要保護者への援助基準を明確化すること。また、給付型
奨学金を新設することにより公的奨学金制度を充実させること。
(3) いじめ・体罰問題の解消に向けて、養護教諭の複数配置を引き続き推進し、加配について
も国に要望すること。また、スクールカウンセラーは、不登校や保健室登校の児童生徒が多い
など、学校の状況等により常勤配置にも努めること。
7.社会教育・労働教育の推進
(1) 教育委員会は、労働組合、企業、NPOなど、各種団体と連携し、幼児期から高等教育段
階までのすべての教育課程で「働くことの意義」、
「労働の尊厳」を深く理解し行動するための
労働教育を行い、勤労観・職業観を養うこと。
(2)
すべての子どもたちが、学校教育において社会保障や税、労働法やワークルール教育など、
働くことに関する知識や職場体験などにより働くことを学ぶ機会を拡充すること。
13
8.子育て・教育の推進
子育てにおける大人の責任と役割の指針である「とちぎの子ども育成憲章」の普及推進とと
もに、子ども(児童)の権利条約を地域社会に根付かせていくため、子どもの権利を明確にし
た「子どもの権利条例(仮称)
」を制定すること。あわせて、子どもオンブズパーソン制度を
創設すること。
9.教育の質的向上の推進
(1) 教職員に対する研修において、本人の希望や適性に応じて目標を持ったキャリア形成が図
られるよう、システム整備に努めること。
(2) 教職員の多忙感を改善し、子どもと向き合う時間を確保するため、
「栃木の新少人数学級推
進事業」と複数担任制を積極的に推進し、成果を上げること。
10.スポーツ・文化芸術の振興
(1)
生涯学習(リカレント教育)に関して、市町と連携した地域活動育成の環境整備を促進す
るとともに、就労状態にある者が参加できる環境整備を図るため、企業などへの助成など推進
事業を展開すること。
(2)
2020 年の東京オリンピックに向けたキャンプ地誘致や、2022 年の第 77 回国民体育大会の
本県開催に向けた施設整備については、将来にわたって自治体の負担とならないような計画の
下で取り組み、地域における生涯スポーツ振興の拠点とすること。
Ⅶ.公正なグローバル社会の実現
(国際政策)
1.国際化・多文化共生の教育推進
英語その他の外国語教育の充実とともに、留学生および在日外国児童・生徒などとの
交流を充実させ、諸外国の文化などを認識しあい共生できるよう、話し合いや交流の場
を設定すること。また、近隣諸国との相互理解を進めるため、対立する意見も含め、現
代・近代史にも時間をかけた歴史教育を進めること。
14
2014~2015年度政策・制度要求内訳
※表中の 2013 は 2013 年度を表し、比較として 2013 年度項目も記載。
大項目(Ⅰ~Ⅶ)
重点課題項目番号
及び中・小項目数
中
項
目
小
項
目
細
項
目
1.[ゴシック項目]
リード文、(1)
①
合
計
2013
2014
2013
2014
2013
2014
2013
2014
13-14
14-15
13-14
14-15
13-14
14-15
13-14
14-15
Ⅰ.持続可能で健全な経済の発展
◎経済政策
【重点 1】①
1
1
1
1
◎税財政改革
【重点 2】①
1
1
1
1
◎産業政策
【重点 3・4】②
2
2
5
5
1
◎資源・エネルギー政策
【重点 5】②
1
1
2
2
2
2
5
5
6
6
8
6
4
5
17
12
18
13
13
5
6
4
Ⅱ.雇用の安定と公正労働条件の確保
◎雇用・労働政策
【重点 6、7、8、9】⑤
Ⅲ.安心できる社会保障制度の確立
◎福祉・社会保障政策
【重点 10、11、12】⑦
Ⅳ.社会インフラの整備・促進
◎県土・住宅政策
【重点 13、14】②
4
3
12
5
◎交通政策
【重点 15、16】④
2
2
4
4
◎情報通信政策
【重点 17、18】②
2
2
5
3
5
3
6
5
13
9
2
Ⅴ.くらしの安心・安全の構築
◎環境政策
【重点 19、20、21】③
2
4
6
5
◎食料・農林水産政策
【重点 22、23、24、25】⑧
4
4
11
9
1
1
2
3
2
3
2
1
2
2
2
◎消費者政策
2
Ⅵ.民主主義の基盤強化と県民の権利保障
◎政治改革
◎行政改革
【重点 26】①
2
2
6
3
7
3
◎公務員制度改革
【重点 27】②
1
1
2
2
2
2
◎男女平等政策
【重点 28】②
◎教育政策
【重点 29、30、31、32】⑦
1
3
5
5
12
10
1
1
2
1
40
42
82
70
3
2
16
10
2
1
109
74
Ⅶ.公正なグローバル社会の実現
◎国際政策
【重点課題:計 32】
15
6