政投銀リポート「地域を挙げたホスピタリティ向上戦略」

第2418号
週
第3種郵便物認可
観
刊
光
経
済
新
聞
日本政策投資銀行は、国内観光地の活性化策を探る地域リポート「地域を
務負担にあえぎ市場の変化に柔軟に対応できないところが多い」と現状を分
挙げたホスピタリティ向上戦略」をまとめた。
2
0
0
5年から0
6年にかけてアン
析。こうした状況から「新たな国内観光需要を掘り起こすことは容易ではな
ケート調査を実施したほか、ヒヤリング調査も行った。調査対象と回答数は、
い」として、リピーターの維持、増加への取り組みが重要と指摘。調査結果
宿泊施設が国際観光旅館連盟の会員旅館を中心に4
5
4軒、宿泊客は5
3軒に宿
から、宿泊施設、観光地のリピーターを維持、増加させるには、
泊した1
1
5
9人、
そのほか観光地に属する自治体4
5団体、観光協会・温泉組合6
3
だわり
団体となっている。
ング
政投銀では、「観光地はグローバル化の波にさらされ、宿泊施設は過剰債
不満
4%
とても不満
0%
40.0%
満足
42%
20.0%
40.0%
15.0%
30.0%
5.1%
5.3%
5.0%
料
理
80%
4.7%
5.6%
44.4%
27.4%
34.0%
5.8%
5.8%
5.5%
8.9%
32.2%
33.0%
5.0%
12.8%
35.5%
60%
40%
33.3%
32.9%
30.0%
28.7%
29.2%
27.4%
20%
22.2%
0%
10代
施設
25.3%
29.5%
20代
料理
30代
接客態度
27.5%
23.4%
40代
料金
19.3%
50代
その他
60代以上
接
客
態
度
料
金
そ
の
他
ターは2
7%となっている。
図表7は、
29.1%
顧客アンケートから、訪問回数別に
2回以上
27%
顧客の宿泊目的の割合を示し た も
11.7%
8.8% 6.6%
10.0%
初めて
71%
の。2回目以上になると、「温泉」
温
泉
不
明
施
設
・
部
屋
エ
ス
テ
食
事
お
も
て
な
し
イ
ベ
ン
ト
等
癒
し
そ
の
他
「周辺観光」
が減少する一方で、
「当
該宿泊施設に泊まる」が増加する。
リピーターは宿泊施設そのものを目
図表5 満足度別再訪希望度
100%
3.6%
0.3%
17.8%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
不明
2%
顧客の割合を示したもので、リピー
38.6%
0.0%
施
設
図表4 年代別の満足した理由
4.7%
6.0%
44.6%
20.0%
7.7%
図表6 リピーターの全体に占める割合
以上宿泊したことがあると回答した
50.0%
10.0%
100%
図表6は、顧客アンケートで2回
60.0%
24.4%
0.0%
リピーターは
「宿泊」
が目的
70.9%
30.0%
25.0%
光地づくりに取り組む必要があると提言している。
70.0%
30.6%
とても満足
36%
"顧客や環境への配慮#しっかりした人材育成$効果的なマーケティ
の4点について、地域を挙げたホスピタリティの向上、魅力ある観
77.7%
80.0%
34.6%
35.0%
普通
12%
!食へのこ
図表3 宿泊施設の「売り」
90.0%
図表2 顧客が満足した理由
不明
6%
的に再訪していることが分かる。
1.2%
54.5%
59.3%
図表7 訪問回数別の旅行目的
7.3%
96.1%
4.5%
100.0%
81.0%
6.2%
0.2%
2回目以上
25.0%
3.0%
6.0%
1.3%
8.4%
34.5%
35.6%
33.5%
20.5%
とても満足
満足
再訪したい
普通
再訪しない
不満
とても不満
わからない
10.0%
2.1%
「接客態度」
が最大の評価基準
0.4%
0.9%
初めて
図表2は、顧客アンケートから宿泊施設に「とても満足」「満足」と回答した顧客の満足要因について整理した。
7.0%
0.9%
16.1%
40.0%
一方の図表3は、宿泊施設アンケートで宿泊施設が自分たちの「売り」と回答した項目をまとめたもの。比較してみ
22.6%
ると、「おもてなし」を「接客態度」に近いものと考えた場合、宿泊施設側の「売り」と異なり、顧客は「接客態度、
0.0%
おもてなし」に最大の評価ポイントを置いていることが分かる。
の満足度を高めることが大切であり、顧客満足度を高めれば、再訪してもらえる可能性は高くなる。
① 人と環境にやさしいおもてなし
図表9 22施設と全宿泊施設の平均実施率
好況施設ほど
ホスピタリティが充実
アンケート調査では、リピーター率や営業実績に優れる旅
館・ホテルほど、顧客満足度を高めるためのサービスが充実
していることが裏付けられた。回答施設4
5
4軒のうち、リピ
生ゴミの処理にあたっては
リサイクル設備を導入
ーター率3
0%以上、総消費単価2万円以上、定員稼働率5
0%
環境方針、環境計画等を
打ち出している
以上という高い基準を同時に満たす「特筆すべき施設」は2
2
ISO14001を取得している
軒。この2
2軒と全体の平均値を各種サービスの実施率などで
比較。顧客が宿泊施設を評価する上で重視する「人と環境に
コンセプトフロアを
設けている
やさしいおもてなし」「食事によるおもてなし」などの分野
禁煙フロアを設けている
で比較すると、2
2軒の実施率は全体の平均値を大きく上回る
バリアフリーの全館導入
結果になった。
0.0%
51∼70%
4.4%
30.0%
5.2%
29.1%
20.0%
4.5%
2.8%
63.6%
49.8%
54.5%
社内で研修を定期的に
行っている
(接客係のみ)
30.0%
40.0%
50.0%
34.8%
60.0%
0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%
全回答者ベース
86.4%
73.3%
68.2%
3年以内の
データ更新
61.7%
29.9%
63.6%
54.5%
お客様アンケート
等より作成
58.6%
34.2%
59.1%
20%台
7.0%
泊食分離を実施している
57.9%
3万円台
7.5%
地産品使用割合が5割以上
30%台
26.2%
50%台
18.1%
40%台
29.5%
86.4%
お客様のデータを
蓄積分析
63.6%
60%以上
13.2%
43.6%
61.2%
36.4%
有機農法の食材を使用した
メニューがある
0%
13.3%
20%
特筆すべき宿泊施設
0%
全回答者ベース
④ おもてなしのための顧客分析
図表12 22施設と全宿泊施設の平均実施率
定員稼働率
1万円台
58.4%
9.1%
5.4%
接客研修結果を
チェックしている
41.2%
朝食・夕食の時間帯に
柔軟性を持たせている
2万円台
22.5%
90.9%
74.7%
22.7%
15.1%
顧客情報活用(チェック
イン時の負担軽減等)
40.6%
不明
2.9%
50.0%
43.7%
54.5%
51.0%
プレゼント
(リピーター確保策)
18.2%
13.7%
13.6%
和食・洋食両方を揃えている
無回答
3.1%
81.8%
75.4%
客室等にちょっとした
心遣い(リピーター確保策)
45.5%
顧客の好み(量・
好き嫌い)に対応
10∼30%未満
52.0%
4万円台 5万円台 無回答 1万円未満
9.3%
1.1%
0.7%
0.7%
95.5%
93.8%
複数サイズの浴衣を
部屋に用意
4.5%
2.7%
② 食事によるおもてなし
図表10 22施設と全宿泊施設の平均実施率
31∼50%
20.5%
総消費単価
40.9%
31.3%
特筆すべき宿泊施設
10%未満
21.1%
40.0%
その他
81.8%
アーリーチェックイン
の対応
27.3%
9.8%
特筆すべき宿泊施設
35.0%
57.7%
レイトチェックアウト
の対応
8.9%
リピーター率
無回答
1.5%
30.0%
部屋に備え付けの
アンケートでクレーム等収集
22.7%
17.4%
18.2%
10.0%
25.0%
クレーム等に対し
すぐに対応する
54.5%
改修年代が2000年以降
《図表8 特筆すべき宿泊施設の抽出基準を示す宿泊施設の状況》
20.0%
周辺観光
スポーツ
ビジネス
クレーム処理進捗状況を
顧客に報告する
45.9%
アメニティ、館内で利用する
洗剤等に無害な商品を購入
15.0%
温泉
グルメ
海水浴
代理店利用率が低い
(50%以下)
13.3%
18.2%
12.8%
環境対策のための
研修・教育を定期的に実施
省資源・省エネルギー
の実施
10.0%
③ 人によるおもてなし
図表11 22施設と全宿泊施設の平均実施率
36.4%
有機農法の食材を使用した
メニューがある
5.0%
当該宿泊施設に泊まる
祭・イベント
テーマパーク
図表5は、顧客アンケートから、宿泊施設への満足度と再訪意欲の関係を示したもの。再訪意欲の向上には、顧客
70%以上
0.4%
(6)
リピーターの維持・増加による活性化を提言
政 投 銀
リポート
図表1 宿泊施設への満足度
2007年(平成19年)
4月28日(土曜日)
10%
20%
特筆すべき宿泊施設
30%
40%
50%
60%
全回答者ベース
70%
80%
90% 100%
40%
60%
全回答者ベース
80%
100%
調
査
デ
ー
タ