共感する(sympathy)

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傾聴の要素である 共感・sympathy
聖書の語義から
について
傾聴の要素である 共感 について,sympathyとお聞きした
.聖書における sympathy の意味から 共感 を考える.
英語の*sym・pa・thyの語彙は,
-[名] 1 a [U] 同情, 思いやり, あわれみ 〔for, with〕
《★[類語] ⇒pity》 b [複数形で] 同情心
2 a [U] 弔慰(ちようい), 弔問, 悔やみ b [複数形で] 悔
やみ状
3 a [U] 同感, 共鳴, 賛成 〔with, for〕 b [複数形で]
共感[共鳴]の気持ち, 共鳴点
4 [U] 〔生理〕 交感, 共感.
5 [U] 〔理〕 共振, 共鳴.
《★[類語]について,
pity
から.
pity は自分より劣っていたり弱い立場にある人に対する哀
れみの気持ちを表わすことが多い;
sympathy は相手の悲しみ・苦しみを理解し共に悲しんだり
苦しんだりする気持ちを表わす;
compassion は通例積極的に相手を助けようとする気持ちを
含む》
聖書に於ける
Sympathy
英語の Sympathy の語源は,ギリシャ語の η συμπαθ
εια (he sumpatheia )である.
συν(μ) (sum) + παθες (pathes) の合成をした語の
女性名詞の形です.
συν(μ) = (基本的意味)同伴,交わり,包含.
συν+ins.は,漸次μετα+gen.で表されるようになっ
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ていったので,新約聖書(NT)中の用例は,比較的に少ない.
①∼と共に,と一緒に,一緒になって,同行して,と交わっ
て,付き添って,と同じ立場(思想・信仰・党派・主義など
)で,∼と同類で,の一味で,に侍して,共にいて力になっ
て,など,殆ど例外なく人と共にの場合に用いて,密接な交
わり,または共働を表す.
類語の視点からの特徴は,同行,同伴,共働,助力のほか,
特に立場や主義・信仰の同一,共通を表す.∼と共通の基盤
に立って,∼と一つ(一体)になって,等.複合語として多
く用いられるが,単独の前置詞としては,使用頻度が低い.
παθες =(なんらかの事象により心の中に起こってくる
)受動的感情、どうしても心の中に起こってくる情、情愛;
情熱、情熱的衝動。
Heb 4:15
οὐ γὰ ρ ・χομεν ἀ ρχιερέ α μὴ
δυνά μενον συμπαθῆ σαι (sumpathe^sa
i) ταῖ ς ἀ σθενεί αις ἡ μῶ ν, πεπε
ιρασμέ νον δὲ κατὰ πά ντα καθ
・ ὁ μοιό τητα χωρὶ ς ἁ μαρτί ας.
Heb 4:15
For we have not an high priest which cannot be touch
ed with the feeling of (συμπαθέ ω sumpatheo )
our infirmities; but was in all points tempted like as
we are, yet without sin.
ヘブル 4:15
私たちの大祭司は,私たちの弱さに同情 (συμπαθῆ
σαι、sumpathe-sai) できない方ではありません.罪は犯
されませんでしたが,すべての点で,私たちと同じように,
試みに会われたのです.
συμπαθέ ω
sumpatheō
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Thayer Definition:
1) to be affected with the same feeling as another, to
sympathise with
2) to feel for, have compassion on
Part of Speech: verb
1Pe 3:8
Τὸ δὲ τέ λος, πά ντες ὁ μό φρον
ες, συμπαθεῖ ς (sumpathē s), φιλά δελ
φοι, ε・σπλαγχνοι, φιλό φρονες,
1Pe 3:8(KJV)
Finally, be ye all of one mind, having compassion on
e of another, love as brethren (συμπαθή ς, sump
athē s), be pitiful, be courteous:
ペテロ第一 3:8
最後に申します.あなたがたはみな,心を一つにし,同情し
合い(compassing),兄弟愛を示し(συμπαθή ς、 sump
athē s ),あわれみ深く,謙遜でありなさい.
συμπαθή ς
sumpathē s
Thayer Definition:
1) suffering or feeling the like with another, sympath
etic
Part of Speech: adjective
※以上,英単語の Sympathy の語源のギリシャ語 συμπ
αθέ ω、sumpatheō と συμπαθή ς、sumpathē s
について、加筆しました。
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英訳聖書に於いて,sympathy が訳語として用いられている
例
私の所有する英訳聖書では,YLT_bible と Murdock_bible
に見られた。
2Pe_1:7 (By Murdock_bible)
and to the fear of God, sympathy with the brotherhood;
and to sympathy with the brotherhood, love.
2Pe 1:7
εν δε τη ευσεβεια την φιλαδελ
φιαν εν δε τη φιλαδελφια την α
γαπην
ペテロ第二 1:7
敬虔には兄弟愛を,兄弟愛には愛を加えなさい.
※Sympathy を,聖書のみ言葉に関連付けて考える場合,φ
ιλαδελφιαν(兄弟愛)の範疇で考えるのが良いの
ではないかと思う.そして,Syimpathy を営む上で、αγα
πη (愛,イェス・キリストの愛の模範に倣う愛) の要素も
必要と思います。
φιλαδελφί α
philadelphia
Thayer Definition:
1) love of brothers or sisters, brotherly love
2) in the NT the love which Christians cherish for eac
h other as brethren
Part of Speech: noun feminine
compassion
◇com・pas・sion
-[名] [U] (切実な)同情(心), 哀れみ、deep sympathy. 《
★[類語] ⇒pity》〔on, upon, for〕
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※この言葉は、英訳聖書で数多く用いられている。
φιλαδελφια について
NTでは,次の三か所の聖句に見られます.
Rom_12:10
τη φιλαδελφια εις αλληλους
φιλοστοργοι τη τιμη αλληλου
ς προηγουμενοι
<ローマ 12:9 - 12>
9 愛には偽りがあってはなりません.悪を憎み,善に親し
みなさい.
10 兄弟愛をもって心から互いに愛し合い,尊敬をもって互
いに人を自分よりまさっていると思いなさい.
11 勤勉で怠らず,霊に燃え,主に仕えなさい.
12 望みを抱いて喜び,患難に耐え,絶えず祈りに励みなさ
い.
Heb_13:1
η φιλαδελφια
μενετω
<ヘブル 13:1 - 3>
1 兄弟愛をいつも持っていなさい.
2 旅人をもてなすことを忘れてはいけません.こうして,
ある人々は御使いたちを,それとは知らずにもてなしました
.
3 牢につながれている人々を,自分も牢にいる気持ちで思
いやり,また,自分も肉体を持っているのですから,苦しめ
られている人々を思いやりなさい.
2Pe_1:7
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εν δε τη ευσεβεια την φιλα
δελφιαν εν δε τη φιλαδελφια
την αγαπην
<ペテロ第二 1:5 - 8>
5 こういうわけですから,あなたがたは,あらゆる努力を
して,信仰には徳を,徳には知識を,
6 知識には自制を,自制には忍耐を,忍耐には敬虔を,
7 敬虔には兄弟愛を,兄弟愛には愛を加えなさい.
8 これらがあなたがたに備わり,ますます豊かになるなら
,あなたがたは,私たちの主イエス・キリストを知る点で,
役に立たない者とか,実を結ばない者になることはありませ
ん.
φιλαδελφια
名詞では,好意を持つ人,友好的な人,人情に厚い人,友,
友人,味方,仲間.
φιλos+αδελφos
φιλos>φιλω:人情や友情,あるいは近くにいて常に
交わりを持つ者の間に生じる自然の親近感や親愛の情をあら
わす動詞.自然発生的,人間的愛情であり,理性的というよ
りは感情的で,友愛・親近の自然の情を表わす.
αδελφos:<α(共通の)+δελφs(胎):同じ胎
の者
①兄弟,自分と同じ親を持つ者,兄または弟.②(ユダヤ教
にて)信仰を同じくする人,同国人,隣人.③(福音に於い
て)霊的兄弟,信仰を同じくする人,仲間のクリスチャン(
自分と同じくクリスチャンである人)④自分の夫を指して言
う習慣もあった.
以上から、 共感 は,兄弟愛の範疇にあり,共通性を踏ま
えた関係と思われる.
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また,交わりの中で自然の親近感が養われるとともに,共通
性も生起し,それに伴い,共感も生起すると思われます.
また,Syimpathy を営む上で、αγαπη (愛,イェス・キ
リストの愛の模範に倣う愛) の要素が必要であると思います
。即ち,友,兄弟,隣人となり,そうであり続けることなど
です.
(参考,イェス・キリストと人との関係)
<マタイ 12:48 - 50>
48 しかし,イエスはそう言っている人に答えて言われた.
「わたしの母とはだれですか.また,わたしの兄弟たちとは
だれですか.」
49 それから,イエスは手を弟子たちのほうに差し伸べて言
われた.「見なさい.わたしの母,わたしの兄弟たちです.
50 天におられるわたしの父のみこころを行なう者はだれで
も,わたしの兄弟,姉妹,また母なのです