付属文書 7 - 強制捜査の対応に関する指針 1 はじめに 2

付属文書 7 - 強制捜査の対応に関する指針
1 はじめに
本指針は、フリントグループ、その子会社またはフリントグループの経営管理下にある関連会社(以下、「フリントグル
ープ」または「当社」)が、独占禁止法の執行機関による「強制捜査」の対象となる事象において従う手順を確立する
ものである。EUおよび米国の独占禁止法の執行機関(当局)は、会社の事業所、ならびに捜査対象の会社の従
業員の自宅で立入り検査を実施する権力を有する。範囲の広さとそのような強制捜索による混乱を鑑み、当社は、
対応できるよう備え、秩序のある手順を整えなければならない。
2 捜査権力の範囲
「dawn raid」(暁の急襲(強制捜査))が何を示唆するのかはともかくとして、捜査は一般に、通常の営業時間
に実施される。そのような捜査は、何人もの当局者によって執り行われ、警察関係者が同行することがよくある。通常
は、1-2日程度の期間に及ぶが、その権力には、事務所に立ち入り、書類を検査し、管理者に質疑する権利が含ま
れる。
当局は、次のことができる。
- その会社が所有または運営している全ての事務所、敷地、交通手段に立ち入る
- 帳簿やその他の記録がそこに保管されているという合理的な理由がある場合に、その会社の従業員の全ての事
務所、敷地、交通手段(自宅を含む)に立ち入る
- 帳簿およびその他の業務記録を審査する(保管されている媒体に関わらず)
- 帳簿および業務記録から一部をコピーする
- 捜査の内容に関係する事情または書類についてその場で口頭説明を求める
- 事業所および帳簿/記録を封印する
立入り検査後、当局者は、質問書への回答を求めることがある。従業員は、法務部からの助言を求めることなく、当
局者から受け取ったどのような書類にも回答してはならない。
3 罰金
競争法違反の罰金に加えて、捜査を拒絶または妨害したり、不十分な資料を提供したり、誤りのある/紛らわしい回
答をしたり、捜査現場を改ざんしたり(立ち入り禁止室や秘密文書の封印を破る)すると、それに対する巨額の罰
金が科される。そのため、当社は常に、捜査への協力に努めなければならない。協力することによって、違法行為に科
される巨額の罰金が大幅に減額されることがある。
4 プロセス
執行機関関係者(当局者)は一般に、何の前触れもなく、朝一で現場入りする。現場入りする当局者の人数は
、捜査の規模に応じて異なる。当局者は、当社の複数の事業所に同時に現れる場合もある。当局者は、その身分
を名乗り、通常は当社の取締役または役員に面会を求める 。
5 代表者1名の選定と法務部への連絡
このような事態は、絶対的な優先事項として対処し、他のあらゆる業務の何よりも優先する必要がある。法務部には
早急に連絡する必要がある。また、当社を代表して対応する代表者を1名任命しなければならない。代表者は、そ
の場所の最上級役員から選出することが望ましい。可能な場合、代表者は、捜査の対象範囲に関与していない者
にする。
6 捜査令状
捜査当局者から提示される(強制捜索を許可する)捜査令状は、慎重に精査すべきである。捜査令状に記載さ
れている内容と当局者の身分を確認する。強制捜査の目的と、当局者によって提示された令状の矛盾の可能性と
について、当社の法務部に早急に連絡する。
7 捜査中の従業員の対応
7.1 機密性 - 従業員は、丁重かつ落ち着いて当局者に対応する必要があり、当社の外で誰かと、たとえ当社内の
従業員であっても、捜査について話をしてはならない。
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7.2 関係者への連絡 - 従業員は、書類や記録が一切保管されていない受付に捜査員を招き入れ、待機させる。
当局者には、急を要する事態であることを従業員が認識していること、また当社は協力する意思があることを伝える。
当局者が指名した人物、または上級役員のどちらかに連絡を取っている最中であることも告げる。従業員は、次に示
す人物に、次に示す順序で、電話にて連絡を取り始める。
- 当局者が指名した個人。その後すぐに、
- 以下に示されている順番で、最初に連絡が取れる人物
当社はまた、捜査員が、当社のコンピューターネットワーク、パソコン、電子メール、およびハードウェア(ハードディスク、
CD-ROM、DVD、USBドライブなど)に円滑にアクセスできるよう支援する適切な従業員を提供する義務がある。
7.3 法律顧問の到着待機 - 当社は法律顧問の立ち合いを求める権利を有するが、当局者はこれを捜査を遅延
させる目的では許容しない。当局者は通常、法律顧問の到着を30~45分ほど待つが、当社が業務記録に触れた
り、改ざんしたりということを一切しないという確証を求める(当社はそれに従う)。場合によっては、従業員は、法律
顧問の立ち合い、または電話を通じた立ち合いなしに(少なくとも、捜査の最初の段階)、捜査に対処しなければ
ならないことがある。
7.4 協力の義務 - 当社には、捜査に積極的に協力する義務がある。当局者が、捜査の開始に踏み切る場合、従
業員は、たとえ社外法律顧問が到着していなくても、それを妨害してはならない。当社は、書類、各室、ファイリングキ
ャビネット、および/またはITシステムへのアクセスを当局者に提供することにより、捜査を容易にする必要がある。
7.5 その他の従業員 - 捜査に対処する必要のない従業員は、捜査が行われる現場から離れる。場合によっては、
その日は帰宅させることが望ましい。従業員は、当局者から質問された場合には、その質問を、前述されている当社
の指定代表者に回す必要がある。
7.6 捜査員の見張り役 - 資料を審査している各捜査員または複数の捜査員を「見張る」者を一名任命する。その
ような捜査員を見張ることは、緊張感の要るプロセスである。理想的には、常に当社の法律顧問が行うことが望まし
い。(捜査の最初の段階に)法律顧問が立ち会えない場合は、最上級の役員で信頼の高い者が十分にそれを補
い、当局者を適切に見張るよう徹底する。捜査令状をコピーして、法務チームの各メンバーと、見張り役チームのメン
バーに提供する。
7.7 記録保持 - 当局者の見張り役は、当局者が調べているファイル、関わっている各当局者の名前、当社の外部
法律顧問、重要な事象の時刻、調べられたオフィス、目を通した書類など関係のある情報を慎重に記録する。見張
り役は、当局者がITシステムを調べている際に使用した検索語、ならびに当局者が検査、押収、複写した「機密」の
印がある書類に特に注意する。機密性の高い書類であることを懸念する理由がある場合は、見張り役は、当局者に
そのことを早急に知らせ、その書類の重要度を明示すると同時に、その書類を直ちに(機密性のない)他の書類と
は別にして、その書類の安全を確保するために封筒に入れて密封するよう願い出る。見張り役はまた、早急にそのこと
を法務部と当社の代表者に通知する。
7.8 複写 - 当局者は書類を複写する権利を有するため、当社は当局者が複写機を利用できるようにする。必ず、
当局者用、当社用、外部法律顧問用の3セットを複写する。通常、当局者は、複写したドキュメンテーションの目録
を作成する。それにもかかわらず、従業員は、かかるドキュメンテーションの当社用のリストを保持するものとする。捜査
員に提供した複写物および証拠の目録には、捜査の終わりに、捜査員が署名する必要がある。
7.9 捜査中の口頭質問 - 当局者が行う聴取はすべて、その当局者の見張り役が詳細に記録するか書き控えなけ
ればならない。当局者は、代表者や従業員に対して捜査の内容または目的に関係する事実または書類について説
明を求めることがある。その場合、従業員は、当局者に、応対するために当社から任命された当社の最上級役員に
問い合わせるよう求める必要がある。当局者が、その場にいる別の従業員に質問することを強く要求する場合、その
従業員は当社を代表して話をする許可を受けていないということを当局者に明確に伝える。
当局者からその場で、答え方のわからないことについて質問された従業員は、捜査しているその当局者に、そのことを
説明し、質問されたことについての助言を希望する。場合によっては、従業員が把握していること以外のことに関係す
る質問であったために回答できないこともある。そのような場合には、当該従業員は、答えが分からないということを説
明し、法律顧問が到着するまで待つよう当局者に求める必要がある。
8 強制捜索終了後
8.1 関連情報を他にも見つけた場合は、法律顧問にそれを知らせる(例えば、強制捜査の対象となっている他社
の名称、強制捜査が起きた理由、捜査員は翌日も来る予定かどうかなど)。
8.2 強制捜査後は可能な限り早期に、法務部が「報告」セッションを手配する。このセッションには、強制捜査に関
係した当社のチームメンバー全員が参加することが重要である。特に、以下のことを確認する上で重要になる。
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- 当局者が捜査中に得た情報は何か。
- 予想される捜査対象物の範囲と正体は何か(関与者、関係している製品および市場、関係する地域、特定の
顧客または競合他社との関連の有無)。
- IT システムから書類を見つけるために当局者が使用したキーワード。
- 見張り役が機密だと思った書類は、他の書類とは別に安全のため封筒に入れて密封されたかどうか。そのような書
類を当局者が閲覧または複写したかどうか。
- これから先に予想される手順は何か。
- 当社の立場を守るためにするべき今後の作業(例えば、当社内外の関係者の供述を求める、当局者から容疑
をかけられていることについて潔白を示す可能性のある証拠を照合する、「情状酌量」すなわち免責または減免を
求めることを検討するなど)。
9. これらの指針は、独占禁止法規程を支持するものである。規程に示される通り、当社の従業員には、本指針と
独占禁止法に背いて行動する権利は一切ない。
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