「光創起イノベーション研究拠点棟」が静岡大学浜松キャンパスに竣工

伊東学長からのメッセージ
「光創起イノベーション研究拠点棟」が静岡大学浜松キャンパスに竣工
平成27年2月13日、静岡大学浜松キャンパス構内に竣工した
「光創起イ を実現する光技術と光の波長・位相・強度を自由に操れる技術を確立する
ノベーション研究拠点棟」開所式を約200名の方にご出席いただき盛大に ことにより、病気の予防、早期発見、早期治療で健康な社会(医学のために
催すことができました。この研究拠点棟は、文部科学省が
「地域資源等を
光を操る)、移動することなく社会や他人とかかわれる生活(空間を越えて光
国立大学は、平成16年に法人化されて国立大学法人となり、以来、
活用した産学連携による国際科学イノベーション拠点整備事業」
によって全
を操る)、五感を再生できる社会(時間を越えて光を操る)
を目指しています。
6年を1期として、文部科学大臣が設定する期ごとの中期目標、中期計
国16カ所に整備したうちの1つで、静岡大学・浜松医科大学・光産業創成
そのための研究開発課題として、
画に基づいて教育研究を進めてきています。今年度(平成27年度)
は、
大学院大学・浜松ホトニクス㈱の4者が共同申請し、平成25年3月に採択さ
第2期の最終年度であり、第2期の6年間を総括しつつ、第3期に向けた
れ、先年末に竣工し、最新鋭の研究設備が整備されつつあります。
① 面制御光源による産業・医療分野のパラダイムシフト実現
方針を固めるべき時です。
② 赤外分光計測技術の革新と分子間相互作用の解明
静岡大学は、
これまでも静岡という地に根を張って成長してきました。
③ 革新的時空間像構築技術(イメージング)
の実用化
今後は、
さらに地域との連携を強めていきたいと考えています。静岡大学
④ 光時空間遠隔制御(光リモート)技術の革新
で学ぶということは、静岡で学ぶということです。教職員や学生の皆さんも、
⑤ 疾病早期診断システムの実用化
好む好まざると関係なく静岡県という地と関わりをもつことになります。その
⑥ 遺伝子光制御ツールの構築
関わりを個々の学生の成長にプラスになるように活用できる環境を用意し
⑦ 事業化推進システムを革新するイノベーションの研究
たいと思います。
また静岡大学は国際化に向けて大きく舵を切りました。将来学生の皆
の7テーマを掲げて、静岡大学は、電子工学研究所を中心として時間・空
さんが活躍すべき社会は、
どのような道に進もうと、グローバル化の波を避
テープカットを行う関係者
(向って左から、中村浜松医科大学長、晝間浜松ホトニクス㈱代表取締役社長、
小原JST理事、坂本文科省産業連携・地域支援課長、加藤光産業創成大学院大学長、伊東静岡大学長)
けて通ることはできないでしょう。また、多様な人種、国籍の人間がチーム
浜松は高柳健次郎先生が偉業を成し遂げたテレビジョン発祥の地であ
規イメージングデバイスの研究開発。― 浜松医科大学は、DNA・分子か
として活動する機会も増えてくるでしょう。強い組織となるためには、性別も
り、
その技術を継承した光産業が興り、光科学の研究が続けられ、多くの成
ら細胞、動物やヒトまでのマルチモーダルな光医学分野において豊富な経験
含め、多様性(ダイバーシティ)
をもつことが重要となります。本年度から静
果を挙げています。1926年に浜松の地にテレビジョンが生まれてまもなく100
と実績を有する研究者による疾病早期診断システムに用いるイメージング技
岡県の特性を活かした
「アジアブリッジプログラム」
を本格始動させ、アジ
年になろうとする今このとき、静岡大学・浜松医科大学・光産業創成大学院
術の研究開発。― 光産業創成大学院大学は、起業や事業化に関する
ア諸国からの多くの留学生を迎え入れる予定です。また、日本の学生に
大学・浜松ホトニクス㈱の4者は、多くの問題をかかえる地球そして人類にとっ
実践的研究の豊富な事例や、光技術に関連する様々な業種の地域企業
向けて、海外でのインターンシップを始め、国際化に対応した学びを提供
て
“光”
がもっと役立つはずであり、役立てなければならないという思いから、光
を結集しバリューチェーンを構築する実践的経営学研究。― 浜松ホトニク
します。このプログラムは、地域の企業や自治体からの協力なしには成立
の尖端都市HAMAMATSUの新たな使命として捉えて、
それを実現したい
ス㈱は、光の波面を制御する空間光変調素子の高度集積化のために半
しません。静岡県におけるグローバル化を地域と共に進めます。
と考え、平成25年6月に光技術の研究を協力して推進し浜松を
「光の尖端
導体技術を利用した独自技術の研究開発を実施します。
大学の役割として忘れてはならない機能に、未知未踏の知を極める研
都市HAMAMATSU」
へと変貌させることに合意した
『浜松光宣言2013』 また、4者が共同で提案して平成25年10月に採択された科学技術振興
究機能があります。6学部を擁する総合大学として、幅広い学問領域で、
に調印し、
これを契機として本格的に連携協力できる体制としました。この本
機構が実施する革新的イノベーション創出プログラム
(COI STREAM)
ビ
基礎研究、応用・融合研究に取り組むとともに、静岡大学の強みを結集
研究拠点棟には、光の波長・位相・強度の未踏領域に踏み込むための機
ジョン2「豊かな生活環境の構築」
のCOI-S「時空を超えて光を自由に操り豊
した2つの研究所(電子工学研究所、グリーン科学技術研究所)
を中心
器を整備し、参集する研究者が隔てなく互いに切磋琢磨して、時空を超えて
かな持続的社会を実現する光創起イノベーション研究拠点」
は、提案4者の
に、世界中から注目されるような研究成果をあげて参ります。特に光科学
光を自由に操る革新的研究開発を行って、世界の光の研究者が集まる拠
ほか、ヤマハ発動機㈱、本多電子㈱、パルステック工業㈱、㈱ブルックマン
技術領域では、浜松医科大学、光産業創成大学院大学、浜松ホトニ
点となることを希求しています。
テクノロジ等が参画してプロジェクトを進めます。静岡大学に新設された本
クスと共同で
「光創起イノベーション研究拠点」
を立ち上げ、浜松を世界
現在、少子高齢化を迎えた日本では、都市部において既婚率の低下に
研究拠点棟は、
このCOIプログラムで実施する研究開発のためのサテライト
の研究拠点形成にしようと、力強く動き始めました。
よる独居者の増加、核家族化や単身赴任による大家族の崩壊が既に進ん
拠点のひとつであり中核拠点としての役割を果たしていきます。
静岡大学は、着実な教育研究を推し進め、地域と共に地域の活性
でおり、10年後にはこれに更に拍車がかかることが予想されます。また、地方
化の動輪の一つとしての役割を果たすとともに、地域のグローバル化を推
では都市部への一極集中による過疎化が進み、高齢者の比率が著しく高く
し進め、静岡県という地が国際都市、世界拠点に成長することを目標とし
なると考えられます。このような社会では、移動が容易ではなくなったり、相互
て、第3期に向けて進んでいきたいと思っています。
の見守りが無くなったりするため、病気や事故、犯罪への対応が課題となり、
間分解能、光のダイナミックレンジ、波長域において極限性能を目指した新
家庭内での人と人の関わりや地域社会との関わりの減少から、ギクシャクし
た人間関係が生じ、有意義な楽しい生活を送ることがますます難しくなるかも
平成27年 4月1日
国立大学法人静岡大学長
伊東 幸宏
しれません。
そこで、
この光創起イノベーション研究拠点では、
「いつまでも若く、安心し
て、
有意義な生活を送れる社会」
を実現するために、
時空を超えて光を自由
に操る、
つまり、今は非常識と思われているような空間分解能・時間分解能
完成した光創起イノベーション研修拠点棟(静岡大学浜松キャンパス)
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