71 昭 和56年2月20日 原 著 NO2急 性 暴 露 マ ウ ス に お け る肺 の 感 染 防 御 作 用 に 関 す る研 究 一 主 と して 肺 胞 マ ク ロ フ ァー ジ機 能 の 障 害 と修 復 に つ い て 一 川 崎 医 科 大 学 呼 吸 器 内科(指 導:副 島 林 造 教 授) 二 木 芳 人 (昭 和55年8月28日 受 付) (昭 和55年10月14日 受 理) Key words: Nitrogen Dioxide, Pulmonary Resistance, Klebsiella Pneumoniae Infection, Alveolar Macrophage, Intracellular Killing 要 NO,暴 旨 露 後 は,肺 胞 マ ク ロ フア ー ジ の機 能 的障 害 に よ り,肺 の感 染 防 御 機 能 が 低 下 す る事 は よ く知 られ て い る.今 回私 は,20PPmNO,18時 間暴 露 直 後,お よび 暴 露24時 間 後 のマ ウス を 用 い,そ の感 染 防 御 機 能 の障 害 と修 復 に つ い て の検 討 を行 なつ た. 肺 炎桿 菌(B-54)を 用 い た噴 霧 感 染 実 験 で は,暴 露 直後 群 は 肺 内菌 増 殖 や,肺 炎 の完 成 は速 や か で,生 存 期 間 も短 縮 され るが,暴 露24時 間 後 で は す で に コ ソ トロ ール と同 様 の 状 態 に復 して い た.32P標 い,機 械 的 除 菌 作 用 を 比 較 した が,3群 識S.aureusを 用 間 で有 意 差 は認 め られ な か つ た. 肺 洗 浄 で 得 られ るマ ク ロフ ア ー ジ に つ い て 検 討 した 結果,以 下 の成 績 を 得 た.;(1)採 取 され た 細 胞 は 数, お よび 分 類 で 各群 に差 は な か つ た が,感 染後 の 好 中球 の 出現 は,24時 間 後 群 で最 も著 明で あ つ た.(2)NBT 還 元 試 験 で の殺 菌 能 の 比較 で は,む しろ コ ン トロー ル は,暴 露 後 の2群 に比 して有 意 に 低 値 で あつ た が,ラ テ ッ クス 貧 食 後 の増 加 率 で は,コ ン トロー ル が3.59倍 と著 明 な充 進 を示 し,24時 間後 群 で も2.19倍 で あつ た が, 直 後 群 は1.16倍 で殆 ん ど変 化 を み な か つ た.(3)β-galactosidase,acidphosphataseの ライ ソ ゾー ム酵 素 活 性 は 3群 間 で有 意差 を認 め な か つ た. 以 上 よ り,NO,暴 露 直 後 の 感 染 防御 機 能 の障 害 は,肺 胞 マ ク ロフ ア ー ジ の殺l菌作 用 に お け る,反 応 性 の低 下 に よ る も の で,そ の回 復 は比 較 的 早 い も ので あ る と考 え られ た. I緒 言 比 較 的 高 濃 度 急 性暴 露 後 に認 め られ る肺 の 感 染 防 代表 的 大 気 汚 染 物 質 の1つ で あ るNO2は,そ の急 性 あ る いは 慢 性 暴 露 に よつ て,生 体 に種 々の 影 響 を お よぼす 事 が よ く知 られ て い る.と 別 刷請 求 先:(〒701-01)倉 敷 市 松 島577 川 崎 医科 大 学 内 科 二木 くに, 御 機 構 の障 害,お よ び そ れ に 伴 う生 体 の易 感 染 状 態 に つ い て は,す で に 多 くの 動 物 実 験 成 績 な ど1)2)3)4)か ら も明 らか で,Ozone(03)と 同様に そ の障 害 性 の 特 色 の1つ で もあ る. 芳人 これ らの宿 主 防 御 機 構 の 障 害 は,主 に肺 胞 に存 72 感 染 症学 雑 誌 Fig. 1 NO2 washer exposure C; air 在 す るmononuclear apparatus compressor F1 _4; for filter B1_2; nebulizer,•¨pinto,•¨out phagocytes,す なわち肺胞マ induction & air stream exhoust 1)暴 blower B3 の装 置 を用 い た.シ 害 に よ る も の と考 え ら れ て い る2)3).し kg/cm2のNO,を か し,そ の 詳 細 に つ い て は 必 らず し も 明 確 に は さ れ て い な い.ま た,そ れ ら 易 感 染 状 態 の 持 続 は ,比 較 的 短 い も の と 考 え られ て い る に も か か わ ら ず1) ,そ の ; circulation 露 装 置;Fig.1に ク ロ フ ア ー ジを 中 心 とす る 食 菌 細 胞 の殺 菌 能 の 障 第55巻 blower 示 す,日 第2号 for 本 ク レア製 リンダ ー内 の2,000ppm,120 ,圧 と流 量 の調 節 に よつ て初 期 濃 度 を 規 制 して 回 路 内に 導 き,清 浄 空 気 との混 合 稀 釈 に て 循 環 濃 度 を 制 御 す る方 法 を 用 いた.さ ら に,動 物 暴 露 室 内 の ガス 流 量,お よび 内 圧 の 調 節 障 害 な らび に 回 復 の 様 式 や 機 序 に つ い て 論 じた 報 に よつ て分 時 換 気 量 が設 定 され,暴 露 室 内 のNO, 告 は,あ 濃 度 が 一 定 に保 た れ る よ うに な つ て い る.暴 露後 ま りみ ら れ な い よ うで あ る. 今 回,私 は こ の 点 に 注 目 し,NO、 感 染 防 御 機 能 低 下 マ ウ ス,暴 暴露直後 の 露 後 一定 時 間 を経 過 はNO2除 去 フ ィル タ ー を通 して排 気 した . 2)NO2暴 露 実 験;NO2暴 し て 感 染 に 対 し防 御 機 能 を 回 復 し た 状 態 の マ ウ 露 と し,NO2濃 ス ・ お よ びNO2非 た.暴 露 室 内 のNO2濃 暴 露 マ ウ ス の3群 主 と し て 肺 胞 マ ク ロ フ ァ.ジ について の 機 能 を,in , vitro で い くつ か の 指 標 を も つ て 比 較 す る 事 に よ り NO2急 性 暴 露 後 の感 染 防 御 機 能 の 障害 と ,そ 修 復 に つ い て の 検 討 を 行 な つ た. 皿 ウ ス を 用 い た. NO2暴 露 始 に 先 立 つ て2度,終 度 は,各 実験毎に暴露開 了 時 に も1度 測 定 を し,補 , 正 な らび に 確 認 を 行 な つ た.非 暴 露 の コ ン トロー の ル 群 は,同 時 間 を 清 浄 空 気 で 普 通 飼 育 した マ ウス を 用 い,NO2暴 材 料 な らび に方 法 の 直後 群,お 使 用動物 生 後4∼5週 度20ppm,暴 露 は ,急 性1回 暴 露 時 間 は18時 間 と し 露 群 は,暴 露終 了後1時 間以 内 よび 暴 露 後24時 間 を 清 浄 空 気 で 飼 育 した 後 の暴 露24時 間後 群 の2群 に わ け て 実 験 を 行 齢(体 重22∼25g)の 雄 性ICRマ な つ た. 感 染 実験 1)感 染菌;肺 炎 桿 菌B-54株(長 崎大学熱研 73 昭 和56年2.月20日 Fig. 2 Aerosol 霧 感 染 装 置;(Fig.2)噴 霧 感染 室 は プ ラス チ ッ ク製 の 円 筒 形 で,上 下 に分 割 され た 構 造 とな つ て い る.菌 た,ガ 液 は,最 apparatus 的 除 菌 作 用 の 状 況 を 各 群 の マ ウス で 比 較 検 討 し 内科,松 本 慶 蔵 教 授 よ り分 与)を 用 い た. 2)噴 infection 上 部 外 側 に 取 りつ け ラス製 ジ ェ ッ トネ ブ ラ イザ ー か ら 噴 霧 さ た. Green6),Goldstein7)ら のstaphylococcus の 方 法 に 準 じ,32P標 aureus209P 霧 感 染 を 行 な つ た.感 Jc-1株 識 を用 いた 噴 染 終 了 時 な ら び に 感染 後 れ,中 央 部 分 の 円筒 よ り室 内 に均 等 に拡 散 さ れ る 3,6時 よ うに した.排 気 は 底 部外 側 の 小孔 よ り行 な い, のcountを 0.5%ヒ 着 量 か ら の 減 少 率 を 求 め た.な お,32Pのcount は,肺 ホ モ ジ ィ ネ ー トの0.4mlを 溶 媒(Insta-gel, 3)菌 ビテ ン液 中を3度 通 して 滅 菌 した. 液 作 成 お よび 噴 霧 感 染;肺 炎 桿 菌 は,三 角 コル ベ ン内 のheart infusion broth,200mlに 接 間 で の 肺 内 残 存 生 菌 数 の 算 定,お 行 な つ て,各 Packard)10mlに 群,各 溶 解 し,液 種 し,37℃ で18時 間 の振 盈 培 養 を 行 な つ た.増 菌 ソ カ ウ ン タ ー(Packard,Tri-carb 後 は松 本 ら の 方 法5)に従 い,菌 を 用 い て 測 定 した. を遠 沈 ・洗 浄 後, 体 シ ンチ レー シ ョ Model 吸 光 度 測 定 に て菌 数 を算 定 し,こ れ を適 宜 稀 釈 し 肺 胞 マ ク ロフ ア ー ジ の採 取 法 て 噴霧 菌 液 と した. 肺 胞 マ ク ロ フ ア ー ジ は,経 噴 霧 感 染 は,既 述 の感 染 装 置 を 用 い,7∼15× 107cfu/mlの 菌 液8mlを ネ ブ ライザ ー 内に 入 れ, 採 取 し た.す 約30分 間 か けて 噴 霧 した. マ ウス肺 炎 の観 察 上,21Gエ 下,腋 な わ ち,マ を屠 3385) 気道的肺洗浄 に より ウス を ネ ブタ ー ル麻 酔 窩 動 静 脈 切 断 に て 失 血 死 さ せ,気 管切 開の ラ ス タ ー 針 を 気 管 内 挿 入 固 定 す る. し か る の ち,2.5ml容 マ ウス は 感 染終 了後 た だ ちに 各群3∼5匹 よ び32P 時 間 毎 の初 期 定 筒 を 用 い て,4℃ の デ ィス ポ ーザ ブル 注 射 に 冷 却 し た0.4%ク エ ン酸 ソ ー 殺 して,肺 を取 り出 し ガ ラス ホモ ジ ィナ イザ ーに ダ 添 加 生 食 水 に て 肺 の 洗 浄 を 行 な つ た.1回 て 磨 砕 した 後,定 量 的 稀 釈 培 養 を 行 な つ て マ ウス 入 量 は1.0mlと 肺 当 りの定 着 生 菌 数 を算 定 した.そ つ く り と 時 間 を か け たPumping操 の後 も一 定 時 し,注 間 毎 に マ ウス を 屠殺 し,肉 眼 的 に病 巣形 成 の有 無 返 し て 回 収 した.こ を観 察 した後,同 様 に 肺 内 生菌 数 の 算 定 を して経 4回 行 な い,得 時 的 肺 内生 菌 数 の 変 化 を 検 討 した. 回 転,10分 死 亡 状 況 は,感 染 後 普 通 飼 育 下 で12時 間 毎 に 観 で2度 and 記 録 し比 較 した. medium ア イ ソ トー プ標 識staphylococcus aureusを 用 い て,感 染 後 の肺 に お け る,線 毛 運 動 に よる機 械 の 操 作 を1匹 作 を3回 Island Biological (Grand Island れ ら は,所 Co.)添 で1,200 らに生 食 水 calf serum (Gr- 加 のRPMI-1640 Biological Co.)に 再 浮 定 の 方 法 に よ り総 細 胞 数 を マ ウ ス 当 りで 算 定 し,又 を 作 成,Giemsa氏 繰 り の マ ウ スに つ き ら れ た 肺 洗 浄 液 は,4℃ 間 遠 沈 し て 細 胞 を 集 め,さ 遊 さ せ た.こ 機 械 的 除菌 作用 に つ い て の検 討 入液 は 圧 を 加 え ぬ様 に ゆ 洗 浄 し て か ら,10%fetal 察 し,各 群 の累 計 死 亡 率 な どび に 平 均 生 存 期 間 を の注 一 部 を とつ て塗 沫 標 本 染 色 を施 行 して 細 胞 の分 類 を 74 感 染 症学 雑 誌 行 な つ た. (Sigma)を 染 色 の 程 度 に よ つ て,1(+)か 1)Quantitative に 細 胞 を 分 類 し,細 プ ル は,細 umを reduction 胞 数 が5.0×105/mlと 加 え て 稀 釈 し,そ μmのmilipore 1回 洗 浄 す る.さ NBT還 ,000回 転10分 渣 は1N-HC1で び 吸 光 度 を 測 定 した.な お, め られ た 細 胞 は 肉 眼 的 に 血 液 の 混 入 が 認 め られ な く て も,必 ず 洗 浄 の 前 段 階 で,Tris bufferに ら よる赤 血 球 除 去 操 作 を 行 な う よ う に した. NBT ら8)の 方 法 に 準 じて,in reduction test; vitroで れ に よ るNBT還 よ つ てP-valueを III成 1)肺 求 め Chretien 績 炎 桿 菌 感 染 マ ウ ス に お け る,肺 推 移 な ら び に 死 亡 率 に お よ ぼ すNO、 感 染 に 用 い た 肺 炎 桿 菌B-54株 す るvirulenceが 極 め て 高 く,健 し,3∼7日 内菌 数 の 暴露 の影響 は,マ ウス に対 常 マ ウス に お い て も感 染 菌 量 が 多 け れ ば,100%に 肺炎 を形 成 以 内 に 死 亡 せ し め る 事 が 出 来 る. 20ppmNO2で18時 間 暴 露 直 後 の マ ウ ス に ,本 菌 を 感 染 さ せ た 場 合 の 死 亡 状 況 をFig.3に 示 し 培養下 のマ クロ フ ア ー ジ に ラ テ ッ ク ス 粒 子(0.81μ,Difco)を 食 さ せ,そ 均 値 ± 標 準 偏 差 値(Mean±SD) で 示 し,studentttestに た. 間 煮 沸 し,再 元 能 の 測 定 に 際 し て は ,集 2)Stim-ulated 統計処理 各 測 定 値 は,平 転10分 間 遠 沈 を 行 な つ て そ の 上 清 を と り, 吸 光 度 計 に て560nmの 上 を もつ て 活 性 型 細 の細 胞 を分 類 し て活 性 型 マ ク ロフ らに 遠 沈 の 後 得 られ た 沈 渣 は, ピ リ ジ ンを 加 え て20分 で ア ー ジ の 比 率 を 求 め た. で 振 盪 培 養 を 行 な つ た 後,1Nの 間 の 遠 沈 を 行 な い 上 清 を 捨 て,沈 ら4(+)ま 胞 質 全 体 が 淡 く染 色 さ れ て い な わ ち2(+)以 胞 と し,300個 液 の 同量 と 混 和 す る. 加 え て 反 応 を 停 止 さ せ る.2 2,000回 る も の,す と つ て,0.45 filterを 通 し た0.3%nitroblue 30分 間,37℃ 2.5mlの サ ン な る 様 にmedi- の0.5mlを tetrazolium(Sigma)溶 HCIを test;各 第2号 基 質 と し て 組 織 化 学 的 に 染 色 し た9)1。. 肺 胞 マ ク ロフ ア ー ジ の殺 菌 能 に つ いて の検 討 NBT 第55巻 負 元能の変化を対照 と Fig. 3 Mortality rate of mice in experimental klebsiella pneumonia (Total mortality within a week; NO2 100%, control 91.3%) 比 較 し た. 細 胞 浮 遊 液 は 細 胞 数 調 整 の 上,そ を2本 の 試 験 管 に と り,1本 加 し,他 た.ラ の0.5mlつ つ に は ラテ ック スを 添 方 は 同量 の 生 食 水 の み を 加 え て 対照 と し テ ッ ク ス は 粒 子 数 を 確 認 の 上,生 稀 釈 し て,添 40楊:1,の3段 食水にて 加 濃 度 は 対 細 胞 数4:1,40:1, 階 で 行 な つ た.添 加 後 は,30分 間37℃ で 振 盪 培 養 を 行 な つ て 粒 子 を 貧 食 さ せ,し か る の ち 細 胞 を 分 離 し て 定 量 的 にNBT還 測 定 し た.同 元能 を 時 に 対 照 群 の 還 元 能 も測 定 し,両 者 の 値 よ り刺 激 後 の 個 々 の 増 加 率 を 求 め て 比 較 し た. 3)肺 胞 マ ク ロ フ ア ー ジ の 酵 素 活 性 の 測 定;β- galactosidase及 びAcid上phosphataseの2つ の ラ イ ソ ゾ ー ム酵 素 活 性 を 測 定 し た. 細 胞 浮 遊 液 の 一 部 を と つ て 塗 沫 標 本 を 作 成 し, 前 者 は,5-Bromo-4-chrolo-3-Indolyl-β-D-galactoside(Sigma) ,後 者 はNaphthol AS-BI phosphate Fig. 4 Viable klebsiella bacteria p. infection counts of mouse lung after 75 昭 和56年2月20日 た.3回 の 感 染 実 験 の 累 計 成 績 で あ り,や 菌 量 を 減1じ た た め,コ で91.3%の ン ト ロ ー ル 群 は1週 死 亡 率 で あ つ た が,NO2暴 亡 開 始 の 時 期 も 早 く,全 た.Fig.4は,感 例 が4日 露 群 は,感 は15∼35%程 以 内に 肺 炎 死 し 均 値 で み る と 約20% 間 あ つ た. 染 直後 の 肺 内定 着 菌 数 度 コ ン ト ロ ー ル 群 よ り少 な い の で あ 染3時 間 後 の肺 内生 菌 数 はむ しろわ ず か な が ら増 加 傾 向 を 示 し,6時 間 以 後,急 速 に増 殖 間 後 の 菌 数 は 平 均5.47×107cfu/lungと ン ト ロ ー ル 群 の100倍 さ らにNO2暴 群 に つ い て,同 Fig. 5 間以内 間 以 後 徐 々 に 増 殖 傾 向 を 示 し,24時 他 方,NO2暴 Fig.5,6に each group) 露群 は 死 後 の 菌 数 は 平 均4.32×105cfu/lungで し,24時 Viable count of lung (n=5, ン ト ロ ー ル 群 は 当 初 の3 時 間 で や や 菌 数 を 減 じ(平 る が,感 Fig. 6 染 後24時 間 ま で の 肺 内 生 菌 数 の 推 移 を 示 し て い る が,コ 減),6時 や 感染 コ 以 上 で あ つ た. 露24時 露 後24時 間 を 経 過 し た マ ウ ス で は, 平 均 生 存 期 間 は90.5時 間 とむ しろ コ ン トロ ール群 の78.8時 間 を 上 ま わ つ て お り,又Fig.6に 如 く,感 な わ ち,Fig.5に 示す如 Mortality rate of mice (n=10, each group 示 す 染 後 の 肺 内 生 菌 数 推 移 も コ ン トロ ー ル 群 と ほ ぼ 同 様 で あ つ た. 以 上 の 成 績 か ら,NO2急 間 後 の マ ウ ス を 加 え た3 様 の感 染 実 験 を 行 な つ た 成 績 を 示 し た.す く,NO2暴 は,コ 性 暴露 直 後 の マ ウス ン トロー ル群 に 比 して経 気 道 的 肺 炎 桿 菌 感 染 に 対 し,と くに 初 期 感 染 防 御 機 能 に 障 害 を 有 す る も の と考 え ら れ た.し か し そ の 障 害 は 暴 露 後24 時 間 で は す で に 回 復,あ る いは 代 償 され 得 る 性 格 の も の で あ ろ う と考 え られ た.そ で は,い こで 以下 の実 験 ず れ も コ ン ト ロ ー ル,NO,暴 露24時 間 後 の3群 2)32P標 露 直 後,暴 で 比 較 検 討 を 行 な う事 と した. 識Staphylococcus aureusに よ る, 機 械 的 除 菌 作 用 につ いて の検 討 Table1は,各 群 ・各 時 間 毎 の 肺 内 残 存 生 菌 数 と32Pcount,お よび 各 々の 初 期 肺 内 定着 量 か ら の 減 少 率 を 示 し た も の で あ り,Fig.7は * Mean survival time (hrs)±SD,+ P<0.01) み を 図 示 し た も の で あ る. Table 1 Clearance of P32 labeled S. aureus from mouse lung. (*; P<0.05 ** ; P32<0.01) 減少率 の 76 感 染 症学 雑 誌 Fig. 7 Clearance mouse tely lung. after: of P32-labeled (•Z-•Z NO2 S. aureus control, •œ-•œ from 第55巻 第2号 討 immedia- exposure, •£•c•£ 24 hrs (1)マ after 2に exposure) ウ ス 肺 洗 浄 液 中 の 細 胞 数 と分 類;Table 示 す 如 く ,肺 洗 浄 で 得 ら れ る 総 細 胞 数 は, コ ン ト ロ ー ル マ ウ ス で は 平 均6 .69×105で あ り, NO,暴 間後 群 露 後 で は 直 後 群6 .92×105,24時 7.32×105で 有 意 差 は 認 め ら れ な か つ た.そ の 分 類 に お い て も,い の 単 核 細 胞,す り,好 れ ら ず れ の 群 で も 殆 ん どが 大 型 な わ ち肺 胞 マ ク ロフ ア ー ジで あ 中 球 は1.0%以 下 の比率で 各群間に有意差 は み られ な か つ た.ま た,リ ンパ 球 あ る い は 小 型 で リ ンパ 球 と 判 別 し難 い 様 な 細 胞 も2∼4%程 と わ ず か しか 認 め られ ず,以 度 後 は よって採 取 され る 全 細 胞 を も つ て 肺 胞 ヤ ク ロ フ ア ー ジ と し,定 量 的 検 討 を 行 な つ た. Table2に は ,同 時 に 肺 炎 桿 菌 噴 霧 感 染(7∼15 ×102cfu/1ung)後,3∼4時 肺 内 残 存 生 菌 数 は,コ 時 間 後 群 で は,初 3,6時 ン ト ロ ー ル お よび 暴 露24 差 は み ら れ な か つ た.し 露 直 後 の マ ウ ス で は,初 期 定 着 菌 数 は50%程 群 に 比 し て 低 い の で あ る が,経 少 率 は3時 間 で69.2%,6時 ら れ る が,3,6時 暴 か し ,32Pの 他 肺内 で は,3時 間 と6時 MeanSD,( 中球 が急 性 炎 症 反 応 と して増 加 して きて お の 比 率 は コ ン ト ロ ー一 ル で7.18%,暴 あ り,肺 くに暴 合,コ 間 ま で の減 少 率 は 間 後 群 は30.96%6と,こ Total cell counts な わ ち,暴 ン ト ロ ー ル 群 は5.43×105,暴 間 後 群6.13×105で 後 群 が 多 い 傾 向 を 示 す が,統 2 露直後 れ ら 露 胞 マ ク ロ フ ア ー ジ を 絶 対 数 で 比 較 した 場 ×105,24時 胞 マ ク ロ フ アご ジ の殺 菌 能 に つ い て の検 Table れ ら 群 で の総 細 胞 数 の増 加 は 好 中 球 の絶 対 数 の 増 加 で 殆 ん ど 不 変 で あ つ た. 3)肺 お,こ 然 の こ とな が り,そ も有 意 の 差 を 示 し た(P<0.01).す 間後 に お あ り,と 後 群 も24 ら,好 群 で は17.04%6,24時 々の 値 に や や バ ラつ きが み ぼ16∼23%で 暴 露 群 は,直 ン トロー ル群 に比 して総 細 の 細 胞 の 分 類 を 行 な つ て み る と,当 間 後 の い ず れ に お い て も3群 い て も減 少 率 は,ほ 類 を み た場 胞 数 が 有 意 に 多 か つ た(P<0.01).な 度他 間 後 で も83.2%と 間 に 平 均 値 で 有 意 差 は 認 め ら れ ず,6時 露 後 の2群 時 間 後 群 も と も に,コ 時 的 肺 内 菌 数 の減 に 比 し 低 率 で あ つ た.し 残 存 率 を み た 場 合,個 か しNO、 細 胞 数 お よ び,分 合 の 成 績 を 示 し た.NO、 間 後 の 減 少 率 も 各 々84 .5・86.6%6,95.0 ・95 .9%で の2群 肺 洗 浄 を 行 な い,総 期 定 着 菌 数 に も 有 意 差 は な く, 間 を 経 過 し た時 点 で は な か つ た. and population of lavaged cells ); number of mice , * Each 300 cells for differential counts (** P<0.01) 露 直 後5.38 あ り ,や や24時 間 計 的 に は 有 意 の差 で 77 昭 和56年2月20日 Fig. 8 Quantitative Fig.9 NBT reduction test (*Mean Iating,・ increasing (2) of Quantitative NBT mice・ reduction 3 NBT reduction rate±SDR; ・P<0.01, Table (* Mean±SD,();number Stimulated resting, test S; stimu- §P<0.05) Lysosomal enzyme activity. ・P<0.01) test;肺 胞 マ ク ロ フ ア ー ジ や 好 中 球 の 細 胞 内 殺'菌作 用 と と く に 関 係 が 深 い と考 え ら れ て い るSuperoxide (0、 一)の 指 標 と し て,NBT還 定 し た.Fig.8に restingの 示 す 如 く,肺 (p<0.01),暴 し ろ 暴 露 後 の2群 ン ト ロ ー一 で有 意 に高 く 露 直 後 と24時 間 後 群 と の 間 で は 殆 ん ど 差 が み ら れ な か つ た.こ れ はNO2暴 激 と な つ て 細 胞 に 作 用 し,こ れ らを賦 活 した もの と 考 え ら れ る.ま た,暴 露 が刺 露24時 間 後 で も,そ の影 (3)Stimulated anionは,細 さ れ,貧 は,こ NBT reduction test; 食 刺 激 後 の肺 胞 マ ク ロ フア ー ジ に お い て れ ら の 増 加 か らNBT還 備 実 験 に お い て,肺 し4,40,400個 が,コ テ ッ クス粒 子 は予 に対 階 の 濃 度 で 添 加 して い る 能 の 変 化 が 得 ら れ た.よ ら か なNBT還 元 つ て 本 実 験 で は,各 群 に ラテ ックス粒 子添 加 を 行 な つ て 成 績 を 比 較 し た.Fig・9に 成 績 を 示 し た が,コ の 還 元 能 の 尤 進(平 均 で.0031→.0115P<0.01, .0053→.0101P<0.05)を 示 し,そ ン ト ロ ー一 意 の増 加 率 は コ ン ト ロ ー ル で 平 均3.59(2.08∼5.81)倍,24時 間 後 群 で は2.19(0.70∼4.56)倍 に 対 し,NO、 で あ つ た.こ 暴 露 直 後 群 で は 刺 激 後 のNBT還 れ 元 の と極 め て 低 率 で あ つ た. (4)ラ イ ソ ゾ ー ム 酵 素 活 性;肺 胞 マ ク ロフ ァ ー ジ の 活 性 度 を 示 す 指 標 と し て,β-galactosidaseな ら び にAcid-phosphataseの2つ ライ ソ ゾー ム酵 素 活 性 を 比 較 し た 成 績 をTable-3に い ず れ の 酵 素 に つ い て も,各 れ た 細 胞 は80%前 ン トロ ー ル マ ウ ス の 細 胞 を 用 い た 場 合1: 400の 粒 子 数 の 添 加 で の み,明 1:400の 元 能 は充 進 を示 し 胞 マ ク ロ フ ア ー ジ1個 の3段 間 後 群 で は 対 照 に 比 し,有 増 加 率 は 平 均1.16(0.79∼2.16)倍 Super- 胞 の 貧 食 作 用 に よつ て 生 ず る と て く る も の と考 え ら れ た17).ラ ル 群 お よ び 暴 露24時 能 の 充 進 は 殆 ん どみ られ ず(.0055→.0060),そ 響 が 持 続 し て い る事 も示 され て い る・ xide ();numberofmiceにMean±SD 洗 浄 で 採 取 後, 状 態 で 測 定 し た 還 元 能 は,コ ル 群 に 比 し て,む anion 元 能 を 定 量 的 に測 示 し た. 群 で活 性 型 と判 定 さ 後 と 高 く,3群 で 明確 な差 は得 ら れ な か つ た. IV考 NO2急 性 暴 露 に よ り,経 案 気 道 的 細 菌感 染 に 対 す る 宿 主 の 防 御 機 能 が 障 害 さ れ,易 感 染 状 態 が惹 78 感 染 症学 雑 誌 起 され る事 は,す で にEhrlich1),Goldsteinら2)3) 増 菌 が 認 め られ,全 の 一連 の動 物 実 験 成 績 に よ り明 ら か に さ れ て い て が5日 第55巻 第2号 以 内 に 死 亡 し た. 両 者 で 明 らか な 相 異 の み ら れ た 初 期 感 染 防 御 作 る.今 回 の私 の実 験 に お い て も,NO2・20ppm,18 用 を 検 討 す る 上 で は,2つ 時 間 の 急性 暴露 終 了 直後 のICRマ な わ ち 線 毛 運 動 に よ る機 械 的 除 菌 作 用 と,肺 ウスは,非 暴 露 コ ン トロー ル マ ウス に 比 して,肺 炎 桿 菌B-54 の 主 要 メ カ ニ ズ ム,す 胞 マ ク ロ フ ア ージ な どに よる殺 菌 作 用 に つ い て考 え ね 株 の噴 霧 感 染 に対 し,肺 炎 の完 成 も容 易 か つ す み やか で,死 亡 ま で の 日時 の短 縮 も認 め られ,明 ら ば な ら な い.Green6)7)あ る い はRylanderら11)は , 32Pや35Sな ど の ア イ ソ トー プ で 標 識 し た 種 々 の か に易 感 染 状 態 に あ る と考 え られ た.し か し,こ 糸田菌(Proteus の易 感 染 状 態 は,暴 露 後24時 間 を 経 過 した マ ウス E. に お い て はす で に 認 め られ ず,比 較 的 短 時 間 で 修 2つ の メ カ ニ ズ ム に つ い て 検 討 した 結 果,そ 復,も 役 は 肺 胞 マ ク ロフ ア ー ジに よる肺 内殺 菌 作 用 で あ し くは 代 償 され 得 る性 格 の もの で あ る事 が 示 され て い る. coliな mirabilis, ど)を は ほ ぼ 同 様 で あ り,機 時 間 の急 性 暴 露後 の マ ウス を用 い,肺 炎 桿 菌 に よ ル,暴 る 感 染実 験 を行 な つ た結 果,暴 露1時 間後 の マ ウ ス で 明 らか で あ つ た 易感 染 状 態(死 亡 率 で コ ン ト か ら の 減 少 率 は20%程 ロー ル群 と比 較)が ,、暴露27時 間後 の感 染 実 験 で は,す で に認 め られ なか つた と報 告 して い る.し か し,そ の 回復 の機 序 につ いて は 解 明は な され て お らず,そ の後 の報 告 で も,こ の点 に つ いて 詳 細 aureus, 用 い て 感 染 実 験 を 行 な い ,こ つ た と 報 告 し て い る.今 Ehrlich1)は す で に1966年 にNO,5∼25Ppm2 Staphylococcus の の主 回 の 成 績 に お いて も結 果 械 的 除 菌 効 果 は コ ン トロー 露 群 の い ず れ に お い て も ア イ ソ トー プ の 肺 度 に と ど ま り,他 数 は 暴 露 直 後 で 約83%,コ 間 後 群 で は95%以 方,生 菌 ン ト ロ ー ル と 暴 露24時 上(い ず れ も6時 間 後 の 値)の 減 少 率 を 示 し て い た. ,暴露24時 間 後 群 は,生'菌 数 の減 少 率 は コ ソ トロ ール 群 に ほ ぼ一 致 して いた が に 論 じた もの は み あた らな い.今 回 私 は,こ の 点 ,機 械 的 除 菌 の パ タ ー ンで はむ し ろ暴 露 直 後 群 に 類 似 して いた .今 回 に 注 目 し,NO、 の 実 験 と 同 一 の,20ppm18時 急 性 暴 露後 の 宿 主 感 染 防 御 機 能 の変 化 を,暴 露24時 間 後 お よび コ ン トロール群 の 3群 間 で 比 較 検 討 す る事 に よ り,若 干 の 興 味 あ る 成 績 を 得 る 事 が 出来 た. NO・ 暴 露 直後 の マ ウス は ,感 染 後 経 時 的 肺 内 生 菌 数 で,コ ン トロー ル あ る い は暴 露24時 間 後 群 と比 較 した場 合,次 の2点 で異 つ て いた.1つ は 後 マ ウ ス に つ い て,肺 間 のNO,急 性暴露 の 超 微 形 態 的 変 化,な らび に そ の修 復 を論 フ じ た 教 室 の 加 藤 の 報 告12)に よ れ ば,暴 露 直後 の 気 管 支領 域 に お い て は 線 毛 の 短 縮 ・脱 落,ク た,肺 ラ ラ 細 胞 の 平 低 化 な ど を 認 め,ま 胞 穎 域 で は と くに そ の 入 口部 に 一 致 し て 1型 肺 胞 上 皮 細 胞 の 変 性 ・剥 脱 や,肺 胞 マ クロフ 感 染 直 後 肺 内定 着 菌 数 が,コ ン トロー ル群 よ り少 ア ー ジ の 集 積 を み た と し,一 な い事,他 間 で み られ るべ き初 露24時 間 後 で よ り著 明 で あ つ た と も述 べ て い る. は感 染 後3∼6時 部 の変 化 は む しろ 暴 期 菌 数 低 下 傾 向が み られ な か つ た 事 で あ る.前 者 す な わ ち,NO、 は 従 来 の報 告 に もみ られ て お り1)3),こ も24時 間 後 で も本 質 的 に は 同 程 度 で,そ れ は急性 暴 露 後 の 形 態 的 な 傷 害 は,直 後 の所 見 か 暴 露 後 に 認 め られ る1回 換 気 量 の 減 少,呼 吸 促 迫 ら は 機 械 的 除 菌 作 用 の 低 下 な ど も当 然 予 想 し得 る な どの 換 気 障 害 に も とず くもの と考 え られ る.後 も の で あ る.機 械 的 除 菌 作 用 の パ タ ー ンが 暴 露 後 者 は,吸 入 され た 菌 に対 す る初 期 感 染 防 御作 用 の の2群 低 下 を意 味 す る も ので あ る.1∼2×102cfu/lung以 の と も考 え ら れ る.こ 下 の 微 量 感 染 を 行 な つ た場 合 に両 者 の差 は よ り明 は,形 確 とな つ た.す なわ ち,こ の様 な感 染 菌 量 で は コ ン トロ ール群 で の 死亡 率 は20%以 下 に減 少 した の に対 して,暴 露 直後 群 で は数 時 間 以 内 に 明 らか な で 類 似 し て い る 事 実 も,こ の 様 に,暴 れ を示 唆 す る も 露24時 間 後 群 で 態 的 に も ま た 機 械 的 除 菌 作 用 の 面 で も ,障 害 が 存 続 し て い る に も か か わ ら ず,コ ン トロ ール 群 と ほ ぼ 同 等 の 感 染 防 御 効 果 を 示 し得 て い る事 は,NO2急 性 暴 露 直 後 の 易 感 染 性 の 原 因 が,単 79 昭 和56年2月20日 に 形 態 的 な傷 害 の み で は説 明 され 得 な い事 を示 し は む し ろ,暴 て い る. はNO、 暴 露 が刺 激 と して作 用 した 結 果 と考 え ら れ る.し か し,ラ そ こ で 次 に は 肺 胞 マ ク ロ フ ア ー ジ のNO、 暴露 露 後2群 に 比 べ 還 元 能 は 低 く,こ れ テ ヅ クス粒 子 を これ らの細 胞 に に よ る 変 化 に 注 目す る 事 と な る が,そ の 機能的 貧 食 さ せ て,し 評 価 を 行 う上 で は,走 胞 内殺 菌 る,い 能 な ど の 各 過 程 に つ い て 検 討 を 行 うべ き も の で あ は,暴 る13).NO,や03な 系 の 賦 活 が 殆 ん ど欠 如 し て い る 状 態 で あ る 事 を 示 化 性,貧 食 能,細 ど の大 気 汚 染 物 質 の影 響 を み た 以 外 に も,免 疫 抑 制 剤 投 与14)や 放 射 線 照 射 (全 身 あ る い は 肺 局 所)15),さ 血,寒 ら に は脱 水 や 失 冷 暴 露 の 全 身 性 ス ト レス な ど16)様 々 な 侵 襲 か る の ち にNBT還 わ ゆ るStimulated 元能を測定す NBT reduction testで 露 直 後 の マ ウス の細 胞 で は 貧 食 に よる殺 菌 し た.こ れ に 対 し コ ン ト ロ ー ル 群 で は,刺 増 加 率 は3倍 激後の 以 上 の 高 値 を 示 して お り,暴 間 後 群 で も,コ 露24時 ン ト ロ ー ル 程 で は な い が,同 様の を与 えた 後 の感 染 防御 機 能 の障 害 を 肺 胞 マ ク ロフ 増 加 傾 向 が み ら れ て い た.暴 露 直 後 群 の この様 な ア ー ジ や 好 中 球 の 機 能 低 下 と結 び つ け た 報 告 も 多 反 応 性 の 欠 如 が,in の感 染 実 験 に お け る い.無 易 感 染 性 の 原 因 の1つ 論,侵 襲 の 違 い に よつ て 障 害様 式 は 様 々に よ る 肺 胞 マ ク ロ フ ア ー ジ の 障 害 は, そ の 殺 菌 作 用 の 低 下 で あ り,食 常 で あ つ た と し て い る.ま 菌作用 は ほ ぼ正 投与後 のモ ル モ ッ トに 認 め ら れ るPseudomonas は,感 染 後 に お け る好 中 球 の 肺 胞 腔 内 へ の 出 現 状 況 が,コ ン ト ロ ーソレ群 と は か な り異 つ て い る 事 も 1つ の 示 唆 を 与 え る も の で あ ろ う.血 た,Pennington14)は corticosteroidやcyclophosphamideを で あ る と 考 え られ た. 暴 露24時 間 後 に お け る 易 感 染 性 の 回 復 に つ い て 報 告 さ れ て い る が,Goldsteinら2)3)は,NO2あ る い は03に vivoで aeruginosa の 気 道 感 染 に 対 す る ク リ ア ラ ン ス の 低 下 は,肺 胞 球 は,肺 胞 マ ク ロフ ア ー ジ と と もに 感染 の初 期 に お い て 重 要 な 役 割 り を 演 ず る も の と さ れ,Hunninghakgら18)は,経 気 道 的 細菌 感 染 に お け る両 者 マ ク ロ フ ア ー ジ な ど食 細 胞 の 絶 体 数 の 減 少 に よ る の 相 互 関 係 に つ い て,肺 も の で,そ 防 御 の 第 一 線 に 位 置 し て い る が,一 し,量 の機 能 的 障 害 は 明 ら か で な か つ た と さ れ れ ば,好 的 な 障 害 も重 要 で あ る 事 を 示 し て い る. 今 回 の,私 な 比 較,お の 実 験 に お い て は,食 細 胞 の数 量 的 よび 肺 胞 マ ク ロ フ ア ー ジ の 殺 菌 能 の 評 価 を 中 心 と し た が,肺 胞 マ ク ロ フ ア ー ジは 宿 主 旦 感 染 が惹 起 中 球 が 急 性 炎 症 反 応 に お け る主 役 と な る と し て い る.ま た,好 中 球 は,あ や 血 液 由 来 のchemotactic 遊 走 す る も の で あ る が,肺 洗 浄 で 得 ら れ た 細 胞 は,そ 中 の好 中 る種 の 細 胞 mediatorに 反 応 し, 胞 マ ク ロフ ア ー ジに ょ の総 数 あ る い はそ の 中 で の肺 胞 マ ク ロ フア ー ジ と つ て 産 生 さ れ るchemotactic 好 中 球 の 比 率 な ど,量 と考 え られ る 動 物 実 験 成 績 を 示 して い る. 的 な 比 較 に お い て は3群 で 差 は 全 くみ ら れ て い な い-ま た,機 つ い て は 殺 菌 能 の 指 標 と して,定 問 能 的評 価 に 量 的NBT還 元 能 お よ び ラ イ ソ ゾ ー ム酵 素 活 性 を 測 定 し て い る. 前 者 は,主 れ17),後 く にSuperoxideを 者 の β-galactosidaseは,酸 反映 す る と さ 性水解酵素 で 酸 素 非 依 存 性 の 殺 菌 系 の 指 標 と な り,活 monas ウ ス に お け るStaphy aureus, Klebsiella aerugimosaを 性型 肺 に お け る細 胞 性 反 応 は 異 な り,肺 各 様 の 動 員 状 況 が,い NBT還 か し, 元 能 の 比 較 で は 興 味 あ る成 績 が 得 ら れ た. す な わ ち,restingの 状 態 で は,コ ン トロール 群 の 染後 の 胞 マ ク ロ フア 中球 が 出 現 し て くる 可 能 性 に つ い て も示 唆 し て い る. 今 回 の 私 の成 績 か ら で は,好 群 Pseudo- ー ジ の 貧 食 ・殺 菌 作 用 の 状 態 と相 関 し て,好 る9)10).ラ 間 で 明 らか な 相 異 は 得 ら れ て い な い.し pneumoniae, 用 い た 感 染 実 験 か ら,菌 マ ク ロフ ア ー ジに 多 量 に 含 ま れ て い る もの で あ イ ソ ゾ ー ム 酵 素 活 性 の 比 較 で は,各 存在す る 種 類 あ る い は 感 染 菌 量 の 違 い に よつ て,感 に 細 胞 内 殺 菌 作 用 の 中 のOxidative metabolismと さ ら にToewsら19)は,マ lococcus factorも 中球 の感 染 後 の各 群 か な る理 由 も し くは機 序 に よ る も の か は 説 明 し得 な い が,少 差 の み ら れ る 事,暴 な く と も各 群 で 露24時 間 後 マ ウ ス で は よ り早 期 に 多 く の 好 中 球 の 肺 胞 腔 内 出 現 が み ら れ る事 な 80 感染症学雑誌 第55巻 ど,お そ ら くは,感 染 防 御 の上 で は 有利 な作 用 で 好 中 球 の 著 明 な 増 加(0.81%→30.96%)が あ り,そ の 機 能 の維 持 も し くは 回復 に 関 与 して い ら れ た. る もの か も知 れ な い と考 え て い る. 近年,Andoら20)に 4)定 よ り,肺 胞 被 覆 液 中 に マ ク 量 的NBT還 元 能 は,restingの NO,暴 報 告 され て お り,こ れ らの 関与 も考 慮 して さ らに 考 え ら れ た.し 検 討 を す る必要 が あ ろ う. testの 結 果 で は,コ か し,Stimulated NBT 後 群 で の み 還 元 能 の 充 進 が 認 め られ,直 ん ど不 変 で 反 応 性 の 欠 如 が 認 め られ た. 20ppm NO218時 語 よる噴 霧 感 染 実 験 を 行 露 直 後 の マ ウスで は 明 ら か reduction 後 群 は殆 よ びAcid-phosphataseの 間 で 有 意 の 差 を 示 さ な か つ た. 以 上 の 成 績 よ り,NO,急 間急 性 暴露 後 の マ ウス を 用 い,肺 炎 桿 菌(B-54株)に なつ た 結 果,NO,暴 5)β-galactosidaseお 活 性 は3群 V結 , ン ト ロ ー ル お よ び 暴 露24時 間 の 宿 主 感染 防 御機 構 の解 明 を す す め る な いか と考 え られ た. 状態 では 露 そ の もの が刺 激 と して作 用 し た 結 果 と 上 で,今 回 の 実験 の如 く,そ の障 害 の 回復 あ る い は代 償 の機 点 を合 わ せ て検 討 す る事 も,重 要 で は 認 め コ ン ト ロ ー ル 群 は む し ろ 暴 露 群 よ り有 意 に 低 く ロ フ ア ー ジ活 性 物 質 の存 在 を示 唆 す る成 績 な ど も 今後,肺 第2号 御 機 能 の 障 害 は,肺 性暴露直後 の 感染防 胞 マ ク ロフ ァ ー ジ の殺 菌 能 の 低 下 が 主 た る 原 因 で,24時 間後 に お け る感 染 防 御 機 能 の 回 復 は,主 と して肺 胞 マ ク ロ フ ァ ー ジ の殺 に 感 染 に 対 す る 防 御機 能 の低 下 が認 め られ た が, 菌 能 の 修 復 と,好 中球 の比 率 の増 加 な どに よる も 暴 露24時 間 後 で は 感 染 防 御機 能 は ほ ぼ 正常 に復 し の で あ ろ う と考 え られ た. て い た.か か る感染 防 御機 能 の障 害,修 復 の過 程 を 明 らか にす る 目的 で,コ ン トロー ル,暴 露 直 後 お よび暴 露24時 間 後 の3群 の マ ウス に つ い て,主 な お,本 成 績 の 一 部 は,第54回 (1980年,5月)に 謝辞 日本 感 染 症 学 会 総 会 お いて 発 表 し た. 稿 を終 るに 臨 み,終 始御 指 導,御 校 閲 を賜 っ た に 肺 胞 マ ク ロフ ァ ー ジ機 能 の比 較 検 討 を行 な い, 副 島林 造 教 授 に深 謝 す る と とも に,同 一 じ く御 指 導,御 助 以 下 の成 績 が 得 られ た. 言 を い た だ い た松 島敏 春 助 教 授,杉 本 峯 晴博 士,佐 藤 学 1)NO2暴 露 直 後 の マ ウス は コ ン トロール に 比 し,肺 炎 桿 菌 の噴 霧 感 染 に 対 して,肺 に 定 着 す る菌 数 は む しろ少 な いに もか か わ らず,そ の後 の 肺 内で の菌 増 殖 お よび,肺 炎 の 完 成 もす み や か で 先生,な らび に実 験 に協 力 い た だ い た,佐 々文 子 女 史 に 感 謝 い た し ま す. なお,本 研 究 は川 崎 医 科 大 学 プ ロ ジ ェ ク ト研 究(53002,54-016,55-701)よ り部 分 的 に 援 助 を 受 け た も の で あ る. 生 存 期 間 の短 縮 が み られ た.し か し暴 露24時 間後 の マ ウ スで は,噴 霧 感 染 に 対 し コ ン トロ ール とほ 引用文献 ぼ 同様 の 肺 内 生 菌数 推 移,生 存 期 間 を示 した . 2)32P標 識Staphylococcusaureusを 用 いた 機 1) Ehrlich, R.: Effect of nitrogen dioxide on resistance to respiratory infection. Bacteriol. Rev., 30: 604-614, 1966. 2) Goldstein, E., Eagle, M.C. & Hoeprich, PD.: Effect of nitrogen dioxide on pulmonary bacterial defence mechanisms. Arch. Environ. Health., 26: 202-204, 1973. 3) Goldstein, E. & Warshauer, D.: Ozone and nitrogen dioxide exposure. Murine pulmonary defence mechanisms. Arch. Environ. Health, 28: 85-90, 1974. 4) Goldstein, E., Lippert, W. & Warshauer, D.: Pulmonary alveolar macrophage. Deffender against bacterial infection of the lung. J. Clin. Invest., 54: 519-528, 1974. 械 的 除一 菌 作用 の検 討 で は,32Pの 減 少 率 は3群 間 で有 意 差 を認 め ず,ま た,い ず れ の群 で も生 菌 数 の減 少 率 に比 して そ の値 も低 く,15.94∼23.36% で あ り,初 期 感 染 防御 作 用 に お け る そ の役 割 り は,大 き な もの で は な い と考 え られ た. 3)肺 洗 浄 で得 られ た 細 胞 は,そ の 総 数,分 類 な ど,量 的 な比 較 では3群 間 に 有 意 の差 は み られ なか つ た.し か し,感 染 後3∼4時 間後の比較 で は,好 中球 の比 率 に お い て差 が み られ,コ ン トロ ール に 比 し,暴 露 群,と くに暴 露24時 間 後 群 で, 5) 松 本 慶 蔵, 宇 塚 良 夫, 永武 毅 , 宍 戸 春 美, 鈴 81 昭 和56年2月20日 木 寛, 野 口行 雄, 玉 置 公 俊, 羅 利: 噴 霧 吸 入感 染 に よ る グ ラ ム 陰 性 桿 菌性 肺 炎 モ デ ル. 日胸 疾 会 誌, 16: 士 易, 井 手 政 581-587, 1978. 6) Green, G.M. & Kass, E.H.: The role of alveolar macrophage in the clearance of bacteria from the lung. J. Exp. Med., 119: 167-176, 1964. 7) Green, G.M. & Goldstein, E.: A method of quantitating intrapulmonary bacterial inactivation in individual animals. J. Lab. Sc, Clin. Med., 68: 669-677, 1966. 8) Chretien, J.H. & Garagusi, V.F.: Corticosteroid effect on phagocytosis and NBT reduction by human polymorphonuclear neutrophile. J. Reticuloendothel. 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In this study I investigated the effect of pulmonary resistance to bacterial infection in mice immediately or 24 hours after exposure to 20 ppm of NO2 for 18 hours. 82 感 染 症学 雑 誌 Intrapulmonary mice just and 24 bacterial after aerosol hours after but In was of not no the formazan ing to the in to group mediately highest after phages following compensate no number after rates group alveolar of but in comfirmed the after groups that the exposed of difference of bactericidal controlled of activity already test by of Latex of bacterial phagocytic 3. were 24 The that by NO2 the that exposed enzym within the any was reduction the reduced groups even though . This in rest- controlled group activities the of other There infection NBT exposure showed with cells density from 1. after quantitative after Lysosomal compared lavaged optical than hours showed; (PMN) mean particles 3.59, respectively. which 2. state, lower of neutrophils stimulated means lavage population of resting was stimulation macrophages the (30.96%). In control or number mice were bronchopulmonary cells the from after 1.16, total in results. groups reduction strain), immediately later. impairment from exposed obtained NBT an of clearance. interesting exposed by group 第2号 group 2.19, and im- (ƒÀ-galactosidase percentage of & activated cells, difference. these seemed hours the more aureus caused increase increasing of showed From the was the exposed Acidphosphatace) also 24 or obtained remarkable which that Stimulated the in in (ƒÀ-54 hours staphylococcus was mechanical showed cells 6 macrophages of groups the state. have impaired But indicate labeled rapidly pneumoniae occurred groups difference three occurred Klebsiella it three alveolar groups. in in seems an remarkable obserbed 32P above studies three of mice, with the by vitro the test study among cells challenge exposed Radiotracer clearance proliferation 第55巻 results to exposure within it be can one to a of NO2. relatively be the considered causes And short the that for the dysfunction period. the intracellular impairment of killing of alveolar pulmonary macrophages dysfunction of resistance will to the alveolar bacterial partially macroinfection recover and
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