「この仕事に就いて」

「(社)島根県建設業協会会長賞」受賞作品
「この仕事に就いて」
島根電工株式会社西部支店
大野 聖児
(H18 年入社
出雲工業高校卒)
私が電気工事の仕事を選んだ理由は、高校の実習で電気工事士の実技の練習をしたこと
がきっかけでした。初めての経験でしたが実習の時間はとても楽しく、
「こんな仕事に就け
たら楽しいだろうな」と思っていました。
就職活動が始まると、迷わず電気工事の会社を選び現在に至っています。
実際に現在の職場で働くまでは、電気工事士の仕事は図面を見て配線をし、スイッチや
照明器具を付けるなど、高校の実技実習を延長したような「技術を生かしたスマートな仕
事」と勝手に思い込んでいました。
しかし現実は違っていました。住宅の改修工事では天井裏や床下に入り真っ黒になり、
照明ポールを建てる為の炎天下での穴掘りでは汗と泥にまみれ、実際に働いてみると私が
思い描いていたような「楽しい仕事」
「スマートな仕事」とは程遠い現実が待っていました。
それでも現場が完成に近づきスイッチや照明器具の取付けをしていると、それまでの苦労
を忘れてスイッチなどを付けるのに夢中になっています。やはりこの仕事、電気工事は楽
しいと感じざるを得ません。
このように苦労をして自分が取り付けたスイッチや照明器具に電気を送り込み、実際に
点灯をすると、ひとつの仕事をやり遂げた達成感からでしょうか、とても嬉しく、とても
満足している自分がそこにいます。本来なら、電気工事士の資格を持っているので、照明
が点灯するということは当たり前ですが、殆ど経験がありませんのでその瞬間は、
「点いて
良かった!」とほっとしてしまうのが本音です。
これは、建設業だけではなく物を作る仕事全てに言えることではないかと思います。物
を作り、完成したときの喜び、達成感というものはとても気持ちのいいもので、給料が欲
しいというのもありますが、お金には変えられない何かがそこにはあります。
「また次の仕
事を頑張るぞ!」というやる気が出てきます。
また、物を作ると言うことは、その物は長い間人の役に立ち、形として残っていきます。
人々が長期にわたり使う物を作るわけですから失敗は許されないと感じました。
私は、入社してまだ4ヶ月もたっていません。工具の名称もまだ覚えきれていません
し、仕事も先輩から指示を受けないと何もできません。自分で答えを出して行動するには
知識も経験も不足しています。ですから、私は与えられたどんな仕事でも精一杯こなして
いこうと思います。そして、早く仕事を覚えて、少しでも社会の役に立つことができるよ
う頑張ります。これから辛いことや大変なことがたくさん待っていると思いますが、くじ
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けることなく、
「電気工事は楽しい!」という気持ちを持ち続け仕事に励みたいと思います。
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