外国につながる子どもたちの学校適応(注)に関する理論 小川洋二 はじめに 外国につながる子どもたちには,日本語を母語としないニューカマーや在日韓国・朝鮮人 や華僑などのオールドカマー,親の一方が外国人の子どもたち,海外からの帰国者など様々 なタイプがいる。私は過去に中国系ニューカマーとフィリピン系ニューカマーの事例研究 をおこなったが,今回は先行研究に基づいて理論の紹介を行い,自分の理論を明らかにする。 1.理論 1-1 太田晴雄 ニューカマーの子どもたちの教育には母語と日本語のバイリンガル教育が重要である。 1-2 志水宏吉 子どもたちの「学力を育てる」ことをテーマに「ニューカマー」や「同和地区」で調査 を行い,学校の組織だった授業への取り組みが「学力を育てる」と主張した。近年は「全 国学力テスト」でトップクラスになった秋田県・福井県に注目し,「つながり格差」が学 力格差を生む,とも言っている。 1-3 鍛治到 大阪府内の公立中学校を中心に「中国帰国生徒」のフィールドワークを行い,学業達成 が「優等生らしさ」と「日本人らしさ」の「合計額」により規定される。 2.私の理論 中国系ニューカマー高校生やフィリピン系高校生の調査(参与観察)から, 「家族」 ・ 「友 人」 ・ 「周囲の大人」との人間関係が学校適応に関係する。志水宏吉の理論に近い。 (注) 学校適応とは出席良好で一定の成績を収めて進級や卒業をすることを指す。さら に学校で生き生きした表情をしていることも学校適応の一例と私は考えている。 参考文献 太田晴雄(2000) 『ニューカマーの子どもと日本の学校』国際書院 鍛治到「中国帰国生徒の進路」 (駒井洋監修・石井由香編著(2003)『移民の居住と生活』明石書店 pp.234-254) 志水宏吉(2005) 『学力を育てる』岩波新書 志水宏吉(2014) 『 「つながり格差」が学力格差を生む』亜紀書房 16
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