基盤研セミナー 遺伝子破壊細胞ライブラリーの 有害化学物質の検出、創薬、薬の作用機序への応用 日時:2015年10月 29日( 木曜日 ) 14 :00-15 :00 場所:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 医薬基盤研究所 第1会議室A・B 演者:京都大学大学院医学研究科・放射線遺伝学 教授 武田 俊一 先生 医薬品等の化学物質の、細胞への影響(例、変異原性)は、従来、研究者 が解析したい影響を検出するバイオアッセイを創り、解析されてきた。しかし、 化学物質にオフターゲット効果はつきものであり、そしてバイオアッセイの特 異性は検定しようがない。実際、化審法で規定されている、変異原性検出試 験(小核試験)は、膨大な数の化学物質の解析に利用した結果、感度のみな らず特異性に問題があることが知られている。本セミナーでは、小核試験を例 に、感度と特異性の問題を同時に解決する手段として、遺伝子破壊細胞の利 用を説明したい。小核試験の感度が低い理由は、このバイオアッセイが野生 型細胞を使っているからである。すなわち、野生型細胞は、変異原性化学物 質に曝露されて生じたDNA損傷をすぐに正確に修復するからである。ゆえに、 DNA損傷修復酵素を不活性化した遺伝子破壊細胞も併用すれば、小核試験 の感度を向上させることができる。この併用する方法では、野生型細胞を陰 性対照に使って、遺伝子破壊細胞の小核試験の結果を解釈する。新たに陰 性対照を設定することにより、小核試験の特異性を向上させることができる。 さらに、どのDNA損傷修復酵素を不活性化した時に、陰性対照である野生型 細胞よりも、薬剤曝露のあとに多く小核が誘導されたかを網羅的に調べること によって、薬剤が誘導したDNA損傷を推定できる。本セミナーでは、他に、米 国NIHと共同で実施した、遺伝子破壊細胞を使った創薬シーズの検索、PARP 阻害剤の新たな抗がん作用機序の解明についても述べる。 連絡先: 創薬資源部 松山 晃文 (TEL 072-641-9899) 培養資源研究室 小原 有弘(072-641-9851) メールアドレス: [email protected]
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