現在、日本人の死亡原因の第1位はがんであり、臓器別がん死亡数の割合は下図のとおりです。日本人の2人 に1人が生涯がんにかかり、男性の約4人に1人、女性の約6人に1人ががんで亡くなります。 胃がんリスク検診(ABC検 診)は、 「ヘリコバクター・ピロ リ菌(通称ピロリ菌)感染の有 無を調べる検査」と「胃炎の有 無を調べる検査」を組み合わせ て、胃がんになりやすいか否か をリスク(危険度)分類するも のです。 「がんを見つける検査」 ではありません。 一人ひとりの「胃の健康度」 を調べて、「胃がんになる危険 度がきわめて低い人たち(超低 リスク群)」を精密検査から除 外、 「危険度の高い人たち」は胃 がんが無いかどうかを確かめ るために内視鏡精密検査を受 けてもらう検査です。胃がんリ スク検診(ABC検診)は、この超低リスク群=「ピロリ菌に感染していない人(未感染者)」を胃がん検診 の対象から除外できる点に大きな意味があります。 胃がんリスク検診(ABC 検診)を導入 する自治体(国民健康保険)や健保組合が増え ています。(図 10・図 13) 行政主導や地区 医師会などが主導し導入するケースや大手 企業の健康保険組合にもその動きは広がり つつあります。 胃がんリスク検診(ABC 検診)は、食 事の影響がない簡易的な血液検査ですので、 大勢の人が受けやすいことが受診率の増加 につながります。また、東京都目黒区(図 11)では、ABC 検診の結果、多数(従来 の X 線検査に比べると4~7倍)の胃がん (特に早期の胃がん)が発見されました。 【Q&A】 ABC 検診は毎年受けるのですか? 生涯で 1 回受けて、その結果を管理(健保)し精密検査(胃カメラ)を定期的に受けてもらうことに なります。 胃カメラは毎年受けるのですか。また保険診療(3 割負担)で受診するのですか。 胃カメラは、ABC 分類により 5 年に 1 回の人(A 群)から毎年受ける(D 群)まで受ける頻度が異なり ます。指定年度の胃カメラは健保組合が負担しますが、ピロリ菌の除菌は保険診療となります。
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