Protein Expression コーナー 細胞株のトランスフェクションにおける継代数の効果 Linda Jacobsen1 and Peyton Hughes2 1Roche Applied Science, Indianapolis, USA; 2ATCC, Manassas, USA トランスフェクション実験を成功させるための ンプレックス(5:2の試薬/DNA比)の3種類の容量 重要なファクターの一つは、細胞の品質です。実 (4μl、6μl、10μl)を細胞に加えました。両方 験の主要な一部として、細胞株は結果の信頼性や の継代数において、同様の発現レベルがトランス 再現性を左右する、最も高い変動性を持つファク フェクションの24時間後に観察されました。しか ターとなります。 しながら、高継代数の細胞ではトランスフェクシ ョンの48時間後にルシフェラーゼの発現が顕著に トランスフェクション実験において、細胞の継 減少していました(図1a)。細胞増殖の最小限の 代数はトランスフェクション効率だけではなく、 阻害が、3種類の容量のコンプレックスで見られま タンパク質発現にも影響します。これらの心配を した。それに対して、6-10μlのコンプレックスを 取り除くために、ロシュ・ダイアグノスティック 加えた場合に、高継代数の細胞で増殖阻害が見ら スではATCCから保証された細胞株を新たに入手し、 れました。増殖におけるこの効果はコンプレック 継代数をモニターしながら使用することを推奨し ス量が少ない場合は観察されませんでした(図1b)。 ています。細胞株は標準的な実験における試薬で あり、生命科学研究における高い信頼性と再現性 継代数の効果や品質保証の無い細胞を使用した を保証するための、必須の成分であるとの認識が 際の問題についての詳細は、 高まってきています[1-4]。高品質の生命科学製 www.atcc.org/cellBioResource.cfmのATCCオンラ 品を作るメーカーは製品の開発と至適化において、 インセルリソースをご覧ください。 ルーチン的かつ全面的にATCC細胞株を使用してい リファレンス ます。 1. Hartung T et al. (2002) ATLA 30:407-414 図1のデータは低及び高継代数のRAW 264.7(ATCC 2. Chatterjee R (2007) Science 315 :928-931 TIB-71)細胞が同様に十分にトランスフェクショ 3. Nardone RM (2006) Eradication of ンされるが、タンパク質発現においては高継代数 cross-contaminated cell lines : A call to の細胞が顕著に減少していることを示しています。 action. available at; RAW 264.7細胞は第5継代(低継代数)と第74継代 http://biotrac.com/pages/authentication.html (高継代数)のときに、ルシフェラーゼを発現す 4. O’Brien SJ (2001) Proc Natl Acad Sci USA ® るプラスミドが、FuGENE HDトランスフェクション 試薬でトランスフェクションされました。同じコ 98:7656-7658 Protein Expression コーナー 図1:タンパク質発現と増殖における継代数の影響。 低及び高継代数のRAW 264.7 (ATCC TIB-71)細胞を3 種類の容量のトランスフェクションコンプレックスでトラ ンスフェクションしました。(a) トランスフェクション効率 とタンパク質発現。(b) 細胞増殖。
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