市長経営方針

平成 27 年度
秩父市経営方針
⒈
はじめに(秩父市版 船中八策)
有識者らでつくる民間研究機関「日本創成会議」の独自の試算として、秩
父市を含む 896 自治体において 20~39 歳の女性が 2040 年までに半減する、
いわゆる「消滅可能性都市」の報道があった。半減する自治体には東北の県
庁所在地も含まれ、このままでは人口減少が止まらず行政機能の維持が困難
になると警鐘を鳴らしている。秩父市も例外ではない。そこで、全ての施策
が「人口増」につなげることを念頭に、『働き場』の確保が最も基本となる
柱と位置づけ、環境や観光などまちの『魅力発信』、医療・福祉・教育など
の『安心・安全』を加えた3本柱を推し進める必要がある。
一方、国内の経済状況に目を転じると、日経の景気動向指数は 110 前後を
維持し、日経平均株価も高値であり、さらに 2020 年の東京オリンピックに向
けて建設業界と円安で輸出産業が牽引役となり、日本経済が好転してきてい
る。それを支えているのは地域の製造業であると私は考える。みどりが丘工
業団地や市内優良企業などの輸出関連産業がリーマンショックの後の巻き返
しを図り、必死の努力を重ねてきており、成果も上がってきた。そこで、こ
れらの経済情勢をチャンスと捉え、商工課や企業支援センター、雇用創造協
議会などが中心となり企業支援、雇用確保に積極的に関わり、『働き場』を
増やして行かなければならない。
平成 26 年の札所総開帳では、各地から多くの巡礼者がお越しになり、750
年以上続く歴史と文化を全国に発信できた。閉じられる来年度は「新たな」
秩父市の魅力発信をして行かなければならない。そのためには、秩父市に秘
められた様々なエネルギーをゼロベースから検証し、売り出し戦略を立てな
ければならない。そのキーワードになるのが、「木、水、地、祭、人」であ
り、これをもとにしてプロファイルを作成し、秩父市の『魅力発信』に全力
を尽くしていきたい。また、中央通線街路整備事業に合わせ、中心市街地に
おいて歴史と文化を醸し出すまちづくりの図面を描くことを早急に行わなけ
ればならない。
以上の一大事業に臨むにあたって、職員には今までとは違う「覚悟」が必
要です。そこで、秩父市版「船中八策」を常に心に留めて日々の業務にあた
ってください。
①現場主義を前提に、「勇気と責任」、即ち、困難を乗り越える「勇気」
と与えられた業務を確実に最後までやり遂げる「責任」を基本とするこ
と。
②「なぜ?」もしくは「正しいのか?」という問題意識を常に持ち、今ま
での「当たり前」を見直すこと。
③職場内では、上級職員は将来の市役所を背負う人材教育を念頭に置くこ
と。
④市民から親しまれる窓口業務を行うこと。
⑤積極的に様々な情報収集を行い、市財政の負担軽減のため国や県からの
財源確保に努力し、市税等の収納率を確実にアップさせることで歳入確
保にも努めること。
⑥常に費用対効果を考え、事業実施には「選択」と「集中」を基本とする
こと。
⑦定住自立圏構想をより充実させ、秩父地域全体の活性化を常に考えるこ
と。
⑧まちづくりの主役は市民であり、民間活力への応援を積極的に果たし、
官民協働のまちづくりを目指すこと。
平成 27 年度は、まさにこれからの 100 年の基盤づくりとなる年度だ。とり
わけ、市役所本庁舎と秩父宮記念市民会館の建設、新火葬場建設、水道広域
化など将来二度と重複しない大事業に挑まなければならない。危機管理体制
を強化し、市民を守り抜く市役所であり続け、常に将来を見据えて、全力で
行政運営を行い、秩父の未来永劫、市民が『安心・安全』で快適に住み続け
られる秩父市を目指して行こうではありませんか。
⒉
基本理念
~豊かなまち、環境文化都市ちちぶ~
市民との協働により、「日本一 しあわせなまち」へ
⒊
1
重点施策 〜人口増を目指す〜
雇用対策の強化
市民からの要望が最も多い雇用の促進について、引き続き企業誘致をは
じめ、地元企業の応援、FIND Chichibu との連携を強化する。また、高等
学校・ハローワーク・企業と連携して雇用就労対策事業を実施し、若者の
就労機会の拡大に取り組む。さらに、観光・森林等の地域資源の活用や特
産品開発による新たな雇用の場の創出も検討していく。
2
医療・福祉の充実
産科医療を充実させるとともに、医療機器の設備強化に努め、安心して
住み続けられるよう地域包括ケアシステムを推進する。そして、信頼され
る病院を目指し、市立病院の黒字経営を継続する。また、健康診査の受診
率向上に取り組み、市民の健康増進を図る。
3
基礎学力の向上、知徳体の調和・慈しみ合う心の醸成
国や県の学力調査結果を十分に分析検討し、学校・家庭・地域が一体と
なって、基礎学力の向上を図る。また、道徳教育と体育活動の充実を図り、
豊かな心を育む教育を行い、いじめ根絶に向け、学校が一丸となって取り
組む。
4「環境立市ちちぶ」の更なる推進
秩父市に潜在する再生可能エネルギーを活用し、新たなエネルギー政策
にいち早く対応したエコタウンの推進に取り組む。また、広域森林組合と
連携しながら、秩父市の森林が蘇る、林業再生を目指す。
5
地域経済の活性化、第 6 次産業の確立と秩父銘仙の再興
定住自立圏を活用しながら、有害鳥獣対策を強固にして、生産意欲をか
きたてる農業施策を行う。また、地域の特産品による地域ブランドを確立
し、姉妹都市交流を活用しながら、全世界に秩父ブランドを売り出してい
く。併せて、秩父銘仙の再興を目指す。
6
訪れたくなる秩父を目指して
新たな観光資源を整備、活用し、観光課・秩父地域おもてなし観光公社
が中心となり、観光客倍増を目指す。また、ミューズパークスポーツの森
の運営改善に向けて取り組む。
7
安心・安全なまちづくりの推進
地域組織との協働などにより安心・安全に暮らせるまちづくりを目指す。
8
強いライフラインの確保
市民生活に必須となる水道等のライフラインや道路・橋梁などのインフ
ラ整備や更新について、計画的に取り組む。
9
より親しみやすい市役所づくり
信頼される職員の人材育成を行うとともに、親しみやすい窓口業務の提
供に努める。
10
公共施設の見直し(ファシリティマネジメント)と適正な財源確保の推
進
公共施設の在り方を検討し、地域の方々への説明責任を十分に果たしな
がら、施設数や規模も含めた見直しを確実に実施し、計画的な管理運営を
実現していく。また、国や県からの財源確保に努力し、適正な受益者負担
を求めるとともに、市税等の収納率の向上に努め歳入確保を図る。
⒋
1
平成 27 年度最重点事項
市役所本庁舎等の建設
市民目線に立って安心して頼れる市役所、地域文化の殿堂としての秩父
宮記念市民会館の建設を強力に進める。
2
水道事業の広域化の推進
安心・安全な水道水を安定供給するため、経営基盤の強化、効率的・効
果的な運営を目指し秩父圏域における水道事業の発展的広域化を確実に進
める。
3
産科医療の確保・民間医療機関との連携強化・地域包括ケアシステムの
実践
頼られる市立病院となるよう産科開設を目指し、電子カルテ導入ととも
に民間医療機関との連携を強化する。また、定住自立圏構想のもと、秩父
市立病院が中心となり、様々な老人介護施設と連携し、医療と福祉が切れ
目のない流れを創り出す。
4
おもてなし観光の推進
観光課と秩父地域おもてなし観光公社との連携を強化し、定住自立圏構
想のもと外国人誘客のための環境を整え、観光地秩父を全国に売り出して
いく。本物を体験できる秩父まつり会館のリニューアルを進め、公共交通
機関も活用して秩父圏域全体への観光客倍増に取り組む。
5
危機管理体制の強化・WHO推奨のセーフコミュニティの推進
国や埼玉県との連携を強化し、地震・風水害・土砂崩れなどに対応した
地域防災計画を実践し、防災マップや避難所の周知徹底を図り、市民を守
り抜く体制を強化する。
また、官民一体となり平成 27 年度のセーフコミュニティ・セーフスクー
ルの認証取得を確実に行う。
6
新教育委員会制度のもと基礎学力の向上のための大改革
教育に特化した組織のために、市長が積極的に教育委員会に関わり、学
力調査等の結果を学校別に公表し、その分析を行い、課題を明確にしたう
えで、未来の秩父市を担うこどもたちの基礎学力向上に取り組む。とりわ
け英語学習を強化する。
7
企業誘致と地元企業への応援・セメント跡地の有効活用を提言
働き場を増やすために秩父市雇用創造協議会を応援する。情報収集を強
化し企業誘致に積極的に関わる一方、地元企業の声を聞き企業活動を応援
する。セメント跡地の企業誘致と森林資源活用の場としての提言を土地所
有者の太平洋セメントへ行い、将来の秩父市発展の礎を築く。
8
環境ビジョンへの積極的な取り組み
森林資源を活用した地産地消の持続可能なバイオエネルギー循環システ
ム構築のため、民間活力を活用したバイオプラント建設を応援し、これに
より、林業再興や雇用の場の確保につなげていく。また、森林資源有効活
用拠点の可能性について検討する。
9
中心市街地の再開発
県事業の中央通線街路整備事業に合わせ、歴史を感じさせ魅力のある目
抜き通りを創造する。秩父駅東側、秩父神社周辺、番場通り、東町通りな
ど、訪れ集う中心市街地に生まれ変わらせる。秩父銘仙など伝統産業や酒
類、菓子など秩父ブランドの展示・販売が可能なまちを創出する。
10
健康診査・特定健診受診率向上
市民への広報をさらに充実して、健康で暮らせる社会づくりのために、
健康診査と特定健診の受診率を伸ばす。