第290回生存圏シンポジウム 2015年8月18日 ポーカーフラットMFレーダーで 観測された中間圏重力波に伴う 半日潮汐変動 木下武也¹, 村山泰啓¹, 川村誠治¹ 1:NICT 1 中間圏の子午面循環を駆動する重力波 全擾乱 Plumb (2002) 惑星波 80km G [ ] − ∗ =− ⋅ + 波の砕波・減衰 総観規模波 重力波 0km 80km [u]:東西平均東西風速 [v]:東西平均残差南北流 (南北方法の物質輸送) f :コリオリパラメータ F:波活動度flux X:摩擦等非保存項 中間圏重力波は、惑星波や 潮汐波等様々な擾乱等によ り変調を受ける 0km Watanabe et al. (2008) Poker Flat MF radar観測データを 用いて重力波による平均流加速が 2 潮汐波の影響を受けるのかを調べる 重力波運動エネルギー (GW-KE:カラー) と半日周期東西風 (実線) の位相ロック現象 (2000年11~12月) (Kinoshita et al. 2015) Poker Flat U-Eastward GW-KE 24LT 0LT U12hr 300 310 (26, OCT) 320 (15, NOV) 330 340 (5, DEC) 350 Antiphase 360 Colors: Zonal wind (25, DEC) Contours: Geopotential height Harmonic fitting (8, 12, 24, 48 h) MF radar Getting 12hr• Zonal wind component from • Short-period(1-4 hours) gravity 5 days data wave kinetic energy (GW-KE) The phase lock event between zonal wind and GW-KE can be seen 3 around day 320-340. 1999(左), 2004 (右) 年冬季の事例 GW-KEと半日周期東西風 Poker Flat Antiphase 82km Antiphase 76km 300 310 320 330 340 350 360 300 310 320 330 340 350 360 (26, OCT) (15, NOV) (5, DEC) (25, DEC) (26, OCT) (15, NOV) (5, DEC) (25, DEC) 1日コンポジット (10年平均) した 11月と12月のGW-KEと半日周期 東西風の時間高度断面 実線:東西風 (半日周期) カラー:GW-KE Antiphase 4 ポーカーフラット冬季に見られたGW-KEと半日周期 東西風の位相ロック現象の物理メカニズム 重力波の分散関係式 波長は、 = = = より、critical level (c=U) で鉛直 / ( ) →∞ この時、上向き伝播 (m<0) する保存的な重力波 ′= ) の運動エネルギーは連続の ( 式( =− ′) より、 =− ′→∞ →Critical levelより下層でGW-KEは増加 U1 U-Eastward (12 h+monthly mean) 重力波の砕波・減衰 (c ≤ ∼ 0 [m/s] ) 0LT 24LT : 固有振動数 :水平波数 m:鉛直波数, : 密度 c:対地位相速度 U:背景水平風速 N:浮力振動数 U2 Z[km] Critical level (c=U) GW u’ ↑ Ū[m/s] c (phase speed) m/s] 5 本研究の目的 • ポーカーフラットの冬季において重力波が半日 周期で砕波・減衰し、擬運動量を背景場に与え ているならば、それに伴い背景場が変調してい るはずである • 本解析において半日潮汐は5日間のデータから 抽出しているため、5日以上GW-KEと東西風の関 係が続くイベントに焦点をあて、背景場の変調を 調べる – Alaska Poker Flat (PKF) MF radar (65N, 147W; Oct. 1998- present) • Time resolution:30-minute-mean • Height resolution:4km (2km over sampling ) Harmonic components (48, 24, 12, 8hrs) Using harmonic fitting from 5-day data. GW-KE (1~4 hr periods) 6 背景場の変調を考える際に用いる理論 3次元変形オイラー平均 (TEM) 系における東西方向の運動方程式 (背景風速シアが弱いことを仮定、地衡風平衡 ( ̅ = Φ ) を除去) − 背景東西風速 の加減速 ̅ =− ⋅ 力学的な 物質輸送 + 重力波の砕波・減衰 (観測では砕波領域 の下層でGW-KE増大と仮定) 重力波の砕波がどの程度 ①東西風速の加減速 (その応答時間も含めて), ②物質輸送 に寄与するかは(特に3次元場では) わかっていない… U-Eastward (12 h+mean) ①については、 1. 背景場の潮汐以外の振幅が減衰 2. 背景場の潮汐の振幅が変調 (冬季においては増大?) 0LT ①-1 24LT U-Eastward (12 h+mean) 0LT ①-2 24LT 7 位相ロック現象時の半日周期東西風速の時 間変化とGK-KEの振幅① (2000年10~12月) [m/ /day] 30 [ / ] 100 5日周期以上の東西風速の時間変化 50 0 0 -30 [m/ /day] 30 [ / ] 100 50 0 0 -30 8 位相ロック現象時の半日周期東西風速の時 間変化とGK-KEの振幅② (2000年10~12月) 9 位相ロック現象時の半日周期東西風速の時 間変化とGK-KEの振幅② (1999年10~12月) [m/ /day] 30 [ / ] 100 5日周期以上の東西風速の時間変化 50 0 0 -30 [m/ /day] 30 [ / ] 100 50 0 0 -30 10 位相ロック現象時の半日周期東西風速の時 間変化とGK-KEの振幅② (1999年10~12月) 11 位相ロック現象時の半日周期東西風速の時 間変化とGK-KEの振幅② (2004年10~12月) [m/ /day] 30 [ / ] 100 5日周期以上の東西風速の時間変化 50 0 0 -30 [m/ /day] 30 [ / ] 100 50 0 0 -30 12 位相ロック現象時の半日周期東西風速の時 間変化とGK-KEの振幅② (2004年10~12月) 13 まとめと今後の課題 • 重力波の砕波・減衰の効果により、半日潮汐を 含む背景東西風速の振幅変調が生じているか Poker Flat MF radar観測データを用いて解析 – 半日周期東西風速の位相にGW-KEの位相が追随す る期間において GW-KEの振幅増大→半日周期東西風速の振幅減少 GW-KEの振幅減少→半日周期東西風速の振幅増大 • Tromso MF radarで観測された位相ロック現象時 を対象に解析を行い、両地点の違いを解析 14 本解析の注意点・考察すべき点 半日潮汐活動 により減衰・砕波 重力波の 擬運動量 背景場 (5日周期以上) 半日潮汐 重力波以外の 5日周期以下の擾乱の 擬運動量 半日潮汐波の振幅変調 擬運動量→背景場 15 16
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