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4.研究の
研究の重点
(1)PISA型
PISA型「読解力」
読解力」について
ピ
ザ
PISAとは「 Programme for International Student Assessment 」の略で、OECD(経済協力開発機構)が
2,000年から3年ごとに15歳の生徒を対象に実施している「生徒の学習到達度国際調査」のことで
ある。平成17年12月に文部科学省から出された『読解力向上プログラム』では、 PISA型「読解
力」を次のように定義している。
PISA型「読解力」の定義
自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、
書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力。
また、 PISA型「読解力」の特徴として以下の4つをあげている。
PISA型「読解力」の特徴
①理解するだけではない
情報の取り出しだけでなく「理解・評価 」(解釈・熟考)も含む
②読むだけではない
テキストを利用したり自分の意見を述べるなどの「活用」も含む
③内容だけではない
構造・形式・表現法なども評価すべき対象となる
④文章だけではない
図・グラフ・表などの非連続テキストも含む
さらにこれらの内容を、学校教育の中で、各学校が国語科を中心としつつ、各教科や総合的な学習
の時間等を通じて具体的に取り組む方向性として、以下の3つを指摘している。
学校に求められる取り組み
①テキストを理解・評価しながら「読む力」を高める取り組みの充実
・テキストの内容や形式などの「解釈」や「理解・評価」する取り組みの充実
・建設的な批判を伴う読み(クリティカルリーディング)の導入
②テキストに基づいて自分の考えを「書く力」を高める取り組みの充実
・テキストの内容を「要約」「紹介」する取り組みの充実
・授業の最後に「自分の考えを簡潔に書かせる」などの機会の充実
③様々な文章や資料を読む機会や、自分の意見を述べたり書いたりする機会の充実
・「朝の読書」など読書活動の推進
・新聞や科学雑誌などを含め、「幅広い読み物」に触れる機会の充実
・「目的に応じた自分の意見」を述べたり、書く機会の充実
PISAの読解問題は、以下の3種の読解のプロセスに分類される。
読解のプロセス
①情報の取り出し
・文章や図表などのテキストの中から、必要な情報を正確に取り出す。
②解釈
・文章や図表などのテキストの中で、一見しては分からないことを、書かれていることを
手がかりにして推論する。
③熟考・評価
・文章や図表などのテキストを正確に理解した上で、書かれていることについて、自分の
体験やテキスト以外の情報に照らし合わせて、自分の意見を述べる。
(2)説明文を
説明文を読むことについて
日本国語教育研究学会編『国語教育辞典』によれば、説明文とは 、「ある物事を取り上げ、その成
り立ちや仕組み、働き、価値などを説き明かし、それを知らない人がよく分かるように伝える文章の
ことである。文学的文章に対する説明的文章として広く捉える場合と 、「意見文 」「観察文 」「論文」
などと区別して狭義にとらえる場合とがある。」となる。
従来の説明文の読解指導では 、「段落分けをし、段落ごとに要点をとらえ、段落と段落の関係をと
らえ、全文の大意や要旨をまとめる」という手順が踏まれることが多かった。しかしこのような展開
では、文章の読み取りが形式的な言語操作に終始しがちで、学習者にとってはおもしろくない授業に
なりがちである。
全国国語授業研究会の『活用力を育てる国語の授業』によると、説明文の読みには、次の3つがあ
る。
説明文の読み
①確認読み
・「何がどのようにかかれているか」を確認する読み。(情報の取り出し)
②解釈読み
・「なぜこのように書いたのか」という筆者の意図を解釈する読み。(解釈)
③評価読み
・「 わかりやすい・わかりにくい 」「納得できる・納得できない」など、筆者の説明を評
価する読み。(熟考・評価)
確認読みや解釈読みをもとにして評価読みを行う。
これらをふまえると、「説明文を読む」こととは、つぎのようなことであると言える。
「説明文を読む」とは
・「筆者との〈 対話〉を通して、筆者の表現あるいは表現行為の意味・意義を考えること(熟
考・評価)」である。
*〈対話〉とは 、「筆者あるいは筆者の立場における認識・思考の内容と方法/表現
観・表現方法/価値観・思想と、自らのそれ(知識や経験によってもたらされるも
の)とを突き合わせる読み」を比喩的に表したもの
そのために
・「述べられていることがらを確認(情報の取り出し)」し、
・「筆者の用いている論理や修辞をとらえる(解釈)」のである。
なお、本校では、熟考・評価したことを表現する力を含めて、読解力ととらえている。
(3)説明文の
説明文の読解力を
読解力を高めるために育
めるために育みたい力
みたい力と、そのための学習活動
そのための学習活動
低・中・高学年で主として育みたい力
1・2年
文章に明示されている情報を把握する力(「情報の取り出し」に対応)
3・4年
文章中の情報から明示されていない情報を推論する力(「解釈」に対応)
自らの知識・認識、あるいは他の情報と照らし合わせて、文章やそれを記した筆者を
5・6年
批判する力(「 熟考・評価」に対応)
学習活動
②問いの文と答えの文をとらえ、両者の関係に留意して読む。
・文末に気をつけて問いの文をとらえさせる。
「~か」で終わっているところをさがす。
「~でしょう 。」のように 、「か」はついていないが、文末に「か」を付け
られるところを見つける。
・文末に気をつけて答えの文をとらえさせる。
「~である 」「~です 」「~なのである 」「~なのです 」「~というわけであ
る」などの文末表現を見つける。
・形式段落を理解させ、段落間の接続語に注意させる。
「このように」「だから」などの接続語を見つける。
③順序を表す言葉に着目して、時間や事柄の順序に従って読む。
・「 はじめに」「まず」「つぎに」「やがて」といった言葉に注意させる。
・児童が日常的に使えるように促す。
④指示語の指している対象を明確にして読む。
解 釈
⑤キーセンテンスやキーワードに注意して、各形式段落の要点を理解する。
⑥接続語に着目し、段落相互の関係をとらえる。
・接続語の意味を理解させる。
「同じ内容を並べるとき」「付け加えるとき」「話題をかえるとき」など。
・段落のはたらきを明らかにさせる。
「問い 」「答え 」「実験 」「観察 」「調査 」「具体例」など説明されている内
容を読み取る。
・意味段落をとらえ、文章の構成図を理解させる。
⑦文章全体を要約する。
・要点をつなげることで要約文を書かせる。
・要旨をふまえた簡潔な要約文を書かせる。
「問い」~具体例~「答え 」「まとめ」に続く「筆者の主張(抽象 )」をと
らえる。
熟考・
熟考・評価
⑧文章や筆者に対する自分の考えを表現する。
・説明されている内容や方法から筆者の立場・見方・考え方をとらえさせる。
・「 主張に対して」「文章表現に対して」などの観点を示す。
*1~4年においても⑧を意識した指導を心がける。
5・6年
①何のどのような面が取り上げられているかに注意して読む。
3・4年
*下線は明示されている情報
1・2年
情報の
情報の取り出し