平成27年度電話応対コンクール埼玉大会予選会の審査について(PDF

2015 年 9 月 8 日
<平成27年度電話応対コンクール埼玉大会予選会の審査について>
205名の山本馨さん、一生懸命な応対有難うございました。残念ながら練習不足と思
われる方もいらっしゃいましたが、それでもご自分の番の時には、一生懸命応対ください
ました。
随分、緊張なさいましたね。普段の電話応対では、言葉は、言った後から消えていきま
す。電話を置いた後に、今の言葉遣いどうだったかしらなど、反省することもあまりない
ように思います。
コンクールでは、普段何気なく使っている言葉をふくめ、この場合は、なんて表現した
らよいのかしらと深く言葉の表現について考えます。この経験が普段の電話応対に役にた
つことになるのではないかと思っています。コンクールに挑戦する方が、電話応対の心と
技を磨かれて大きく成長している所以ではないでしょうか。
今年の問題は、忘れ物を探してほしいと電話をかけてこられたお客様に対して、お客様
の気持ちを受け止めながら、忘れ物の状況を素早く的確に聴き取り、訊きだし、お客様の
要望に手際よく応えるという応対力を問う問題です。
忘れ物をしたお客様が気持ちを落ち着けて話して下さるようにするには、どのような相
槌をうち、共感し、どのような言葉で質問したらよいか、よく考えてくださいました。
審査は、①お客様のお話をしっかり聴いていたか。
②お客様の求めることに正確に答
えていたか。③説明がわかりやすかったか。④手際よく応対してくれたか。⑤親切な応対
で、この人が対応してくれてよかったと、お客様が感じたか。の5つのポイントでいたし
ました。
留守電の場合は、最初の声の表現でお客様に忘れ物が見つかったかどうか、分かるような
音声表現ができているかどうか、また、お客様が留守電の内容がよく分かり、かけなおさ
なくてもよい親切な内容であったか、チェックさせていただきました。
例年に比べて、今年は基本応対スキルの語調、語感、間、言葉遣いなどの音声表現がも
う少し頑張って練習してほしかったという人が多いように思いました。思いやりの心が、
たくさんあってもそれが相手に伝わる形で表現できなければ、伝わりません。まず、歯切
れよく話せるように日頃から発声練習などして鍛えていただくことをお願いします。
特に電話の第一声は、企業の第一印象になります。ウエルカムと感謝の気持ちで言える
とよいですね。緊張していたせいか弱弱しい力のない第一声も多くありました。反対に明
るいのはよいのですが、声を張りすぎて誰に話しかけているのかわからない方もいました。
電話の向こうにいるお客様を意識して、 心からウエルカムと感謝の気持ちの音声表現を
工夫してください。
「お電話ありがとうございます」と言う第一声の方が多かったのですが、
一文一息です。
「お電話」できって「有難うございます」とおっしゃらないようにしてくだ
さい。
その後、お客様に「物産館に忘れ物をしたので確認ください」と言われます。お客様の
気持ちにそって、「それは、心配ですね」などとおっしゃっているのですが、第一声と音声
表現のトーンを極端に落としてしまうと違和感がありました。お客様の気持ちになってお
っしゃっているのは分かるのですが評価は低くなってしまったと思います。オーバーな表
現は、お客様の心の負担になってしまうのかもしれません。
大切な「手帳が入っていた」にも「それは、なくなったら大変!」と思い、共感してい
るのですがオーバーに反応されると反って心配になることはありませんか。
言葉で「心配ですね」とおっしゃらなくても「手帳が入っていたのですね」とお客様の気
持ちになった音声表現の出来ている方もいました。
忘れ物をしたお客様に質問をしながら確認をしていくのですが、質問の仕方が優しくな
いと尋問されているような感じになってしまいます。忘れ物をした人の気持ちになって親
切に質問してください。
それから、単に質問するのでなくなぜ質問をするのか、考えて質問ください。忘れ物があ
った時に、中身を確認させていただくためなのか、手帳の名前で確認するためなのか、な
どです。
質問する時に「恐縮ですが」「失礼ですが」などのクッション言葉を使っているのですが、
使い方がぴったりしていない場面もあります。もう一度クッション言葉の使い方をご確認
ください。例えば「恐縮ですが、どのような物でしょうか」
「失礼ですが、どのような物で
しょうか」どちらのクッション言葉がよいのでしょうか。恐縮することでもないですね。
「失
礼ですが」でよいと思います。
お客様の気持ちの時系列と自分の気持ちの時系列とかみ合っていないと単に必要な要素
を入れているだけになってしまいます。もっと説明したり、質問する言葉や復唱する時の
言葉(語尾・クッション言葉・復唱の仕方)を練ってください。例えば復唱のとき「~で
すね」
「~ですね」のくり返しになっている方もいました。
今年も自然な話し方がコンクールでは求められていますが、スクリプトを確認する時、
書き言葉ではないかをチェックしてください。「なお」とか「にて」は、普段の会話として
はあまり使わないのではないでしょうか。「受付にて」→「受付で」「なお私は3時で失礼
しますので・・」。「なお」はなくても話し言葉はおかしくありません。
余韻効果も大切になさってください。最後の言葉も心に残ります。
第一声を初頭効果といい、電話を切った後に安心感をあたえられることを余韻効果といい
ます。残心です。人と会ってお別れした後に残るあたたかさです。留守電では、
「お気をつ
けてお越しください」など工夫していました。
審査員を代表していろいろ申し上げましたが、朝、さいたま市民会館の周りで一生懸命
発声練習をしたり、スクリプトを読んでいらした選手の方の努力を思うと点数を付けたこ
とが申し訳なく思われます。結果はどうであれ、努力したご自分をほめてあげてください。
本当に一生懸命頑張ってくださいました。有難うございました。
また、県大会に出場される皆様は、今一度、上野まことさんの気持ちや立場になってご
自分のスクリプト、音声表現を見直して、県大会でも頑張ってください。
最後に、選手の皆様、ユーザ協会関係者の皆様のおかげで無事予選会の審査を務めさせ
ていただきましたことを感謝申し上げます。
そして、選手の方を支えて応援くださった企業の皆様にも、改めてお礼申し上げます。
審査員 代表
岩下宣子