vol.226 膝半屈腹筋 2008年1月号

●体育訓練等に必要な正しい基礎知識●第25回
膝半屈腹筋
体力検定の各種目において腹筋は、深くかかわっており、必ず強化する必要があります。
さて、皆さんはどんな腹筋運動を行っていますか。
理想的な腹筋運動は、開始姿勢から上半
図1
身を起こす際に、胸骨から恥骨にかけて付
胸骨
図2
いている腹直筋(図1参照)
を縮ませ、骨盤
を後方傾斜(図2参照)させながら、下腹部
腹直筋
で床
(地面)を押さえ、体を丸めながら起こ
す。戻す際は、下腹部で床(地面)
を押さえ
るようなイメージで上半身を倒し、この動
恥骨
正常
後方傾斜
作を繰り返すのが腹直筋に対して効果的なトレーニングになりますが、皆さんはどうですか?
それでは、よく見掛ける腹筋運動を2種類紹介します。どちらに該当するか、皆さん自身で
確認して見て下さい。
タイプA 上半身を真っ直ぐな状態で起こすタイプ
タイプB 上半身を丸めて起こすタイプ
皆さんはどちらのタイプでしたか⁉
検定では、タイプA・Bともに間違いではありませんが、この2つのタイプの違いは…。
タイプA
①肩から腰にかけて背部が
タイプB
い。
①肩から腰にかけて背部が柔軟である。
②腹筋よりも の前面に意識が集中している。
②骨盤の動きができている。
③上半身を起こす際、骨盤の後方傾斜の動き
③上半身をうまく丸め腹直筋全体に意識が集
ができていない。
④上半身を倒す際、床(地面)との衝撃も大
きく腰痛症に注意する必要がある。
中できている。
④上半身を倒す際、床(地面)との衝撃もな
く、腰痛の心配もない。
この二つのタイプを比較すると、タイプAは腰背部の柔軟性がないため、腰から首にかけて
直線的になり、その結果、腰への負担が多く、腰痛などの障害の原因となります。
タイプBは、腰背部の柔軟性があり、腰への負担も少なく、理想的な腹筋運動といえます。
このように、腹筋のトレーニング効果だけでなく、障害予防を
慮し、腰背部の柔軟性を高
めることも必要だといえます。
それでは、背中を丸めることを意識した肩から腰の柔軟運動を、一例紹介します。
タイプA に該当すると思われる方は、実践して見て下さい。
図3 肩から背中にかけてのストレッチ
まずは、肩から背中にかけてのストレ
ッチ(図3)です。
額をつま先につける気持ちで、お腹を
凹ませ、息を吐きながら体を丸めます。
横から見た図
図4 背中から腰にかけてのストレッチ
次は、背中から腰にかけてのストレッ
チ(図4)です。腰を伸ばすストレッチ
は、ペアで行った方が効果的です。手で
尾骶骨付近を押さえ、腕で脚を抱え込み
細部図
ながら、上体で膝を胸に押さえます。
図5 骨盤運動
骨盤運動(図5)もしましょう。
曹友4月号に掲載されたバランスボー
ルを
ったエクササイズが効果的ですの
で、参照して下さい。骨盤の動きを改善
前傾
し、
うまく動かせるようにしてみましょう。
図6 動きを入れた運動
開始姿勢
後傾
今度は、動きを入れた運動(図6)で
す。ゆりかごのように前後に大きく揺ら
してください。
体型での個人差がありますが、膝と胸は約ボール1個
程度のスペースを開け、ボールがコ
ロコロと転がるように大きく揺らして下さい。背中が丸まっていないとうまく転がれません。
上半身を起こしたときに肩甲骨が引っ張られ、ストレッチされていることを感じて下さい。こ
の動作がスムーズにできるようになると、上半身を起こすときに腹直筋に意識が集中できるよ
うになります。柔軟運動は、毎日継続して行
うことをお勧めします。
肩から背部に柔軟性がない(タイプA)と
ある(タイプB)とでは、肘の着く位置が違
うことに気付くと思います。柔軟性を高める
ことにより肘が
の中央付近に着き(タイプ
タイプA
タイプB
B)
、動きに無駄がなくなり、早い動作で効率
のいい腹筋運動に貢献できると思います。
今回は、膝半屈腹筋の動作の再確認とトレーニングで忘れられがちな腰背部の柔軟運動につ
いて紹介しました。体前面のトレーニングだけに気を取られがちになりますが、効果的な腹筋
運動をするには、腰背部の柔軟性も必要だということを理解し、今後のトレーニングを継続し、
効果的な腹筋運動を習得してください。
参
文献:肉単 ギリシャ語・ラテン語 (エヌ・ティー・エス出版)
次回は、体力検定種目のQ&Aについて紹介します。
問い合
わせ先
●体育学 第1教育課体育班
海野 淳1空曹
8-37-4664
モデル 体育学 第1教育課体育班
●指揮システム
phy s ch,phy s hs pa
(企画室)
塚田陽一2陸曹・花岡直樹3陸曹
●D IIアドレス
plans -phys h@inet.g s df.mo d.g o .jp
(企画室)