ダムの長寿命化に向けたとりくみについて - yec|八千代エンジニヤリング

ダムの長寿命化に向けたとりくみについて
(ダム情報管理のあり方の提案)
八千代エンジニヤリング株式会社
YACHIYO ENGINEERING CO.,LTD.
ダム管理の現状と課題
◇現
◇現 状
状
①
①
②
②
③
③
④
④
ダム及び関連施設の老朽化(ハード、ソフト)がすすむ
ダム及び関連施設の老朽化(ハード、ソフト)がすすむ
将来的に維持管理負担の増大が見込まれる
将来的に維持管理負担の増大が見込まれる
安定した維持管理費用の確保が困難となる
安定した維持管理費用の確保が困難となる
ダムを熟知した経験豊富な技術者が減少する
ダムを熟知した経験豊富な技術者が減少する
◇課
◇課 題
題
①
①
②
②
③
③
④
④
時代のニーズにあったダム機能の維持と増進
時代のニーズにあったダム機能の維持と増進
維持管理負担の最小化
維持管理負担の最小化
限られた維持管理費用の効率的かつ効果的な運用
限られた維持管理費用の効率的かつ効果的な運用
適切なダム管理業務の維持と合理化
適切なダム管理業務の維持と合理化
課題解決のための着眼点
◇課
◇課 題
題
①
①
②
②
③
③
④
④
時代のニーズにあったダム機能の維持と増進
時代のニーズにあったダム機能の維持と増進
維持管理負担の最小化
維持管理負担の最小化
限られた維持管理費用の効率的かつ効果的な運用
限られた維持管理費用の効率的かつ効果的な運用
適切なダム管理業務の維持と合理化
適切なダム管理業務の維持と合理化
◇着眼点
◇着眼点
①
①
②
②
③
③
④
④
ダム機能の維持ならびに長寿命化
ダム機能の維持ならびに長寿命化
ライフサイクルコストの最小化
ライフサイクルコストの最小化
維持管理費の平準化
維持管理費の平準化
各ダムに適した合理的なダム管理方法の構築
各ダムに適した合理的なダム管理方法の構築
ダム管理に係わる施設
◇施設の概要
◇施設の概要
ダムは、ダム堤体、
ダムは、ダム堤体、
貯水池、取水放流設
貯水池、取水放流設
備、機械設備、観測
備、機械設備、観測
設備、電気・通信設備、
設備、電気・通信設備、
管理所等から構成さ
管理所等から構成さ
れており、適切にこれ
れており、適切にこれ
らの機能維持を図る
らの機能維持を図る
ためには、それぞれ
ためには、それぞれ
に適した維持管理方
に適した維持管理方
法を導入する必要が
法を導入する必要が
ある。
ある。
ダム管理に係わる施設の概要
管理区分と維持管理の最適化手法
◇区分別の維持管理最適化手法の例
◇区分別の維持管理最適化手法の例
タイプA
タイプA
複数の要素から構成され、対策にともなう機能改善効果(=
複数の要素から構成され、対策にともなう機能改善効果(=
便益)に差がある場合
便益)に差がある場合 →
→ B/Cにより評価
B/Cにより評価
タイプB
タイプB
対策にともない機能改善効果に差が現れない場合
対策にともない機能改善効果に差が現れない場合
→
→ コスト(C)を現在価値化して評価
コスト(C)を現在価値化して評価
タイプC
タイプC
機能低下が想定できない場合(予防的な保全が困難なもの)
機能低下が想定できない場合(予防的な保全が困難なもの)
→
→ 施設点検・管理マニュアルによる対応
施設点検・管理マニュアルによる対応
特徴に応じて最適化手法を設定
最適化手法
ダム堤体
ダム堤体
貯水池
貯水池
タイプC
タイプC
タイプA
タイプA
貯水池周辺斜面
貯水池周辺斜面
管理設備
取水放流設備
管理設備
取水放流設備
タイプC
タイプC
タイプB
タイプB
管理支援設備
管理支援設備
・操作制御設備
・操作制御設備
・電気・通信設備
・電気・通信設備
・観測設備
・観測設備
・放流警報設備
・放流警報設備
管理付帯設備等
管理付帯設備等
タイプB
タイプB
タイプB
タイプB
維 持 管 理 手 法 (1)
◇タイプAの維持管理手法
◇タイプAの維持管理手法
対策A(3)
対策A(2)
対策C
要求性能
目標寿命
堆砂対策、堤体の摩耗対
策、流木の処理、管理用地
の伐採処理など
対策A(1)
効果を発揮するために長
期間を要するものを対象
健全度︵
性能基準︶
◇B/Cによる評価
◇B/Cによる評価
対策B
複数の要素から構成され、対策にともなう機能改善効果
複数の要素から構成され、対策にともなう機能改善効果
(=便益)に差がある場合
(=便益)に差がある場合
長寿命化
無策の場合の寿命
供用開始からの年数
維 持 管 理 手 法 (1)
例:貯水池堆砂対策
例:貯水池堆砂対策
貯水池堆砂対策の案を以下に示す。
貯水池堆砂対策の案を以下に示す。
選定した対策工案について、「検討案(シナリオ)作成」を行
選定した対策工案について、「検討案(シナリオ)作成」を行
い、複数シナリオについてB/Cで評価を行う。
い、複数シナリオについてB/Cで評価を行う。
土砂流入
貯砂ダム 陸上掘削、浚渫、吸引工法 (有効利用についても検討)
▽S.W.L
サイフォン
▽N.W.L
フラッシング
▽L.W.L
排除バイパス
トンネル
ロックフィルダム
排砂ゲート
下流還元
※サイフォン、排砂ゲート等は
地山に配置する。
維 持 管 理 手 法 (2)
◇タイプBの維持管理手法
◇タイプBの維持管理手法
複数の代替案毎に回復する便益(機能)に差がない場合
複数の代替案毎に回復する便益(機能)に差がない場合
◇コストを現在価値化して評価
◇コストを現在価値化して評価
宮下橋のLCC分析結果
LCC分析の例
取水放流設備、管理設備、
電気・通信設備など
16,000,000
累積補修費用(円)
一般的には時間基準保全
により管理されてきたもの
18,000,000
14,000,000
C→A
12,000,000
10,000,000
8,000,000
6,000,000
B→A
4,000,000
2,000,000
0
2005
2015
2025
2035
2045
年度
B→A
C→A
2055
2065
維 持 管 理 手 法 (2)
■ タイプB ■
Cで採用案を決定→A案
B
A案
事
業
期
間
C
B
B案
事
業
期
間
C
維 持 管 理 手 法 (2)
タイプBの保全方法は以下のように分類できる。
計画事後保全 (意識的に故障するまで使用し、故障後に保全するもの )
事後保全
緊急事後保全 (想定外の故障により緊急に保全するもの )
保全方式
時間基準保全 (経験に基づき一定期間毎に保全を行うもの)
予防保全
状態基準保全 (定期的に振動、圧力などの状態測定を行い、診断
結果に基づいて保全を行うもの)
※これまでは時間基準保全が主体。
ダムの維持管理を考えるに当たり、状態基準保全のもとで効率的な
管理方法を検討する。
維 持 管 理 手 法 (2)
「時間管理保全の問題点は・・・
「時間管理保全の問題点は・・・
①
① 偶発故障期間中の故障は防げない
偶発故障期間中の故障は防げない
②
② 摩擦故障期間や初期故障期間の故障率上昇は避けらない。
摩擦故障期間や初期故障期間の故障率上昇は避けらない。
③
③ 上記故障を避けるために保全期間を短くすると保全コストが過大になる。
上記故障を避けるために保全期間を短くすると保全コストが過大になる。
(過剰保全)
(過剰保全)
状態保全は鉄鋼業を中心に診断技術開発が進み、適用されている。(モータ、
状態保全は鉄鋼業を中心に診断技術開発が進み、適用されている。(モータ、
ポンプ等回転設備)。放流設備への適用が考えられる。
ポンプ等回転設備)。放流設備への適用が考えられる。
①初期
故障期間
故
障
率
一定の
故障率
②偶発
故障期間
③摩耗
故障期間
偶発故障は防げない
××
①
②
③
故障率上昇
×
×
××
時間
保全
維 持 管 理 手 法 (2)
状態基準保全の考え方
状態基準保全の考え方
定期的な簡易診断で振動や圧力を測定し、測定値が一定の注意レベル
定期的な簡易診断で振動や圧力を測定し、測定値が一定の注意レベル
に達した時に精密診断を実施して、結果をもとに保全行動をとる考え方。
に達した時に精密診断を実施して、結果をもとに保全行動をとる考え方。
時間保全との違いは以下のとおり。
時間保全との違いは以下のとおり。
①
① 状態観測を定期的に実施して、その結果を受けて保全時期を決定。
状態観測を定期的に実施して、その結果を受けて保全時期を決定。
②
② 診断結果で劣化が進行していないと判断された場合は保全行動をとら
診断結果で劣化が進行していないと判断された場合は保全行動をとら
ない。
ない。
③
③ 診断レベルを2段階(簡易診断と詳細診断)として、機器の機能上の重
診断レベルを2段階(簡易診断と詳細診断)として、機器の機能上の重
要度別に設定することで効率化が図れる。
要度別に設定することで効率化が図れる。
指
標
簡
易
診
断
詳
細
診
断
簡
易
診
断
簡
易
診
断
簡
易
診
断
簡
易
診
断
簡
易
診
断
簡
易
診
断
詳
細
診
断
危険レベル
注意レベル
時間
保全
保全
維 持 管 理 手 法 (3)
◇タイプCの維持管理手法
◇タイプCの維持管理手法
機能低下が想定できない場合(予防的な保全が困難なもの)
機能低下が想定できない場合(予防的な保全が困難なもの)
◇施設点検・管理マニュアルによる対応
◇施設点検・管理マニュアルによる対応
既存の巡視、観測の結果
を分析・評価し、維持管理指
標や計測頻度にフィードバッ
クする
※モニタリングとフィードバッ
ク重視
資料:PFIの適用について(1)
ダムの維持管理の検討を行っていくにあたり、PFI導入の効
ダムの維持管理の検討を行っていくにあたり、PFI導入の効
果について検討を行っておくことが必要と考える。
果について検討を行っておくことが必要と考える。
PFIの適用の考え方について、以下整理する。
PFIの適用の考え方について、以下整理する。
資料:PFIの適用について(2)
PFIによる平準化の考え方
ダム事業の段階と情報量及びコスト
<施工段階>
データ量の増大
安全管理、流水・貯水池管理
設備や機器の維持管理・修繕、ダム再開発
データを評価して
フィードバック
<維持管理の合理化・低コスト化>
ダムの効果、堤体及び貯水池機能維持
維持管理や修繕方法の精査、ダム事業評価
機能維持のためのコスト増
<維持管理段階>
ダム建設コストの増
<計画・調査・設計段階>
IT技術を活用したシステムの導入
データベースと分析機能 GIS[地理情報システム] ネットワーク
◇
システムの導入効果
◇システムの導入効果
①維持管理コストの最適化
①維持管理コストの最適化
②日常業務の効率化
②日常業務の効率化
③非常時(災害時)の迅速かつ的確な対応の支援
③非常時(災害時)の迅速かつ的確な対応の支援
④適切な情報公開による行政サービスの向上
④適切な情報公開による行政サービスの向上
システムのイメージ
ダム工事事務所
○○ダム管理事務所
<ダム管理システム(Ver1.0)>
ダム事業に資する
情報の抽出、分析
システム
ダ ム管 理 DB
連携
※1
ダム コ ン
データベースエンジン
※2
WebGIS エンジン
迅速な対応方
針の意思決定
連携
Web 公開用 DB ※3
ダム・河川に
ついて研究し
よう!!
インターネット
国・整備局
市町村等
定型資料
の交換
研究者
一般市民
近所のダム・川
について調べ
よう!!
情報管理システム構築の基本的考え方
地
形
地
質
D
B
点
検
整
備
D
B
保
全
履
歴
D
B
分
析
シ
ス
テ
ム
・WebGISを基盤
・システムとデー
タの一元管理
ダム情報管理システム
事務所内LAN
データベースエンジン
WebGISエンジン
○○課の職員
○○課の職員
多くの管理施設を対象と
し、さらにダム群とすること
でより高効率化が可能!
また、予算執行上の自由
度も向上!
◇
◇ WebGISの効果
WebGISの効果
①地図と関連付けた対応となり、どこがどんな状況であるかを視覚的に把握可能
①地図と関連付けた対応となり、どこがどんな状況であるかを視覚的に把握可能
②いつでも、どこからでもアクセス可能(ユビキタスな環境)
②いつでも、どこからでもアクセス可能(ユビキタスな環境)
③情報公開に容易に対応可能
③情報公開に容易に対応可能
◇
◇ 一元化の効果
一元化の効果
①データ検索速度向上
①データ検索速度向上
②バックアップ、停電対策のためのコスト縮減
②バックアップ、停電対策のためのコスト縮減
③利用者が、インストール作業を行うことなくシステム利用が可能
③利用者が、インストール作業を行うことなくシステム利用が可能
④システムバージョンアップに対しても、再インストールが不要
④システムバージョンアップに対しても、再インストールが不要
整備対象データ(案)
◆
◆ダム管理DB
ダム管理DB
◆
◆環境DB
環境DB
◆
◆地図DB
地図DB
①流域界
②河川網
③土地利用
④地形(等高線)
⑤航空写真
◆
◆地質DB
地質DB
①動植物
(確認地点、植生図)
②水質
③流量
④瀬淵
⑤横断構造物
⑥親水施設
⑦施設の利用実態
⑧歴史的構造物
⑨景観
◆
◆用地DB
用地DB
①ボーリング諸元(X,Y,Z座標、孔番)
②柱状図
③コア写真
④ルジオンテスト結果
⑤孔内計測データ
⑥横坑(展開図,写真)
⑦強度・変形試験結果
⑧地質断面図
⑨パネルダイアグラム
(地質区分、岩級区分)
①用地測量
②買収状況
◆
◆管理DB
管理DB
①気象データ(気温、降水量)
②水象データ(流入・放流量、貯水位)
③計測データ(漏水量、揚圧力、変位)
④施設の維持・修繕、更新のデータ