「融合」でイノベーションを起こす - FUJIFILM Holdings

研究開発体制
About Fujifilm
当社グループは数々の
1934年の創立以来、
経営者メッセージ
中期経営計画
「VISION2016」
成長を支える基盤
営業概況
財務セクション
会社情報
インタビュー
日本初・世界初の製品・サービスを生み出してきました。
それを支えているのは、
独自の研究開発体制です。
時代の大きな変化や厳しい競争を
ビジネスチャンスとしてとらえ、2006年以降、
体制を抜本的に見直し、グループが保有する
多彩な技術力の横断的融合を促進しています。
「融合」
でイノベーションを起こす
富士フイルムグループの
研究開発におけるポテンシャル
富士フイルム株式会社
執行役員 R&D 統括本部長
柳原 直人
などさまざまな技術を持つ異分野の研究者の知識や思考
アプローチを融合させ、
新たなイノベーション・技術と価値
を創造することを目的としています。開所以降、数々の製
品・サービスがこの研究所から生まれています。
新たな価値の創造に向けて
「イノベーション」
というと、とかく技術革新を想起しが
ちですが、鼻を利かせて世の中の潜在ニーズを探り当て、
かゆいところに手が届くようなソリューションを提供する
こと、そのために技術のみならずあらゆるものを新結合
させて顧客価値を創造することが肝と考えています。そ
の仕掛けの一つが、2014年1月に開設した「オープンイノ
研究開発費/研究開発費比率*
億円
2,000
%
1,682
12.0
1,611
1,644
1,500
68
9.0
657
7.6
6.7
1,000
6.5
6.0
629
500
3.0
257
0
’12
’13
’14
(年度)
0
イメージング ソリューション
インフォメーション ソリューション
ドキュメント ソリューション
コーポレート
研究開発費比率(右軸)
* 2013 年度第 1 四半期に行われた組織変更により、光学デバイス事業を
インフォメーション ソリューションからイメージング ソリューションへ
変更しています。これに伴い、2012年度の数値をリステートしています。
研究開発体制の改革
ベーションハブ」
であり、この場を活用し、
社内横断的だけ
当社は、急速に市場が縮小した写真フィルム事業に代
でなくビジネスパートナーとも密に情報のキャッチボール
わる新たな事業の創出を目指し、事業構造改革とともに
を行っています。
研究開発体制も大きく変化させてきました。まずは R&D
研究開発に知性と感性に加えて野性を取り入れるこ
の全体戦略の立案と推進のための R&D 統括本部を設
とでイノベーションを起こし、当社の成長に貢献していき
置しました。本組織内の技術戦略部門では、R&D 戦略立
ます。
案とともに、経営資源の最適配分や研究プロセスの改善
などを推進しています。
また、それまで地域・機能別に分散
していた拠点を、既存事業分野の商品を開発するディヴィ
ジョナル研究と、要素技術や新規事業を拓く製品の開発
主に後者を先進
を行うコーポレート研究の2つに再編し、
研究所に集約しました。先進研究所のコンセプトは「融
知・創新」。化学だけでなく、
物理、
光学、
エレクトロニクス
2006年に開所した先進研究所
FUJIFILM Holdings Corporation
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イノベーションの現場
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富士フイルムグループでは、グローバル市場のニーズを満たす製品・サービスをスピーディーに開発し、
提供していくことを目指しています。
現在当社グループが推進しているグローバルなイノベーション創出のための施設についてご紹介します。
オープンイノベーションハブ
お客様共創ラボラトリー
Tilburg Research Laboratories
FX Palo Alto Laboratory, Inc.
日本、
米国、
欧州(予定)
日本
オランダ・チルバーグ
米国・カリフォルニア州・パロアルト
新しい技術・材料・製品などに直接触れていただきなが
議論を通じて、潜在するニーズや将来の経営課題を明ら
ら、ビジネスパートナーにソリューションを提案してい
かにしています
ます
「ガス分離膜」や「イオン交換膜」
主にマルチメディア技術や情報関
など、環境・エネルギー分野への
連技術に特化した研究が行われ
関心が高い欧州ならではの研究
ています
が進められています
これまで富士フイルムグループが培って
2010 年に「徹底したお客様視点での新た
1993 年にオランダ・チルバーグにある生
1995年に米国カリフォルニア州・パロアル
きた基盤技術やコア技術、
開発中の技術・材
な価値創造」を目指して富士ゼロックス
産工場 FUJIFILM Manufacturing Europe
トに開所した富士ゼロックスの研究拠点。
料・製品などに直接触れていただきながら、
お客様・パートナー・
R&Dスクエア内に開設。
B.V. 内に開所。当初は同工場で製造してい
主にマルチメディア技術や情報関連技術の
ビジネスパートナーにソリューションを提案
大学・研究機関の方々と議論しながら、
潜在
たカラーペーパーやカラーフィルム、
インク
研究を行っており、その研究成果が富士ゼ
する施設として 2014 年に当社東京本社内
するニーズや将来の経営課題を明らかにす
ジェットペーパーなど写真関連製品の生産
ロックスのサービス技術開発を支えていま
に開設。ビジネスパートナーが持つ課題や
るための場。関係者の方々との質の高いコ
技術の研究開発を行う拠点でしたが、2008
す。画像認識技術を活用して、印刷物から
アイデア、潜在的なニーズと自社の技術を結
ラボレーションを基に R&D 活動を展開し、
年頃から新たにマーケティング組織を立ち
ウェブ サイトやコン テン ツ へリンクする
びつけて価値を
「共創」し、画期的な新しい
見出した課題に応える新しい価値づくりを
上げてニーズの探索を進め、環境・エネル
マーケティングサポートサービス「SkyDesk
製品やサービスを市場に投入していくこと
実現します。施設では、富士ゼロックスが社
ギー分野の研究開発に取り組み始めまし
Media Switch」に使われている、半透明な
を狙っています。オープン以来400社を超え
内やお客様の経営課題解決のために取り
た。現在は、インクジェットペーパーの研究
や、
マーカー「Embedded Media Markers」
るお客様が来訪し、既に試作品の提供まで
組んだ最新の実践事例と関連技術を紹介し
開発で培った技術をベースに、ガス田で各
動画に含まれるテキスト
(文字列)
に着目し、
進展しているお客様は 40 社以上に上りま
ています。
種のガスを分離するのに使われる「ガス分
動画のシーンをテキストで簡単に検索できる
す。同様の施設を米国に 2015 年 6 月に開設
離膜」や浄水に使用される「イオン交換膜」
「動画インデキシング技術」などが、この研
し、9月には欧州にもオープン予定です。
などの開発を行っています。
究所で開発されました。
FUJIFILM Holdings Corporation
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