九州の 九州 の 自然学散歩- 自然学散歩 -15「 15 「開聞岳と 開聞岳と 池田湖」 池田湖」 薩摩半島の先端に屹立する「開聞岳」は、標高千メートルに足らない山です が、「深田久弥の百名山」に依れば、他の緒山に伍してその名を誇っているの は、そのユニークさにあると言います。それはほぼ完璧な円錐形の成層火山 であり、その全身を海中に乗り出した卓抜な構造にあると記されています。 この火山の噴火は僅か 4 千年前より始まり、現在の山体に形成されたのは 1 千百年前と言いますから、さしずめ平安新山と名付けても良いくらい若い 火山なのです。 山体の地質は上下に二分されており、標高約 650mまでの下段は硬い玄武岩 溶岩で、それより上部は安山岩のテフラ(火山灰)となっています。下図の3D登山道図で明らかな 様に7合目辺りの陸側北東部にくびれた段差があり、そこが下段山体の噴火口の縁に当たります。 登山道は麓から頂上まで螺旋状に山を巻いて登り、丁度一周して頂上に到達する他に例を見ない ユニークなルートで、この山が綺麗な円錐体で放射谷が殆んど無いから可能となる道なのです。 一方、「池田湖」は開聞岳の北東僅か 7kmの位置にある、直径約 3.5kmのカルデラ湖で、両者は 共に巨大な阿多カルデラ(前報)の構成要素の一部なのです。池田カルデラは約 5 千 5 百年前に噴火 し、周囲に中規模の火砕流テフラを残しています。またカルデラ周囲はほぼ円形に近い急崖が形成さ れており、北側の湖畔から、カルデラ崖越しに見える優美な開聞岳は正に絶景と言って良いでしょう。 両者共に現在は火山活動を休止していますが、周辺地域の指宿海岸では砂湯温泉が営まれており、 山川地熱発電所(出力:30,000KW)が稼動していることからも、依然としてマグマが残存し活動して いる事が分かります。 過去に、開聞岳の噴出と池田湖の陥没 が連動して起きたという愉快な仮説が あった様で、両者が近接しており、しか も底盤の大きさがほほ同じというのが 根拠だというのです。 しかし地質学的観点では両者の活動時 期に 1,000 年以上の時間差があり、池田 カルデラの大きさに見合う火山噴出物 が周辺の地層に残されている事実関係 が判明し、直接的な因果関係はなかった と指宿市史に記されている様です。 池田湖のカルデラ崖越しの開聞岳 開聞岳の地形図(点線が登山ルート) ・Web「なおの山岳情報」の中から転載
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