1.学習する方法と弁証法(教科書 p1) 学習しようとする新しい情報には

1.学習する方法と弁証法(教科書 p1)
○学習しようとする新しい情報には,理解して記憶することが望ましい情報と理解せずに記憶する
ことが望ましい情報がある.
○一般に,学習する方法は,演繹法と帰納法である.
○考える方法は,学習する方法と弁証法である.そして,帰納法と弁証法は,創造する方法である.
○弁証法はピタゴラスの定理と同じように,学習する方法によって求めた方法であり,学習すると
いう目的のための有力な手段である.
1.1
学習する方法(教科書 p1∼p3)
○ピタゴラスが,ピタゴラスの定理を開発したであろう思考の過程を,帰納法,演繹法,弁証法を
用いて推測した結果は次のようである.
(1)三辺の比が 5:4:3 である三角形は直角三角形であり,52=42+32 となる.この事実を事実①とす
る.そして二等辺直角三角形 ABC においても式が成立する.この事実を事実②とする.
(2)ピタゴラスは事実①と事実②から,事実①と事実②の場合のような特殊な直角三角形だけでな
く,その他の直角三角形の場合でも,一般に式が成立するのではないかという発想を得た.
(3)特殊な直角三角形ではないその他の直角三角形を含む全ての直角三角形の場合でも,式が成立
することを確信・確認した.
(4)式が成立することを証明した.
○一般に,(1)の方法は演繹法である.そして,(2),(3),(4)の方法は帰納法である.誰でも日常的に用
いている方法である.
○しかし,(3)は弁証法である.弁証法は全体法である.三平方の定理を想定した(2)の段階の帰納法
と区分する必要がある.(2)は部分である.(3)は全体である.(4)は演繹法である.一般に,帰納
法とされる(2),(3),(4)の方法のなかに全体法(弁証法)がある.
○帰納法,演繹法,弁証法の三つの方法は,一般の人々が職場や家庭などで用いている.ここで重
要なことは,三つの方法を意識せずに用いるのではなくて,意識して用いることが,学習の生産
性を向上させる方法であるということである.
教科書 p6 演習問題(1)ピタゴラスの定理の場合,定理を証明することと,定理を理解することの相
違点を示せ.
教科書 p6 演習問題(1)ピタゴラスの定理の場合,定理を証明することと,定理を理解することの相
違点を示せ.
ピタゴラスの定理において、定理を証明することは、定理の存在を前提とした作業である。一方、
定理を理解することは、定理の存在を前提としない、定理の存在を認識・確信する作業である。
定理の存在を前提とする場合と前提としない場合では、その作業に大きな違いがある。