小学校第 1 学年における操作の手順を表す図的表現の一提案

関算研通信
小学校第 1 学年における操作の手順を表す図的表現の一提案
四條畷市立岡部小学校 草地貴幸
小学校第 1 学年の計算の指導では、まずは問題の場
面を具体物や半具体物の操作で表すことで問題場面
に」と説明をして、図を根拠にして立式をすることが
できていた。
の心的表象を作るようにする。そして、その心的表象
を足掛かりにして計算の仕方も理解するようにして
いく。その際に問題場面の心的表象が立式の根拠とな
り、操作の手順が計算の仕方となる。さらに適用の場
面で徐々に操作を図に置き換える活動を行うことで
具体物や半具体物がなくても問題場面の心的表象を
作ることができるようにしていく。最終的には、操作
や図がなくても問題場面の心的表象と計算の仕方を
理解できるようにしていくことになる。
本通信では操作の手順を表す図の書き方の提案を
したい。具体物や半具体物の操作の代わりとなる図を
描くためには、それらの操作の手順がわかるように書
図1 A 児のノート
かなければならない。操作の手順を表す図的表現には、
番号を書いたり、矢印を描いたりする工夫がある。そ
のような方法では、2 口の計算のときはよいが、3 口
の計算のときには矢印が重なったり番号の意味が分
からなくなってしまったりすることがある。そこで本
稿では、色を使った順序の表し方を実践してみること
にした。なぜなら色で手順を表すようにすると、文章
に図と同じ色で線を引くことができ、視覚的に分かり
やすく文と図を対応することができるからである。こ
の実践を行うきっかけとなったのは、1 年生の国語科
ではひらがなや漢字の書き順の表し方に色を使って
いることから、それらの色の順序と計算の順序を対応
させることで計算の順序を表すようにできるのでは
図2 B 児のノート
ないかと考えたからである。計算の順序が大切になる
3 口の計算での実践を報告する。
色を使った順序を表す方法は文と図を対応させる
順番を表す色を漢字やひらがなの学習と対応させ
ことに有効だっただけでなく、図だけでなく説明を書
て次のように決めた。1 番目の操作は赤色、2 番目の
く活動を積極的に行う児童が多くなった。このことか
操作は青色、3 番目の操作は緑色、4 番目の操作は黄
ら、色を使って操作の手順を表す活動は文のイメージ
色で表すことにした。
を創る手助けに有効であったと考えられる。
実践で子どもが書いたノートが図1、図2である。
色別の1㎥のキューブを操作する活動をするとさ
これらはたし算だけをしていけばよいという問題で
らに文と対応させた図をイメージできるようになる
はなく、図1や図2のようなたし算とひき算の混在す
のではないかと考えられたので、次の実践では色別の
る3口の計算である。
キューブを活用してみたい。
色に合わせて子どもたちは「まず」
、
「次に」
、
「最後