● 海外進出リサーチ インドネシア・バリ島進出の和⾷料理店のケース <依頼内容> インドネシア・バリ島に⽇本料理店の開業を計画中のある地⽅の経営者よりの依頼です。 同時にインドネシアの電⼒事情が不安定なこともあり、発電事業を視野に⼊れての将来の事業も 検討中。特にバリ島は数回程度しか訪問しておらず、良い⾯しか⾒えてこない。 そこで和⾷料理店・電⼒事業両⾯のリスクサーベイの依頼が会員を通じてありました。 担当提携団体 NPO 法人 RKH 研究所をはじめその他人脈にリサーチを依頼。 以下がそのレポートです。 レポート 1 1. バリ島の電⼒事情 ① 電⼒消費実績と予測 2008 年 486MW 2010 年 550MW 2011 年 600MW(Peak) 2015 年 1015MW 2018 年 1271MW ② 現在の供給可能電⼒ バリ島内発電電⼒ 433MW ジャワからの海底送電 200MW 合計 633MW (供給実績 ③ 573MW) 近未来の供給体制 海底ケーブル 300MW 150kV2 回線、住商-J.パワーシステムズコンソーシア ム受注済み JBIC-三井住友銀⾏協調融資、34.8 億円 ④ 将来計画(時期未定) 島内 IPP 第1期⽕⼒ 2 ヵ所(380MW+200MW) 第 2 期地熱 120MW 海底ケーブル 1600MW(500kV 直流送電) ⑤ 電⼒供給能⼒ 上記③の 300MW が⼯事着⼿スタートを切った。 ただし、本土ジャワ島からの供給が心配。 ジャワ含む総最⼤発電能⼒ 16,000MW に対して、 最⼤負荷 15,662MW。年率 7.2%増⾒込み。 従い、バリ島の現在の電⼒事情は良くない。 2. 自家発電装置を設置する必要性ホテルなどは自家発電装置必須。 3. 売電の可能性 IPP 化が進んでいる。 但し、小規模自家発電による送電端の発電精度(波形、電圧変動 etc.)、 安定発電供給量等々の、買電マネージ組織体が⾏政ベースで出来ているかの調査が必要。 4. 売電だけの目的であれば、太陽光発電のメリットは今のところ ほとんどない。 そのほかの目的、たとえば、自社の PR やインドネシアのスマートコミュニティプロジェク トへの参画などを考えるのであれば可能性なしとは言えない。 5. これ以上の情報が必要な場合は、現地事情に精通した人とのコンタクトが必要になります。 リポート 2 1. 和⾷店のバリ島進出について あらゆる視点でリスクサーベランスを実施することをお勧めいたします 40 年以上にわたりシンガポールで和⾷店を2店舗経営している⽅を紹介。 2. 電⼒事業の件について 情報を収集の結果、リスクは高いと推測されます。 インドネシアの既得権構造は、世界 196 ヵ国中 汚職率 100 位で決して良くりません。 IPP に関して援助の実施可能性については、単なる政策法律のみの調査では不⼗分の可能性 があります。 いくつか述べましたが、カントリーリスクが⼤いにあり、⽇本とは比べようのない環境の違い があり、可能な限り情報を取られて検証しリスクマネージメントされての実⾏が肝要です。 (追加リポート) 1. インドネシアで 和⾷店開店で献⽴を如何にするか? 生ものはかなり注意。インドネシア 等南⽅の⾷べ物は、煮炊きが常識です。⼤使館関係者が紹介する洋⾷店と和⾷店で出される 最高のご馳⾛は生の野菜サラダです。これは⽇本では加⼯度の低いものですが、熱帯では蒸 留⽔で充分洗う⼿間が掛かります。周囲の環境保持も⼤変です。誰を対象に和⾷を提供する のか?かなりの高コストの覚悟が必要ですから、顧客や採算⾯で目途と⼯夫が必要と思われ ます。 従業員の採⽤も配慮が要りますが、訓練した者の定着率は低いのが実情です。 回教徒が多いと思われますから、考え⽅が違います。 富んだものは貧者に施すことが当然とのカルチャーがあります。この違いを充分理解するこ と、更に冷蔵庫も鍵が必要かもしれません。勝⼿に持出しても多分罪の意識はないでしょう。 2. バリ島の魅⼒については、異論はありません。この地に別荘を建てられるなら特に問題は無 いと思われますが、和⾷店経営はかなり慎重にならざる得ません。 3 年もこの地におられて、良く⾒極めて結論を出されたなら異論はありせんが、数回の訪問 で和⾷にヒントをえられたことはいささか疑問があります。 100 年以上の付き合いが⽇本にはありますが もしこの案が魅⼒ある提案なら、成功者・先 ⾏者がかなりいるはずです。このあたりの実⾏例、失敗例等調査が必要と思います。多分、 公表はしないもののかなりあると思われます。 3. 自然エネルギー重視については、バリ島の電⼒事情についての危機感、何らかの対策や必要 性もあると思います。当然 IPP(卸電⼒事業)の実施例もありますが、個人レベルでの参⼊ にはいささか疑問があります。 電⼒需給関係の弱点は、負荷の偏重が激しいことですから晴れの時には誰でも売りたがるが 真に必要な時には供給者不在になります。これが電⼒不安定の元です。自衛上、自前のバツ クアツプ電源を持つことの必然性はありますが、これを自然エネルギーで賄おうと考える事 は良しとしても、採算⾯からは期待を持たない⽅が良いと思います。 自然エネルギーは 太陽にしろ風⼒にしろ気まぐれで需要に関係なく安定しません。 この辺の補完の仕組みは蓄電池やコントロールの補助設備が必要です。 また、太陽光も発電効率が低く広いスペースが要ります。台風等での災害対策等々初期投資 ⼤きく無視出来ません。また施⼯者の信頼性と保守が必要となります。 電⼒投資を借り⼊れまでして実⾏は慎重な検討が必要です。 (追加情報) インドネシアバリ島の太陽光発電に 関連 (1) シャープがインドネシア政府と太陽光発電事業の共同調査を実施する。 (サイト http://nna.jp.インドネシア太陽光発電で 検索。) (2) インドネシアへの太陽光発電で、パナソニック、⽇揮、三井物産連動で数百億円の規模の⼤ 型プロジェクト獲得に乗り出す、といった記事が⾒つかり先⾏する中国企業等に対抗する動 きが活発になっている感があります。 (3) これは個人的な意⾒ですが太陽光発電の事業性については、通常の発電エネルギーである、 天然ガス、石炭でも発展途上各国で判断するのは 容易でなく、ましてや新エネルギーであ る太陽光発電は慎重にするべきと考えます。 (4) (シャープがインドネシア政府と組んで調査を⾏うような公的ルートを絡ませて⾏うべきか と考えます。 (5) これらは、個人レベルでなく、プロジェクトレベルの話と判断します。 (追加) バリ島中部の「ウブド地区」で数年間ホテルを経営、2年前帰国した⽅およびシンガポールで⽇ 本料理店を展開している経営者、インドネシア国営電⼒公社PLNの⽇系顧問企業の紹介を打診。 追記 現在も様々な案件についてご相談を受け、リサーチ継続中、必要人物のご紹介、商材のご紹介ま で また必要であれば現地⾦融機関の紹介まで準備しております。
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