未来に生きる子どもたちのための森づくり

優 良 賞
未来に生きる子どもたちのための森づくり
特定非営利活動法人どんぐり 1000 年の森をつくる会
特定非営利活動法人どんぐり1000年の
なひと粒のどんぐりに1000年の夢を」で、
森をつくる会は、1996年7月に発足して
会員は「できるときに、できる人が、でき
以来、宮崎県内を流れる大淀川流域の山々
ることをやる」を基本に活動。2010年に
を昔のような里山に戻すために、どんぐり
は子どもたちがより身近に森と親しみ、自
(広葉樹の総称)を拾って苗木に育て、山
然と触れ合える環境づくりを目指し、市街
に植えるという活動を続けている。
地近くに「どんぐり村(子ども自然塾)」
初代会長である鳥集忠男氏(故人・民俗
を整備し、その拠点となる「どんぐりの森
学研究家)の「子どもたちにどんぐりの芽
図書館」も建設した。
を見せたい。子どもは生命の輝きに感動す
どんぐり村では竹や小枝などを使った隠
る」という言葉が活動の原点だ。15年間、
れ家づくりや森の探検など、さまざまな自
一貫して広葉樹の森づくりに取り組んでい
然体験ができる。夏季には子供たちが好き
る。
なクワガタやカブトムシが集まるように、
植樹地はスギなどを伐採したあとの国有
クヌギやコナラも植栽した。
林(宮崎県を流れる一級河川「大淀川」の
同会の活動は、ただ単に木を植えるだけ
上流を基本とする)で、森林管理署と80年
ではなく「風土は人をつくる」の理念に基
の分収造林契約を結んでいる。これまでに
づいた豊かな郷土・人づくりにつながる、
15カ所・約53haに12万7000本のどんぐり
1000年の夢をかけた壮大なプロジェクト。
を植樹した。“切らない森づくり” を目指し
それが未来に生きる子どもたちのために、
ており、植樹後5年間は下草刈りなどの管
唯一のことであるという信念に基づいてい
理をするものの、その後は自然淘汰で木の
る。
成長を見守る。
植樹1本につき500円の協力金
を負担して も ら う「 株 主 」 を 募
り、5年間の管理費に充てる。株
主は毎年1万人を目標に募集し、
7000人程度の協力がある。毎年
3月中旬に開かれる植樹会には
400−600人の株主とその家族が
参加し、植樹地の面積に合わせて
1万−1万3000本を植えている。
同会のコンセプトは、
「今でき
ること 私たちにできること そ
して未来に つ な が る こ と 小 さ
今年の植樹会には600人余りが参加(3月20日)
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植樹会には親子連れの姿が目立つ
「どんぐり村」
(子ども自然塾)の「どんぐりの森図書館」
「どんぐり村」で隠れ家づくりを楽しむ子供たち
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