新ひだか町人口ビジョン (現状分析編) 第1 人口の現状分析 過去から現在に至る人口の推移を把握し、その背景を分析することにより、講ずべき 施策の検討材料を得ることを目的として、時系列による人口動向や年齢階級別の人口移 動分析を行う。 ■1 時系列による人口現状分析 (1)総人口の推移と将来推計 ・新ひだか町では、高度経済成長期の1965年頃(35,754人)をピークに人口の減 少が続き、1980年頃(33,190人)には、一時的に第2次ベビーブーム等により人 口の増加が見られたが、1980年代後半から1990年代前半までのいわゆるバブル経 済期では、都市部への人口流出が多く1995年頃(29,225人)には人口が3万人以 下となり、その後現在まで人口減少が続いている。 ・2015年以降の国立社会保障人口問題研究所(社人研)の推計によれば、今後、 人口は急速に減少を続け、平成52(2040)年には、約16,000人(現在から約35 %減少)になるものと推計されている。 図表1 総人口の推移 40,000 35,000 30,000 社人研による推計 25,000 総 人 口 20,000 ( 人 ) 15,000 10,000 5,000 ※ 2010年までの総人口は国勢調査より作成、2015年以降は社人研推計値より作成 - 1 - 2040年 2035年 2030年 2025年 2020年 2015年 2010年 2005年 2000年 1995年 1990年 1985年 1980年 1975年 1970年 1965年 1960年 1955年 1950年 0 (2)年齢3区分別人口の推移 ・1965年~1985年は、15歳~64歳の生産年齢人口が維持されていたが、それ以降 のバブル経済期を境に減少が続いている。 ・0~14歳の年少人口は出生率の低下により長期的に減少傾向となっている。 ・一方、65歳以上の老齢人口は、1995年頃年少人口を上回りさらには、生産年齢 人口が順次老年期に入り、また、平均寿命が延びたことから、一貫して増加傾向 となっている。 図表2 年齢3区分別人口の推移 40,000 35,000 30,000 社人研による推計 25,000 ( 総 人 口 20,000 人 ) 15,000 10,000 5,000 総人口 0~14歳 15~64歳 65歳以上 ※ 2010年までの総人口は国勢調査より作成、2015年以降は社人研推計値より作成 - 2 - 2040年 2035年 2030年 2025年 2020年 2015年 2010年 2005年 2000年 1995年 1990年 1985年 1980年 1975年 1970年 1965年 1960年 1955年 1950年 0 (3)出生・死亡・転入・転出の推移 ・自然増減(出生数-死亡数)については、出生率の低下・生産年齢人口の減少 の影響で一貫して出生数が減り続けたが、平成12(2000年)年までは平均寿命 の延びを背景に死亡数がそれほど増えず「自然増」であった。しかし平成17 (2005)年以降は死亡数が出生数を上回る「自然減」の状態となっている。 ・社会増減(転入数-転出数)については、平成22(2010)年までは、転入・転 出とともに年による変動はあるものの一貫して転出超過「社会減」が続いている。 図表3 出生・死亡数、転入・転出数の推移 40,000 5,000 4,500 35,000 4,000 30,000 3,500 社人研による推計 転 入 3,000 転 出 数 / 2,500 出 生 死 2,000 亡 数 人 ・ 25,000 ( 総 人 口 20,000 人 ) ・ ( ) 15,000 1,500 10,000 1,000 5,000 500 0 0 総人口 出生 死亡 転出 転入 ※ 2010年までの総人口は国勢調査より作成、2015年以降は社人研推計値より作成 ※ 転入・転出/出生・死亡数は住民基本台帳人口移動報告書より作成 - 3 - (4)総人口の推移に与えてきた自然増減と社会増減の影響 ・1960年から2000年までは自然増・社会減が続いていたが、出生率の低下等に よる自然増が減少し2005年以降は自然減・社会減となり、急激な人口減少局面 に入りつつある。 図表4 総人口に与えてきた自然増減と社会増減の影響 自 然 増 減 数 人 600 ( ) 1960年 (起点) 500 400 300 200 100 社会増減数(人) 0 2005年 -100 2010年 (終点) -200 -600 -500 -400 -300 -200 -100 0 100 200 300 400 500 600 ※ 2010年までの総人口は国勢調査より作成、2015年以降は社人研推計値より作成 ※ 転入・転出/出生・死亡数は住民基本台帳人口移動報告書より作成 - 4 - ■2 年齢階級別の人口移動分析 (1)性別・年齢階級別の人口移動の状況 ・男性においては、10~14歳から15~19歳になるとき、及び、15~19歳から20~ 24歳になるときに大幅な転出超過となっているが、20~24歳から25~29歳になる ときに大幅な転入超過となっている。 これらは、高校や短大・大学への進学に伴う転出、及び大学卒業後のUターン 就職に伴う転入の影響が考えられる。 20歳代後半以降の世代については、町外への転職等により、すべて大幅な転出 超過となっている。 ・女性においては、男性同様に10~14歳から15~19歳になるとき、及び、15~19 歳から20~24歳になるときに大幅な転出超過となっているが、20~24歳から25~ 29歳になるときに転入超過となっている。同増加数を男性と比較すると、女性の 増加数は大きく少ないことがわかる。 これらは、高校や短大・大学への進学に伴う転出、及び大学卒業後の女性のU ターン就職先不足による影響が考えられる。 また、20歳代後半以降の世代については、男性同様に町外への転職等により、 すべて大幅な転出超過となっている。 図表5 平成17(2005)年→平成22(2010)年の年齢階級別人口移動 100 2005年→2010年 男 純移動数(人) 50 2005年→2010年 女 0 -50 -100 85歳~→90歳~ 80~84歳→85~89歳 75~79歳→80~84歳 70~74歳→75~79歳 65~69歳→70~74歳 60~64歳→65~69歳 55~59歳→60~64歳 50~54歳→55~59歳 45~49歳→50~54歳 40~44歳→45~49歳 35~39歳→40~44歳 30~34歳→35~39歳 25~29歳→30~34歳 20~24歳→25~29歳 15~19歳→20~24歳 10~14歳→15~19歳 5~9歳→10~14歳 -200 0~4歳→5~9歳 -150 ※ 国勢調査より平成17年度と平成22年度の5歳階級別人口の差から純移動数を推計し作成 - 5 - 図表6 年齢階級別の人口 (人) 30,000 25,000 133 290 586 841 213 436 699 331 1,200 1,077 489 922 1,584 1,463 2,005 1,273 382 624 1,005 1,918 1,750 1,541 1,988 1,892 85~89歳 1,836 1,679 20,000 2,034 2,368 1,903 1,839 90歳以上 80~84歳 75~79歳 1,742 70~74歳 65~69歳 2,276 2,188 2,160 2,080 1,990 1,676 1,638 1,542 1,698 1,606 2,075 60~64歳 55~59歳 15,000 2,229 1,760 1,845 45~49歳 1,654 1,625 1,496 1,791 1,673 1,694 1,655 1,861 1,611 1,494 1,241 1,596 1,134 1,971 1,510 25~29歳 20~24歳 15~19歳 10~14歳 1,302 0~4歳 886 1,122 1,469 1,573 35~39歳 5~9歳 1,908 5,000 40~44歳 30~34歳 1,870 10,000 50~54歳 1,376 1,473 1,262 1,191 1,033 1,536 1,333 1,181 1,020 1995年 全体 -29,225 2000年 全体 -28,438 2005年 全体 -27,265 2010年 全体 -25,419 0 ※ 2010年までの総人口は国勢調査より作成、2015年以降は社人研推計値より作成 ※ 転入・転出/出生・死亡数は住民基本台帳人口移動報告書より作成 - 6 - (2)人口移動の最近の状況 ・新ひだか町の人口移動状況(転入-転出)を見ると、転出超過数の合計数は、 近年増加傾向にある。特に道内各地への転出者の増加による社会減が増加傾向 にある。 図表7 地域ブロック別の人口移動の状況 (人) 50 0 -50 -196 -100 九州・沖縄 -184 四国 -260 -267 -150 中国 関西 中部 東京圏 -200 北関東 東北 -250 道内 -300 -350 転入超過数 2011年 全体 -256 転入超過数 2012年 全体 -194 転入超過数 2013年 全体 -181 転入超過数 2014年 全体 -305 地域ブロックの区分は下記のとおり 東 北:青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島 北関東:茨城、栃木、群馬 東京圏:埼玉、千葉、東京、神奈川 中 部:新潟、富山、石川、福井、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知 関 西:三重、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山 中 国:鳥取、島根、岡山、広島、山口 四 国:徳島、香川、愛媛、高知 九 州・沖縄:福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄 ※ 転入・転出/出生・死亡数は住民基本台帳人口移動報告書より作成 - 7 - ・新ひだか町の平成26年度の北海道内での人口移動状況(転入-転出)を見る と、札幌市等の道内主要都市への転入・転出がもっとも多く、いずれも転出超過 となっている。 また、日高管内での人口移動状況は、転入・転出がほぼ同数値となっているが、 全体的に大きな転出超過の状況となっている。 図表8 平成26年度 新ひだか町人口移動の状況(道内) (人) 350 320 311 300 250 239 200 178 181 転入 169 転出 150 113 100 59 46 50 35 0 札幌市 苫小牧市 千歳市 日高管内 ※ 転入・転出数は住民基本台帳人口移動報告書より作成 - 8 - その他 ■3 合計特殊出生率の推移と比較 (1)合計特殊出生率の推移 ・一人の女性が一生に産む子どもの平均数である「合計特殊出生率」の推移を 見ると、一貫して低下を続けていたが近年は下げ止まりの状況となっている。 なお、全国・北海道と比較すると「合計特殊出生率」は新ひだか町のほうが、 高いことがわかる。 図表9 合計特殊出生率の推移 2.50 2.00 1.94 1.89 1.82 1.71 1.69 合 計 特 殊 出 生 率 1.50 1.5 1.62 1.67 1.6 1.39 1.45 1.56 1.66 1.31 1.38 1.49 1.48 1.36 1.25 1.33 1.24 1.19 1.00 0.50 0.00 全国 北海道 新ひだか町 旧静内町 旧三石町 ※ 厚生労働省「人口動態保健所・市区町村別統計」より作成 ※ 全国の合計出生率は、昭和58年~昭和62年は昭和62年の数値を、昭和63年~平成 4年は平成4年を平成5年~平成9年は平成9年の数値を使用しております。 - 9 - ■4 雇用や就労等に関する分析 (1)男女別産業人口の状況 ・男女別にみると、男性は、農業・林業、建設業、卸売業・小売業、公務の順位 に就業者が多く、女性は、医療・福祉、卸売業・小売業、農業・林業、宿泊業・ 飲食サービス業の順に多くなっている。 特化係数(町のX産業の就業者比率/全国のX産業の就業者比率)を見ると、 農業・漁業については、男女とも4~17と極めて高くなっている。 また、建設業、複合サービス業、公務についても高い係数となっている。 一方で、情報通信業、製造業などは、特化係数が低く相対的に就業者比率が低 いことがわかる。 図表10 男女別産業構造の状況 (人) 1,600 19 18 17 16 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0 1,400 1,200 1,000 800 600 400 200 0 農 業 , 林 業 う 漁 鉱 建 製 電 情 運 卸 金 不 学 宿 生 ち 業 業 設 造 気 報 輸 売 融 動 術 泊 活 農 , 業 業 ・ 通 業 業 業 産 研 業 関 ガ 採 業 , , 業 究 , 連 ス 信 , 石 業 郵 小 保 , , 飲 サ ・ 業 便 売 険 物 専 食 ー 熱 , 業 業 業 品 門 サ ビ 供 砂 ー ス 賃 ・ 給 技 利 貸 術 ビ 業 ・ 水 採 業 サ ス , 道 取 業 娯 ー 業 業 楽 ビ 業 ス 業 男 女 特化係数(男) ※ 平成22年国勢調査より作成 - 10 - 教 育 , 学 習 支 援 業 医 療 , 福 祉 複 合 サ ー ビ ス 事 業 サ ー ビ ス 業 ( 他 公 務 ( 他 に 分 類 さ れ る も の を 除 く ) に 分 類 さ れ な い も の ) 特化係数(女) 分 類 不 能 の 産 業 (2)年齢階級別産業の状況 ・特化係数の高かった農業・林業、漁業については、約3割以上が60歳以上を 占めており、高齢化が進んでいることが分かり、今後急速的に就業者が減少する 可能性がある。 次に就業者が多い建設業、卸売業・小売業は、年齢構成のバランスがとれてお り、幅広い年齢層の雇用の受け皿となっている。 図表11 年齢階級別産業人口の状況 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 農業,林業 漁業 建設業 製造業 電気・ガス・熱供給・水道業 運輸業,郵便業 卸売業,小売業 金融業,保険業 不動産業,物品賃貸業 学術研究,専門・技術サービス業 宿泊業,飲食サービス業 生活関連サービス業,娯楽業 教育,学習支援業 医療,福祉 複合サービス事業 サービス業(他に分類されないもの) 公務(他に分類されるものを除く) 15~29歳 30~39歳 40~49歳 50~59歳 60~69歳 70歳以上 ※ 平成22年国勢調査より作成 - 11 - ■5 人口の現状分析等のまとめ (1)急速な人口減少時代の到来 当町の人口は高度経済成長期の1965年頃(35,754人)をピークに人口の減少が 続き、1980年代後半から1990年代前半までのいわゆるバブル経済期では、都市部 への人口流出が多く1995年頃(29,225人)には人口が3万人以下となり、その後 現在まで人口減少が続いています。 さらに、2015年以降の国立社会保障人口問題研究所(社人研)の推計によれば、 今後、人口は急速に減少を続け、平成52(2040)年には、約16,000人(現在か ら約35%減少)になるものと推計されております。 (2)自然減少による総人口の減少 自然増減(出生数-死亡数)については、出生率の低下・生産年齢人口の減少 の影響で一貫して出生数が減り続けたが、平成12(2000年)年までは平均寿命 の延びを背景に死亡数がそれほど増えず「自然増」であった。しかし平成17 (2005)年以降は死亡数が出生数を上回る「自然減」の状態となっております。 しかしながら、「合計特殊出生率」の推移を見ると、一貫して低下を続けてい たが近年は下げ止まりの状況となっている。さらには、全国・北海道と比較する と「合計特殊出生率」は当町のほうが高いため、この数値を上昇・維持させるこ とが重要となってくるものと考えます。 (3)都市圏や近隣市への転出超過による人口減少進行の懸念 当町の社会動態の推移を見ると、一貫して転出超過の状況が続き、社会減の状 態となっている。主に道内都市部への転出者の増加による社会減が増加傾向にあ る。 特に若年層の高校や短大・大学への進学に伴う転出後に、当町に戻ってくる割 合が非常に低いため、Uターン就職先の確保等の必要性が高いと考えらます。 また、男女別でみると女性のUターン率が非常に低いため、女性が安心して働 き子育ての出来る環境づくりが重要となるものと考えます。 (4)産業構造の変化等による地域経済規模縮小の懸念 人口減少によって経済規模の縮小がいったん始まると、それが更なる縮小を招 くという「縮小スパイラル」に陥るリスクがあります。 地方の急激な人口減少や高齢化は、労働力人口の減少や消費市場の縮小を引き 起こし、当町では、第1次産業が大きな割合をしめているが、後継者不足による 産業構造変化等による地域経済規模の縮小が懸念されます。そして、それが社会 生活サービスの低下を招き、更なる人口流出を引き起こすという悪循環を招くこ とが危惧されます。 - 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