法的手続を利用した 企業再生のポイント 2008年5月 スキルアップ研修資料 目次 第1章 私的整理と法的整理の概容 1 中小企業が再生に至るプロセス 2 私的整理と法的整理の違い 3 法的手続の原則と債権の優先順位 第2章 法的手続の効力と利点 1 法的手続の種類 2 法的手続の効力 3 法的手続(債務者にとって)の利点 4 法的手続(債権者にとって)の利点 5 法的手続(スポンサーにとって)の利点 第3章 法的手続を利用した企業再生のポイント 1 法的手続の目的 2 企業の再生・衰退パターン 3 法的手続利用のポイント(事業譲渡型) 4 法的手続利用のポイント(自力再生型) 1-1.中小企業が再生に至るプロセス 第1章 まとめ 企業の再生には、私的整理と法的整理がある。 私的整理は、金融債権者が手続の対象で、事業価値の毀損が少ない。 法的整理は、租税債権を除くすべての債権者が対象で、事業価値の 毀損が著しい。 法的手続には、(無担保の)債権者平等の原則、清算価値保証原則、 手続の透明性・公平性という特徴がある。 債権には、別除権、共益債権、一般債権、劣後債権の区分と優先順位 があり、債権者平等の原則は一般債権について適用される。 2-1 法的倒産手続きの種類 清算型 再生型 DIP型 特別清算 (監督委員) 民事再生 (監督委員) 管理型 破産 (破産管財人) 会社更生 (更正管財人) ※管理型の倒産手続きでは、会社の代表者や取締役は手続き開始決定の 日にその権限(経営執行権と財産の管理・処分権)を失う。 ※DIP型とはDebtor in Possession(占有する債務者)の略で、経営者(再生 債務者)がそのまま会社の経営執行権を持って再建に当たることである。 ※ DIP型の倒産手続きでも、裁判所が必要と認めたときは、管財人が選任さ れて、元の会社代表者はその権限を失うことがある。 第2章のまとめ 法的手続には、清算型(特別清算、破産)と再生型(民事再生、会社更生) があり、DIP型と管理型という区分もある。 法的手続には、手続の対象となる債権の確定、他手続の中断、弁済禁止、 相殺禁止、行為制限等の効力がある。 法的手続(再生型)の債務者の主な利点 弁済禁止と相殺禁止等により、資金繰りを改善し易くして再生の機会が与 えられること。 法的手続の債権者の主な利点 手続の透明性と公平性確保、税務上貸倒れを損金処理し易いこと。 法的手続のスポンサー会社の主な利点 DIP融資が共益債権となること、簿外負債や資産の含み損のリスクを回避 できること。 3-2 企業の再生・衰退パターン 3-3 法的手続利用のポイント(事業譲渡型) スポンサーへの事業譲渡 会社の事業をGood事業とBad事業に分類し、Good事業は、事業譲渡の方法でスポン サー企業等に譲渡する再生手法。 Good事業の譲渡手続の透明性確保と早期のExit ・Good事業の第三者機関による買収監査(監査法人や会計士) ・Good事業の事業譲渡の裁判所の許可(株主総会決議不要) ・プレパッケージ型再生手続きの利用による早期のExit Bad事業の円滑な清算手続き 再生可能な事業を事業譲渡等で切り離した債務者企業の清算方法についても、 法的手続の中で終結させることが可能。 3-4 法的手続利用のポイント(自力再生型) 企業再生とは「第2の創業プロセス」 但し、新規創業よりも「経営資源」が豊富である。 倒産原因(顕在化したリスク)を分析してイノベーション(経営革新)の機会に変換する。 人的資源の再生・活用による「儲かる仕組み」の再構築が、再生を実現するキーポイント 倒産原因の除去と利益の出る仕組みつくり 経済的合理性の追求と利害関係人の説得 第3章のまとめ 法的手続の目的は、利害関係人の利害調整と債務者(事 業)の経済的再生・更正である。 中小企業の再生・衰退パターンには、ヒト(経営陣)の影響 が大きい。 事業譲渡型の再生では、事業価値の適切な評価と譲渡手 続(プロセス)の透明性・公平性が求められる。 自力再生型の再生では、倒産原因の除去と利益の出来る 仕組みづくりが重要である。 企業再生は、第2の創業プロセスである。 人的資源の再生・活用による「儲かる仕組み」の再構築が、再生を実 現するキーポイント。
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