政府よ、外務省よ、慰安婦問題で攻勢に転じよ

平成 27 年 4 月 3 日
渡部昇一書下ろしニューズレター
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★政府よ、外務省よ、慰安婦問題で攻勢に転じよ★
在米日本人が米カリフォルニア州グレンデール市の公用地に設置された慰安婦像の撤去を求
めた訴訟で、同州ロサンゼルスの裁判所が訴えを退けたというニュースを覚えていらっしゃる
でしょうか。
報道によると、裁判の過程で、判事は原告側の弁護人に対して、像の設置が日本人の感情を
傷つけたとすれば、日本政府がなぜ原告に同調する内容の意見陳述書を提出しなかったのか、
と疑問を呈したといいます。要は日本政府がグレンデール市の主張に反論をしなかったのは、
自分たちの非を認めたのと同じだというのです。
私はこれを読んで日本政府と外務省の腰抜けぶりを歎かずにはいられませんでした。日本が
不利な状況に追い込まれたとしても諸外国に気兼ねして黙りを決め込む。摩擦を恐れて保身に
走る。そうやってズルズルと問題を先延ばしにし、膨らませ続けるのが日本政府や外務省のお
決まりのパターンだったからです。
このパターンは政府首脳の発言にも象徴的でした。在米日本人の訴えが退けられたことにつ
いて菅官房長官は「極めて遺憾なこと」というコメントを発表しましたが、この発言のように
日本政府は今日まで「遺憾だ」
「残念だ」という表現でことを曖昧に済ませ、それ以上何も踏み
込まずに今日まで来てしまっていることもまた、問題を大きくしてきた要因の一つと言わざる
を得ません。
だが、どこかでこの悪循環は断ち切る必要があります。この慰安婦像撤去訴訟が起きたのは
2013年7月。その後、日本国内にはそれまでなかった、ある大きな変化が起きました。ほ
かでもありません。
『朝日新聞』が一連の〝従軍〟慰安婦報道を虚報だと認めたのです。慰安婦
問題を世界にばらまいた張本人が自らの非を認め、日本人の誰もがその真実を知ることになり
ました。裁判中、一言の反論もしてこなかった日本政府や外務省にとっては、まさにいまこそ
が反転攻勢の好機なのです。
と同時に重要なことは、イデオロギーに毒されていない正しい歴史を官僚たちが学び直すこ
とです。日本の慰安婦問題については、日本のみならずアメリカにおいてすら、軍の強制性を
裏付ける証拠が一つも発見されていないのですから、日本側が断固主張を通せば、この歴史戦
争で絶対に負けるはずがないのです。
こと歴史問題に関しては、ここぞという時は徹底して戦うだけの気構えと覚悟が重要です。
私が議長を務める「朝日新聞を糺す国民会議」は2万5千名以上の原告を集めていま、
『朝日新
聞』を相手に集団訴訟をしていることはこのニューズレターでも述べました。 朝日は虚報騒ぎ
の後、第三者委員会を立ち上げて報告書をまとめましたが、この報告書はこれほど重大な間違
いを間違いと知りつつ、なぜ今日まで放置してきたのかというような本質的な部分について踏
み込んだ議論が全くなされていないとしか思えない代物です。身内を集めたような第三者委員
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会の人選自体がそもそも問題なのですが、報告書を受け取ったことで虚報事件の幕引きをしよ
うという朝日の魂胆は到底看過できるものではありません。
朝日がやるべきは、社長自らがグレンデール市など慰安婦像の建てられた自治体を行脚して
「このような慰安婦像が建てられるようになったのも、すべて私たちの新聞の誤報が原因でし
た。国連のクマラスワミ報告書も元を辿れば、私たちの記事を基にした情報を信じ込んだから
です。費用は私どもで負担しますから、撤去を願いたい」と謙虚に謝罪することです。もっと
言えば、世界中のマスコミを集めて、その前で社長自ら腹を切るくらいのことをやってほしい
ものです。もちろん、朝日の社長が切腹をやるなどとは思えませんが、慰安婦報道が国際社会
に与えた影響の大きさを思えば、そのくらいの贖罪(しょくざい)は当然必要なのです。
朝日の犯罪や責任について断固として糾弾、追及していく我われの姿勢は今後とも変わりま
せん。作曲家のすぎやまこういち氏は、多額の私費を投じ「強制連行を裏付ける資料はない」
という意見広告を米国の地方紙に掲載してまで、問題の重要性を世界の世論に訴えかけていま
す。政府や外務省に、果たしてそれだけの気概があるでしょうか。
考えてみたら、〝従軍〟慰安婦の虚構性を曝(あば)いたのも、南京大虐殺が虚妄であるこ
とを明らかにしたのも、すべて民間の組織や個人でした。しかし、一方の外務省はどうでしょ
うか。何も手を打たないばかりか、中韓のマネートラップ、ハニートラップによって巧妙に口
を封じられてしまいました。これでは怠慢の誹(そし)りを免れないどころか、国家への裏切
り行為と断じられても仕方がありません。
政府よ、いい加減に目覚めよ。そして在職中は面倒な問題を無難にやり過ごそうとする無責
任極まりない外務省官吏を叱咤し、日本の未来のためにも目の前の歴史戦争に勝利しなくては
ならない。そのことを声を大にして訴えたい思いです。
【お知らせ】次回の配信は 4/10(金)とさせていただきます。
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