第 62 回神奈川腎炎研究会 Enterococcus faecalis による感染性 心内膜炎(IE)を反復し急性腎不全を来した 1 例 石 岡 邦 啓 1 田 村 友 美 1 吉 田 輝 彦 1 松 浦 亮 1 持 田 泰 寛 1 岡 真知子 1 真栄里 恭 子 1 守 矢 英 和 1 日 高 寿 美 1 大 竹 剛 靖 1 小 林 修 三 1 病理コメンテータ 山 口 裕 2 城 謙 輔 3 症 例 病 歴 症 例:73 歳 男性 既往歴:大動脈弁・僧房弁閉鎖不全症 2008 主 訴:呼吸苦・尿量低下 年手術,慢性閉塞性肺疾患(COPD) ,慢性心 現病歴:2008 年大動脈弁及び僧帽弁閉鎖不 房細動,脂質異常症,高尿酸血症 生活歴:喫煙:30 本× 50 年間,飲酒:機会 全症に対し大動脈弁置換術(生体弁)+ 僧帽弁 形成術(人工弁輪)を施行。2013 年 1 月感染性 飲酒 家族歴・アレルギー:特記事項なし 心内膜炎(血液培養:E.faecalis 陽性)にて当院 循環器科に入院し,抗生剤加療にて血液培養は 陰性化し退院。 以降他院にて経過フォローされ, IE を繰り返し再発するも腎機能は Cre 1.5mg/dl 内服薬:クラブラン酸カリウム・アモキシシ リン 250mg2 錠分 2(オーグメンチン ®) ,ダビ 前後で推移していた。同年 9 月に尿量低下・呼 吸苦を認め同院に入院。Cre 7.9mg/dl と腎不全 増悪を認めた為当院に転院。 ධ㝔ᮇ㛫 ⾑ᾮᇵ㣴 ル 10mg2 錠分 1,ベラパミル 40mg3 錠分 3,ア ロプリノール 100mg1 錠分 1 入院時身体所見:身長 :164㎝,体重:69.2 ㎏,BMI=25.7, 体 温 36.2 度, 脈 拍:98 回 / 分, 73ṓ ⏨ᛶ ධ㝔 ガトラン 126.83mg1 錠分 1(プラザキサ ®) ,ア ミオダロン塩酸塩 100mg1 錠分 1,カルベジロー 血圧:97/71mmHg,酸素飽和度 :95%(室内気), 頭頚部 : 眼瞼結膜;貧血なし,点状出血なし, 胸部 :呼吸音;右背側吸気時 coarse crackle,心 ⒪ 音 ; 胸骨左縁第 3 肋間,収縮期雑音Ⅰ / Ⅵ,腹 1ᅇ┠ 1/20䠉3/6 EnterococcusFaecalis VCM 2ᅇ┠ 4/9䠉4/27 EnterococcusFaecalis ABPC1gx2+GM40mgx2 ᙜ㝔 э㝔 3ᅇ┠ 5/14䠉5/16 EnterococcusFaecalis ABPC1gx2+GM40mgx2 㝔 雑音聴取せず,四肢 :爪下出血なし,手掌・足 ͤ6/12እ᮶ EnterococcusFaecalis AMPC/CVA375mg3x 底出血班なし,両側下腿~足背浮腫あり,紫斑 4ᅇ┠ ᙜ㝔 部 :平坦軟,蠕動運動正常内,圧痛なし,血管 㝔 なし ABPC1gx2+GM40mgx2 㝔 эLVFX500mg1xෆ᭹ 7/20䠉8/10 図1 (1 国湘南鎌倉総合病院 腎臓病総合医療センター腎免疫血管 内科 (2 山口病理組織研究所 (3 東北大学大学院医学系研究科 病理病態学講座 ― 167 ― Key Word:半月体形成性腎炎,感染症心内膜炎,C-ANCA, 感染後糸球体腎炎 腎炎症例研究 31 巻 2015 年 述の矛盾点について病理学的にご検討頂きた 症例のまとめ い。 ・本 症 例 は,Enterococcus Faecalis に よ る 感 染 性心内膜炎を反復した後,急性腎不全を呈し た。c-ANCA 陽性の感染後糸球体腎炎と診断 し,抗生剤及びステロイドにて改善を認め透 析も離脱した。 ・c-ANCA 陽性の感染後糸球体腎炎として,前 入院時検査所見 【血算】 WBC Neu Eos Hb Ht MCV RPI PLT 3800 /μl 71.3 % 2.4 % 9.0 g/dl 26.6 % 87.2 fl 0.49 7.7 万/μl 【凝固】 PT-INR APTT Fib 3.26 38.4 秒 251 mg/dl 【生化学】 CPK T-BIL AST ALT LDH γGTP ALP TP ALB 蛋白分画 ALB α1 α2 β Γ BUN 27 IU/l 1.3 mg/dl 14 IU/l 11 IU/l 228 IU/l 163 IU/l 436 IU/l 6.0 g/dl 3.0 g/dl 49.9 3.9 8.4 7.5 30.3 % % % % % 53.1 mg/dl CRE 7.90 UA 6.1 Na 132 K 4.9 Cl 106 Ca 7.8 IP 4.0 GLU 122 HbA1c 5.7 T-Cho 122 LDL-C 79 CRP 2.913 プロカルシトニン 0.53 【免疫】 IgG IgA IgM C3 C4 CH50 RF定量 ANA 抗dsDNA抗体 抗ssDNA抗体 MPO-ANCA PR3-ANCA 抗GBM抗体 抗SS-A抗体 抗SS-B抗体 ASK価 1476 214 147 50 14 17 2.47 40 陰性 陰性 陰性 陰性 陰性 陰性 陰性 1280倍 ― 168 ― mg/dl mg/dl mEq/l mEq/l mEq/l mg/dl mg/dl mg/dl % mg/dl mg/dl mg/dl mg/ml mg/dl mg/dl mg/dl mg/dl mg/dl U/ml U/ml 倍 ASO価 40倍 【感染】 HBs抗原 HCV抗体 TPHA 陰性 陰性 陰性 【内分泌】 iPTH 179 pg/ml 【血液ガス】 pH PO2 PCO2 HCO3 BE Anion Gap 7.383 65.6 mmHg 27.3 mmHg 15.9 mmol/l -4.1 12.8 【尿検査】 pH 蛋白 糖 潜血 赤血球円柱 U-RBC U-WBC NAG β2MG FeNa 尿TP 尿Cre 5.5 2+ - 3+ 1+ ≧100 /HPF 5-9 /HPF 5.9 U/l 4141.2 μg/l 14.58 % 0.23 g/日 292 mg/日 第 62 回神奈川腎炎研究会 HEᰁⰍ ධ㝔⏬ീᡤぢ 䠘⬚㒊䝺䞁䝖䝀䞁䠚 ᚰ⬚㒌ẚ:57%䠄⮩)䚸⫵⣠⌮ቑᙉ 䠘⭈䡰䡶䡬䠚 ⭈size:ྑ/ᕥ 105㽢63/106㽢56mm ▷㍈᪉ྥ䛻㍍ᗘ⭘䚸 ⭈ື⬦⊃✽ᡤぢ䛿ㄆ䜑䛪䚹 䠘⭡㒊CT䠚 ୧ഃ⭈⭘⬽ 䠘Ga䝅䞁䝏䠚 ⭈⮚䜈䛾㞟✚䛺䛧 ᥇ྲྀ䛥䜜䛯⣒⌫య䛿24ಶ 䠖༙᭶యᙧᡂ(⣽⬊ᛶ)9ಶ䚸Ⲩᗫ4ಶ 図2 図5 ᳨ᰝᡤぢ HEᰁⰍ 䕿ᚰ䜶䝁䞊 䞉ື⬦ᘚᑤ䛻㉕䛺䛧䚸paraleak䛺䛧 䞉ARϨ㼻,MRϨ㼻 䞉EF60%,LVMI=104g/m2 䞉E/e䇺=33.8, 䕿ᚰ㟁ᅗ 䞉ᚰᡣ⣽ື䚸ᚰᢿᩘ 97bpm 䕿⾑ᾮᇵ㣴 㝜ᛶ 㛫㉁䛻䛿⣒⌫య࿘ᅖ䜢୰ᚰ䛻䝸䞁䝟⌫䛾 ᾐ₶䜢ㄆ䜑䜛䚹 図3 図6 ⮫ᗋ⤒㐣 PASᰁⰍ PSL20mg ABPC1gq24h+GM90mgq48h VCM0.5gHDᚋ Cre(mg/dl) CRP(mg/dl) ಀ㋟◚⥢䚸Bowmanᄞෆ䛻㉥⾑⌫䚸 ಀ㋟ෆ䛻⅖⣽⬊䜢ㄆ䜑䜛䚹 PAMᰁⰍ PSL15mg AMPC HD 12 ㌿㝔 RBx ᘚ⨨⾡ ㏥㝔 10 8 6 4 Cre 2 CRP 8/8 8/22 9/5 9/19 10/3 ಀ㋟ቨ᩿䜢ㄆ䜑䜛䚹 ಀ㋟䛾㔜䚸spikeformation➼䛿ㄆ䜑䛪䚹 ⣽⬊ᛶ༙᭶యᙧᡂ䚸䝣䜱䝤䝸䝜䜲䝗ቯṚ䚸 ⟶ෆቑṪᛶኚ䜢ㄆ䜑䜛䚹 0 10/17 10/31 11/14 11/28 12/12 図4 図7 ― 169 ― 腎炎症例研究 31 巻 2015 年 MTᰁⰍ EVGᰁⰍ 9/30⾑ᾮᇵ㣴 Enterococcusfaecalis Actinomyces pyogenes ⮫ᗋ⤒㐣 10/23ᚰUS䠖 Aᘚ䛻leak 9/17⾑ᾮᇵ㣴 GPC㝧ᛶุ᫂ PSL20mg PSL15mg ABPC1gq24h+GM90mgq48h VCM0.5gHDᚋ Cre(mg/dl) CRP(mg/dl) 㛫᥋⺯ගᢠయἲ䠖 CͲANCA㝧ᛶ AMPC HD 12 ㌿㝔 RBx ᘚ⨨⾡ ㏥㝔 10 8 6 4 Cre 2 ᒀ⣽⟶䛻cast䜢䚸㛫㉁䛻⥺⥔䜢ㄆ䜑䜛䚹 8/8 図8 IgM C1q 8/22 9/5 9/19 10/3 10/17 10/31 11/14 11/28 12/12 図 11 ⤒㐣䛾䜎䛸䜑 ⺯ගᢠయἲ IgG CRP 0 ෆᙎᛶᯈ䛾ᒙ≧䜢ㄆ䜑䜛䚹 ⧞䜚㏉䛩ឤᰁᛶᚰෆ⭷⅖䞉⳦⾑ Enterococus faecalis ʃ ᛴᛶ⭈ IgA C3 Fib ග㢧䠖 ⣽⬊ᛶ༙᭶యᙧᡂ䚸䝣䜱䝤䝸䝜䜲䝗ቯṚ IF 䠖 C3,IgM䛜䝯䝃䞁䜼䜴䝮䛻㝧ᛶ 㟁㢧䠖 hump,deposit䛿ㄆ䜑䛪䚹 ʄ 䠇 CͲANCA㝧ᛶ 䠄PR3ͲANCA䠅 ANCA㝧ᛶ䠇ឤᰁᛶ⣒⌫య⭈⅖ or pauciͲimmuneᆺ༙᭶యᙧᡂᛶ⭈⅖ 図9 図 12 㟁Ꮚ㢧ᚤ㙾 ⪃ᐹ ⣒⌫యಀ㋟ቨ䜈䛾deposit䛿ㄆ䜑䛪䚹ಀ㋟ෆ䛻䛿ከᙬ䛺⣽⬊ᾐ₶䜢ㄆ䜑䜛䚹 図 10 図 13 ― 170 ― 第 62 回神奈川腎炎研究会 㧗㱋⪅䛾ឤᰁᚋ⣒⌫య⭈⅖䛾ཎᅉ ឤᰁᛶᚰෆ⭷⅖䛿6% ᮏ䛾⌮⤌⧊䛾᳨ウ ྜ⮴䛩䜛Ⅼ 䝤䝗䜴⌫⳦䞉⁐㐃⳦䛜㐣༙ᩘ ឤᰁᛶ⭈⅖ 䞉IE䛾Ꮡᅾ 䞉㟁㢧䛷depositㄆ䜑䛺䛔 䞉IF䛷䝯䝃䞁䜼䜴䝮䛻IgM, C3㝧ᛶ䠄IgG䛿㝜ᛶ䠅 PauciͲimmune ᆺ⾑⟶⅖ 䞉㟁㢧䛷deposit䜢ㄆ䜑 䞉IF䛷䝯䝃䞁䜼䜴䝮䛻IgM, 䛺䛔䚹 C3㝧ᛶ 䞉cͲANCA㝧ᛶ 䞉༙᭶యᙧᡂ䛾ᒙ䛜 䛶୍⮴ JASN2011䠗22:187Ͳ195 図 14 図 17 㧗㱋⪅䛾ឤᰁᚋ⣒⌫య⭈⅖䛾⭈⏕᳨ᡤぢ ග㢧ᡤぢ 䠖䜃䜎䜣ᛶ⟶ෆቑṪ(53䠂)䚸ᕢ≧ᛶ⟶ෆቑṪ(28%) 䝯䝃䞁䜼䜴䝮ቑṪ䠄13%) 䜃䜎䜣ᛶ༙᭶యᙧᡂᛶቯṚᛶ⭈⅖䠄5%) IFᡤぢ 㟁㢧 䠖 ಀ㋟䠄starrysky,garland)᭷ព 77% 䝯䝃䞁䜼䜴䝮᭷ព 23% C3100%,IgG40%,IgA39%,IgM 45%, C1q23%,ʃ 41%,ʄ41% 䠖 ୖ⓶ୗỿ╔ 92% ෆ⓶ୗỿ╔ 66% JASN2011䠗22:187Ͳ195 図 15 ឤᰁᛶᚰෆ⭷⅖(IE)䛸ANCA • ឤᰁᛶᚰෆ⭷⅖䛷ANCA䛜㝧ᛶ(PR3ͲANCA) Clin Rheumatol 2007;26:590Ͳ595 JClin Rheumatol 2008;14:38Ͳ40 RevMedInterne2011;32:116Ͳ118 э」ᩘሗ࿌䛥䜜䜛䜒䛭䛾ᶵᗎ䛿᫂☜䛸䛺䛳䛶䛔䛺䛔 䞉Enterococcusfaecalis䛻䜘䜛IE䛷⏕䛨䛯RPGN䛾 ሗ࿌䛿ᩥ⊩ୖ1䛾䜏 InternalMed2012;51:2587Ͳ2590 図 16 ― 171 ― ྜ⮴䛧䛺䛔Ⅼ 腎炎症例研究 31 巻 2015 年 2008 年に大動脈弁,僧帽弁の手術を行ってお 討 論 ります。それ以外は COPD(慢性閉塞性肺疾患), 松井 それでは 3 番目の演題に移りたいと思い ます。 「Enterococcus faecalis による感染性心内 心房細動。 膜炎(IE)を反復し急性腎不全を来した一例」 , しましては,直前に抗生剤,オーグメンチン, 湘南鎌倉総合病院,石岡邦啓先生,よろしくお 抗血小板薬とを使っておりました。 入院時の身体所見です。血圧は 97 の 71 と低 願いいたします。 家族歴,アレルギー歴は特になく,内服薬と 石岡 よろしくお願いします。 症例は 73 歳男性で,主訴は,呼吸苦と尿量 めでありまして,感染性心内膜炎でいわれてお 低下でありました。 呼吸音,心音にそれぞれクラックル,収縮期雑 ります,眼瞼の点状出血は認めませんでした。 現病歴は,2008 年に大動脈弁,および僧帽 音が軽度見られまして,四肢におきまして,上 弁の閉鎖不全症に対し,大動脈弁には置換術, 肢で,こちらも感染性心内膜炎で見られるよう これは生体弁を使っております。そして,僧帽 な,爪下出血,あるいは手掌足底の出血斑など 弁に対しましては形成術,これは人工弁輪を用 いて治療をされております。その 5 年後,2013 は見られませんでした。その代わり,下腿から 年 1 月に感染性心内膜炎を来しました。このと き, 血 液 培 養 は Enterococcus faecalis が 陽 性 と 入院時の検査所見ですが,貧血を認めており まして,アルブミンは 3.0 と低値でありました。 なっております。 当院の循環器科に入院をした後,抗生剤加療 腎所見につきましては,クレアチニンが 7.90 と高値で,CRP については 2.913 と軽度上昇を で改善しまして, 一旦退院し, 他院に転院となっ 認めております。また,菌血症で特異的なプロ ております。しかしその後も,他院ではこの感 カルシトニン値につきまして,0.53 と軽度陽性 染性心内膜炎(IE)を繰り返しておりまして, を認めております。 再発を繰り返しましたが,腎機能はクレアチニ ン 1.5 程度で推移しておりました。同年 9 月尿 免疫につきまして,低補体血症がございま し た。 し か し,ANCA に つ き ま し て は MPO, 量低下,呼吸苦を認めたために,同院に入院を しまして,採血の結果,クレアチニンが 7.9 と PR3,いずれも陰性でございました。 腎不全の増悪を認めたために,当院に転院とな されておりまして,また尿所見につきましては, 蛋白 2(+),潜血 3(+),肉眼的に血尿もあり 外側にかけて浮腫がございました。 血液ガスでは,代謝性のアシドーシスを代償 りました。 こ こ で, 感 染 に つ い て 少 し お さ ら い を し てまいりますが,合計 4 回,当院と他院で入 ましたので,尿中赤血球は 100 以上となってお 院 し て お り ま す。 い ず れ の 血 液 培 養 検 査 も Enterococcus faecalis が陽性となっております。 画像につきましては,レントゲンでは心胸比 が 57%と軽度拡大を認め,肺紋理にうっ血像 そのうち,その発症の半年後の 6 月にも,外来 の血液培養で Enterococcus faecalis と出ておりま を認めております。 して,抗生剤を内服で使っております。最後は 7 月 20 日から 8 月 10 日,こちらのほうも感染が おりますが,腎動脈狭窄所見等はありませんで あったとなっておりますが,血液培養は採られ ぞれ認めております。 ておらず,暫定的に抗生物質で良くなったとい 入院後にガリウムシンチを行っております う記載がございました。 が,こちらは腎の集積はございませんでした。 既往歴としましては, 繰り返しになりますが, 心臓につきましては,入院時の経胸壁エコー ります。蓄尿では,0.23g 程度でありました。 腎臓のエコーは,短軸上に腫大を軽度認めて した。また,CT 上でも,短軸上に腫大をそれ ― 172 ― 第 62 回神奈川腎炎研究会 後の投与を開始いたしました。そのうち,9 月 30 日には Enterococcus faecalis が培養として出 につきましては疣贅はありませんでした。抄録 にありますように,入院後の経食道エコーでは 疣贅はございます。しかし,パラリーク(paravalvular leakage)等はなく,また心電図では心 ました。先ほどの演題でもありましたが,感染 房細動がある程度。血液培養につきまして,入 院時は陰性でございました。恐らく,前医での ロイドは本来であれば考慮されるべきですが, パルスを 20mg で開始いたしております。また, 抗生物質等の影響で陰性となっております。 Enterococcus が出た後は,抗生剤を ABPC とア 臨床経過です。当院に入院後,乏尿,うっ血 ミノグリコシド系に変更しております。抗生剤 がございましたので,すぐに血液透析を連日開 を開始後,クレアチニンは徐々に低下してまい りまして,透析を約 1 カ月使用した後に,血液 後の糸球体腎炎ということもありまして,ステ 始といたしました。入院当初は薬剤性に伴う急 性腎炎も考えられましたので,抗生物質は一旦 オフにしまして,入院後 10 日目に腎生検を行 透析は離脱しております。また,CRP も当初 2.9 いました。 した。 腎生検の結果ですが,採取された糸球体は 24 個。いずれも細胞性でありましたが,半月 しかし,定期的に心エコーでフォローして いる中へ,10 月 23 日,入院後約 1 カ月半の心 体が 9 個ございました。荒廃した糸球体は 4 個 エコーで大動脈弁に leak が認められましたため に,入院後 2 カ月後の 11 月に弁置換術を行って ぐらいありましたものが,徐々に下がってきま となっております。 HE 染色を拡大しますと,間質には糸球体周 囲を中心にリンパ球,round cell の浸潤を認め おります。その前に間接抗体法で ANCA を再 ております。また, 糸球体を見てまいりますと, 確認したところ,c-ANCA が陽性となりまして, その後には PR3- ANCA と同定されました。 係蹄の破綻から伴うボウマン嚢内の赤血球。そ 術後一時的に CRP は上昇を認めましたが, して,係蹄内に炎症細胞が散在されておりまし すぐに改善を認めまして,手術の影響,体液 た。 管理等にもよりまして,クレアチニンは徐々 に下がり,ステロイドは 15mg になった時点で PAS 染色におきましては,細胞性の半月体形 認めております。一方,PAM 染色でも同様の 退院となっております。抗生剤につきましては MPC に変更し,現在半年を経過しております 所見でありますが,係蹄の所見はいずれも認め が,クレアチニンは 2.7,ANCA 等はいずれも ておりませんでした。 Masson trichrome におきましては,尿細管に 陰性で外来で安定して軽快しております。 cast 以外に,間質に線維化を認めております。 染性心内膜炎,菌血症がありまして,その後で, EVG 染色では,内弾性板の層状化を認めてお 急性腎不全を発症しました。腎生検の所見とし り ま し た。 蛍 光 抗 体 法 の 染 色 で は C3 優 位 に mesangium 中心に陽性となり,また IgM も優位 ましては,このようになっておりますけれども, 電顕で hump,deposit は認めなかったことがポ と取りました。電顕におきましては,糸球体係 蹄壁への deposit は認めておりませんでしたけ イントとして挙げられます。加えて,c-ANCA 成,fibrinoid の壊死を認めました。管内増殖も 経過をまとめます。繰り返し起こしました感 が陽性となっておりました。 認めております。 診断としましては,両者が考えられましたが, ANCA 陽性の感染性糸球体腎炎と診断いたしま 腎生検の後に繰り返し血液培養を入院後採っ して,現在経過しております。 ておりましたが,11 日目に血液培養が陽性と 考察にまいります。先ほどの山口先生のスラ 出ましたために,まずバンコマイシンから透析 イドと同じようになりますが,高齢者の感染後 れども,係蹄内には多彩な細胞浸潤をそれぞれ ― 173 ― 腎炎症例研究 31 巻 2015 年 糸球体腎炎の原因としましては,感染性心内膜 炎が 6%程度となっております。そのうち起因 は,deposit を認めない,c-ANCA 陽性がありま 菌につきましては,ブドウ球菌,溶連菌が過半 数を占めております。 の実相が全て一致しているというところから, pauci-immune 型は一致していないと考えまし これを文献の中で詳しく見てまいりますと, た。いずれにしましても,臨床結果と併せて, 感染後糸球体腎炎の腎生検の所見としまして は,びまん性の管内増殖が約 5 割でございまし 今回は感染性腎炎と診断をいたしております。 症例をまとめますと,本症例は Enterococcus た。ただ,今回にあるような半月体形成性の壊 死性腎炎は 5%程度にすぎないという報告でご faecalis による感染性心内膜炎を反復した後に, ざいました。 後糸球体腎炎と診断し,抗生剤およびステロイ IF 所見につきましては,もう皆さんご存じ ドにて改善を認め,透析も離脱することができ ではございますが,係蹄がこのペーパーでは 77%でありまして,mesangium は 23%と少数で ました。c-ANCA 陽性の感染後糸球体腎炎とし すが,IF で光っているところ,また半月体形成 急性腎不全を呈しました。c-ANCA 陽性の感染 て,前日の矛盾点を含めて,病理学的にご検討 ありました。そのうち,C3 が 100%のものに認 められまして,今回の症例でありました IgM は をいただけましたら幸いです。よろしくお願い 約半数以下のパーセンテージでございました。 松井 先生,どうもありがとうございます。た また,電顕での沈着につきましては,上皮下 の沈着が 9 割以上を示す一方で,内皮下の沈着 だ今の経過について,ご質問,コメントはあり は 66%という報告がございます。今回の症例 では,沈着はいずれも満たさなかったわけです では,私のほうから。ANCA は初め,PR3 も, MPO も陰性だったということですよね。途中 が,この少数派の部類に属するかもしれません。 また,感染性心内膜炎と ANCA について簡 で蛍光抗体をやって初めて分かったと。それが, c-ANCA のパターンでした。 単に報告します。感染性心内膜炎で,ANCA が 陽性される例は,そのほとんどが PR3-ANCA 石岡 はい。そうでした。 でございます。しかし,その報告の中では, ANCA が陽性になる機序については明確になっ 陽性だったのですか。 石岡 この 1 回きりでございまして,抗体法で ておりませんでした。また,今回陽性になりま し た Enterococcus faecalis に 伴 う,IE で 生 じ た は c-ANCA のみの陽性でございました。 松井 つまり,蛍光抗体で cytoplasmic になっ RPGN の報告例は,文献上は 1 例のみでござい たということですね。 ました。 石岡 はい。そうです。 本症例の病理組織について少しまとめます 松井 そうすると,本当に protease3 に対する と,今回感染性腎炎で合致する点としましては, IE の存在が 1 つあります。しかし,合致しない 抗体かどうかというのは,分からないわけです 点としましては,電顕で deposit を認めていな い。あるいは,IF で mesangium に IgM が陽性で 石岡 そういうことになります。 あったこと。C3 と IgM が陽性で,テキスト等 でいわれる IgG は陰性であったことが比較的合 もあると? 致しない点ではないかと思います。 また,鑑別に挙げられました pauci-immune 型 松井 いかがでしょうか,どなたか。はい。城 の血管炎としましては,合致する点としまして します。以上です。 ますでしょうか。 松井 そのときは,ELISA での MPO-ANCA も ね。 松井 LAMP-2 とか,ほかの抗原だった可能性 石岡 そういうことになります。 先生,お願いします。 城 c-ANCA が international unit(IU)で最高値 ― 174 ― 第 62 回神奈川腎炎研究会 が 40 ですね。最終的には陰性になったという の線維化が意外と目立って,ボウマン嚢腔が壊 のですが,要するに,c-ANCA として,crescentic GN を起こす titer として,この程度の titer の れて,ボウマン嚢基底膜がはっきりしなくなっ 症例はどのくらいありますか。 小葉間動脈ですが,変に壁構造が不明瞭に て,fibro-cellular な感じです。 石岡 はい。文献上は,c-ANCA 陽性,あるい は PR3-ANCA 陽性がございまして,いずれも なってしまっている。 【スライド 05】この動脈も小葉間なのですが, titer としましては低値の報告が多くありまし 内膜の線維性肥厚が厚くて,recanalization した た。 のか分かりません。ただ弾性板の破壊はないの 城 要するに,titer はあまり考慮しなくていい で,動脈炎があるかないのかが,鑑別になるか と。陽性ならば crescentic を起こして構わない と思ったのです。fibrin が漏れて,好中球の浸 潤 と,cellular crescent,peritubular capillaritis が というような解釈? 石岡 というようには考えておりません。先ほ どの文献にもありました感染後糸球体腎炎で ANCA を呈するという報告はいくつかございま 中等度ぐらいあると思います。 【スライド 06】弓状動脈で,動脈硬化が強い すが,そのへんの機序にしては文献上は明確に で す。 こ こ に cellular crescent, 一 部 剥 離 し た podocyte の可能性もあります。 はなっておりませんので,はっきりとした答え 【 ス ラ イ ド 07】tubular injury で す。 近 位 尿 細 松井 髙市先生,どうぞ。 管の障害と,軽い尿細管炎が見られている。 ANCA の場合は,全腎的な炎症なので,糸球 髙市 虎の門病院の髙市です。 Enterococcus faecalis による bacteremia を何回 体,血管だけではなくて,尿細管炎,あるいは peritubular capillaritis,ここは目立たないですが, はまだ出ていないと考えております。 か繰り返していますが最初のころの治療は 2 週 間ぐらいでやめていたように見えたのですが, 随伴して出てくると思います。 【スライド 08】cellular crescent で,capillaritis が あります。 【スライド 09】necrotizing な病変が主体の糸球 治療が不十分だったから何回も繰り返してきた という解釈でよろしいのでしょうか。 石岡 まさにそのとおりで,2 週間で抗生剤を 体です。ただ,間質炎とかは意外と軽い。尿細 やめるというのは非常に短かったと思います。 管上皮障害はあります。 【 ス ラ イ ド 10】fibrin が 出 て,fibrinoid necrosis で cellular crescent です。 松井 それでは病理の先生方にお願いします。 山口先生から,お願いします。 山口 【スライド 01】問題点は IE と c-ANCA が 陽性ということ。 【 ス ラ イ ド 02】 組 織 は 非 常 に 派 手 な の で す。 cellular crescent がある。peritubular capillary,そ 【スライド 11】同じ糸球体です。 【スライド 12】全周,半周以上の cellular crescent で,fibrous な 場 所 は 少 な い。phase が 比 較 的似てはいると思います。 【スライド 13】fibro-cellular と取ったのは,この の内外に capillaritis があります。尿細管上皮も 扁平化して,tubular injury が見られると思いま 場所です。 す。 【 ス ラ イ ド 14】C3 は mesangial peripheral。massive に,starry-sky パターンに近い。 【スライド 03】fibrin か,necrotizing のあった糸 球体です。cellular crescent で係蹄が巻き込まれ て,crescent の成分だけが断面で見られている。 【 ス ラ イ ド 15】IgM も 似 た 感 じ で,mesangium にべったりして,granular に,peripheral も混ざっ ここにリンパ,plasma 系の集積があります。 【スライド 04】年齢もあるのでしょうか。間質 ていると思います。 【スライド 16】ただ,IgM が本当に付いている ― 175 ― 腎炎症例研究 31 巻 2015 年 のかどうかは,κ・λが negative なのです。こ 松井 山口先生,ありがとうございます。続き の間,ある技師の方から,M はやはり注意し ないといけない。immune complex のかたちで まして,城先生,お願いします。 城 【スライド 01】ご覧のように糸球体によっ 出てくれば軽鎖が必ず出てくるわけです。IgM て,ずいぶん病変のバラツキがあります。 【スライド 02】このように necrotizing GN を伴っ のパターンに一致してκもλも出ていないの です。それは fragmentas になって,軽鎖が外れ てしまったと言われればそれまでなのですが。 IgM は染み込み病変でただ出ているだけで,優 位なのは C3 が dominant に付いていると思いま す。電顕で immune deposit がなくてもおかしく ない可能性があります。 て,炎症細胞が非常につよく出ているもの。 【スライド 04】しかし一方では,normal な糸球 体がありますし。 【スライド 05】少ないですけれども,硬化糸球 体も見られます。 【スライド 06】血管系は 72 歳ということで,年 【スライド 17】電顕で見ると,好中球で,内皮 下の浮腫が少しあって,dense deposit は見られ 齢に比して軽いと思います。 【スライド 07】ここは,恐らく静脈周囲の cuff- ないです。macrophages,好中球,内皮の腫大 ing。lupus のときにもよく出てまいります。要 が少しある。 【スライド 18】これが peritubular capillary です。 するに,間質に広汎な炎症があって,その後, リンパ管周囲あるいは静脈周囲にリンパ球が集 内皮が腫大して,macrophages 系の細胞が集積 族してくる変化だと思います。 しています。尿細管周囲に少し細胞が寄ってき て,一部リンパ球か,macrophages が尿細管壁 【スライド 08】恐らく,これだけの強い glomerular capillary vasculitis があったので,血尿等々, 内に入っていますので,尿細管炎で,peritubular capillaritis と tubulitis があると思います。 【スライド 19】focal,necrotizing crescentic glo- 【 ス ラ イ ド 09】 フ レ ッ シ ュ な focal necrotizing glomerulonephritis,分節性壊死性病変と言って merulonephritis で,patchy tubular injury プ ラ ス peritubular capillaritis と tubulitis があるというこ いい変化です。 【スライド 10】podocyte が反応しております。 とで,C3 は優位も,IgM の陽性を immune complex 型のκ,λが negative で取れないかと印象 【スライド 11】これは,主体は focal necrotizing であって,capillary vasculitis のときに,同時に はあります。ANCA 関連だけで抑えるのは無理 で,IE に伴う腎炎が先行し,それに ANCA 関 fibrin が血栓を起こしている。本来は,好中球 連がかぶさったのかと思います。 【スライド 20】IE だと focal segmental なパター がるわけですけれども,ANCA の症例を見てい ますと,強い fibrin の血栓を伴うような特徴が 赤血球円柱等々があると思います。 の脱顆粒により基底膜が破れて crescent につな あるようです。 ンが比較的頻度が多いです。fibrinoid necrosis も あ り ま す し,crescentic glomerulonephritis を 【スライド 12】これも capillary がこのように破 壊されて,破壊された場所に fibrin を主体とし 呈する場合もあり得る。 【スライド 21】これは Colvin 先生ので,IgM 優 た血栓が見られる。しかし,まだこの時点では 位の場合が多いということです。treatment で deposit が消失してしまう。ANCA との一緒の合 半月体に移行していない。podocyte が反応して 併です。伴わないほうに比べると,両方伴う場 合がそんなに aggressive ではないということで, いる程度です。 【スライド 13】これを見ますと,一方,podocyte だろうと思いますが,ボウマン嚢の epithe- 両方が合併した ANCA 関連と immune complex 型の腎炎と言えると思います。以上です。 lial cell が反応しているようには見えません。 【スライド 14】PAS で見ますと,さっきと同じ ― 176 ― 第 62 回神奈川腎炎研究会 連続切片ですけれども,好中球の関与があまり 中球がまとわりついてくるタイプは ANCA の ないです。あってもいいと思いますが,necrotizing lesion に好中球の関与がないようです。 【スライド 21】免疫染色では,M と C3 が陽性で, 特徴ではないかと思います。 ほかは陰性でした。 【スライド 15】ほかの場所では基底膜の破壊か 【スライド 22】電顕ですけれども,この症例で ら細胞性半月体に移行しているところです。 【スライド 16】同じ連続切片の PAS です。ここ は強いフレッシュな糸球体病変がありますが, では好中球が出ております。ANCA の場合は, 撮影された場所は比較的おとなしいところで ごく早期には好中球の浸潤があって,そこか ら好中球の phase がなくなって,macrophages の す。ANCA の極期には内皮下に内皮障害から来 phase,あるいは炎症細胞がなくなる phase に移 しこの症例では,その影響は,少なくとも撮 影された場所には ANCA 関連腎症の特徴とい る強い浮腫が誘発される場合があります。しか 行するのではないかと思います。 【スライド 17】違う場所ですけれども,ここに もきれいな cellular crescent ができております。 この小葉間動脈は中等度の内膜の fibroelastosis われる決定的な所見は撮影されていないようで す。 【スライド 23】ここは mesangial interposition が もちろん ANCA のときに動脈壊死を伴う場合 あります。それ相当の内皮障害があって,続発 して interposition が起こってきている場所があ はあるのですけれども,動脈硬化症とほとんど りますが,程度としては,それほど強くありま 見分けがつかないような内膜の変化が,ANCA せん。 があります。ANCA の場合は,通常に比べて, り内皮障害,もちろん糸球体を中心に内皮障害 【スライド 24】ここもそうです。 【スライド 25】これは,恐らくリンパ球だと思 は起こりますけれども,動脈の内膜傷害を伴う います。好中球や macrophages ではないと思い の症例には多い印象を私は持っています。やは 動脈硬化の結構強い症例が多いように思いま ます。 【スライド 26】これは好中球です。極期には脱 す。 【スライド 18】これはさっきの場所 PAM 染色 顆粒があって,内皮障害を起こす決定的な症例 で,ここからボウマン嚢の基底膜が破壊される も持っておりますが,本症例では好中球が出て と糸球体硬化に向かっていくわけですが,こ ますが脱顆粒から内皮障害をおこすまでの所見 の症例では,phase としては非常にフレッシュ で,focal necrotizing な phase, そ れ か ら cellular はここにはないと思います。 【スライド 27】これはリンパ球です。 crescent の phase どまりで,それ以上の進展はな 【スライド 29】尿細管です。さっきのように典 型的な tubulitis を起こしているところが電顕的 いようです。 【スライド 19】間質の炎症ですけれども,巣状 に撮影されておりません。尿細管上皮障害が あって,peritubular capillary に炎症がある程度 に炎症があります。 【スライド 20】感染性心内膜炎と ANCA との関 で,ANCA という面から,決定的な場所あるい 連に話を移していきますけれども,少なくとも 好中球が TBM の周りにまとわりついて,しか も基底膜の破壊がある。こういう病変は ANCA は示唆的な場所が撮られているわけではありま せん。 【スライド 30】これは brush border がないので遠 の病変と考えていいと思います。細菌性心内膜 炎の場合は,糸球体には菌の thrombus,あるい 位系だと思いますけれども,空胞化が非常に強 は菌そのものが糸球体基底膜を溶かすような機 ている薬物の影響があるのかどうか分かりませ 序等々がありますけれども,やはり基底膜に好 んが,遠位系にかなり強い細空胞変性を認めま いです。この原因はよく分かりません。投与し ― 177 ― 腎炎症例研究 31 巻 2015 年 す。こういうのを isometric vacuolization といい 糸球体腎炎と解釈するのか,この電顕だけでは ます。これは山口先生のほうがよくご存じだと 思いますが,移植腎の CyA 毒性のときに出て 【スライド 40】好中球浸潤は末梢係蹄に見られ 判断できないと思います。 くる isometric vacuolization。あれは主に近位系 ますけれども,内皮下の著明な浮腫はなくて, に出てきますので,これはどちらかというと, 遠位系に同じような vacuolization があります。 電顕では比較的おとなしいところを撮影された ために,ANCA 特徴所見はなかった。 この解釈は,私もよく分かりません。 【スライド 31】間質の炎症ですけれども,好中 以上の所見から,pauci-immune 型の半月体形 球,リンパ球,plasma cell,非常に多彩です。 【スライド 32】これはみんな plasma cell です。 て矛盾しない。それから,間質の好中球浸潤な 成性腎炎と診断され,PR3-ANCA 関連腎症とし 【スライド 35】それから好中球が出ております。 【スライド 36】リンパ球もあります。 らびに,軽度の尿細管炎を認めますが,これは, PR3-ANCA 関連として説明がつくと思います。 【スライド 41】最後に,faecalis による心内膜炎 【スライド 37】以上,糸球体 41%に全節性硬化 があります。残存糸球体では mesangium 細胞増 の影響についてもう少し話を進めたいと思いま 多,管内性細胞増多はない。細胞性半月体が 41%。分節性壊死が 23%。基底膜の二重化は 床診断としては,感染性心内膜炎が合併してい ありません。bubbling はありません。糸球体の 感染症で一番有名なのは,propionibacterium acnes,それから Enterococcus faecalis が有名の 腫大もありません。 す。PR3-ANCA 陽性の半月体形成性腎炎で,臨 る。 尿 細 管 間 質 で す け れ ど も, 尿 細 管 萎 縮 が 50%で,炎症細胞の範囲は約 40%。炎症細胞 ようです。 【スライド 42】これは 2005 年に腎病理 CME で, の種類としては,リンパ球,形質細胞が主体で 今井裕一先生の症例のご発表で,覚えていらっ すが,好中球が混入しています。その好中球が 先ほど見ました tubulitis を起こしています。 しゃる方もおられるかと思いますが,非常に 症例がよく似ております。細菌性心内膜炎と E 遠位尿細管には赤血球円柱が目立ちます。血 faecalis の症例です。この症例は,まず弁置換 管系ですけれども,小葉間動脈に高度の内膜の 術をやって,それから抗生剤を投与をしており 線維性肥厚があります。輸入細動脈には,中 ます。 等度の内膜の硝子様肥厚があります。しかし, fibrinoid 壊死はありません。 【スライド 43】蛋白尿もきれいに改善していま 以上の所見から,光顕的には巣状分節性壊死 【スライド 44】腎機能もこの程度の改善があり 性糸球体腎炎,半月体形成性腎炎と診断できま す。 【 ス ラ イ ド 38】 免 疫 染 色 で す け れ ど も,M, C3,C1q が mesangium 領域に陽性で,その他は 陰性です。この時点では免疫複合体性腎炎なの す。 ます。 【スライド 45】貧血も改善しております。 【スライド 46】CRP は 2 月 5 日に弁置換術をやっ て,ほぼ 1 カ月後に改善しております。 【スライド 47】PR3-ANCA も改善傾向にあって, か,浸出性病変による非特異的なものなのかは 半年後には 10 まで改善している。本症例とよ 分からない。電顕を見ますと,免疫複合体性の dense deposit はなかったように思います。 く似ているのではないかと思います。 【スライド 48】そういうことで,とにかく PR3- 【スライド 39】撮られている場所が限られてお ANCA 陽性,半月体形成,即ステロイドという りますので,これを浸出性病変と取るのか。あ るいは細菌性心内膜炎のときに IgM 沈着主体の 考えではなくて,感染性の要素を考慮した治療 を優先させた結果,このようないい予後を得た ― 178 ― 第 62 回神奈川腎炎研究会 という症例です。 【 ス ラ イ ド 49】 最 後 の PR3-ANCA の 病 変 が matoid factor が高い。血液培養をやっても出た monophasic である点についてです。これは山口 くることもあります。 【 ス ラ イ ド 56】 低 補 体 は, 特 に C4 が 低 い。 のは,MRSA のこの 1 例だけです。紫斑が出て 先生の説明でも,非常にフレッシュな病変がほ とんどで,通常の ANCA の場合には intermittent に古いものと新しいものが混在しているのが ANCA の特徴ですけれども,この症例は mono- rheumatoid factor が陽性の場合,クリオグロブ リン血症性糸球体腎炎と同じように C4 が有意 に低下してくるようです。蛋白尿は強いものか ら弱いものまでありました。 【スライド 57】この 2 症例目は,ご覧のように phasic な点が特徴であると思います。 細菌性心内膜炎に伴う半月体形成性腎炎の大 部分は,coagulase positive のブドウ球菌の症例 monophasic なフレッシュな半月体形成性,な が多く,しかも糸球体に,わずかですけれども IgA 沈着の症例が多い。しかし,ANCA と同時 い し は focal necrotizing legion が 見 ら れ, こ れ と ANCA の necrotizing GN と区別がつくかどう に細菌性心内膜炎が直接,糸球体の壊死性変化 かです。僕は難しいと思います。IE から来る focal necrotizing GN は ANCA と見分けがつかな い症例があり得る。しかも,monophasic である。 に作用していた可能性は十分に考え得ると思い ます。要するに,感染治療の選択肢が最初から 一方,ANCA は長い経過を取れば,古い病変も あったようにも思います。 【スライド 50】自驗例ですけれども,国立佐倉 あれば新しい病変があるというのが,ANCA の 病院にいたときの症例をまとめてみました。細 特徴と言うことができます。 菌性心内膜炎があって,低補体があって,皮膚 に紫斑があって,CRP が 5.6。特徴なのは,リ そういうことからすれば,やはり IE から直 接 focal necrotizing を 起 こ し て き た 可 能 性 は, ウマチ因子が陽性で,C1q 法で IC が少し高いで しょうか。当時,ANCA は測定しておりません。 この症例にはあると思います。 【スライド 58】免疫染色を見ても,IgA も C3 も 【スライド 51】ご覧のように,感染性,特に細 出ることは出るのですけれども,非常に弱いで 菌性心内膜炎から来るのは,ANCA によく似た focalnecrotizing な legion を起こしてまいります。 【スライド 52】免疫染色をしますと,ご覧のよ す。だから,この機序は一体何かということは, うに C3 が強く沈着していません。 【スライド 53】電顕で見ましても,強い dense てやってきて基底膜を溶かすような機序が想定 deposit は 見 ら れ ま せ ん。 要 す る に, こ れ は てこない症例が多かったです。出るとすれば, IgA が少し出てくる程度かなと思います。 私はまだよく分からないのですけれども,細菌 の clot が,例えばここに細菌そのものが clot し でき,必ずしも免疫グロブリンの関与が強く出 ANCA があるかどうかは分かりませんが,心内 膜炎であっても,あまり強い deposit がなくて, しかも非常に強い focal necrotizing な病変を起 【 ス ラ イ ド 59】 こ れ は,IgM で す。 そ れ か ら C1q です。だから,IF も比較的慎重に所見を見 こしてくる症例があるようです。 よく見ますと, ここにわずかに dense deposit があります。 ていきますと,症例によっては,免疫グロブリ 【スライド 54】まだ論文になっておりませんけ ンが出ない症例もあり得るわけですので,IgA 腎症のようにはっきりした deposit を取り得る れども,佐倉病院の時代の感染性の単体分節性 糸球体腎炎の症例をまとめたもので,4 例中 3 ものではないということを,念頭に置く必要が 例が細菌性心内膜炎で,2 例が化膿性脊髄炎の 以上,感染性心内膜炎が直接糸球体毛細管壊 症例です。 死を誘発して,c-ANCA の関与が少ない可能性 あると思います。 は否定できないということから,感染治療をス 【スライド 55】CRP は高い。血清中の IC,rheu- ― 179 ― 腎炎症例研究 31 巻 2015 年 テロイドに優先させる可能性が,この症例では あったのではないかと思います。以上です。 松井 城先生,ありがとうございます。ただ今 のお二人の先生のご説明について,コメント, ご質問はありますでしょうか。 石岡 私のほうから,城先生にお聞きしたいの ですけれども,先生がご経験されました 4 例, あるいは 1 例の中で,感染後に腎炎を起こした 期間は一体どれぐらいのものでしょうか。こち らは。 城 比較的早いです。3 カ月とか 4 カ月。長く ても,そのぐらいだったと思います。要するに IE(infectious endocarditis)の期間ですね。 石岡 はい。 城 IE があって,エコーで見つかりますよね。 その前にどのぐらい IE が続いていたかは分か らないです。 石岡 分かりました。本症例は約半年間,治療 が不十分であった影響もあるのですが,IE と言 いましょうか,菌血症が長引いていまして,恐 らく,その半年間ぐらいずっと菌が体内にあっ たのではないかと思うのですけれども,先生の 症例とこちらの症例と,菌が長く滞在した影響 と言いましょうか。違いというものを,もし何 かお気付きの点がありましたら,ご教示を。 城 それはちょっと分からないです。 基本的に, 診断はエコーですよね。 石岡 はい。そうです。 松井 ほかに,どなたかご質問のある先生はい らっしゃいますか。それでは時間もまいりまし たので,前半の部をこれで終わりにしたいと思 います。座長の不手際でずいぶん遅くなってし まいましたことをおわび申し上げます。どうも ありがとうございました。 ― 180 ― 第 62 回神奈川腎炎研究会 IͲ3:Enterococcusfaecalis䛻䜘䜛ឤᰁᛶᚰෆ⭷ ⅖䠄IE䠅䜢䛧ᛴᛶ⭈䜢᮶䛯䛧䛯䠍 䠄•༡㙊䚸⭈䝉䞁䝍䞊䠅 䠖䠓䠏ṓ䚸⏨䚹䠑ᖺ๓ື⬦ᘚ䚸ൔᖗᘚ㛢㙐䛻ᑐ䛧ே ᕤᘚ⨨⾡䚹䠍䠏ᖺ䠍᭶䛻IE䛷ᢠ⏕䛷㝜ᛶ䚹Ⓨ䜢⧞䜚㏉ 䛧䚸Cr1.5䛷᥎⛣䚹䠕᭶ᒀపୗ䚸྾ⱞ䚸Cr7.9䛷⭈ቑᝏ䚸㏱ ᯒ䚹CRP2.9,ᒀ⺮ⓑ䠎䠇䚸ప⿵య⾑䚹ື⬦ᘚ䛻㉕䛷⾑ᾮ ᇵ㣴䛷E.faecalis䚹䛭䛾ᚋCͲANCA㝧ᛶ䚹⒪ᚋCr2.87䚹 ⮫ᗋ⌮Ꮫⓗၥ㢟Ⅼ䠖 䠍䠊 IE䛻䜘䜛⭈⅖䛛䠛 䠎䠊ANCA㛵㐃⭈⅖䛛䠛 䠏䠊 E.faecalis䛻䜘䜛IE䛷㉳䛝䛖䜛䛛䠛 山口先生 _01 山口先生 _04 山口先生 _02 山口先生 _05 山口先生 _03 山口先生 _06 ― 181 ― 腎炎症例研究 31 巻 2015 年 山口先生 _07 山口先生 _10 山口先生 _08 山口先生 _11 山口先生 _09 山口先生 _12 ― 182 ― 第 62 回神奈川腎炎研究会 IgM 山口先生 _13 山口先生 _16 ʃ C1q 山口先生 _14 ʄ 山口先生 _17 C3 山口先生 _15 山口先生 _18 ― 183 ― 腎炎症例研究 31 巻 2015 年 Immunofluorescence Immunoglobulinandcomplementshowwidespreadgranulardeposition IgG,IgM,andC3aredescribedinmostreports(typicallyIgM >IgG&IgA),alongglomerularcapillaries andsometimesmesangium IgAhasalsobeenreportedlesscommonly LinearpatternhasbeendescribedbutisnotindicativeofantiͲGBMAbformation IgGandIgM maybeseeninlargesubendothelial deposits Bacterialantigenshavebeendemonstratedwithcorrespondingantisera Eventhoughlesionsmaybefocalbylightmicroscopy,depositsarediffusebyimmunofluorescence ElectronMicroscopy Subendothelial,subepithelial,andmesangial depositsmaybeseen Subepithelial densedeposits("humps")aremostoftenseeninacutediffuseproliferativeGN(around 1/3ofpatientswithendocarditisGN) MPGNͲtypecasestypicallyhaveprominentsubendothelial densedeposits DiscreteelectronͲdensedepositsinmesangial regions,typicallynearendotheliumofglomerular capillary Capillarywalldepositsarelost1staftereffectivetreatment;mesangial densedepositsmaypersistforш 6months Purenecrotizingcasesmayhavenodensedeposits DifferentialDiagnosis;ANCAͲassociatedPauciͲimmuneNecrotizingGlomerulonephritis EndocarditisͲassociatedfocalnecrotizingGNmayhavelittleornoimmunostaining forcomplementor immunoglobulins,makingthemindistinguishablefromANCAͲassociatedpauciͲimmunenecrotizingGN IthasbeenreportedthatANCAͲassociatedpauciͲimmuneGNassociatedwithinfectiousendocarditisisless aggressivethanANCAnotassociatedwithendocarditis 山口先生 _19 山口先生 _22 ⌮デ᩿䠄62ͲIͲ3䠅 1.Focalnecrotizingcrescentic glomerulonephritis 2.Patchytubularinjury,mild 3.Peritubular capillaritis andtubulitis,mildtomoderate ᵧᵋᵑ ᵣᶌᶒᶃᶐᶍᶁᶍᶁᶁᶓᶑᴾᶄᵿᶃᶁᵿᶊᶇᶑỆợỦज़௨ࣱ࣎ϋᐏ໒ᵆᵧᵣᵇử ӒࣄẲࣱ࣯ᏴɧμửஹẲẺᵏ̊ cortex/medulla=7/3,globalsclerosis/glomeruli=12/33 ග㢧䛷䛿䚸⣒⌫య䛻䛿ಀ㋟ෆ䛻ከ᰾⌫䜔༢᰾⌫䜢䜙䛻ㄆ䜑䜎䛩䚹䠔䞄䛻༙࿘௨ୖ䛾 fibrinoid necrosis䜢క䛖⣽⬊ᛶ༙᭶య䛜ぢ䜙䜜䚸䠍䞄䛻⥺⥔⣽⬊ᛶ༙᭶య䜢ㄆ䜑䜎䛩䚹 ᒀ⣽⟶⣔䛻䛿㏆ᒀ⣽⟶ୖ⓶䛾ᡥᖹ䛸ᣑᙇ䛜ᩓᅾ䛧䚸ᒀ⣽⟶ୖ⓶䛾Ἳἓᡈ䛔䛿◪Ꮚኚ ᛶ䜢ㄆ䜑䚸㍍ᗘ䛾ᒀ⣽⟶⅖䜢క䛔䚸◪Ꮚᡈ䛔䛿⾑⌫ᰕ䛜ᩓᅾ䛧䛶ぢ䜙䜜䜎䛩䚹 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betweenBowmancapsule&scleroticlesion,sometimeswithcrescentformation AdvancedorscarredlesionsaremorecommonlyfoundinchroniccasessuchastheLibman healed,bacteriaͲfreestage Crescentsarenottypicallypresenttoextentthatwouldwarrantdiagnosisofcrescentic glomerulonephritis Diffuseproliferation(~50Ͳ65%ofpatients) Acutediffuseendocapillary proliferativeGNmaybepresent,referredtobysomeasa "glomerulitis" Mildmesangial hypercellularity Littleincreaseinmesangial matrix Littleornonarrowingofglomerularcapillarylumina inmost Severeacutediffuseendocapillary hypercellularity issometimespresent,narrowingoroccluding glomerularcapillaries Membranoproliferative pattern ResemblestypeIMPGNorshuntnephritis Diffuseendocapillary hypercellularity,duplicatedGBM,andlobularmesangial expansion Trichrome maydemonstratesubendothelial fuchsinophilic deposits Polymorphonuclear leukocytesandnuclearfragmentsinglomeruli Acuteorfreshlesionsconsistoffibrinoid necrosisorintracapillary thrombosisin1or2 glomerularlobules Segmentalhypercellularity Organismscanrarelybefound 山口先生 _21 城先生 _02 ― 184 ― 第 62 回神奈川腎炎研究会 城先生 _03 城先生 _06 城先生 _04 城先生 _07 城先生 _05 城先生 _08 ― 185 ― 腎炎症例研究 31 巻 2015 年 ᵟ ᵥ ᵡᾂ ᵡᵏ῀ ᵫ ᷆ 城先生 _09 城先生 _12 城先生 _10 城先生 _13 城先生 _11 城先生 _14 ― 186 ― ᷇ 第 62 回神奈川腎炎研究会 城先生 _15 城先生 _18 城先生 _16 城先生 _19 ᾋή᫋ᾍ ஜỊᵒЏ༾ӕẇ ነྶ˳ᾉᵏᵓᵍᵑᵕ̾ ᵆᵒᵏᵃᵇỆμራࣱᄒ҄῎ സ܍ነྶ˳ỆấẟềῑἳἇὅἀỸἲኬᏘٶفễỤỎỆሥϋࣱኬᏘٶفởЎራࣱᄒ҄Ẇ ၷბẆᖎᏮỊễẟẇኬᏘࣱҞஉ˳ửᵗᵍᵐᵐ̾ίᵒᵏᵃᵇᛐỜẆነྶ˳ൗኬᘉሥ̞។ْരử ᵓᵍᵐᵐ̾ᵆᵐᵑᵃᵇẇነྶ˳ؕࡁᐏỉᏄҽỊễẪẆᵮᵟᵫ௨ᑥỆềʚ҄ễỤỎỆ ᶑᶎᶇᶉᶃὉᶀᶓᶀᶀᶊᶇᶌᶅờᙸỤủộẶỮẇነྶ˳ỉᏽٻỊẝụộẶỮίᵏᵖᵎ᷈ᶋὸẇ ބኬሥῒ᧓ឋᾉ ބኬሥỉᓨễỤỎỆ᧓ឋỉዴዜࣱὉූᏽࣱਘٻửɶሁࡇỆᛐỜᵆᵓᵎᵃᵇῑ ӷ؏Ệ໒ၐኬᏘේửᵒᵎᵃᛐỜỦ῎໒ၐኬᏘේỉᆔỂỊẆἼὅἣྶὉ࢟ឋኬᏘ ầɼ˳ỂẆڤɶྶửฆλẲềẟộẴầڤᣠྶේỊẝụộẶỮẇ ބኬሥ໒ử᠉ࡇỆᛐỜỦẇᢒˮބኬሥỆហᘉྶό௵ầႸᇌếẇ ᘉሥኒ ݱᓶ᧓ѣᏦỆ᭗ࡇỉϋᐏỉዴዜࣱᏄҽửᛐỜẆλኬѣᏦỆɶሁࡇỉϋᐏỉ ᄏ܇ಮᏄҽửᛐỜỦẇѣᏦỉἧỵἨἼἠỶἛْരỊễẟẇ ˌɥỉᙸẦỤẆ࢟७ႎỆߺཞЎራࣱْരࣱὉҞஉ˳ࣱ࢟Ᏼ໒ểᚮૺẲộẴẇ 城先生 _17 城先生 _20 ― 187 ― 腎炎症例研究 31 巻 2015 年 …‣ബဏࣱ≑″⁄„‒ज़௨ࣱ࣎ϋᐏ໒≏‷⁗⁕⁕⁕‒⁘⁓⁗⁕⁛ ٻѣᏦࡰፗ੭ᘐ ৴ဃд৲ɨ ᾋβ၃௨ᑥᾍ ᵧᶅᵫὉᵡᵑὉᵡᵏᶏầἳἇὅἀỸἲ᪸؏Ệ᫄ቩཞỆࣱᨗỂẴẇ Ẹỉ˂ỉβ၃ἂἿἨἼὅὉᙀ˳ỊᨏࣱỂẴẇ β၃ᙐӳ˳ࣱᏴ໒ễỉẦ̛Јࣱ၏٭ỆợỦ᩼ཎီႎ၏٭ễỉẦỊỪẦụộẶỮẇ ᩓ᫋ᚮૺửấࢳẼɦẰẟẇ ᾋᩓ᫋ᚮૺᾍ ᶂᶃᶌᶑᶃᴾᶂᶃᶎᶍᶑᶇᶒỊễẪβ၃ᙐӳ˳ࣱᏴ໒ỊԁܭႎỂẴ῎ ነྶ˳ఴ̞។ỆڤɶྶේầẝụộẴầẆϋႝɦỉᓸଢễූᏽỊễẪ 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