2015 年度 事業計画 - 医療法人社団神鋼会 神鋼病院 健診センター

2015 年度 事業計画
1. 概要 ■ 2015 年度運営⽅針
総合医学研究センターは 2012 年 4 ⽉に発⾜後、同年 10 ⽉には⽂部科学省から研究機関としての認定を取得し、厚⽣労働省や⽂部科学省の科学研究費助成⾦の収
得を⽬指してきた。本センターの⽬的は、医学医療の発展のため臨床医学研究を推進し、神鋼記念病院における⾼度先進医療の⽀援や共同研究を⾏うとともに、医師
のみならず研究に興味を持つ若⼿職員の育成を⽬指すことにある。
平成 26 年度には、熊⾕膠原病リウマチ研究所や⾎液疾患研究所に加え、器官組織病態研究所を設⽴し、その中に⽿⿐咽喉科研究部⾨「ENT Medical Lab」ができ、
神鋼病院(現神鋼記念病院)には病理センターが設置された。従来⾏ってきた免疫疾患や⾎液疾患の研究のみならず、感染症の新規診断法開発や悪性腫瘍の個別化医
療の研究など、より広い分野の研究を⾏ってゆく。本年度も引き続き臨床医学研究の推進や個別化医療の研究開発を⾏うとともに、技師 1 名の増員を得て、各診療科
や診療部との連携のもと、⾼度先進医療の実践や外部委託検査の院内取り込みも⾏っていく。
また国際学会への発表とともに、英語論⽂の作成を⾏い、研究の成果に基づく特許申請(3 件)も⾏った。さらに先進医療の実施に向けた申請(1 件)も 2015 年 5
⽉承認され、⽂部科学省科学研究費も獲得できた(代表 1 件、分担 1 件)。⽂部科学省や厚⽣労働省の科学研究費をはじめ、2014 年度に設⽴された⽇本医療研究開発
機構(いわゆる⽇本版 NIH)の研究費など、各種競争的資⾦の獲得を⽬指すとともに、各種外部研究資⾦の獲得にも取り組んでゆく。さらに神鋼記念会の他の研究機
関や健診センターなどより幅広く、従来とは異なった視点の共同研究も⽬指す。
■ 重点推進項⽬
1)膠原病リウマチの個別化医療の研究
2)⾎液疾患における新規診断や治療法の開発
3)感染症や⾃⼰免疫疾患の新規診断法の開発
4)ファーマコジェネティクスを⽤いた個別化医療の研究
5)⽿⿐咽喉科疾患における新規治療法の開発
総合医学研究センター / 2015 年度事業計画書1
■ 主たる研究
【膠原病リウマチ研究所】
・ゲノム解析に基づく関節リウマチや膠原病の個別化医療研究(ファーマコジェネティクス)
・関節リウマチの早期診断や治療の個別化に有⽤な新規バイオマーカー開発
・ゲノムやオミックス解析に基づく⾃⼰免疫疾患病態解析法の多⾓的検討
・コンピューター⽀援型免疫蛍光顕微鏡システムを⽤いた抗核抗体検出法(FANA)の基礎的性能と臨床的有⽤性の検討
・膠原病に合併する肺⾼⾎圧症の病態解明や個別化医療に向けてのゲノム薬理学的アプローチ
【⾎液疾患研究所】
⾎液内科併設の細胞治療室が研究の主体を担う。研究の主な⼿段は①フローサイトメトリー、②PCR、
③細胞培養である。主なプロジェクトは以下のとおりである。
・フローサイトメトリーによる⽩⾎病や悪性リンパ腫の表⾯抗原の解析を⾏う。独⾃の抗体パネルを⽤いて、抗原発現のパターンによる新たな診断法を開発する。
また、腫瘍細胞の微少残存病変のより精密な検出を⽬指す。
・フローサイトメトリーによる⾻髄移植・末梢⾎幹細胞移植⽤細胞(CD34 陽性細胞)の定量および免疫機能検査 /T 細胞機能検査について、検査⼯程のバリデーショ
ンを⾏い、臨床検査としての測定法を確⽴する。
・フローサイトメトリーによるサイトカイン測定法を確⽴し、炎症性病態の解明とサイトカインの臨床検査としての確⽴を⽬指す。
・PCR によるリンパ系腫瘍のクローン性検査の感度、特異度の向上を推進する。
・PCR による転座型造⾎器腫瘍の診断および微⼩残存病変検出の臨床応⽤、および急性⽩⾎病の腫瘍マーカーである WT1 測定の導⼊。
・PCR を⽤いた網羅的ウイルス迅速解析を⽤いて、免疫不全状態におけるウイルス感染症のプロフィールを確⽴する
・近い将来、認可される予定の先進医療:
「多項⽬迅速ウイルス PCR 法を⽤いた造⾎幹細胞移植後ウイルス感染症の早期診断」という課題の臨床研究として実施し、
造⾎幹細胞移植後のウイルス感染症のプロフィール確⽴と網羅的ウイルス解析の保険収載を⽬標とする。
・⾎液研疾患究所における単施設臨床研究
・サイトカインプロフィールによる腫瘍熱と感染の鑑別
・同種造⾎幹細胞移植後⾼サイトカイン⾎症の評価
・フローサイトメトリーを⽤いた同種造⾎幹細胞移植後好中球⽣着の早期診断
・企業共同研究(シスメックス社) ⾎球計測器による活性化好中球⾎球情報の解析
【器官組織病態研究所 ENT medical lab】
・アレルギー性⿐炎への選択的後⿐神経切断術の有⽤性
・下⿐甲介を⾛⾏する神経⾎管束の組織学的研究
・閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)への⿐⼿術の有⽤性
・嚥下機能改善トレーニングの有⽤性
総合医学研究センター / 2015 年度事業計画書2
2. 研究所の事業計画
1.収⽀予想
(単位;千円)
平成 26 年度
収
備
考
⼊
31,000
研究寄付⾦及び病院からの検査受託
労務費
48,000
医師 ( 専任及び兼務 )3 ⼈、技師 5 ⼈
経 費
9,300
計
57,300
収⽀損益
-26,300
総合医学研究センター / 2015 年度事業計画書 3
2014年度 事業報告
1. 概要 総合医学研究センターは 2012 年 10 ⽉に⽂部科学省から研究機関としての指定を受け、各省の科学研究費の申請や各種研究寄附が可能となった。2014 年 3 ⽉には
第 3 の研究所であり「器官組織病態研究所」を設⽴し、その中に⽿⿐咽喉科研究部⾨「ENT Medical Lab」を設置した。研究室の整備や研究機器についても充実を図り、
遺伝⼦検査、細胞培養、フローサイトメトリなどに加え、本年度はマルチモードプレートリーダーやコンピューター⽀援型免疫蛍光顕微鏡システムなどの導⼊を⾏った。
本センターの⽬的に照らし、2014 年度は熊⾕膠原病リウマチ研究所や⾎液疾患研究所における研究に加え、感染症の新規診断法開発やファーマコジェネティック
スを⽤いた悪性腫瘍の個別化医療の研究など、より広い分野の研究を⾏ってきた。
これらの成果を国際学会への発表とともに、英語論⽂の作成を⾏い、研究の成果に基づく特許申請(2 件)も⾏った。⽂部科学省や厚⽣労働省の科学研究費(2014
年度実績 分担研究合計 2 件)をはじめとする公的競争的資⾦(2014 年度実績 5 件)を獲得し、現在も各種外部研究資⾦の獲得にも取り組んでいる。
■ 主たる研究
【膠原病・リウマチ系】
1.関節リウマチ治療におけるメトトレキサートの効果と副作⽤を予測のための多施設研究(ファーマコジェネティクス)
2.リウマチの早期診断や治療の個別化に有⽤な新規バイオマーカー開発
3.膠原病に合併する肺⾼⾎圧症の病態解明や個別化医療研究
4.ステロイド性⾻粗鬆症と⾻折に対する新しい治療法の研究
5.コンピューター⽀援型免疫蛍光顕微鏡システムを⽤いた抗核抗体検出法(FANA)の基礎的性能と臨床的有⽤性の検討
6.⽣物学的製剤の効果や副作⽤発現における抗製剤抗体の役割
【⾎液・免疫系】
1.院内検査の充実に関する検査系の確⽴とバリデーション
① フローサイトメトリー法による⽩⾎病、悪性リンパ腫の診断および微少残存病変の検出
② PCRによるリンパ増殖症(TおよびB細胞)のクローナリティ診断
③ フローサイトメトリー法によるリンパ球サブセットT細胞機能検査
④ 免疫不全患者を対象とした網羅的ウイルスPCR解析によるウイルス感染の早期診断
⑤ ⾻髄移植・末梢⾎幹細胞移植⽤細胞中のCD34陽性細胞(造⾎幹細胞/造⾎前駆細胞)の定量
⑥ 検査実績は、①③353件 ②118件 ④定性791件、定量2,116件、⑤21件である。
総合医学研究センター / 2014 年度運営状況 1
2.先進医療を⽬指した新規検査法の確⽴に関する研究
(1)網羅的迅速ウイルス解析検査
2015年2⽉2⽇、先進医療Aとして厚労省に受理された。(同年5⽉1⽇、承認)
3.実施中の研究
① サイトカインプロフィールによる腫瘍熱と感染の鑑別
② 同種造⾎幹細胞移植後⾼サイトカイン⾎症の評価
③ フローサイトメトリーを⽤いた同種造⾎幹細胞移植後好中球⽣着の早期診断
④ 網羅的PCRを⽤いた消化管ウイルス感染と疾患・病態の関係解明
⑤ フローサイトメトリーによる急性⾻髄性⽩⾎病、特に単球性⽩⾎病の確定診断
⑥ フローサイトメトリー法による悪性リンパ腫亜分類の精密診断
⑦ ⾎球計測器による活性化好中球⾎球情報の解析
2. 研究所の事業報告
(単位;千円)
2014 年度
収
備
15,435
研究寄附⾦・共同研究費
労務費
38,781
医師・検査技師
経 費
10,047
検査試薬、研究雑費 等
計
48,828
収⽀損益
-33,393
⽤
費
⼊
総合医学研究センター
セン
ン ター / 2014 年度運営状況2
ンタ
年度
考
等