第 7 回 系列相関(4.2) 村澤 康友 2015 年 5 月 22 日 目次 1 時系列データ(p. 73) 1 2 古典的線形回帰モデル(p. 45) 2 3 系列相関(p. 72) 2 4 標準誤差の修正 2 5 系列相関の検定(p. 73) 3 6 コクラン=オーカット法(p. 74) 3 7 今日の課題 4 1 時系列データ(p. 73) {yt } を時系列データとする. 定義 1. (1 次の)自己回帰過程は yt = ϕyt−1 + wt E(wt ) = 0 var(wt ) = σ 2 cov(wt , wt−1 ) = cov(wt , wt−2 ) = · · · = 0 ただし |ϕ| < 1. 注 1. gretl で自己回帰過程を生成する手順は以下の通り. 1. y, w を正規乱数として作成. 2. 例えば ϕ := 0.5 なら y = 0.5 ∗ y(−1) + w として y を作り直す. メニューから「表示」→「変数のグラフ」→「時系列プロット」で時系列データを確認できる. 1 練習 1. 観測数 50 の時系列データセットを作成し,ϕ := 0.9 と ϕ := −0.9 の自己回帰過程を生成して,両者 の時系列プロットを比較しなさい(p. 73,図 4-7). 2 古典的線形回帰モデル(p. 45) xt を説明変数,yt を被説明変数,ut を誤差とする. 定義 2. 古典的線形回帰モデルは yt = α + βxt + ut E(ut ) = 0 var(ut ) = σ 2 cov(ut , ut−1 ) = cov(ut , ut−2 ) = · · · = 0 注 2. すなわち誤差は均一分散をもち,互いの共分散は 0. 定理 1 (ガウス=マルコフ定理). 古典的線形回帰モデルの回帰係数の OLS 推定量は最良線形不偏推定量 (Best Linear Unbiased Estimator, BLUE). 3 系列相関(p. 72) 定義 3. 系列相関をもつ線形回帰モデルは yt = α + βxt + ut E(ut ) = 0 var(ut ) = σ 2 cov(ut , ut−1 ) ̸= 0 注 3. {ut } が 1 次の自己回帰過程なら ut = ϕut−1 + wt E(wt ) = 0 var(wt ) = σ 2 cov(wt , wt−1 ) = cov(wt , wt−2 ) = · · · = 0 ϕ > 0 なら正,ϕ < 0 なら負の系列相関. 注 4. 系列相関の問題点 1. OLS の標準誤差・t 値の修正が必要. 2. OLS は BLUE ではない. 4 標準誤差の修正 系列相関が懸念される場合は,以下の手順で OLS を実行する. 2 1. メニューから「モデル」→「最小二乗法」を選択. 2.「従属変数」を 1 つ選択. 3.「説明変数(回帰変数)」を選択. 4.「頑健標準誤差を使用する」をチェック. 5.「OK」をクリック. 系列相関がなくても頑健標準誤差は正しいので,こちらを使う方が安全. 練習 2. c42.gdt は日本の国民経済計算の時系列データであり,以下の 2 つの変数をもつ. 1. CONS(実質民間最終消費支出) 2. GDP(実質 GDP) log(CONS) と log(GDP) の時系列プロットと散布図を描きなさい. 練習 3. c42.gdt のデータを用いて通常の回帰分析を行いなさい(p. 76,図 4-8). 練習 4. c42.gdt のデータを用いて標準誤差を修正した回帰分析を行いなさい. 5 系列相関の検定(p. 73) 次の検定問題を考える. H0 : 系列相関なし vs H1 : 系列相関あり ダービン=ワトソン(DW)検定統計量は OLS で自動的に出力される(DW=2 なら系列相関なし,0 に近い ほど正の系列相関) .OLS を実行した画面のメニューから「検定」→「ダービン=ワトソン p 値」で p 値も確 認できる.また以下の手順で Breusch–Godfrey の検定も実行できる. 1. OLS を実行した画面のメニューから「検定」→「自己相関」を選択. 2.「検定するラグ次数」を選択(通常は 1 でよい). p 値が有意水準(通常は 0.05)以下なら H0 を棄却. 練習 5. c42.gdt のデータを用いて DW 検定を行いなさい. 練習 6. c42.gdt のデータを用いて Breusch–Godfrey の検定を行いなさい. 6 コクラン=オーカット法(p. 74) 1 次の系列相関をもつ線形回帰モデルは yt = α + βxt + ut ut = ϕut−1 + wt 第 1 式の両辺に ϕ を掛けて t を 1 期前にずらすと ϕyt−1 = ϕα + ϕβxt−1 + ϕut−1 3 これを第 1 式の両辺から引くと yt − ϕyt−1 = α − ϕα + βxt − ϕβxt−1 + ut − ϕut−1 = (1 − ϕ)α + β(xt − ϕxt−1 ) + wt これは系列相関のない線形回帰モデル. 定義 4. コクラン=オーカット法の手順は以下の通り. 1. (α, β) の OLS 推定値 (a, b) を計算. 2. ût := yt − a − bxt を用いて ϕ の OLS 推定値 ϕ̂ を計算. 3. yt − ϕ̂yt−1 と xt − ϕ̂xt−1 で OLS. 注 5. ϕ と (α, β) の推定を反復する方法もある.ただし計算が収束するとは限らない. 注 6. gretl では以下の手順でコクラン=オーカット法を実行できる. 1. メニューから「モデル」→「時系列」→「AR(1)」を選択. 2.「従属変数」を 1 つ選択. 3.「説明変数(回帰変数)」を選択. 4.「コクラン=オーカット法」をチェック. 5.「OK」をクリック. データが 1 つ減るのでコクラン=オーカット法は非効率.プレス=ウィンステン法の方がよい. 練習 7. c42.gdt のデータを用いてコクラン=オーカット法で回帰分析を行いなさい(p. 76,図 4-9).またプ レス=ウィンステン法も試みなさい. 7 今日の課題 練習 1–7 の実行結果をワードに貼り付けて My Konan で提出しなさい. 4
© Copyright 2024 ExpyDoc