アイケア通信2号

2号
アイケア通信
アイケア通信
アイケア通信 2 号では網膜剥離
では網膜剥離を
網膜剥離を特集します
特集します。
します。
網膜剥離とは
網膜剥離とは
目の中には、カメラでいうとフィルムに当たる部分に相当する網膜(図 1)とい
う器官があります。この網膜が何らかの理由で網膜の外側にある網膜色素上皮
から離れてしまった状態を網膜剥離(図 2,3,4)といい、網膜剥離を起こした部分
では物が見えにくくなります。
網膜剥離には網膜が破れて起こる裂孔原性網膜剥離と、網膜の外側から水が
滲み出したり、内側へ引っ張られたりして起こる非裂孔原性網膜剥離がありま
す。特に治療が急がれるのは裂孔原性網膜剥離で、50 歳以上の人に起こる場合
は前兆に蚊が飛んでいるように見える飛蚊症
飛蚊症や目の中で光が見える光視症
光視症が自
飛蚊症
光視症
覚される場合が多いです。
(図 1) 眼球断面図
(図 2) 網膜剥離の眼球断面図
裂孔
剥離した網膜
参考文献)参天製薬.INFOMED CONSENT:
網膜硝子体疾患編.を参考に筆者作成
(図 3) 網膜剥離写真
(図 4) 網膜剥離 超音波画像
網膜剥離像
網膜剥離像
網膜剥離の
網膜剥離の治療方法
非裂孔原性網膜剥離にはぶどう膜炎など原因となった病気があり、薬物治療
などの病気の治療が必要です。
網膜が破れて生じた裂孔原性網膜剥離では、レーザーで焼いたり、冷凍をし
たりして、網膜の破れた部分(裂孔)の周囲組織を外側の網膜色素上皮にくっつけ
て閉鎖します。この裂孔を閉鎖するためには、裂孔部を一時的に色素上皮にく
っつけておかなければならないので、目
目の外側から
外側から眼球
から眼球を
眼球を押さえ込
さえ込む手術をし
手術をし
たり(図 5)、裂孔部を引っ張っているゼリー状の物質である硝子体
硝子体を
たり
硝子体
を取り除くな
どの手術
6)をします。
どの手術(図
手術
図5
眼球を抑え込む手術
図6
硝子体を取り除く手術
シリコンスポンジ
参考文献)参天製薬.INFOMED CONSENT:
参考文献)菅 謙治:眼疾患,金芳堂,111,2000
網膜硝子体疾患編.を参考に筆者作成
網膜剥離手術の
網膜剥離手術の歴史
1904 年の国際学会では、網膜剥離は不治の病とされていました。しかし、1918
年に Jules Gonin(1870‐1935)が網膜の破れた部分(裂孔)をふさぐことで治るこ
とを発見し、治癒率が 6%から 53%まで向上しました。その後、シリコンを縫
い付けて押さえ込む手術(図 5)や、目の中で裂孔部を引っ張っている硝子体を取
り除く硝子体手術(図 6)が登場しました。現在の治癒率は 90%以上にまで向上し
ています。 ※ 治癒率は網膜が元の位置に戻る確率
安藤院長と
安藤院長と網膜剥離
Gonin の手術方法で手術成績は劇的に向上したものの、50 年前の日本ではま
だ半数近くの患者さんの網膜剥離は治りませんでした。治らない網膜剥離に対
して安藤院長は悩み、当時アメリカで研究が進んでいたシリコンを目に縫い付
けて押さえ込む手術方法を(図 5)を取り入れたいと考えるようになりました。し
かし、当時の日本ではその手術方法が知られておらず、手術材料もなかったた
めアメリカから材料を輸入し網膜剥離の治療を始めました。