つい先日まで咲き誇っていた桜も既に盛りは過ぎ、風に舞う花びらが新

つい先日まで咲き誇っていた桜も既に盛りは過ぎ、風に舞う花びらが新年度の始まりを
告げます。4月は、社会全体に新しい何かが始まる期待感、そんな息吹やエネルギーを感
じますが、修猷も例外ではありません。明日には400名の初々しい後輩たちが、修猷の
門をくぐり、新たな館友の誕生とともに本格的に今年もスタートします。
今壇上から諸君の姿を見渡すこの光景は、数年前まで勤めていた頃の見慣れた光景にも
拘わらず、不思議なことにとても新鮮です。やはり見た目は変わらずとも、目に見えぬ時
間軸に貫かれた、時や場に応じて縦横無尽に変化する修猷と云う空間が醸し出す雰囲気な
のか、それとも、視線の先にある未来に対する期待感からなのか、その疑問は今から徐々
に解き明かされるに違いありません。
先月、後期終業式で奥山前館長が式辞で述べた、「謙虚にして奢らず、大らかに二
兎も三兎も追う、世界のリーダーに相応しい修猷人を、目指してもらいたい」と云う諸君
へのメッセージを覚えていますでしょうか。
其処に至るまでの文脈から読み取れる、諸君が間違いなく着実に成長している姿への賞
賛とともに、今後の更なる成長への期待を込めたその想いには、今それぞれが何を為すべ
きかが問われていることを忘れてはなりません。
さて、いよいよ本日から平成27年度が始まります。この節目にあたり、各自が昨年度
の自己総括をもとに改めて新たなこの1年をどのように過ごすべきか、しっかりと自問自
答することが必要です。身近な目標。
大きな目標。
夢のような目標。そのすべてを掲
げ、時間を意識しながら、何を心の柱として時の流れに果敢に挑んでいくのかをしっかり
と吟味し決して逃げない覚悟を持たねばなりません。
本日、諸君に述べたいことは2点あります。
まず第一に、「人生は学びによって変わる」と云うこと。
論語に示された、「教え有りて類なし」
この箴言の中核は、「人は教育によって違いが生じる」と云うこと。人間の在るべき姿
として、人は生まれた時点では差はなく、どの様な人に出会い、どの様な教えを受け、何
を学び、何に惹かれ、そして志が育まれたのか否かにより差が生じます。同様に、修猷に
於いても、どれだけ魅力的な友に出会えたのか、どれだけ尊敬できる人物に出会えたのか、
そして、どれだけ好奇心旺盛且つ貪欲に学んだのかによって、人生が変わることを示唆し
ています。
やらされている自分ではなく、自からが掲げた目標達成に向け、どの様に主体的に取り
組み、どの様な具体的方策を駆使して目標に近づくのか、少なくとも、自らが信念を持っ
て学び、二兎も三兎も追って積極的にチャレンジする姿を堅守することが重要です。
修猷には論理的には説明しがたい様々な財産がありますが、その一つが「修猷文化」で
あり、時間軸を越えて、その文化を醸成してきた各時代時代の修猷生の学ぶ姿がそこには
浮かび上がり、今現在も、その文化を継承できる、多くのすばらしい切磋琢磨できる館友
が、諸君の周りにはたくさん存在しています。
そして、志を立て一生懸命学ぶ姿やチャレンジ精神を失わない姿を貫けば、必ず人間的
成長は担保され、豊かな人生を歩む道が拓け、その真摯な姿には自ずと学校内外の魅力多
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き人間がその周りに自然に集い学びの連鎖が生まれます。是非すばらしい学びの1年とす
るためにも、真の友をたくさん得ることができる1年にしてもらいたいと願っています。
二点目は、「時間に対する意識を研ぎ澄ませ」と云うこと。
大志を抱けば、やるべきことは無限にあり、時間不足に悩まされます。しかし、どんな
困難に遭遇しようとも逃げずに前を向き、物理的時間は有限であっても、時間の質は自ら
の考え方次第で変えることができることを肝に銘じ、勉学はもちろん、時間を有効活用し
て、学校行事や部活動にも積極的に打ち込むべきです。そしてその精神こそが紛れもない
修猷の魅力のはずです。
特に3年生部活生にとって、受験を意識する中でも、高校生活最後の重要な公式試合や
発表会等はもう間近に迫っており、最後の総仕上げ段階の今、やらねばならぬことは山ほ
ど残っていることでしょう。
それに比べ、残された時間を逆算して天秤にかけると、明らかな時間不足に愕然とする
焦燥感。限られた時間が容赦なく諸君を脅かし、その現実に、もがき苦しみ悩みは絶えま
せんが、当然2年生にとっても何れ必ず通る道です。しかし、間違いなく試練は人を育て
ますし乗り越えねばならぬ宿命でもあります。そしてその解決策は、自分で考えるしかあ
りませんが、実はヒントは意外に至極シンプルです。それは、「時間は自分で作るもの」
を徹底すること。各自が自分の時間の使い方を工夫して、オリジナルの質の高い時間に変
換させることなのです。是非、時の流れに飲み込まれることなく、自分自身を見失わず、
理想の修猷人を目指すことを願っています。
最後に、何よりも健康を大切にすることはもちろん、改めて各自が、「自分を信じ、高
みへの挑戦を持って、真の自己実現を目指す」充実した1年にできることを願って式辞と
します。
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