客観的なスキル評価とタレントマネージメント が開く人材育成と人材活用

客観的なスキル評価とタレントマネージメント
が開く人材育成と人材活用の新次元
SMA理事長 大原茂之
タレント ネジメント&ETSS連携研究会主査 清水一人(株式会社サイダス)
タレントマネジメント&ETSS連携研究会主査
清水 人(株式会社サイダス)
タレントマネジメント&ETSS連携研究会 中田文子(株式会社サイダス)
2015/2/26
講演概要
第1部 スキルの形式的評価について
‡ ETSSのご紹介
‡ スキル評価の問題点
‡ 試験によるスキル評価の可能性
第2部 スキルとタレントマネージメントの補完関係
スキルとタレントマネ ジメントの補完関係
‡ タレントマネージメントのご紹介
‡ タレントマネ
タレントマネージメントによる人材活用の効果と事例のご紹介
ジメントによる人材活用の効果と事例のご紹介
‡ スキルとタレントマネージメントによる多次元マネージメントの可能性
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一般論としての技術とスキルについて
<技術>
z 定義
‡ 経済性、新規性、再現性、保守性などを満足しつつ、要求に対する結果を
得るための工程
‡ 工程の例:製品の開発、製造、保守、製品内部の処理など
<技術者のスキル>
z 技術者としての側面
‡ 経済性、新規性、再現性、保守性などを強化する能力
‡ 工程の創造、開発、改善、改良などの創意工夫を行う能力
⇒未来を指向する革新的な方向(守破離の離に相当)
z 技能者としての側面
‡ 工程を構成する要素の活用に習熟し、要求された結果を出せる能力
工程に対して保守的な方向(守破離の守と破に相当)
⇒工程に対して保守的な方向(守破離の守と破に相当)
z 技術者は革新と保守の両面をもつ!
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ETSSのフレームワーク
z ETSSではフレームワークが標準であり、中に書き込む技術項目は標準ではない!
z 人材のスキレベルは、作業に求められる技術項目(=知識)ごとに計測
¾ 計測したスキルは分布となり、全体で一つの値になるわけではない。
¾ 健康診断で、血圧、体重、身長などを個別に計測、全体を分布で診ることと同じ。
健康診断で 血圧 体重 身長などを個別に計測 全体を分布で診ることと同じ
z 個人のスキル分布を集めると、企業単位、事業部単位の組織スキル
整理した技術項目ごとに
スキルレベルを記入
作業(タスク)の実施に必要な
技術(=知識)項目の整理(BOK)
第1階層
技
技術A
開
開発技術
技
技術B
技術B1
管理技術
技
技術C
技術
技術C1
技術要
要素
目的の技術開発に
必要な作業
(タスク)
技術A1
第2階層
第3階層
レベル 1
初級
レベル 2
中級
レベル 3
上級
レベル 4
最上級
技術Ap
スキルは
このような
分布になる
技術Bq
技術Cr
注意:BOKの構造は必要ならば技術D,技術E、・・・、第4階層、第5階層、・・・と増やして良い。
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ETSSのスキルレベルの評価基準
離
レベル4(最上級) 新たな技術(知識)を開発できる(創造者)
レベル4(最上級):新たな技術(知識)を開発できる(創造者)
(これまでの知識を超えた新しい知識を創造できる)
異なる次元へ
破
レベル3(上級):作業を分析し改善・改良できる(1.5人前)
(後進を指導でき、既定の工程での想定外の事象に対応できる)
レベル2(中級):自律的に作業を遂行できる(1人前)
(既定の工程にそって行動できる)
守
レベル1(初級):支援のもとに作業を遂行できる(半人前)
(一人では既定の工程にそって行動できない)
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スキル評価の問題点とその解決
‡人依存による評価の問題
¾ 自己、上長の感覚的な判断に依存
¾ 感情に依存するため、評価は不安定で信頼性は低い
感情に依存するため 評価は不安定で信頼性は低い
¾ 表出したスキルは評価可能、表出していないスキルは評価不能
¾ 人の顔を思い浮か
人の顔を思い浮かべることと等価になり、偏りが発生
ることと等価になり、偏りが発生
¾ 異なる組織間でのスキル評価の共有は困難
‡スキル評価の人依存性軽減に向けて
¾ スキルを計測できる試験問題の特徴と試験方法の策定
‹ 解答までの思考時間を制限し直観を重視
‹ 試験問題の後戻りを許さない
¾ 具体的な事例として、会員企業の協力を得てテスト技術者のスキル計測を
行った。
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実際の試験方法
‡試験の対象
¾ 会員企業A社のテスト技術者285名
¾ 入社2年目~12年の社員
入社2年目 12年の社員
¾ 試験項目は6項目(試験問題数70問)
‡
‡
‡
‡
‡
‡
テスト要求分析10問、
テスト計画10問、
テストアイテム設計20問、
テストケース設計10問、
、
テスト実行10問、
評価/報告10問
¾ 試験時間は1問当たり20秒
¾ 1問1点
¾ スキルレベルは事前に自己評価
‡統計的評価
¾ 自己申告のスキル評価の正確性、試験結果と自己申告スキルの整合性を
検討 試験 よる計測 妥当性を統計的 導出
検討し、試験による計測の妥当性を統計的に導出
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自己申告スキルレベルの評価
テスト計画
テストアイテム
評価/報告
設計
テスト要求
分析
テストケース
設計
テスト実行
テスト計画
1
0.91
0.93
0.94
0.86
0.73
テストアイテム
設計
0.91
1
0.93
0.88
0.94
0.82
評価/報告
0.93
0.93
1
0.89
0.89
0.77
0.94
0.88
0.89
1
0.81
0.66
0.86
0.94
0.89
0.81
1
0.88
0.73
0.82
0.77
0.66
0.88
1
テスト要求
分析
テストケース
設計
テスト実行
上記表が各項目間の相関を算出した結果
z テスト実行以外は極めて相関が強い。
z 特にこのことは、次のような事例が多く存在することを意味している。
社員a 5 5 5 4 5 5
社員b 1 1 1 1 2 2
z 自己評価のため、この評価結果が正当か否かは不明
z ただし、明らかに厳しく評価、あるいは甘く評価している社員がいる。
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試験問題とスキルの相関を求める準備
1
2
3
4
1
1.00
0 02
0.02
0.11
(0.02)
2
0.02
1 00
1.00
0.00
(0.02)
3
4
0.11 (0.02)
0 00 (0.02)
0.00
(0 02)
1.00 0.04
0.04 1.00
67
68
69
70
(0.05)
0.01
0.11
(0.02)
0.06
0.14
0.04
0.03
0.08 0.10
0.08 (0.04)
0.03 (0.06)
0.07 (0.01)
・・・
67
(0.05)
0 06
0.06
0.08
0.10
68
0.01
0 14
0.14
0.08
(0.04)
69
0.11
0 04
0.04
0.03
(0.06)
70
(0.02)
0 03
0.03
0.07
(0.01)
・・・
①
②
③
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1.00 0.10
0.10 1.00
0.06 0.10
0.05 (0.00)
0.06 0.05
0.10 (0.00)
1.00 0.17
0.17 1.00
70問の試験問題の間のすべての相関を算出
次にジャンルごとに相関係数の高い組合せを構成
この組合せを用いて自己申告したスキル評価結果を評価し、スキルと試験
結果に相関が出てくる条件を策定
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テストアイテム設計の事例
ほとんど相関が無いが少しでも高い値の設問:44、54、55問の組で評価
とんど相関が無 が少
も高 値 設問
問 組 評価
(1)3問合計点とスキルの相関 0.17 ⇒ ほとんど相関は無い。
(2)仮説:合計1点以下でL5 L4 L3とした評価は誤っているとした場合のスキ
(2)仮説:合計1点以下でL5、L4、L3とした評価は誤っているとした場合のスキ
ルレベルと試験結果の相関
L5
L4
L3
0.22
0.41
0.58
(3)仮説:上記(2)の条件の下、さらにL1で2点以上を取得している評価は誤り(
低く過ぎ)として除外した場合
評価対象者数
165名
相関係数
0.71
(4)仮説:上記(3)の条件に加えて、さらにL2で2点以上を取得している評価は
誤り(低く過ぎ)として除外とした場合
評価対象者数
147名
相関係数
0.76
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設問44、54、55の検討
設問44 ストレージテストの定義の説明で、適切なものは次のどれか。
ストレ ジテストの定義の説明で 適切なものは次のどれか
①テスト対象のメモリ・リークの確認をするテスト
②テスト対象の起動・終了を繰り返す確認をするテスト
③テスト対象のリソ ス不足しそうな状態・不足している状態で確認をするテスト
③テスト対象のリソース不足しそうな状態・不足している状態で確認をするテスト
④テスト対象に対して短時間内に処理能力の限界を超える多数の処理をするテスト
設問45 高頻度テストの狙いで不適切なものは次のどれか
①時間制御
②同時並列制御
③排他制御
④待ち制御
設問54 障害の3つの要素で不適切なものは次のどれか
①障害影響
②障害モード
③障害要素
④障害原因
„ 3問ともにシステムテストの領域ではポピュラーな技術を利用したテスト手法の問題
„ テスト設計のなかでも大多数の技術者が経験する技術で、中級の中の簡単な問題
テ ト設計 なか も大多数 技術者が経験する技術
中級 中 簡単な問題
‡ 設問44 システムテストを実施する対象のシステムリソースを答える
‡ 設問54 システムテストを実施する上で必要な“障害“に関する項目を答える
‡ 設問55 “障害“テスト設計の手順を答える
障害 テスト設計の手順を答える。
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今後へ向けて
z 被験者のストレスが限界を超えない範囲も重要で、現在までの試
行錯誤の結果 問 秒で 問程度とな て る。 の妥当性を
行錯誤の結果1問20秒で70問程度となっている。この妥当性を
確認したいところである。
z 試験問題は難しいものよりも、中程度の易しくかつ直観的に答え
られるものが良さそうであるが、さらに知見を収集する。
z 他の事例につても検討を進める。
z 相関のある設問の組を増やすことで有意なスキル評価ができる
条件を策定する。
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スキルとタレントマネージメントの
補完関係
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スキル評価だけで人材の活用は可能になるか?
前半は、スキルを形式評価する手法に関するものであった。
前
を
す
す も
あ
しかし、スキルを計測できたとして、次の4つの点が残される。
①スキルを引き出すことができるか?
②人材のスキルを向上させる教育ができるか?
③現場の中で人材のスキルを活用できるチーム編成ができるか?
④現場の中で人材のスキルを向上できるか?
これらに共通する点は、いずれも人間関係が微妙にあるいは積極
的に関わってくることである。
ここからはスキルをタレントマネージメントで引き出せる可能性があ
ることに いて述べる!
ることについて述べる!
次 講演者 バト タ
次の講演者へバトンタッチします。
します
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スキルとタレントの軸からみた人材編成
ETSS
L3
プロジェクトは
失敗するリスクが
高い
〇
×
×
プロジェクト
は遅れ
後進の育成
は困難
ETSS
L2
×
ETSS
L1
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プロジェクトは
最悪の結果
◎
プロジェクトは
プロジ
クトは
成功するであろうが
後進を
育成できない
育成できな
プロジェクト
は進捗し
後進の育成
も可能
タレント(良好)
×
単に仲良しクラブ
プロジェクトは
失敗
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今後へ向けて
スキル評価の結果とタレントマネージメントを組み合わせることで、
プロジェクトを成功に導き、かつ人材育成も可能にする最適化の道
筋が見えてきた。
今後は、両者のさらなる連携によるプロジェクトマネージメント、人
材育成のあり方、人事評価のあるべき姿などについて研究を進め
ていく所存である。
ていく所存である
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