漆の技で明日を開く 漆の技で明日を開く

2015年(平成27年)7月23日
(木曜日)
毎 日 新 聞
1
Oh Me
オー!ミー
この情報紙は「滋賀ガイド」と提携しています
インターネットと連動した
【滋賀生活情報紙】
vol.573・7月23日号
毎週木曜発行 4面に プレゼント情報!
● Oh!Me 編集室/株式会社ヤマプラ:近江八幡市桜宮町294 TEL0748-34-8872 FAX0748-34-8927
●広告/滋賀毎日広告社:大津市打出浜3-16 TEL077-522-2603
文化財保存修復学会会員
塗師・伝統工芸士
あ
あきみち
秋道 恵一 さん
けいいち
(彦根市在住・ 歳)
ち
42
発行部数:100,000部
●発行/毎日新聞大阪本社開発宣伝部:大阪市北区梅田3-4-5
仏壇から文化財の修復まで
漆の技で明日を開く
350年の歴史を持つ彦根仏壇の
ぬ
し
されている。塗師の秋道さん
感じた。修復に関わった
職人の連帯感は強く、多く
の人とつながりができた。
今月末からは、東京都青梅
む さ し
み たけ
市にある武蔵御嶽神社の
修 復 作 業 に、来 年10月末
までの予定でとりかかる。
まき え
塗師・秋道恵一さん。経済産業
の他、蒔絵、木地など合わせて
大臣認定の伝統工芸士に弱冠
8人が同時に受けた。試験は
若い世代に伝えたい
31歳で合格した。仏壇だけでな
実技だけでなく筆記もある。
塗 師 に なって
く寺社などの文化財修復にも活
漆塗りに必要な気温や湿度、
今年で24年。
動の場を広げている。
塗る際の顔料と漆との比率な
現 在、彦 根 の
ど細かい知識が問われる。仕
塗 師 は10人 ほ
事の合間に資料を見たり、周り
どだ が 秋 道 さ
の人に問題を出してもらったり
んが一番若い。
でいてはだめだ」
。貞治さん
して勉強し、見事合格。20年は経験を積
もっと多くの若
に代わり工房を支えていく
まないと通らないといわれているが、近
者 に 漆 のこと
決心をした。これまで育て
畿2府4県で一番若い合格者だった。
を 伝 えて い き
たいと、芸術系
てくれた貞治さんの恩に応
える意味でも頑張らないと
職人との交流に活路
の大学に漆塗
31歳で伝統工芸士に
いけないと思った。
7年前、東京・上野東照宮の修復の仕事
り体 験 へ の 参
祖父の代から続く塗師の家に生まれた。
以来めきめきと腕を上げていった。31歳
を依頼された。仏壇の塗師として仕事
加を呼びかけている。2009年にはイン
小さいころから木の切れ端に漆を塗っ
のとき彦根仏壇の組合の人から伝統工
を続けようか迷っていた時だったが、奥
(京
ターンシップで京都伝統工芸大学校
て遊んでいたという。一人息子だった
芸士の受験を勧められた。
の言葉に後押し
「やってみれば」
さんの
の女子学生を指導した。
都府園部市)
仏壇の職人は7種類の専門技術に分業
され、約半年間、全国から集まった職人
「海外での文化財修復にも漆を使ってみ
校卒業後、貞治さんに弟子入りした。貞
に混じって参加した。他県の塗師と
たいと思っています。気候や温度の違
治さんには6人の弟子がいて7番目の
意気投合し、文化財修復の経験が豊
いなど課題はありますが、日本の伝統文
弟子だった。
富な職人からいろいろと教えて
貞治さんから
「お前が塗る手を持ってやる
もらった。仏壇のことしか知
わけにはいかん。何回も何回も塗って自
らなかった秋道さんには大
分でカンをつかめ。言葉では教えない。
きな刺激だった。
見て盗め」
と言われた。貞治さんや兄弟
その後、鎌倉建長寺の唐門、
子の仕事を見て必死になって覚えた。
西本願寺や清水寺などの仕事に
転機が訪れたのは20年前、秋道さんが
も関わった。昔の職人の仕事の痕跡
滋賀生活情報紙【
滋賀生活情報紙
滋賀生活情報
【Oh!Me
Oh!Me】はお近くの
】
はお近くの
毎日新聞販売店からお届けしています。
毎日新聞販売店からお届
毎日新聞販売店
らお届けしていま
ています。
22歳のときだった。66歳だった貞治さ
に触れるのは興味深く、まるで当時
フリーダイヤル ヨムハ フリーダイヤル ヨム ハ マイニチ
マイニチ
んが病に倒れた。
「いつまでも弟子気分
の職人と会話をしているかのように
てい じ
ので父・貞治さんと同じ道に進もうと高
化が貢献できるはずです」
(取材・鋒山)
夢は世界に広がる。
秋道仏壇塗師店
●彦根市東沼波町89
6
●0749‐24‐
1
1
78
毎日新聞のご購読お申し込みは