第二の人生 古典笛師として生きる 第二の人生 古典笛師

2014年(平成26年)10月9日
(木曜日)
毎 日 新 聞
1
Oh Me
オー!ミー
お
この情報紙は「滋賀ガイド」と提携しています
インターネットと連動した
【滋賀生活情報紙】
vol.534・10月9日号
毎週木曜発行 4面に プレゼント情報!
● Oh!Me 編集室/株式会社ヤマプラ:近江八幡市桜宮町294 TEL0748-34-8872 FAX0748-34-8927
発行部数:100,000部
●広告/滋賀毎日広告社:大津市打出浜3-16 TEL077-522-2603
もと
げんすい
古典笛師
お
尾本 玄翠 さん
(彦根市在住・ 歳)
い
62
●発行/毎日新聞大阪本社開発宣伝部:大阪市北区梅田3-4-5
演奏の面白さ から 作る面白さ に!
古典笛師として生きる 第二の人生
やま
上から
神楽笛、高麗笛、龍笛、能管
だ
ひで あき
師・六 代目山 田 英 明
さんに弟子入り
さんに弟子入 した。
古典笛に図面
古典笛
て、
とても感動しました」
それ以降も、一
さんは尾本さんの笛
を好んで使ってくれているという。
はなく、自分の
耳で
耳 音を
全国から絶えない依頼
確かめな
確
「出来上がった笛は同じように見えても
がら製作してい
がら製
個性があり全部違う。自然の素材を使う
くので、作者自身が古
作者
ので全く同じものはできないからです。
ひちりき
和楽器の縦笛
「篳篥」
の音色に魅せら
近江八幡の水郷に自生しているヨシを
典笛を吹く必要があることを初
とを初めて知っ
だから飽きずに続けられるのでしょうね」
れ、
サラリーマンから楽器作りの道へ
材料に、手探りの挑戦を始めた。
た。作業で一番難しいのは音を合わせ
笛を作る工程は30 ∼ 40に及び、1本作
る工程。竹の内径や穴の距離を確かめ、
るのに2∼3カ月もかかる。作れるの
0.1㍉単位で調整していく。尾本さんは
は年間20本が限度。近ごろは製作依頼
努力を重ね、2年間で篳篥だけでなく、
や修理依頼が後を絶たないという。
進んだ尾本玄翠さん。より良い音色
を求めるうちに、
演奏から楽器作りに
興味が移り、
会社員を定年退職した
すすだけ
楽器本体に使う煤竹は知人から譲って
とう
うるし
つ
もらった。装飾用の籐ひもや漆は、釣り
ざお
竿に使うもので応用した。
りゅうて き
のう か ん
のを機に本格的に笛づくりに打ち込
出来栄えを確認したくて、完成品を和楽
横笛の龍笛や能管の作り方も習得した。
「雅楽を楽しむ若い人も増えていると感
んだ。独学でのスタートながら、
今で
器店に持ち込み
「売れますか?」
と聞いて
師匠から
「笛を作るために生まれてきた
じます。多くの人に古典笛の素晴らしさ
みた。しかし、
「見た目
人」
と評価された。2010年には自宅の
を感じてもらえるよう、
これからも作り続
は 奇 麗 だ が、
うちで は
一部を工房にし、本格的な製作活動に
けていきたいですね」
(取材・福本)
最初は見よう見まねで
扱えない」
と断られた。
入った。
学生時代は吹奏楽部や軽音楽部で
作者の名と実績が重ん
音楽を楽しみ、社会人になってから
じられる世界で、無名の
プロに認められた喜び
もギターやピアノを趣味にしてい
尾本さんは伝統芸能の
2012年、伊吹町で開かれた能楽演奏会
たという尾本さん。若いころは雅
大きな壁を感じた。
で、一
楽とは無縁の生活だった。
とても悔しかったが、仕
できるチャンスが訪れた。自分の笛を
雅楽との出合いは20年前、多賀大社
事が忙しくなったため仕
プロに見てもらおうと、本番前の控室に
の雅楽講座に参加したとき。篳篥
方なく笛作りを40代半ば
会いに行った。
の荘厳な音色に魅せられた。息の
で中断することにした。
一
は全国的に高い評価を得ている。
篳篥と蘆舌
いっそうゆ き ひろ
吹き込み方や指の抑え方で音程が変わ
流笛方の一
幸弘さんに面会
さんから
「低音・高音のバランスが
良い。特に最も高音の
『ヒシギ』
が百発
ること、蘆舌と呼ばれる音を出すリードを
退職機に笛作り再開
百中!」
と気に入ってもらい、その日の
演奏者が削る必要があることを学んだ。
57歳で勤めていた会社を退職した後、
演奏会で使ってくれた。
尾本さんは多賀大社の講座で2年間勉
笛作りを再開した。今度は伝統の技能
「プロが演奏すると、自分の作った笛か
強し、自分で蘆舌を作ろうと思い立って
を習得するために、京都の名門雅楽器
ら自分でも知らなかった幅広い音が出
ろ ぜつ
尾本玄翠
● 彦根市八坂町2
0
1
9
● 0749‐24‐73
1
2
http://omotogensui.com
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