突然倒れ、意識不明のまま回復の見込みがないケース 1 財産調査 2

成年後見制度利用の実例(月刊日本行政)2014.2 月号
○ 突然倒れ、意識不明のまま回復の見込みがないケース
1 財産調査
① 親族の依頼(了承を得る)で自宅に入り、通帳、各種権利証、契約書を探す
② 銀行口座の調査
ァ) 地域の金融機関をしらみつぶしにする
ィ) 給与振込銀行を会社に尋ねる(組合の口座や貯蓄用の口座にも注意)
⇒ 光熱水料や住宅ローンの引き落とし口座を確認(貸金庫やカードがあることもある)
銀行に成年後見の届出をするときは、後見人の実印と印鑑証明書が必要
登記事項証明書は原本要求の銀行と写しで良い銀行がある
2 各種手続き
① 各種契約の契約解除
⇒ ダイレクトメール、通帳の記載から携帯電話の会社を特定
※ 固定電話の契約を解除したところ、あっさり強制解除となった
② 住宅ローンの支払いが残高不足でストップしていたら入金
③ 生命保険の高度障害による保険金請求
⇒ 病院を転院しているとその都度の診断書が必要になる
※ 相当の時間が経過しないと症状固定と云えず、診断書が取れないケースもある
※ 保険金は本人の口座に入金(必要があれば通帳の再発行も必要)
④ 保険金でローンが完済されたら抵当権抹消登記
⑤ 障害者手帳の交付申請 ・・・ 窓口で説明を受けて手渡しされる
⑥ 毎月病院に診断書を請求し、会社に対して傷病手当の請求を行う
⑦ 自動車の処分
⑧ 不動産の処分
⇒ 家庭裁判所に不動産処分の審判を申し立てて許可を受ける必要がある
※ 添付書類・・・適正な価格で売却することを証明する書類や売買契約書を添付
3 終了手続き
① 事情によっては家庭裁判所や家族と相談のうえ、火葬・葬儀の手続き
② 家庭裁判所に後見終了の報告・・・2 ヶ月以内に財産管理の計算を行う
③ 相続人に財産の引き渡し
④ 家庭裁判所に後見事務報告書を提出
成年後見制度利用の実例(月刊日本行政)2013.11 月号
○ 社会福祉協議会の日常生活自立支援事業
⇒ 自己決定権や意思表示が不十分となったときに、福祉サービスや金銭管理(協議会が管理)
を行い、地域で生活できるように支援する
【担当】 ケアマネージャー,生活支援員,施設担当の医師(診断書が安くなるかも?)
○ 成年後見人の申請は、施設入所の際に、本人の意思能力がないことから始まる
① 希望する施設に直ぐに入れるとは限らない
・・・ 計画的に検討すること
② 後見人は身元引受人や連帯保証人にはなれない・・・ 親族を説得する必要がある
○ 本人の死亡(身寄りがない場合)
① 関係者及び家庭裁判所への一報
本来、後見事務は本人の死亡と同時に終了する
② 施設の医師から死亡診断書を受領
③ 遺体の引取り・・・親族が引き取らない場合は葬祭センター(互助会?)へ連絡
※ 遺品の処分は施設にお願いすることもできる
④ 葬儀の実施・・・・裁判所に相談と報告
⇒ 費用は本人の財産から出すことも可能
※ 現金・預金ともに管理者・口座名義は後見人であるから
⑤ 死亡届の提出・・・後見人が提出
※ 火葬の予約を取ってから葬儀の日程を決める
⑥ 費用・・・・・・・葬儀代、お経・戒名代、永代供養代
※当日必要になることもあるので注意
⑦ 後日の手続き
ⅰ) 介護施設利用料の清算
ⅱ) 年金の受給停止
ⅲ) 事務報告及び報酬付与の申立て
ⅳ) 後見登記の抹消申請
ⅴ) 遺産の引き渡し
成年後見制度利用の実例(月刊日本行政)2013.10 月号
○ 知的障害者の例
⇒ 医師の診断は『保佐相当』だったが審判では『後見相当』となった
※ 金銭の計算がまったくできなかった部分が原因らしい
※ 後見開始の審判まで 3~4 ヵ月掛った
○ 後見開始後の事務(後見開始後すぐの事務)
☆ 後見事務等報告書の提出
※ 申立ての際に提出した書類より正確で詳細な書類が求められる
【添付書類】
収支予定表,財産目録,保険証書,通帳,心身障害者扶養共済制度年金,個人年金証書
○ 遺産分割協議
① 家庭裁判所に相談
② 成年後見人として署名押印
③ 報酬付与の申立て書に記載
④ 報酬の受領
○ 市の用地買収・高額物品の購入
⇒ ある程度、条件を詰めたうえで家庭裁判所書記官に相談
※ 見積書などは取っておく
○ 預貯金の変更
⇒ 普通預金を定期預金へ変更するなど・・・同上
○ 報酬の請求
⇒ 後見事務等報告書の提出
【添付書類】
収支予定表,財産目録,保険証書,通帳,金銭出納帳,領収書
成年後見制度利用の実例(月刊日本行政)2013.9 月号
○ 審判の期間
⇒ 翌日に審判がなされた場合もある(財産侵犯の疑いがあったケース)
⇒ 数ヵ月掛ることもある(3 ヵ月~6 ヵ月)
○ 診断書をとったら保佐相当だったケース
⇒ 保佐・補助の場合、家庭裁判所への本人同行が必要になる
⇒ 代理権、同意権の付与申立てが別途必要になる
※ 家庭裁判所において本人に確認と同意を得るプロセスがある
○ 補佐人の活動
⇒ 初めて後見人となる場合は、DVDの視聴や誓約書の提出を求められることがある
⇒ 本人の収支予定表,財産目録等を作成して 1 ヶ月以内に裁判所へ提出
① 審判が出てから 2 週間経過して確定
② 後見登記に数日
⇒ 時間的には厳しいスケジュールになる
○ 取消権・同意権・代理権の範囲
取消権・同意権
後見
保佐
代理権
日常生活以外
財産に関する法律行為
民法 13 条 1 項の行為
申立ての範囲内で審判
家裁の審判により拡張
によって定められる特
定の行為
することが可能
補助
民法 13 条 1 項の一部
家裁の審判で決定
法律行為
同上
【代理権の例】
・年金等、社会保障給付の諸手続き
・公共料金、保険料の諸手続き
・貯金に関する金融機関との一切の権限
・介護契約の締結、変更、解除及び費用の支払い