4 - 11 付加給付・高額療養費(医療費の自己負担が戻るとき)

136
4 - 11
(1)一部負担還元金
付加給付・高額療養費(医療費の自己負担が戻るとき)
○被保険者は、自己負担分としてかかった医療費のうち 3 割を、医療機関の窓口で
支払います。
○同一の月に同一の保険医療機関、保険薬局または訪問看護ステーションごとに、
支払った自己負担額が 25,000 円を超えると、自己負担額から 25,000 円を差し
引いた額が一部負担還元金として支給されます。(100 円未満の端数は切り捨て)
(例)26,050−25,000 円=1,050 円
支給額は 1,000 円
※診療報酬明細書ごとに計算します。
(2)家族療養費付加金
○被扶養者は、かかった医療費の 3 割、乳幼児(義務教育就学前)は 2 割を医療
機関の窓口で支払います。
○被扶養者ごとに、同一の月に同一の保険医療機関、保険薬局または訪問看護ス
テーションごとに支払った自己負担額が 25,000 円を超えると、自己負担額から
25,000 円を差し引いた額が家族療養費付加金として支給されます。(100 円未
満の端数は切り捨て)
※診療報酬明細書ごとに計算します。
(3)訪問看護療養費
付加金
家族訪問看護
○被保険者及び被扶養者が訪問看護を受けたときは、訪問看護ステーションから受
診者ごとに費用の請求がきます。訪問看護療養費明細書1件ごとに、25,000 円を
差し引いた額が支給されます。(100 円未満の端数は切り捨て)
療養費付加金
(4)高額療養費と
付加給付金等の
○ 標準報酬月額
83 万円以上
被保険者、被扶養者の自己負担額が 252,600 円を超
えた場合に支給されます。ただし、総医療費(自己負
担額+健保負担額)が 842,000 円を超えた場合は、
計算
その超えた金額の 1%が 252,600 円にプラスされま
す。
○ 標準報酬月額
53 万~79 万円
被保険者、被扶養者の自己負担額が 167,400 円を超
えた場合に支給されます。ただし、総医療費(自己負担
額+健保負担額)が 558,000 円を超えた場合は、その
超えた金額の 1%が 167,400 円にプラスされます。
○ 標準報酬月額
28 万~50 万円
被保険者、被扶養者の自己負担額が 80,100 円を超え
た場合に支給されます。ただし、総医療費(自己負担額
+健保負担額)が 267,000 円を超えた場合は、その超
えた金額の 1%が 80,100 円にプラスされます。
○ 標準報酬月額
26 万円以下
被保険者、被扶養者の自己負担額が 57,600 円を超え
た場合に支給されます。
-136-
136.1
○一部負担還元金や家族療養費付加金と同様、一人ひとりについて同一の月に同
一の保険医療機関、保険薬局または訪問看護ステーションごとに支払った自己負
担額が上記の金額を超えた場合に「高額療養費」として支給されます。
○残りの金額については一部負担還元金・訪問看護療養費付加金や家族療養費付
加 金・家族訪問看護療養費付加金の支給対象となります。
-136.1-
137
(支給例 標準報酬月額 83 万円以上)
(総医療費 1,00,000 円を想定)
被保険者が入院し、自己負担額(医療費の 3 割)が1ヵ月に 300,000 円かかったとき。
高額療養費
一部負担還元金
300,000 円−254,180 円=45,820 円
最終自己負担額
254,180 円−25,000 円≒229,100 円
25,080 円
計 274,920 円支給
計算方法
総医療費 1,000,000 円で計算
(計算基礎額)
(総医療費)
(基礎控除額)
(自己負担限度額)
252,600 円 + (1,000,000 円 – 842,000 円) × 0.01 = 254,180 円
(自己負担額)
(自己負担限度額)
300,000 円 – 254,180 円
(高額療養費)
= 45,820 円
(自己負担限度額) (控除額)
(付加金)
254,180 円 − 25,000 円 = 229,180 円≒229,100 円 (付加金)100 円未満の端数は切り捨て
(高額療養費)
(付加金)
(還付額)
45,820 円 + 229,100 円 = 274,920 円
(支給例 標準報酬月額 53 万~79 万円)
(総医療費 1,000,000 円を想定)
被保険者が入院し、自己負担額(医療費の 3 割)が 1 ヵ月に 300,000 円かかったとき。
高額療養費
300,000 円−171,820 円=128,180 円
一部負担還元金
171,820−25,000 円≒146,800 円
最終自己負担額
25,020 円
計 274,980 円支給
計算方法
総医療費 1,000,000 円で計算
(計算基礎額)
(総医療費)
(基礎控除額)
(自己負担限度額)
167,400 円 + (1,000,000 円 − 558,000 円) × 0.01 = 171,820 円
(自己負担額)
(自己負担限度額) (高額療養費)
300,000 円 – 171,820 円 = 128,180 円
(自己負担限度額) (控除額)
(付加金)
171,820 円 − 25,000 円 = 146,820 円≒146,800
(高額療養費)
(付加金)
(還付額)
128,180 円 + 146,800 円 = 274,980 円
-137-
(付加金)100 円未満の端数は切り捨て
137.1
(支給例 標準報酬月額 28 万~50 万円)
(総医療費 700,000 円を想定)
被保険者が入院し、自己負担額(医療費の 3 割)が 1 ヵ月に 210,000 円かかったとき。
高額療養費
一部負担還元金
84,430−25,000 円≒59,400 円
210,000 円−84,430 円=125,570 円
最終自己負担額
25,030 円
計 184,970 円支給
計算方法
総医療費 700,000 円で計算
(計算基礎額)
(総医療費)
(基礎控除額)
(自己負担限度額)
80,100 円 + (700,000 円 − 267,000 円) × 0.01 = 84,430 円
(自己負担額)
(自己負担限度額) (高額療養費)
210,000 円 – 84,430 円 = 125,570 円
(自己負担限度額) (控除額)
(付加金)
84,430 円 − 25,000 円 = 59,430 円≒59,400
(高額療養費)
(付加金)
(付加金)100 円未満の端数は切り捨て
(還付額)
125,570 円 + 59,400 円 = 184,970 円
(支給例 標準報酬月額 26 万円以下)
(総医療費 700,000 円を想定)
被保険者が入院し、自己負担額(医療費の 3 割)が 1 ヵ月に 210,000 円かかったとき。
高額療養費
一部負担還元金
57,600−25,000 円=32,600 円
210,000 円−57,600 円=152,400 円
最終自己負担額
25,000 円
計 185,000 円支給
計算方法
総医療費 700,000 円で計算
(自己負担限度額)
57,600 円
(自己負担額)
(自己負担限度額) (高額療養費)
210,000 円 – 57,600 円 = 152,400 円
(自己負担限度額) (控除額)
(付加金)
57,600 円 − 25,000 円 = 32,600
(高額療養費)
(付加金)
(還付額)
152,400 円 + 32,600 円 = 185,000 円
(5)低所得世帯の
高額療養費
○低所得世帯(市町村民税非課税世帯等)については、自己負担限度額を 35,400 円とし
て 35,400 円を超えた額が支給されます。
-137.1-
138
139
(6)合算高額療 ○同一世帯で同一月に 21,000 円を超える負担が 2 件以上生じた場合は、それらを
合算して自己負担限度額を超えた額が支給されます。
養費と合算
高額療養
この場合は「合算高額療養費」と「合算高額療養費付加金」として両方が支給される
費付加金
時もあります。
低所得者の場合は 35,400 円を超えた額が「合算高額療養費」「合算高額療養費
付加金」として両方が支給される時もあります。
○高齢受給者は合算対象基準額が設定されていません。(全ての自己負担額が対
象となります。)
計算方法
被保険者・被扶養者の入院分の自己負担額と、外来分の自己負担額を合算して世
帯の限度額を適用します。
被保険者(標準報酬月額 28 万~50 万円)と
被扶養者の世帯合算例(総医療費合計 162 万円)
総医療費 100 万円
被保険者
(入院)
健保負担額 700,000 円
自己負担額 300,000 円
総医療費 50 万円
被扶養者
(入院)
自己負担額 150,000 円
健保負担額 350,000 円
総医療費 12 万円
被扶養者
(外来)
健保負担額 84,000 円
自己負担額 36,000 円
世帯合算(自己負担額の合計)金額 486,000 円
世帯合算金額 486,000 円
合算高額療養費付加金
93,630 円−75,000 円≒18,600
円
計 410,970 円支給
合算高額療養費
486,000 円−93,630 円=392,370 円
最終自己負担額
75,030 円
計算方法
総医療費 1,620,000 円 (標準報酬月額 28 万~50 万円で計算)
(計算基礎額)
(総医療費)
(基礎控除額)
(自己負担限度額)
80,100 円 + (1,620,000 円 − 267,000 円) × 0.01 = 93,630 円
(自己負担額)
(自己負担限度額)
(高額療養費)
486,000 円 − 93,630 円 = 392,370 円
(自己負担限度額) (控除額)
(付加金)
93,630 円 − 75,000 円 = 18,630 円≒18,600 円
(高額療養費)
(付加金)
(還付額)
392,370 円 + 18,600 円 = 410,970 円
-138-
(付加金)100 円未満の端数は切り捨て
139
高齢受給者と 70 歳未満の人との合算
○高齢受給者と 70 歳未満の人が混在する世帯の場合については、
・手順①
高齢受給者ごとに外来の自己負担額を合計し、(A)の負担限度額により
個々の高額療養費を計算して、それを世帯で合算する。
・手順②
高齢受給者の入院・外来の自己負担額を世帯で合算し、(B)の負担限度
額により高額療養費の計算をする。
・手順③
世帯全員の、入院・外来の自己負担額を合算し、(C)の負担限度額により
高額療養費の計算をする。
上記の計算の結果を比較して、一番高額となる高額療養費を支給する。
・手順④
※(A)~(D)は、次ページの計算式による
計算の例 (
点線の四角内
が高齢受給者、収入区分は全員「標準報酬月額 28 万~
50 万円」と仮定)
<世帯の医療費合計 117.4 万円>
総医療費 15 万円
本 人
被保険者
(入院)
(70 歳未満の人)
健保負担額
自己負担額(3 割)
105,000 円
45,000 円
高齢受給者(㋐~㋓)の自己負担額合計は 86,800 円
総医療費 60 万円
㋐父親
被扶養者
(入院)
(高齢受給者)
健保負担額
自己負担額
555,600 円
44,400 円
44,400 円
以上は窓
口で徴収
しない
54 万円+15,600 円は高額療養費現物給付(償還分なし)
総医療費 20 万円
㋑父親
被扶養者
(外来)
(高齢受給者)
健保負担額
自己負担額(1 割)
180,000 円
20,000 円
総医療費 20 万円
㋒母親
被扶養者
(外来)
(高齢受給者)
健保負担額
自己負担額(1 割)
180,000 円
20,000 円
総医療費 2.4 万円
㋓母親
被扶養者
(外来)
(高齢受給者)
健保負担額
自己負担額(1 割)
20,600 円
2,400 円
・手順①の計算(高齢受給者の外来)
父親(㋑)
20,000 円 - 12,000 円 = 8,000 円
母親(㋒、㋓) (20,000 円 + 2,400 円) - 12,000 円 = 10,400 円
父親+母親
8,000 円 + 10,400 円 = 18,400 円…①
・手順②の計算(高齢受給者だけの入院・外来)
86,800 円 - 44,400 円 = 42,400 円…②
・手順③の計算(世帯単位の入院・外来)
80,100 円+(1,174,000 円-267,000 円)×0.01=89,170 円…ⓐ(自己負担限度額)
(70 歳未満の人の自己負担額+高齢受給者の自己負担額)-ⓐ=高額療養費
(45,000 円+86,800 円)-89,170 円=42,630 円…③
・手順④の計算
①、②、③を比較して、③が一番高額となるため、42,630 円が支給される。
-139-
140
70 歳未満の被保険者等の自己負担限度額
所得区分
自己負担限度額 (C)
標準報酬月額
252,600 円+(総医療費-842,000 円)×1%
83 万円以上
4 回目以降は 140,100 円
標準報酬月額
167,400 円+(総医療費-558,000 円)×1%
53 万~79 万円
4 回目以降は 93,000 円
標準報酬月額
80,100 円+(総医療費-267,000 円)×1% (D)
28 万~50 万円
4 回目以降は 44,400 円
標準報酬月額
57,600 円
26 万円以下
4 回目以降は 44,400 円
低所得者
35,400 円
(住民税非課税)
4 回目以降は 24,600 円
70 歳以上 75 歳未満の被保険者等の自己負担限度額(高齢受給者)
外来(個人ごと)
外来 + 入院(世帯ごと) (B)
(A)
標準報酬月額
28 万円以上
44,400 円
80,100 円+(総医療費-267,000 円)×1% (D)
4 回目以降は 44,400 円
標準報酬月額
26 万円以下
12,000 円
44,400 円
Ⅱ
8,000 円
24,600 円
Ⅰ
8,000 円
15,000 円
低所得者
(住民税非課税)
(7)多数該当世帯の
負担軽減
○同一世帯で高額療養費が支給された月が 3 月以上ある場合、次の月から下記の額を
超えた額が支給されます。
標準報酬月額 83 万円以上
140,100 円
標準報酬月額 53 万~79 万円
93,000 円
標準報酬月額 28 万~50 万円
44,400 円
標準報酬月額 26 万円以下
44,400 円
低所得者
24,600 円
-140-