石川五右衛門と言えば天下の大泥棒、 南禅寺 山門での

イ'1N辻L;辻
石川五右衛門と言えば天下の大泥棒、南禅寺
山門での絲色景かな、の台詞や釜茄での刑で処
される逸話など神秘的なイメージが先行するあ
まり史実には暖昧な点が多い。それ故戯曲化を
重ねるにっれ五右衛門自身の実像は薄れ彼の絵
姿のみが浮き彫りにされている。今春正月歌舞
伎で上演された市川海老蔵扮する、石川五右衛
門、は更にスケールアップされた娯楽性に富ん
だ狂言に仕上がっていた。三島由紀夫、日く擬
古典ほ肩乍であっても古風で時代味のある作
品)である。物語は前作、いにしえの大泥棒、
川五右衛門、が落ち延びた忍者の里で忍術を学
び、天下人であった豊臣秀吉に挑み財産を尽く
奪い取ってしまうと言う話であった。言わば序
章であった前作は亡き市川團十郎の存在が大き
い。今回、(息、子)海老蔵が新たな続編を創造
し團十郎への縦糸を紡ぐ事は言うまでも無く父
への献辞となる。後半を梗概する。五右衛門は
聚楽第に忍び込み、秀吉の寵愛を受ける愛妾
、お茶々、と出会い恋に落ちる。やがてお茶々
は懐妊しその事が秀吉に知れる。ひどく喜んだ
秀吉は見慣れぬ銀煙管を見詰め五右衛門との子
である事を悟る。南禅寺山門で五右衛門は秀吉
にお茶々懐胎の事実を告げ、自らの子である事
を明かす。それに対して秀吉は意外にも歓喜し
その子を豊臣の世継として育てて呉れる様に五
右衛門に頼む。当時、中国大陸東北部満州では
数ある女真族の中でハダ女真族を率いるワンハ
ンが他を眸呪していた。唯、ワンハンー人が男
性であり他の武将たちは将軍(桜嵐女;おうら
んじょ)を始め軍兵に至るまですべて女性であ
る。そんなワンハンのもとに建州女真族を率い
るヌルハチからの使者が訪れる。ワンハンの所
持する神玉とヌルハチの征龍の宝刀の二つの品
を持する者が中原の覇王になれる言い伝えがあ
る事からヌルハチはワンハンと同盟を結び、女
真族の統一と堕落する大明国討伐の画策を練っ
てぃた。ところが冷徹なワンハンはヌルハチの
豊臣秀吉の愛妾、お茶々、である事を知らされ
る。ワンハンはさっそぐぉ茶々、を擇(さら)
う事を決意し桜嵐女を日本に向かわせる。その
頃、五右衛門とお茶々の子は寉財公と名付けられ
豊臣家の後継者として育てられていた。五右衛
門はそんな鶴松に子守唄代わりに三味線を毎晩
奏でてやっていた。ある夜、いつに無く検校(け
んぎょう)の入来が遅いので家を空け探しに行
く。入れ違うように現れたのは桜嵐女であった。
桜嵐女はお茶々を擇うと泣き出す鶴松を惨殺し
煙のように立ち去る。そこへ何も知らぬ五右衛
門が戻りお茶々の失腺と鶴松の死を知り嘆き悲
しむ。秀吉もその場に姿を見せ残された刃物か
らハダ女真族の仕業だと明かし朝鮮に攻め入る
為に用意した船を五右衛門に与えお茶々を取り
戻す様命じる。大阪から出航した五右衛門は航
路難渋するが辛うじてヌルハチに助けられ共通
の敵ワンハンを撃っ事を誓い義兄弟の契りを結
ぶ。ワンハンの居城、牙龍城、へ迫る五右衛門
たちに黒竜江に住む悪龍がすかさず襲ってくる。
五右衛門は征龍の宝刀の力を借りて突き進み龍
の本体である悪龍の精をおびき出す。何とか精
をねじ伏せ遂に黒竜江を渡りきる。牙龍城では
ワンハンがお茶々を何とか口説き落とそうと迫
るが拒絶される。腹を立てたワンハンはお茶々
の殺害を目論む。そこへ五右衛門が多くの鳥に
牽引され空から登場する。ワンハンとの激闘の
末、辛うじてお茶々の奪還に成功する。最後に
牙龍城の階上から二度目の、絶景かな、と雄叫
び幕引きとなる。勧善懲悪ストーリーに少々拍
子抜けした感も拭えなかったが観劇後はむしろ
清々しい気持ちになった。ちょうどこの稿を書
き終える頃、世の中では IS (イスラミツクス
ティト)による日本人ジャーナリスト殺害の
ニュースが流れた。流石に最後まで現代版五右
衛門は現れなかったが、むしろ力ずくで救出す
る計画を策する事ですら慎重を要する状況であ
る。今や残念な事に国家、民族を超えた新たな
使者を惨殺しヌルハチの命と征龍の宝刀を力ず
世界規模の争いがすでに始まっているのかもし
くで奪い取る事を命じる。また宣官のシンから
ワンハンが兼ねてから望む理想の女性こそ日本、
れなし、。
長崎県医師会報
(佐々木豊裕)
[平成27年3月15日発行・第830号]、毎月1 回発行、定価 1音隣50円
免行所/長崎県医師会・編集兼発行人/牟田幹久
広報委員会/委員長・江良修、委員・増崎英明、米満伸久、山本広樹、寺井裕二
安永暁生、佐々木豊裕、古田千事、牟田幹久、長谷川宏、増元秀雄
[〒852-8532 長崎市茂里町3番27号 TEL四5-844-11H FAX095-844-111田
印刷所/枕昭和堂[諌早市長野町1007-2 TEL0957-22-6000]
長崎県医師会報第830号平成27年3月
113