出題のねらい 一般入試/日本史(中期)

一般入試/日本史(中期)
出題のねらい
【1】古代・中世、経済・外交の分野。
Aは律令体制の樹立を目指して行われた鋳銭事業
を、Bは鎌倉幕府に大きな衝撃を与えた元軍の襲来
をとりあげた問題です。
【2】近世、政治の分野。
武家諸法度と禁中並公家諸法度をテーマにとりあ
げ、当時の政治に関する基本的な知識を確認すると
ともに、史料を読み解く力を問いました。
【3】近代、文化の分野。
明治時代の芸術を題材に、近代文化史の基礎的知
識を問いました。
【1】
【解 答】(31 点)
(1) 708 年
(3 点)
(2)(あ)
(3 点)
(3) 和同開珎
(3 点)
(4) 畜銭叙位令
(3 点)
(5) 富本銭
(3 点)
(6) 元
(3 点)
(7) フビライ=ハーン(忽必烈)
(3 点)
(8) 朝貢(国交・服従・服属なども可)
(3 点)
(9) 北条時宗
(4 点)
(10) 文永の役(元寇・蒙古襲来も可)
(3 点)
【解 説】
A は、律令期の鋳銭事業に関する設問です。平城
京の建設に伴い、政府は唐に倣って本格的な銭貨で
ある和同開珎の鋳造・発行を始めました。それは中
央集権国家の樹立を目指す事業の一貫でした。その
経緯を伝えた『続日本紀』の記述を掲げ、銭貨の発
行や、その後の政策に関する基礎知識を問いました。
和同開珎の発行には、中国・唐を模範とする律令国
家体制の綱格を整備しようとする、政治的な意図が
うかがわれます。政府は銭貨の流通のため、様々な
施策を行いますが、その一つが「蓄銭叙位令」でした。
しかし、京・畿内を中心とした地域以外では、銭貨
はあまり流布せず、稲や布などの物品による交易が
依然広く行われたようです。
B は、鎌倉時代の社会変動の大きな転機となる、
蒙古襲来のもととなった牒状を掲げました。フビラ
イは日本に国交を求める一方、「兵を用ふるに至り
ては、夫れ孰か好む所ならん」という脅しの言葉を
付記しています。この直後に執権となった北条時宗
は、蒙古の再三にわたる朝貢要求を拒否しつづけま
す。その結果が、「文永の役」です。元軍の来襲は
幕府に大きな衝撃を与えます。幕府は再度の来襲に
備え、異国警固番役を教化し、博多湾沿いに石造の
防塁を構築させます。
一般入試/日本史(中期)
【2】
【解 答】(45 点)
【3】
【解 答】(24 点)
(1) 武家諸法度
a強兵
b興業
c開化
(2)(あ) d東京音楽
e工部美術
f東京美術
(3) 一国一城令
g狩野芳崖
h明治
i黒田清輝
(4) 豊臣秀頼
j白馬
k牧野伸顕
l文展
(5) 参勤交代
(各2点×12)
(6) ア-譜代 イ-外様 ウ-紀伊
(7) 五百
【解 説】
(8) 寛永通宝
明治時代の芸術を題材に、近代文化史の基礎的知
(9) 島原の乱(島原天草一揆)
識を問いました。近代の文化史については、言葉の
(10) 殉死
暗記に終始しがちですが、一つ一つの事柄を、時代
(11) 禁中並公家諸法度
状況の変化に即して説明できるよう理解を深めるこ
(12)(い)
とが重要です。a ~ c は、明治初年の一般的な傾向
(13) 沢庵(沢庵宗彭)
(各 3 点× 15)
【解 説】
江戸幕府による大名統制の基本法である武家諸法
度と、朝廷統制の基本法である禁中並公家諸法度に
関する問題です。この問題では、代表的な4つの史
料A~Dを素材に、法令を起草した人物や、法令の
主な用語と内容、江戸時代の政治に関する人物・事
件・政策などについて正しく理解しているかを問い
ました。A慶長20年(1615、元和元年)の武
家諸法度については、大坂夏の陣による豊臣家の滅
亡や一国一城令、B寛永12年(1635)の武家
諸法度については、参勤交代の制度化や島原の乱の
発生、C天和3年(1683)の武家諸法度につい
ては、殉死の禁止、D慶長20年の禁中並公家諸法
度については、天皇の任務や紫衣事件などをそれぞ
れ取り上げています。また、親藩・譜代・外様の区
別や御三家、寛永通宝といった、当時の政治に関す
る基本的な知識もあわせて確認しています。今回の
ような史料中心の問題を解くためには、史料を読み
進める能力と、その背景となる歴史の知識をバラン
スよく身につけておくことが重要です。
あらわす言葉に関する問題です。用語の意味を捉え
て漢字を正確に記憶出来ているかを問うています。
d は音楽史に、e 以下は、明治時代の絵画史に関連
する設問です。これらは教科書や資料集などを用い
て図版を確認して下さい。例えば、狩野芳崖の作品
は、前代の伝統的絵画とどこが連続し、どこが異な
るのでしょうか。あるいは、黒田清輝には、具体的
にはどのような作品があるのでしょうか。絵画史の
学習を進めるうえでは、教科書の記述を自分なりに
作品に即して理解することがポイントです。